この世界がおかしいとスライムだけが知っている   作:ec

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32話

- 終わった変化 -

 

 飯食って、会話して……午後の5時!? 割と時間潰れちゃったな、明日か。

 

「イム、お風呂行こっ!」

 

「スラと一緒に入ろ……」

 

「ヤタガラスは来たらダメ!」

 

「なんで!?」

 

 そんな事より俺がなんで? なんだけどな!

 

「リュウキさん……」

 

「なんだ? スラが手招きしてるぞ」

 

 この家でラフな格好していいのは、スラとイムとヤタガラスと俺だけのはずなんだが。

 

「ぶっ倒れた理由が分かりました」

 

 そう言えば1回倒れて、スラに起こしてもらってた。原因がスライムじゃないのか。

 

「なんだ?」

 

「お姉ちゃんのビンタ」

 

 あの時ビンタの跡付いてないけどな。見え見えの嘘か。

 

「ふーん、行ってこい」

 

 トンっと背中を押してあげた。

 

「一緒に背中流したいな……」

 

「ダメだもん! 見られたらお嫁に行けない!」

 

「ちゅーん……」

 

 絶対女の子の胸狙ってるだろ。

 

「僕と一緒に入ったらいいよね?」

 

「……妥協する」

 

「ケルベロスも一緒に行こっか」

 

「お供させていただきます」

 

 動機が不純すぎる。いや、待て。

 

「なんでお前らも風呂行くんだ!?」

 

「お兄ちゃんとお泊まり」

 

「僕は……秘密」

 

 もうよく分からねえよ。サタン様のおかげでゴーレム築けて嬉しいです。

 

「バルデスも来るかい?」

 

 どう見てもハーレムでした、本当にありがとうございます……。阻止されそうだから遠慮しよっかな。

 

「ならバルデスと入るもんっ!」

 

 気がついたらエプロン姿のヤタガラスがギュッと俺に寄り添う。スペック高いな! いつ着替えたの?

 

「やめとけって、女の子の裸なんてなかなか見られんぞ」

 

「う……」

 

 揺れないで!? ちょっとくらい耐えて!

 

「俺の裸もなかなか見れないけど」

 

 羽耳が横に揺れて悩みを表してる。

 

「2回、入るもん……」

 

 両方取るのか、それでいいのか。

 

「それまで何しよう?」

 

「カップル見よ!」

 

 マーナの考えを一言で解決させるケルベロス凄いな。

 

「最近見れてないからね、録画分もありそうだ。一気に見よう!」

 

「うんうん!」

 

 ソファーに座ってリモコンを巧みに操る。2人の刑事が無差別に銃器を放火しているシーンから始まった。

 

 楽しそうだなー、でもヤタガラスはもっと楽しそうに家事をこなしてるんだよな。

 

「ふ〜ふふーん」

 

 鼻歌交じり、女子力高い! 皿洗うくらいなら、俺も手伝えるかも。

 

 ちょっと歩み寄ってみた。

 

「うおっ」

 

 ちょっと躓いてラッキーラブコメみたいになってしまった。ヤタガラスの肩に肩で触れ、俺の息が耳元に掛りそうなくらい。

 

「あ、ごめ……」

 

「喋らないでえ」

 

 そうか、耳が弱いんだな。顔赤いし動揺を表すように羽耳が揺れてる。

 

 心臓の鼓動が伝わりそうで怖い、家事が全然進まないし。めっちゃ気まずくね!?

 

「…………」

 

 ちょっと距離を取ってスポンジを泡立てる。唐揚げでギットギトの皿はキュッキュという音を奏でる。

 

「手伝おうって思っただけだからな?」

 

「だよね」

 

「手が止まってるぞ」

 

 ヤタガラスは小さくため息をついた、こんなに皿があるとだるいもんな。

 

「寒いな〜」

 

「水は冷たいから仕方ないぞ。手荒れが心配ならハンドクリーム買ってあげるぜ」

 

「そうじゃなくて」

 

 ヤタガラスの手がチラチラ動く。

 

「……? はっきり言えって」

 

「待つからいいもん」

 

 女子ってよくわからんわ、手を繋いで温めて欲しいなら言えよ。まあ、焦らして遊ぶんだけどな!

 

『お風呂あーがり!』

 

「次はマーナさんですよー」

 

 お、スラ達はもう上がったんだな。相変わらずシャツとパンツだけってガード薄くてエロいです。

 

「行ってこいよ」

 

「いいの?」

 

「狭いから1人の方がやりやすいんだよ」

 

「…………」

 

 相変わらずハート脆いな! プイっとそっぽ向きやがった!

 

「ヤタガラスはどうするんだい? 僕達行くよ」

 

「待ってー」

 

 3人はスタスタと風呂場に消えていく。俺は見送りながら洗い物を終わらせた。

 

 女子の風呂って案外愚痴ってそうなんだよな。

 

「りゅうき〜」

 

「なんだよ」

 

 スラは俺の隣にストンっと座る。ソファーも替え時なのかな。

 

「明日はお出かけしたい〜」

 

「そうだな」

 

「邪魔者出てきたら速攻で消しましょう!」

 

 本気で消しそうで怖いんだけど。

 

 暫くカップルを見てると、湯気を昇らせた3人が出てきた。マーナとケルベロスはちゃんと俺のタンスからジャージ着てるな、言ってないけどええぞ。

 

「だが、お前はダメだ」

 

「にゅ?」

 

「お前だよ!」

 

 なーんで、ヤタガラスはスラみたいにパンツと……もっと酷いな、タンクトップかよ。

 

「ちゅーん……」

 

 何言ったんだよ、そこの2人は!

 

「まあ、風呂行くわ」

 

「私も!」

 

 服とバスタオルを持って風呂場に向かった、ヤタガラスは服を脱がないんだな。

 

「流石に全裸でこんなの見たら興奮するな……深い意味は無いけど」

 

「そっか」

 

 どう答えたらいいんだよ。

 

 風呂椅子に座って、髪を洗ってくれる。流石に丁寧だった。

 

「ありがとな」

 

 最高だな、それから流れる様に体も洗ってくれた。2人が吹き込んだのだろうか。

 

「じゃあ、このおち……」

 

「ダメだからな?」

 

「知ってるよ、悲しいなー」

 

 もう何が欲求不満なの? 芽以なの?

 

 風呂上がってみると、みんなカップル見てて、帰るつもりないんだなって思った。

 

 4人はベッドで寝るとかいう話が聞こえる。俺はソファーで寝るんだろ……?

 

「うちはお兄ちゃんと寝る!」

 

 どうやら俺は、ケルベロスを抱き枕にしてソファーで寝ないといけないらしいです。

 

 

 

 

 ボロアパートに、芽以とウロボロスが居た。

 

「おかしいな、帰ってこねえ」

 

「今日はシチュー……」

 

「あぁ、感謝する」

 

 ウロボロスはホクホクの人参を口にする。

 

「いつ解放、してくれますか?」

 

「……その手があるな。いいぞ、解放しよう」

 

 芽以の手を握り、言葉を口にする。

 

『解放するからバルデスを殺してこい』

 

「はい……」

 

 一般人である芽以が、ウロボロスの洗脳に抗えるはずがなかった。表情は人形の様にポーカーフェイス。

 

「ペンダントを掛けとけ、マーナの能力が多少使える」

 

「分かりました」

 

 本来なら使えるはずがない闇の扉を開いて、部屋から消える。

 

「やっぱシチューうめえな」

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