魔法科高校の野生人(仮題) 作:虚弱な溶原性細胞
真新しい白い制服。
所々に水色と黄緑色が混じった様な色をしている部分があり、胸や肩外側には花の紋章が入っている。
魔法大学付属第一高校の制服である。
翼はそれに腕を通し、状態を確認する。
「...問題なし、っと」
今日は第一高校の入学式。
翼は雫やほのかと現地で集合しようと約束しており、その予定の時間まではまだ1時間以上あるが—
「ちょっと早く出ないとな...」
翼が住んでいる家から一高まではかなり距離があり、家の近くには駅がない。
そのため学校側から特別にバイクでの通学を認められている。
「さてと、行くか」
レンチンしたハンバーガーを取り出して口に運びつつ、家の扉を開けてガレージへ向かう。
いつもの場所に鎮座しているバイクをガレージから外へ出し、制服の上からライダースーツを羽織る。
ガレージの戸を閉めてバイクを起動し、フルフェイスのヘルメットを被る。
「戸締まりよし。約束の時間までには間に合うな...行くか」
そう言うとバイクに跨り、颯爽と走り出した。
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「...翼遅い」
「いや、ね? 雫、私たちが早いんだと思うけど」
第一高校の校門前。
そこには雫とほのかの2人組が翼を待っていた。
かと言っても翼が遅れているわけではない。彼女達が来るのが早過ぎたのだ。
「翼さんに会えるの、そんなに楽しみだった?」
「そんなこと、ない。 入学式が楽しみなだけ」
「ほんとー? それにしてはかなり早く連れて来られたんだけどなー?」
「...」
やはりほのかは鋭い。
雫はそう考えると視線を再び駅の方へと戻す。
約束の時間まではまだ10分以上残っている。
やっぱり早く来過ぎたと思っていると、駅の方から低いエンジン音が響いてくると同時に、バイクが一台やって来た。?
「おーい」
「翼!」
「バイクですか!?」
「よいしょっ、と...驚かせたかな? 実は家が遠くてね。 学校から特例措置って事で許可を貰ってる」
翼は2人の近くにバイクを停めるとヘルメットとライダースーツを脱いでトランクに入れると、トランクからアタッシュケースを取り出す。
「そのアタッシュケース...」
「ん?ああ...まあね。何かあったら対処しなきゃいけないし。 中身は言わないでくれよ?」
「わかった」
「わかりました」
「んじゃ、行く? 確か講堂だったよね」
「そうだな」
翼はあらかじめ通達されていた場所にバイクを停め、3人は講堂へと歩き出した。
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「ここ3つ空いてますね」
「ここにしようか」
「うん」
講堂へ入った3人が見たのは、前側の席の一科生と後ろ側の席の二科生ですっぱりと分断された新入生の席のエリアだった。
そんな中、ほのかが選んだのはちょうど真ん中少し前に位置していた席だ。
「すごいね、これ...」
「一高では一科生と二科生の差別があるらしいけど、差別が無くならないのはこの時点で交わろうとしないからだと思う」
「そう言えば入学時点での違いって...」
「展開までのスピードだけなんだよなぁ...だけど、まあ選民思想も甚だしいね」
「私は、二科の人から学べる事もあると思うよ?」
「むしろその方が普通だよ...」
そんな事を駄弁っているとそろそろ入学式の開始時間へ近づいて、周囲の話し声も少なくなってくる。
完全に話し声が消えると、舞台端に立った司会進行役が入学式の開始を宣言した。
3人の高校生活の始まりである。