魔法科高校の野生人(仮題) 作:虚弱な溶原性細胞
『昨日深夜、東京にて不審死が発生しました。被害者は杉並区在住の〇〇さん42歳。
昨日午後9時ごろ、〇〇さんの妻から《帰宅するはずの夫が帰って来ない》との通報があり警察が捜索を行ったところ、自宅近くの川辺にて倒れているのを発見されました。
死因は腹部を大きく抉り取られた事による失血死と見られています。
警察は3ヶ月前の新宿、先月の横浜で発生した同様の事件である事を受けて、同一犯による犯行とみて捜査を行っていますが、未だに犯人の目処は立っていないとの事で—』
(...またか)
テレビを消した。
ここ最近、世間は似たような事件を報道している。
それも段々と起こるスピードが速くなっていっている、と彼は感じていた。
(アマゾンなのか...?気になるな...)
第一にあの事件、いや騒動とでも言うべきだろうか。
ともかくアマゾン4000体の脱走を始めとしたアレは遥か昔に彼の祖父達が解決させた。
だが祖父が死んだ2年前から、再びアマゾン達は姿を見せ始めている。まるで祖父の死を起因としているかの様に、だ。
(爺さんが生前に言っていた事は、あながち間違いではなかったのかもしれない...行ってみる価値はある)
彼はテーブルの上に置かれたノートを手に取る。
持ち主の名前は『水澤 悠』。数年前に亡くなった彼の唯一の家族、祖父の名前だ。
ノートを本棚へ仕舞うと冷蔵庫から茹で卵を2つほど取り出し、殻付きのまま頬張る。
殻で口の中がじゃりじゃりして食べにくそうだが、彼は別段気にする事なく口へと運んでいた。
(ごちそうさま...やっぱり食べ足りないな...)
そんな事を思いつつ、彼は手持ち式のジュラルミンケースを持ち外へ出る。
(トラロック、ねぇ...)
祖父の日記に書かれたアマゾン殲滅作戦、通称トラロックを思い出す様な雨模様。予報ではこれから天気は快方に向かうらしいが、それは嘘だと言われても信じてしまう様な雨だと彼は感じた。
ガレージに停めてあるバイクを引っ張り出して座席下の収納スペースへケースを入れると、ハンドルに引っ掛けてあったヘルメットを着けてバイクへ鍵を差し込み、エンジンを起こす。
(昨日の方はまだ警察が捜査しているだろうな...横浜の方を見に行くか。食べ足りないし、途中で昼ご飯も買おう)
そう決めると、彼は先月に起きた横浜での不審死事件の現場を調べる為に、横浜方面へバイクを走らせた。
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2095年—月—日。
幾度となくアマゾン細胞を活性化させた影響で、もう身体は持たなくなってきている。
死ぬのは今日か、それとも明日だろうか...
だがそんな事はどうでも良い。
自分にとって重要なのは自分の身体では無く、彼ののこれからなのだから。
思い返せば、彼を自身が持つ
彼がその脅威から脱する事が出来たのは良かった。
だが結局はアマゾンの血を引く者だ。
いつしか【人喰い】というアマゾンの本能を抑えられなくなるのではないか...そういう懸念もあった。
しかし彼は覚醒してからこれまで【人喰いの欲望】に屈する事はなかった。
父親譲りなのだろうか...?
普通の人間と変わらない食事...タンパク質の摂取量は度を超えているが、変わらない食事をし、普通の人間よりも遥かに強靭な肉体と運動神経を持つ。
そして何より...【魔法】への適性。
彼が何事も無く生きていくには丁度良いだろう。
アマゾンであり、魔法使い。
どう生きるかは彼自身が決める事だ。
自分はそれの手助けをした。
それがなにより、自分の救えなかった2人への手向けになったと信じている。
...限界か。
多分、自分は明日まで生きる事は出来ないだろう。
最期に言いたい事はひとつだけ。
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