この世界がおかしいとスライムだけが知っている   作:ec

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16話

- 敵と共同作業 -

 

 手を繋いだ俺達は、芽以と予想通り遭遇。場所がスライム専用玩具コーナーだったのは予想外だけどな!

 

「龍樹、その子誰……」

 

 当然聞かれるが、身長は俺より下のケルベロスが妹に見えるだろう。多分。

 

「ああ、こいつは――」

 

 言おうとした時、ケルベロスに二の腕を抱きつかれ。

 

「おにーちゃんっ! このスライム欲しいな〜……」

 

 上目遣いで耳をぴょこぴょこしながら、聞いてきた。これは卑怯過ぎないか?

 

「俺の妹だよ。いいぞ、買おうな」

 

「お兄ちゃんだいすきー」

 

「何回も言ってたら効果薄れるぞ……って」

 

 芽以が凍りついていた、俺も適応力には驚いてる。尻尾はユッサユサしてるけどバレてないからセーフだ。

 

「妹居たんだ……」

 

「うむ、黙ってて悪いな。血は繋がってないけど、時々こうやってる」

 

「でも、中学の時とか居なかったよね」

 

 聞かれる事は、想定済み。隠す事はスライムで学んだんだ!

 

「そりゃ、家に居ないからだよ。時々来るってだけで、今日もこの後帰っちまう」

 

「そうなの?」

 

「だから甘えてるんじゃないのか? もしかして、コイツに思春期来てないだけ? だから胸も……」

 

『小さい言うなー!』

 

 その後肩ポンされて、電気流されたけど、それくらいだった。芽以と話しつつ、ケルベロスと仲良く寄り添う……。

 

 俺ってクズで幸せ者じゃね?

 

「芽以さーん、今日の献立は〜?」

 

「肉じゃが辺りかな」

 

「いいなぁ、うちも食べたい」

 

「あたしの家、来る?」

 

 芽以自体は本物っぽい。ケルベロス大丈夫か! 俺を殺す予定はないのか!

 

「でもお兄ちゃんが」

 

「行ってこいよ」

 

「えっ」

 

「食べたいんだろ? 迎えに行くから、な?」

 

 放置でも良かったんだが、迷子になりそうなので、お迎えをする前提で提案してみた。

 

「龍樹がいいなら……」

 

 芽以も嫌じゃないらしい、俺から視線逸らしてるけどな!

 

「お兄ちゃんは来ないの?」

 

「無理なんだよな」

 

 スラとイムが居るんだよ!

 

「芽以さんよろしくおねがいします!」

 

「そ、そんなに固くならないで」

 

 2人は仲良く具材を選び、微笑ましく思った。まるで、姉妹だ。

 

「牛肉〜」

 

「人参もね!」

 

「こんにゃくもいれたいなー」

 

 ずっとこんな感じ、俺は料理しないから付いてきてるだけみたいなもん。

 

 

 大体が終わって、俺はグミとケルベロス用のお菓子、スライムを買った。

 

 芽以達はなんか、どっさり買ってたな。ラーオンを出た時、心配性の俺は念を押す事に。

 

「妹を頼むぜ、終わったら電話してくれ」

 

「分かった、またね」

 

「お兄ちゃん、お迎えしてよね!」

 

 妹キャラ染み付いてね? 大丈夫?

 

 仲良くビニール袋を担いだ2人に手を振りながら見送る事にした。当然このまま帰るのだが……。

 

 

 帰り道、人は居なくて、1人の女とすれ違った。

 

「……チッ」

 

 追撃の舌打ち。しかも、前殺意出してきた女やん!よく見たら、黒くて短い髪だ。

 

 今の俺はスキルが使える、四天王なら勝負決めたいな。

 

「前もそんなことしてたよな?」

 

「……」

 

 振り向いて俺は言い放つ。相手は振り返らずに歩いていた。

 

「答えろやぁ!」

 

 肩をガッっと掴んで阻止!

 

「ッ!」

 

 思いっきり振り払われた。途端に服が、セーターからヤタガラスのような服に変わる。

 

 間違いない、四天王。

 

「やっぱ四天王か……俺になんの恨みがある」

 

 ピンク色の瞳で睨まれるが気にしない。黒い羽のような耳がピョコっと現れ、バサバサと羽を撒き散らす。

 

「……」

 

「服でわかるし、耳でわかるんだが」

 

 これで3人目だぞ? 

 

「引っかかったね」

 

 俺が考える間もなく、強制的に右手が組まされる。指と指で強く絡まり、離れない!

 

「まさか! クソ!」

 

『クレイジーワールド』

 

 辺りがカチカチに固まり、写真の様に静かになる。

 

 俺はクレイジーワールドに引っかかってしまった。体が鉛のようで、弱体化を強く食らってる。

 

 

 気がついたら、ヤタガラスは離れていてカツラを脱ぎ捨てていた。

 

「次は殺す」

 

 また斧みたいな槍を構えてる、本当に死ぬぞ! 次は甘く行かないのは危な過ぎる。

 

「俺は死なないんで」

 

 魔力を封じ込めた魔力が欲しいな。当然手に入らないんだろうが。

 

「あの時トドメを……」

 

 次は本気で行かないといけない。

 

 俺は何もない空間に手を入れる。

 

『ヘルノイズ』

 

 真っ黒な剣が引き抜かれ、俺の手元で鈍く震えた。カラミティは次の段階に行くまで省いていい。

 

 40%の5倍がかかったが、相手次第では本気で負ける。

 

「そんなスキル! 弱体化で……」

 

 次の段階は行けなくもない。ただ、何かありそうなんだ。

 

 ヤタガラスは手をかざし、俺に光を投げつける。喰らわないように黒剣で打ち消していく。

 

「簡単だな」

 

 隙を見つけた俺は、地面を強く蹴って一気に詰め寄り斬撃を浴びせる!

 

 明らかにヒットしたヤタガラスの服は裂けることすらなく、俺の剣が打ち砕かれた。

 

「なっ!」

 

「忘れちゃったんだ」

 

 俺の記憶にはない、なんていう魔法なんだ?

 

「どういう……」

 

「言ったら負けるから教えない」

 

 唖然としている間に、右フックをくらい吹き飛ぶ。

 

 あの魔法はなんなんだ! どんな強化をした?

 

「絶対に仕留める!」

 

 起きた俺の前に現れたヤタガラスを黒剣で咄嗟に弾くと、鍔迫り合いに持ち込む。

 

「最終出さないの?」

 

「出さなくても勝てると思うんだがな」

 

 武器が軋んで弾かれる音が響く。

 

「こんなん止めたいぜ」

 

 強く黒剣を槍に打ち付ける、ヤタガラスは苦虫を噛み潰したように顔を顰めた。

 

「私を殺さないとこの空間は終わらないね」

 

 悲しい現実だよな!

 

 武器の打ち合いで時間を潰せるのもそんなにはない。やっぱり、強制的にフレンチして理不尽を発動させるしかないだろう。

 

「このままじゃ終わらない」

 

 ヤタガラスも痺れを切らしてる。俺を回し蹴りで吹き飛ばすくらいにな!

 

 吹き飛んでも、なんとか受け身を取ってダメージを凌ぐ。足首捻ったから、出来ないことはしたらダメなんだな。

 

「痛っ」

 

『イモータルスレイヴ』

 

 相手は俺を全力で殺すらしい。

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