この世界がおかしいとスライムだけが知っている   作:ec

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15話

- も -

 

 シャワーの水が俺の体を駆け巡って……いた。そんな気持ちいい時間も終わって、ラーメン食べてる。

 

「カップラーメン飽きない?」

 

「あきないよー」

 

「まだ大丈夫です」

 

 俺ははっきり言って飽きた。料理出来るようにならないかな!?

 

 芽以? なんか嫌だ。

 

「スラはなんでも出来るんだろ」

 

「うん」

 

「ガイルっていう人を呼び出してくれないか」

 

「しょーかん出来るよ」

 

 凄すぎる、どうして出来るんだ。お前ファンタジーすぎだろ。

 

 

『ゲートレイント』

 

 

 スラは誇らしげに指を鳴らすと、白い門が現れる。

 

「おお……」

 

「ふっ」

 

「ありがとな!」

 

 門が開くと、見た事のある人物が居た。

 

「え、ここどこ」

 

「ガイルだよね?」

 

「そうだよ、えっまさか?」

 

「バルデスだよ」

 

 ガイルは驚いたが、スラとイムも少し驚いていた。まあ、そんな事はいいんだ。

 

 俺はカップラーメンを放棄して話を始める。

 

「どうして、俺はスキルを使えるんだ?」

 

「え、使えてんの!?」

 

「使えるよ。ほら、右手のここに、カラミティの紋章あるだろ」

 

「早速封印……」

 

「それはダメだ」

 

 封印されたら、ヤタガラス達に殺される。しかも、カッコイイし。

 

「僕にもわからない、スキルが使えるってことは……まさか!」

 

「なんだ?」

 

「フレンチも発動してる?」

 

「殺すぞ」

 

「だよね、良かった」

 

 心配するのそこかよ!

 

「異世界からこっちに来る時、スキルが残るとしたらそれはヤバイ」

 

 ガイルの顔が険しくなる。

 

「なんでだ」

 

「魔物や、魔王、英雄がこの世界に来たらどうなる?」

 

「そりゃスキルで無双……ヤバくね?」

 

「現実世界はスキルがない世界、ある世界と干渉したら崩壊するよ。僕じゃもう、どうしようもできない」

 

 魔物が間違って来たら、大問題になるだろうな。スライムならともかく、ドラゴンレベルになったら……。

 

「意図的に来る奴も居る」

 

「意図的に来てる奴いたよ」

 

「誰だ?」

 

「魔王護衛創破四天王居ただろ? それのヤタガラス。他にも居るっぽい」

 

 アイツを倒した方法は、魔力を封じ込めた魔力を使った。よくわからないと思うが、魔力の凄い魔力。

 

「倒せたか!?」

 

「俺は無理だったが、このスライムが倒してくれたよ」

 

 後ろの黒い髪で、ワンピを愛用してる女の子を指差す。

 

「まて、なんでスライムなんかが存在してて、擬人化してるんだ?」

 

「俺にも分からない、ガイルを呼び出したのもコイツ」

 

「なんかおかしい……僕はコーナーで差をつけるタイプだから、購買の焼きそばパン買ってくるね。そう言えば、電話したんだけど良くも出なかったね」

 

「えっ」

 

「近況報告聞こうとしたんだけど……それじゃ」

 

 門は閉まると共に、姿を消した。電話かけてくる神って一体。

 

 電話に出たらいつでも話せるからいいよな。これからの予定どうしよ。

 

 ……芽以は来るのかな、電話してみるか。

 

 いっつも芽以からだから、喜んでくれるといいな。そう思って掛けてみる。

 

「リュウキからだなんて、嬉しいな〜」

 

 なんか出てきた。どうなってるんだ? ヤタガラスが持ってるんじゃ?

 

「スマホ奪われてないのか?」

 

「物騒だね、そんな事無いよ」

 

「夜とかどうだった?」

 

「やけに心配してくれるの……嬉しいなぁ」

 

 本物か偽物か分からない。ただ、電話越しにうっとりしてるのは分かった。

 

「今どこ?」

 

「ラーオンだよ?」

 

 近いな、本物か確かめるついでに行ってみるか。こんな場所じゃ偽物も大胆に出来ないだろ。

 

「なあ、もう買い物終わるのか?」

 

「まだ来たばっかり〜」

 

 女子には優しくしないとな!

 

「丁度俺も行くんだ、もし良かったら」

 

「スラリンは?」

 

「大丈夫だよ」

 

「待ってる……ね」

 

 嬉しそうだし、案外いいと思う。通話を切って早速向かう事にしよう。

 

「スラ、俺は出かけるぞ」

 

 財布だけでいいか。着替えは適当に済ませておく。

 

「分かった〜」

 

「リュウキさん行ってらっしゃいです」

 

「イムもありがと、行ってくるぜ」

 

 ヤタガラスを追い払えるくらいなら、絶対大丈夫だ。

 

 俺はドアを開けて外に出た。

 

 マンションを降りても全然変わらないし、ラーオンに来ても特に無かった。後は芽以を探すだけなのだが……。

 

『見つけた』

 

 声のする後ろを向くと、金髪のツインテール少女が。

 

「は? 悪いが俺は急いでるんだ、迷子は他を当たってくれ」

 

「違うし! うちは四天王!」

 

 こんな四天王いたっけ。だが、ラーオンが罠だとすると、芽以も罠か。

 

「何の用だ」

 

「バルデストロンには死んでもらうわ、魔王を(あや)めた罪は重い」

 

 少女の体から、電気が走る。おいおい、ここはスーパーだぞ!

 

 しかもお前誰だよ!

 

「ここはやめろ。最悪、俺が出禁になってしまう」

 

「そんなの関係ないわ、ヤタガラスみたいな世界は作れないし」

 

 俺は口を挟む。

 

「オマケにちっぱいだし」

 

「それは関係ないし!」

 

 ヤタガラスと同じ服装って事は、四天王だろうなぁ。

 

 ピョコっと狼的な耳付いてるし。ケモミミか!

 

「俺に死んで欲しいのか」

 

「当然」

 

「名前は?」

 

「ケルベロス……」

 

 やっぱり犬系? 尻尾あるのかな?

 

 駆け寄って無理矢理手を繋ぎつつ、背中を見てみる。

 

「ちょ、何するの!」

 

 尻尾あった。不快感を表すように揺れてた、可愛い。

 

「戦ってやるから、手伝えよ」

 

「嫌だ! うちはめんどい! 早く殺して終わりしたいのおお!」

 

「ちょ、店員に聞かれる!」

 

「手伝い次第で叫ぶわよ」

 

 手伝いは、単純。悪い事が出来ないように拘束という意味も兼ねてるのだが、俺の妹として振舞ってほしい。

 

 そう伝えると。

 

「嫌に決まってる」

 

 当然そうだよな。俺がケルベロスだったら拒否だ。手も解かれたし。

 

「頼むって」

 

「なんで、敵の妹にならないと行けないの!」

 

 仕方ない、最後の切り札だ。

 

「なんかお菓子買ってあげる」

 

「さあ、芽以とかいう人の所に行くわよ!」

 

 ――チョロすぎて、四天王なのか聞きたくなる。

 

「バルデストロン、どんな作戦なの?」

 

 芽以の所に向かいつつ、作戦を立てた。

 

「俺の事は、お兄ちゃんか、兄とかその辺にしてくれ」

 

「お、お兄ちゃんは……約束守るのかなって……」

 

 誰がツンデレ系妹って?

 

「守るけど、芽以の事は何も知らないのか?」

 

「芽以……? 四天王ネットワークでは全然聞いてない」

 

 コイツ本当は省かれてるんじゃ。しかも、そんなネットワークあったのかよ!

 

「お兄ちゃんの言う事守るから、お菓子は約束だよ?」

 

「そうだね、うんうん」

 

 無駄に乗り気なケルベロスは性格も犬なのかもしれない。

 

 作戦は単純、妹っぽく振舞え。これだけだな。

 

「お兄ちゃん! 今日はお菓子安いよ、買わないの?」

 

『まだ始まってないよ、もしかして、悪くないとか思ってない?』

 

「そんな訳ないから! お兄ちゃんの事好きじゃないから!」

 

 ツンデレは辛いぜ、主に可愛さで。

 

「さ、もう手を繋いでおこう」

 

「お兄ちゃんの手……」

 

 何故か、ケルベロスは強く握っていた。

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