- 敵と共同作業 -
手を繋いだ俺達は、芽以と予想通り遭遇。場所がスライム専用玩具コーナーだったのは予想外だけどな!
「龍樹、その子誰……」
当然聞かれるが、身長は俺より下のケルベロスが妹に見えるだろう。多分。
「ああ、こいつは――」
言おうとした時、ケルベロスに二の腕を抱きつかれ。
「おにーちゃんっ! このスライム欲しいな〜……」
上目遣いで耳をぴょこぴょこしながら、聞いてきた。これは卑怯過ぎないか?
「俺の妹だよ。いいぞ、買おうな」
「お兄ちゃんだいすきー」
「何回も言ってたら効果薄れるぞ……って」
芽以が凍りついていた、俺も適応力には驚いてる。尻尾はユッサユサしてるけどバレてないからセーフだ。
「妹居たんだ……」
「うむ、黙ってて悪いな。血は繋がってないけど、時々こうやってる」
「でも、中学の時とか居なかったよね」
聞かれる事は、想定済み。隠す事はスライムで学んだんだ!
「そりゃ、家に居ないからだよ。時々来るってだけで、今日もこの後帰っちまう」
「そうなの?」
「だから甘えてるんじゃないのか? もしかして、コイツに思春期来てないだけ? だから胸も……」
『小さい言うなー!』
その後肩ポンされて、電気流されたけど、それくらいだった。芽以と話しつつ、ケルベロスと仲良く寄り添う……。
俺ってクズで幸せ者じゃね?
「芽以さーん、今日の献立は〜?」
「肉じゃが辺りかな」
「いいなぁ、うちも食べたい」
「あたしの家、来る?」
芽以自体は本物っぽい。ケルベロス大丈夫か! 俺を殺す予定はないのか!
「でもお兄ちゃんが」
「行ってこいよ」
「えっ」
「食べたいんだろ? 迎えに行くから、な?」
放置でも良かったんだが、迷子になりそうなので、お迎えをする前提で提案してみた。
「龍樹がいいなら……」
芽以も嫌じゃないらしい、俺から視線逸らしてるけどな!
「お兄ちゃんは来ないの?」
「無理なんだよな」
スラとイムが居るんだよ!
「芽以さんよろしくおねがいします!」
「そ、そんなに固くならないで」
2人は仲良く具材を選び、微笑ましく思った。まるで、姉妹だ。
「牛肉〜」
「人参もね!」
「こんにゃくもいれたいなー」
ずっとこんな感じ、俺は料理しないから付いてきてるだけみたいなもん。
大体が終わって、俺はグミとケルベロス用のお菓子、スライムを買った。
芽以達はなんか、どっさり買ってたな。ラーオンを出た時、心配性の俺は念を押す事に。
「妹を頼むぜ、終わったら電話してくれ」
「分かった、またね」
「お兄ちゃん、お迎えしてよね!」
妹キャラ染み付いてね? 大丈夫?
仲良くビニール袋を担いだ2人に手を振りながら見送る事にした。当然このまま帰るのだが……。
帰り道、人は居なくて、1人の女とすれ違った。
「……チッ」
追撃の舌打ち。しかも、前殺意出してきた女やん!よく見たら、黒くて短い髪だ。
今の俺はスキルが使える、四天王なら勝負決めたいな。
「前もそんなことしてたよな?」
「……」
振り向いて俺は言い放つ。相手は振り返らずに歩いていた。
「答えろやぁ!」
肩をガッっと掴んで阻止!
「ッ!」
思いっきり振り払われた。途端に服が、セーターからヤタガラスのような服に変わる。
間違いない、四天王。
「やっぱ四天王か……俺になんの恨みがある」
ピンク色の瞳で睨まれるが気にしない。黒い羽のような耳がピョコっと現れ、バサバサと羽を撒き散らす。
「……」
「服でわかるし、耳でわかるんだが」
これで3人目だぞ?
「引っかかったね」
俺が考える間もなく、強制的に右手が組まされる。指と指で強く絡まり、離れない!
「まさか! クソ!」
『クレイジーワールド』
辺りがカチカチに固まり、写真の様に静かになる。
俺はクレイジーワールドに引っかかってしまった。体が鉛のようで、弱体化を強く食らってる。
気がついたら、ヤタガラスは離れていてカツラを脱ぎ捨てていた。
「次は殺す」
また斧みたいな槍を構えてる、本当に死ぬぞ! 次は甘く行かないのは危な過ぎる。
「俺は死なないんで」
魔力を封じ込めた魔力が欲しいな。当然手に入らないんだろうが。
「あの時トドメを……」
次は本気で行かないといけない。
俺は何もない空間に手を入れる。
『ヘルノイズ』
真っ黒な剣が引き抜かれ、俺の手元で鈍く震えた。カラミティは次の段階に行くまで省いていい。
40%の5倍がかかったが、相手次第では本気で負ける。
「そんなスキル! 弱体化で……」
次の段階は行けなくもない。ただ、何かありそうなんだ。
ヤタガラスは手をかざし、俺に光を投げつける。喰らわないように黒剣で打ち消していく。
「簡単だな」
隙を見つけた俺は、地面を強く蹴って一気に詰め寄り斬撃を浴びせる!
明らかにヒットしたヤタガラスの服は裂けることすらなく、俺の剣が打ち砕かれた。
「なっ!」
「忘れちゃったんだ」
俺の記憶にはない、なんていう魔法なんだ?
「どういう……」
「言ったら負けるから教えない」
唖然としている間に、右フックをくらい吹き飛ぶ。
あの魔法はなんなんだ! どんな強化をした?
「絶対に仕留める!」
起きた俺の前に現れたヤタガラスを黒剣で咄嗟に弾くと、鍔迫り合いに持ち込む。
「最終出さないの?」
「出さなくても勝てると思うんだがな」
武器が軋んで弾かれる音が響く。
「こんなん止めたいぜ」
強く黒剣を槍に打ち付ける、ヤタガラスは苦虫を噛み潰したように顔を顰めた。
「私を殺さないとこの空間は終わらないね」
悲しい現実だよな!
武器の打ち合いで時間を潰せるのもそんなにはない。やっぱり、強制的にフレンチして理不尽を発動させるしかないだろう。
「このままじゃ終わらない」
ヤタガラスも痺れを切らしてる。俺を回し蹴りで吹き飛ばすくらいにな!
吹き飛んでも、なんとか受け身を取ってダメージを凌ぐ。足首捻ったから、出来ないことはしたらダメなんだな。
「痛っ」
『イモータルスレイヴ』
相手は俺を全力で殺すらしい。