- 寝顔っていうのは -
ベッドはいいよな、女の子に下敷きにされて。ハーレムかよ。
「お兄ちゃん! 寝よー?」
女の子と一緒にソファーで寝るってどういう考え?
「よしよし……」
俺がソファーに寝転がると、その上にケルベロスがゴローンっと。
「本当に寝れるのかよ」
「寝ないと疲れる!」
抱きしめてみるとめっちゃ気持ちいいので寝れそうです。
「お兄ちゃんあったかーい」
「耳元で囁くのやめてくれる?」
嬉しいのか知らないけど、頭の耳がぴょこぴょこしててウザい!
「妹ってこんなに可愛いんだな」
「……可愛いから大事にしてね」
大事にしようって決めたわ!
めっちゃ眠った感じがする、胸にはケルベロスがまだ寝てるけど。やっぱ耳ウザいけど。
「起きてくれ」
頭の獣耳を引っ張って起こす。めっちゃ伸びるな、いい耳だ。
「すや……」
起きねー。寝息立ててるけど起きねえな!
仕方なくケルベロスを下にして立ち上がる。右手がケルベロスに握られていた。
「離せよな」
手を引くと、全然離れない。起きてるんじゃね?
「お兄ちゃん……」
手が離れた時、ケルベロスは悲しそうにそう呟いた。夢でも見てるのか。
俺は、ケルベロスの手を握った。
「えへ」
なんだこの妹、可愛いんだけど。しかも動けねえし!
「りゅうきが早起きしてる〜」
スラがチラッと出てきた。救世主かな?
「たまにはな」
なんで起きたのか俺にも分からない。ケルベロスのせいだと仮定する。
「みんなにキスしてるのずるい」
唐突だな。
「なんだよ」
スライムでも嫉妬するのか!? 何気にしたことないけどな。
「私にもして欲しい!」
「ほっぺでいい?」
「口がいいもん」
なんでだよー、理不尽に殴られるやんけ!
「わかったわかった、今度な」
「いつー?」
「2人きりの時で」
「約束だよ!」
そんで、全員が起きた。良く見たら、7時だ。
「泊まっちゃったね、ウロボロスに怒られそうだ」
「たまにはね!」
んで、ケルベロスは俺をじーっと見てる。
「なんだよ」
「撫でて!」
にぱーって笑顔で言われたら、そりゃ撫でますとも。嬉しそうに耳がピョコピョコしてんな。
「私も撫でてよ!」
ヤタガラスが期待の眼差しで俺に声を掛ける。なんかな、気分じゃない。
「やだ」
「え……うぅ」
軽く落ち込んでる、そんなことよりマーナが気になる。
「マーナは
「失礼だね、僕にもあるよ? 尻尾もある」
黒い髪に紛れ込んでいた若干色違いの耳が、ピョッ! っと立ち上がり、尻尾がケルベロスみたいにもさっと出てきた。
「耳すげぇ!」
「触るのはダメだよ」
「尻尾は?」
「ダメ」
仕方なくケルベロスで妥協する事にした。
「本当はうちも嫌なんだよ!?」
「よしよし」
「まあいいや……」
そんな感じで軽く時間を潰した。昨日みたいに準備して、玄関に集合した時。
「ようやく10時か、邪魔者は居ないだろ」
それぞれカジュアルな服を着ていた、地味に漁ってるんだな。
「ごー!」
俺含めて6人が外に出る。
『龍樹』
聞いたことのある声。
「まさか」
目の前に立っていたのは、右腕を黒い篭手で包んだ芽以。様子が明らかに違う。
「明日に延期かもな」
俺はタックルで芽以っぽい人を吹き飛ばす。
「マーナは知らないのか?」
「ウロボロスがなにかしたようだね」
派手にやり合うとここが崩れちまう。そもそも約束と違うじゃねえか。
「芽以お姉ちゃん……」
『俺が元に戻すから、お前らはどっか行ってろ』
お財布は俺じゃなくてヤタガラスだ、5人なら良いだろう。
「分かった、明日は一緒に行こうね!」
ヤタガラスは黒い空間を作ると3人を引き連れてどこかに消えた。
『残響で吹き飛ばしてやるから来いよ』
「…………」
『バースト・カラミティ』
俺は、何も無い空間から白い鉄パイプを引き抜く。サタンで落とせるはずだ。
『自己拘束魔法陣』
応えるように、芽以はマーナのように何も無い空間から羽の剣を召喚した、透明で無理矢理召喚した様な。
『自己強化魔法陣』
羽は刀の刃に姿を変える。流れるような手つき。芽以は動かない。
「まさか、俺を待ってるのか?」
……コクリ。
確かに頷いた、応えるしかないよな。
『ヘルノイズ』
これで対等だと言いたいのか。
「俺が勝ったら肉じゃが作れよな……」
俺は、芽以に立ち向かうと見せかけて走り抜ける。
「ッ!?」
階段を降りて、ラーオンの駐車場まで。
「あの時みたいに追いかけっこしようぜ」
あの時の結末は、なんだっけな。もう覚えてねえわ。
「まって」
「待たねえよ」
適当に煽りながら駐車場に着いた。
「さあやるか」
2つの鉄パイプを合わせて、白と黒の鉄パイプを作る。仮面をつけた瞬間地面がぐらつく。
『貴様に、待ち時間は……残されて……いない』
俺じゃないサタンがそう言い放った。本当に残されてないから鉄パイプをかなぐり捨てて芽以に飛び込む。
『【模範解放】ゲンゲツ』
「それは、させない」
透明な仮面を手で弾き飛ばし、芽以に抱きつく。でも、存在しなかった様に手は空を掻いてしまう。
「え?」
――後ろには、芽以が立って居た。
無表情でクレイモアを担いで、振り下ろしそうな状態。動かないと行けないのに、思考が真っ白になっていく。
「芽以、良くやった。バルデスは俺の物となる」
「……」
この声は聞いたことがない、誰だ? 体動けよ、硬直して動かないとかナンセンスすぎるだろ?
「100倍の状態で捕まえれるとは思っていなかった、誰も俺を倒せないな」
芽以は淡々とした口調で「良かったですね」と呟く。
視界に映る白い学ランの様な人物。あぁ、ウロボロスの洗脳か? 元配下さんの話聞いたらよかった。
「これで魔王も……」
『それはないと思うよ〜?』
超聞いた事のある声の後、俺は意識を手放した。