魔法科高校の野生人(仮題)   作:虚弱な溶原性細胞

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DELTA

「お待たせしました。 御注文お伺い致します」

 

「ビッグバーガーのセット1つ。 それとビッグバーガーとチーズバーガーを単品で1つずつで」

 

「セットのポテトとドリンクのサイズはいかが致しましょうか?」

 

「両方ともL。 ドリンクはジンジャエールで」

 

「御注文繰り返します。

ビッグバーガーとチーズバーガーの単品をそれぞれ1つずつ。 ビッグバーガーのセットを1つですね。

お持ち帰りで宜しいでしょうか?」

 

「お願いします」

 

 

横浜に到着後、彼は目に付いたハンバーガーショップで大量にハンバーガーを買い込んだ。

 

家を出る時に降っていた雨は既に止んでいる。

やはり天気予報は間違ってなかったらしい。

 

 

「お待たせしました。 1,750円になります」

 

「丁度で」

 

「1,750円丁度頂きます。 ありがとうございました」

 

 

彼は店員から紙袋を受け取り店を出ると公園に入り、手頃なベンチでハンバーガーやポテトを食べ始める。

そして空いている片方の手で端末を操作し、マップを確認する。

不審死体があった現場までは歩いて15分くらいらしい。

 

 

(廃ビルの解体作業が行われていた工事現場か...現在はそのせいで手がつけられないらしいな。好都合だ)

 

 

ふと視線を感じて目線を上げると、近くのベンチで高校生になろうかという少女2人がこちらを見ていた。

 

 

「ねぇ、あの人...」

 

「うん、3分であんなに食べてた...!」

 

(まあバーガー2つにLサイズのポテトとドリンクを3分で食い終われば、驚かれもするか)

 

 

彼が人間に近いナニカである故に、どんなに小声で話していようと近くであれば会話は耳に入る。

すでに彼の持っている紙袋の中にはチーズバーガーしか入っていなかった。

これは何かあった時の保険のために、手はつけていない。

 

 

(行くか...)

 

 

彼はそう思うと側に置いておいたアタッシュケースを開けてチーズバーガーの入った袋を入れ、閉じると手に持ち、その場を去った。

 

—————

 

 

「ねぇ、あの人...」

 

「うん、3分で食べてた...!」

 

 

公園のベンチに座る2人の少女。

彼女達の目線は向かい側のベンチに座っている背の高い少年に向けられていた。

 

 

「一瞬で食べちゃってたね」

 

「そんなにお腹空いてたのかな...?」

 

 

少年はちらりと彼女達の方を見ると、ハンバーガーの入っていた袋を近くのアタッシュケースへ入れ、その場を立ち去っていく。

 

 

「あのアタッシュケース、なんだろう...」

 

「もしかして怪しい物とか?」

 

「でも見た感じ私達と同じ位に見えたよ? そんな年齢ならありえないんじゃ...」

 

「そんな事ないし、私達の視線に気付いてすぐに立ち去ったのも怪しかった。 追いかけてみる」

 

「えっ、ちょっと雫!?」

 

 

雫と呼ばれた少女はすぐさま立ち上がると、少年の去っていった方へ駆け出していく。もう1人の少女も置いてかれまいと追いかけていった。

 

——————

 

視線。

事件現場に向かおうとしていた彼は、昼食を摂った公園から妙な視線を感じていた。

言うなれば—そう、悪意がこもった視線と、いかにも『尾行してます!』と自ら言っている妙な2つの視線の3つ。

 

 

(...あの時に公園にいたのは、向かい側のベンチに座っていた少女2人と、近くの芝生でピクニックをしていた家族、そして俺だ)

 

 

ピクニックしていた家族がいきなり自分を尾行するというのは、いくらなんでも考え難い。

自分を尾行しているのは少女達だろうと彼は考えたが、それだと悪意のこもった視線の説明がつかなくなる。

 

 

(まさか...!)

 

 

彼は路地裏に入ると立ち止まり、周囲を索敵する。その瞬間—

 

 

「まずい!」

 

「えっ!?」

 

「キャッ!?」

 

 

黒い塊が途轍もないスピードで飛んできた。

背後を尾行していた少女達を無理矢理伏せさせると、彼の背中の上スレスレを塊は通過していった。

 

 

「いたた...」

 

「いきなり何を...」

 

「いいから隠れてろ!」

 

 

そして背後を振り返るとそこには—

 

 

『GUAAAAAAAAAA!!!!!!!』

 

 

アマゾンが立っていた。

 

 

「ひいっ...」

 

「なんなの、あれ...!」

 

「早く隠れろ!喰われるぞ!」

 

「喰われるって...!?」

 

「いいから早く!」

 

「はいっ...」

 

 

少女達が急いで隠れたのを確認すると、アタッシュケースを開き【アマゾンズドライバー】を取り出す。

 

 

「チーズバーガーを残しといて良かったぜ...」

 

 

彼はそう言いベルトを腰に着けると、自動で腰にロックされる。

 

 

『⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎』

 

「黙ってろこの野郎。悠の爺さんが死んでから復活してきやがって...覚悟は良いんだろうな?」

 

 

左手でベルトのアクセラーグリップを捻りこむ。

 

 

《DELTA》

 

 

「アマゾンッ!」

 

 

《BUST・B・BUSTER!!!!!!!》

 

 

ベルトのコアが彼の細胞を刺激して活性化させ、熱が放出される。

さらに身体が大きく変容し体表面が装甲の様に強くなる。

そして熱放出が終わると、そこには青い身体に赤いつり目の複眼、黄色のツノ、そして特徴的な口をした生物が立っていた。

 

 

『DELTA...DELTAaaaaaaaa!!‼︎‼︎』

 

『来いよ...狩ってやる!』

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