「拓也ー、今日どっか寄り道でもしていかないか?」
帰りのホームルームが終わって直ぐに智樹が話しかけてきた。
「すまん。今日は先約がある。」
「ああ、そういえばお前、告白の返事しないといけないのか」
「だから告白って決まったわけじゃないって。」
「まあ、とりあえず行ってこいよ。」
「悪いな。じゃあ、また明日な」
「おう、じゃあな!」
あの子が待ってるかもしれないし早く行かないとな。
俺が屋上に行くとあの子が柵に背中を預けてグラウンドを眺めていた。
ちょっと待たせちゃったかな?
「遅くなってごめん」
「いえ、全然大丈夫です。あ、私1年の渡辺茜です」
そういえばこの子の名前教えてもらってなかったな。
とりあえず俺も名乗っておこう。
「2年の岡崎拓也です。それで話って何かな?」
俺がそう言うと、渡辺さんは顔を真っ赤にして
「あ、あの、先輩が体育でサッカーしている姿を見て、好きになりました。私と付き合ってくれませんか?」
渡辺さんが勇気を出して真剣に告白してきてくれたんだ。
俺も真剣に答えないと。
「ごめん、君とは付き合えない」
やっぱり告白を断るのきついなー。
「やっぱり私じゃ先輩とつりあいませんよね。」
渡辺さんが涙目になりながら言う。
「そんなことないよ。渡辺さんは可愛いと思うし」
「じゃあ」
「ごめんね」
俺は渡辺さんの言葉を遮るように言った。
「そうですか。話を聞いてくれてありがとうございます」
そう言って走って屋上から出て行ってしまった。
はぁ、俺も帰るか。
「行かないって言ってるじゃないですか。」
俺が家に帰っていると女の子の声が聞こえた。
何か面倒ごとか?
声が聞こえた方に行ってみると、綺麗な長い黒髪に、長いまつげ、鼻は小さめだが目はくっきりした二重で100人に聞くと99人は美少女と言いそうなほどの美少女が、二人組で大学生くらいのチャラ男に話しかけられていた。
ナンパかよ。大学生が中学生くらいの子をナンパすんなよ。
周りにも何人か人がいるがみんな見て見ぬ振りをするだけだ。
「いいじゃねーか、ちょっとくらい」
「そうだぜ、欲しいもんなんでも買ってやるからよ」
「嫌です!やめてって言ってるじゃないですか!」
「いいからついてこいよ!」
チャラ男が女の子を無理やり連れて行こうとしている。
まずいな、とりあえず止めるか。
「みほ、久しぶり」
俺は知り合いのフリをしてその子に声をかける。
その子の名前は知らないが名前を出した方が知り合いっぽく見えるしな。
女の子は突然のことに驚いている。
「話合わせて」
「わかりました」
「てめー誰だよ!」
チャラ男が聞いてくる。
「俺はこの子の従兄妹ですよ。俺の従兄妹をナンパするのはやめてくれませんか?」
「うるせーよ。てめーには関係ないだろ!」
「従兄妹だから関係はあると思うんですが」
そう言うと男は怒って殴りかかってきたので俺は拳を受け止めて、腕に関節技をきめる。
「痛い!痛い!」
「いま直ぐここから消えるなら腕を離しますが」
「わかった、わかったから!」
俺が腕を離すとチャラ男達は走って逃げていった。
「あの、ありがとうございました。」
「どういたしまして。今度はナンパされないように気をつけてね」
「はっ、はい。あの、何かお礼がしたいんですけど!」
「別にいいよ。お礼をしてもらうために助けたわけじゃないから。じゃあ気をつけて帰ってね」
よし、帰るか。
それにしても可愛い子だったな。ナンパされるのも納得だ。
名前くらい聞いておけばよかったか。
まあ、いいか。