- 終わった変化 -
飯食って、会話して……午後の5時!? 割と時間潰れちゃったな、明日か。
「イム、お風呂行こっ!」
「スラと一緒に入ろ……」
「ヤタガラスは来たらダメ!」
「なんで!?」
そんな事より俺がなんで? なんだけどな!
「リュウキさん……」
「なんだ? スラが手招きしてるぞ」
この家でラフな格好していいのは、スラとイムとヤタガラスと俺だけのはずなんだが。
「ぶっ倒れた理由が分かりました」
そう言えば1回倒れて、スラに起こしてもらってた。原因がスライムじゃないのか。
「なんだ?」
「お姉ちゃんのビンタ」
あの時ビンタの跡付いてないけどな。見え見えの嘘か。
「ふーん、行ってこい」
トンっと背中を押してあげた。
「一緒に背中流したいな……」
「ダメだもん! 見られたらお嫁に行けない!」
「ちゅーん……」
絶対女の子の胸狙ってるだろ。
「僕と一緒に入ったらいいよね?」
「……妥協する」
「ケルベロスも一緒に行こっか」
「お供させていただきます」
動機が不純すぎる。いや、待て。
「なんでお前らも風呂行くんだ!?」
「お兄ちゃんとお泊まり」
「僕は……秘密」
もうよく分からねえよ。サタン様のおかげでゴーレム築けて嬉しいです。
「バルデスも来るかい?」
どう見てもハーレムでした、本当にありがとうございます……。阻止されそうだから遠慮しよっかな。
「ならバルデスと入るもんっ!」
気がついたらエプロン姿のヤタガラスがギュッと俺に寄り添う。スペック高いな! いつ着替えたの?
「やめとけって、女の子の裸なんてなかなか見られんぞ」
「う……」
揺れないで!? ちょっとくらい耐えて!
「俺の裸もなかなか見れないけど」
羽耳が横に揺れて悩みを表してる。
「2回、入るもん……」
両方取るのか、それでいいのか。
「それまで何しよう?」
「カップル見よ!」
マーナの考えを一言で解決させるケルベロス凄いな。
「最近見れてないからね、録画分もありそうだ。一気に見よう!」
「うんうん!」
ソファーに座ってリモコンを巧みに操る。2人の刑事が無差別に銃器を放火しているシーンから始まった。
楽しそうだなー、でもヤタガラスはもっと楽しそうに家事をこなしてるんだよな。
「ふ〜ふふーん」
鼻歌交じり、女子力高い! 皿洗うくらいなら、俺も手伝えるかも。
ちょっと歩み寄ってみた。
「うおっ」
ちょっと躓いてラッキーラブコメみたいになってしまった。ヤタガラスの肩に肩で触れ、俺の息が耳元に掛りそうなくらい。
「あ、ごめ……」
「喋らないでえ」
そうか、耳が弱いんだな。顔赤いし動揺を表すように羽耳が揺れてる。
心臓の鼓動が伝わりそうで怖い、家事が全然進まないし。めっちゃ気まずくね!?
「…………」
ちょっと距離を取ってスポンジを泡立てる。唐揚げでギットギトの皿はキュッキュという音を奏でる。
「手伝おうって思っただけだからな?」
「だよね」
「手が止まってるぞ」
ヤタガラスは小さくため息をついた、こんなに皿があるとだるいもんな。
「寒いな〜」
「水は冷たいから仕方ないぞ。手荒れが心配ならハンドクリーム買ってあげるぜ」
「そうじゃなくて」
ヤタガラスの手がチラチラ動く。
「……? はっきり言えって」
「待つからいいもん」
女子ってよくわからんわ、手を繋いで温めて欲しいなら言えよ。まあ、焦らして遊ぶんだけどな!
『お風呂あーがり!』
「次はマーナさんですよー」
お、スラ達はもう上がったんだな。相変わらずシャツとパンツだけってガード薄くてエロいです。
「行ってこいよ」
「いいの?」
「狭いから1人の方がやりやすいんだよ」
「…………」
相変わらずハート脆いな! プイっとそっぽ向きやがった!
「ヤタガラスはどうするんだい? 僕達行くよ」
「待ってー」
3人はスタスタと風呂場に消えていく。俺は見送りながら洗い物を終わらせた。
女子の風呂って案外愚痴ってそうなんだよな。
「りゅうき〜」
「なんだよ」
スラは俺の隣にストンっと座る。ソファーも替え時なのかな。
「明日はお出かけしたい〜」
「そうだな」
「邪魔者出てきたら速攻で消しましょう!」
本気で消しそうで怖いんだけど。
暫くカップルを見てると、湯気を昇らせた3人が出てきた。マーナとケルベロスはちゃんと俺のタンスからジャージ着てるな、言ってないけどええぞ。
「だが、お前はダメだ」
「にゅ?」
「お前だよ!」
なーんで、ヤタガラスはスラみたいにパンツと……もっと酷いな、タンクトップかよ。
「ちゅーん……」
何言ったんだよ、そこの2人は!
「まあ、風呂行くわ」
「私も!」
服とバスタオルを持って風呂場に向かった、ヤタガラスは服を脱がないんだな。
「流石に全裸でこんなの見たら興奮するな……深い意味は無いけど」
「そっか」
どう答えたらいいんだよ。
風呂椅子に座って、髪を洗ってくれる。流石に丁寧だった。
「ありがとな」
最高だな、それから流れる様に体も洗ってくれた。2人が吹き込んだのだろうか。
「じゃあ、このおち……」
「ダメだからな?」
「知ってるよ、悲しいなー」
もう何が欲求不満なの? 芽以なの?
風呂上がってみると、みんなカップル見てて、帰るつもりないんだなって思った。
4人はベッドで寝るとかいう話が聞こえる。俺はソファーで寝るんだろ……?
「うちはお兄ちゃんと寝る!」
どうやら俺は、ケルベロスを抱き枕にしてソファーで寝ないといけないらしいです。
ボロアパートに、芽以とウロボロスが居た。
「おかしいな、帰ってこねえ」
「今日はシチュー……」
「あぁ、感謝する」
ウロボロスはホクホクの人参を口にする。
「いつ解放、してくれますか?」
「……その手があるな。いいぞ、解放しよう」
芽以の手を握り、言葉を口にする。
『解放するからバルデスを殺してこい』
「はい……」
一般人である芽以が、ウロボロスの洗脳に抗えるはずがなかった。表情は人形の様にポーカーフェイス。
「ペンダントを掛けとけ、マーナの能力が多少使える」
「分かりました」
本来なら使えるはずがない闇の扉を開いて、部屋から消える。
「やっぱシチューうめえな」