- も -
シャワーの水が俺の体を駆け巡って……いた。そんな気持ちいい時間も終わって、ラーメン食べてる。
「カップラーメン飽きない?」
「あきないよー」
「まだ大丈夫です」
俺ははっきり言って飽きた。料理出来るようにならないかな!?
芽以? なんか嫌だ。
「スラはなんでも出来るんだろ」
「うん」
「ガイルっていう人を呼び出してくれないか」
「しょーかん出来るよ」
凄すぎる、どうして出来るんだ。お前ファンタジーすぎだろ。
『ゲートレイント』
スラは誇らしげに指を鳴らすと、白い門が現れる。
「おお……」
「ふっ」
「ありがとな!」
門が開くと、見た事のある人物が居た。
「え、ここどこ」
「ガイルだよね?」
「そうだよ、えっまさか?」
「バルデスだよ」
ガイルは驚いたが、スラとイムも少し驚いていた。まあ、そんな事はいいんだ。
俺はカップラーメンを放棄して話を始める。
「どうして、俺はスキルを使えるんだ?」
「え、使えてんの!?」
「使えるよ。ほら、右手のここに、カラミティの紋章あるだろ」
「早速封印……」
「それはダメだ」
封印されたら、ヤタガラス達に殺される。しかも、カッコイイし。
「僕にもわからない、スキルが使えるってことは……まさか!」
「なんだ?」
「フレンチも発動してる?」
「殺すぞ」
「だよね、良かった」
心配するのそこかよ!
「異世界からこっちに来る時、スキルが残るとしたらそれはヤバイ」
ガイルの顔が険しくなる。
「なんでだ」
「魔物や、魔王、英雄がこの世界に来たらどうなる?」
「そりゃスキルで無双……ヤバくね?」
「現実世界はスキルがない世界、ある世界と干渉したら崩壊するよ。僕じゃもう、どうしようもできない」
魔物が間違って来たら、大問題になるだろうな。スライムならともかく、ドラゴンレベルになったら……。
「意図的に来る奴も居る」
「意図的に来てる奴いたよ」
「誰だ?」
「魔王護衛創破四天王居ただろ? それのヤタガラス。他にも居るっぽい」
アイツを倒した方法は、魔力を封じ込めた魔力を使った。よくわからないと思うが、魔力の凄い魔力。
「倒せたか!?」
「俺は無理だったが、このスライムが倒してくれたよ」
後ろの黒い髪で、ワンピを愛用してる女の子を指差す。
「まて、なんでスライムなんかが存在してて、擬人化してるんだ?」
「俺にも分からない、ガイルを呼び出したのもコイツ」
「なんかおかしい……僕はコーナーで差をつけるタイプだから、購買の焼きそばパン買ってくるね。そう言えば、電話したんだけど良くも出なかったね」
「えっ」
「近況報告聞こうとしたんだけど……それじゃ」
門は閉まると共に、姿を消した。電話かけてくる神って一体。
電話に出たらいつでも話せるからいいよな。これからの予定どうしよ。
……芽以は来るのかな、電話してみるか。
いっつも芽以からだから、喜んでくれるといいな。そう思って掛けてみる。
「リュウキからだなんて、嬉しいな〜」
なんか出てきた。どうなってるんだ? ヤタガラスが持ってるんじゃ?
「スマホ奪われてないのか?」
「物騒だね、そんな事無いよ」
「夜とかどうだった?」
「やけに心配してくれるの……嬉しいなぁ」
本物か偽物か分からない。ただ、電話越しにうっとりしてるのは分かった。
「今どこ?」
「ラーオンだよ?」
近いな、本物か確かめるついでに行ってみるか。こんな場所じゃ偽物も大胆に出来ないだろ。
「なあ、もう買い物終わるのか?」
「まだ来たばっかり〜」
女子には優しくしないとな!
「丁度俺も行くんだ、もし良かったら」
「スラリンは?」
「大丈夫だよ」
「待ってる……ね」
嬉しそうだし、案外いいと思う。通話を切って早速向かう事にしよう。
「スラ、俺は出かけるぞ」
財布だけでいいか。着替えは適当に済ませておく。
「分かった〜」
「リュウキさん行ってらっしゃいです」
「イムもありがと、行ってくるぜ」
ヤタガラスを追い払えるくらいなら、絶対大丈夫だ。
俺はドアを開けて外に出た。
マンションを降りても全然変わらないし、ラーオンに来ても特に無かった。後は芽以を探すだけなのだが……。
『見つけた』
声のする後ろを向くと、金髪のツインテール少女が。
「は? 悪いが俺は急いでるんだ、迷子は他を当たってくれ」
「違うし! うちは四天王!」
こんな四天王いたっけ。だが、ラーオンが罠だとすると、芽以も罠か。
「何の用だ」
「バルデストロンには死んでもらうわ、魔王を
少女の体から、電気が走る。おいおい、ここはスーパーだぞ!
しかもお前誰だよ!
「ここはやめろ。最悪、俺が出禁になってしまう」
「そんなの関係ないわ、ヤタガラスみたいな世界は作れないし」
俺は口を挟む。
「オマケにちっぱいだし」
「それは関係ないし!」
ヤタガラスと同じ服装って事は、四天王だろうなぁ。
ピョコっと狼的な耳付いてるし。ケモミミか!
「俺に死んで欲しいのか」
「当然」
「名前は?」
「ケルベロス……」
やっぱり犬系? 尻尾あるのかな?
駆け寄って無理矢理手を繋ぎつつ、背中を見てみる。
「ちょ、何するの!」
尻尾あった。不快感を表すように揺れてた、可愛い。
「戦ってやるから、手伝えよ」
「嫌だ! うちはめんどい! 早く殺して終わりしたいのおお!」
「ちょ、店員に聞かれる!」
「手伝い次第で叫ぶわよ」
手伝いは、単純。悪い事が出来ないように拘束という意味も兼ねてるのだが、俺の妹として振舞ってほしい。
そう伝えると。
「嫌に決まってる」
当然そうだよな。俺がケルベロスだったら拒否だ。手も解かれたし。
「頼むって」
「なんで、敵の妹にならないと行けないの!」
仕方ない、最後の切り札だ。
「なんかお菓子買ってあげる」
「さあ、芽以とかいう人の所に行くわよ!」
――チョロすぎて、四天王なのか聞きたくなる。
「バルデストロン、どんな作戦なの?」
芽以の所に向かいつつ、作戦を立てた。
「俺の事は、お兄ちゃんか、兄とかその辺にしてくれ」
「お、お兄ちゃんは……約束守るのかなって……」
誰がツンデレ系妹って?
「守るけど、芽以の事は何も知らないのか?」
「芽以……? 四天王ネットワークでは全然聞いてない」
コイツ本当は省かれてるんじゃ。しかも、そんなネットワークあったのかよ!
「お兄ちゃんの言う事守るから、お菓子は約束だよ?」
「そうだね、うんうん」
無駄に乗り気なケルベロスは性格も犬なのかもしれない。
作戦は単純、妹っぽく振舞え。これだけだな。
「お兄ちゃん! 今日はお菓子安いよ、買わないの?」
『まだ始まってないよ、もしかして、悪くないとか思ってない?』
「そんな訳ないから! お兄ちゃんの事好きじゃないから!」
ツンデレは辛いぜ、主に可愛さで。
「さ、もう手を繋いでおこう」
「お兄ちゃんの手……」
何故か、ケルベロスは強く握っていた。