【この素晴らしい世界に祝福を!】カズマはのんびりと魔王討伐を志す様です。   作:よるくろ

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 タイトルについては…まぁ、誤字にあらずってことで。
 間違えて打ってしまったらしっくり来ただけなんですけどね(潔い)



【12】 墓地付近のゆん霊

 薄暗く、どことなく体の芯が底冷えするような感覚に襲われ身を震わせるカズマと、隣で意気揚々と怖いもの無しと言わんばかりの表情で肉を焼くアクア。

 

 肉と野菜を乗せているバーベキューセットの向こうではダクネスが突き出す野菜を悉く避けるめぐみんが争っていた。

 

 ゆんゆんは何故かアクアが持ってきた度数の高い酒を誤って飲んでしまい、喉を痛めたため荷物の所で治療している。

 

 現在、カズマ達は『ゾンビメーカーの討伐』クエストを受け、公共の墓地へと足を踏み入れていた。ギルドで報酬を受け取ったのに、なぜこうなっているのか。それは、アクアの受け取った報酬が発端だった。

 

 昨日のキャベツクエストで、アクアは盛大な失敗をした。カズマを犠牲にしてまで収穫したものはほとんどが、キャベツより原価の低い”レタス”だったのだ。それも最低価格最低品質の。

 

 そのせいで報酬が激減。それに追い打ちするように、少なくも収穫したキャベツも最低品質の粗悪品。一玉一万の価格には届かずに、アクアの報酬はジャイアントトードの討伐クエストより少し多い程度だった。

 

 当然、アクアは納得するはずもなく。「自分が一番活躍して報酬を総取り」できるようなクエストをしたいということで、カズマが前々から目をつけていたゾンビメーカーの討伐クエストを受けたのだ。

 

 墓地の入り口にてバーベキューをしているのは、単にギルドで食事をしていないからだ。めぐみんの「たまにはカエル以外の肉も食べたいです」という要望から、バーベキューが多数決で決められ(全員肯定)、今に至る。

 

 

「めぐみん、ちゃんと野菜も食べろ」

 

「…カズマだって野菜しか食べてないじゃないですか。肉を食べましょう?分けますよ」

 

「…いや、野菜の方が“安全”だからな」

 

 

 カズマの言葉に首を傾げるめぐみん。前にカズマの過去を少し聞いたことのあるダクネスはカズマの言葉の真意を察した。

 

 

「…め、めぐみん!このキャベツは栄養満点そうな見た目をしているぞ!食べてみろ!」

 

「んぐぅ!!?」

 

 

 ドスッとフォークの刺さったキャベツがダクネスに手によってめぐみんに口に捻じ込まれる。耐久極振りといえども前衛職のクルセイダーの一撃は魔法特化のアークウィザードであるめぐみんに多大なる一撃を与えた。

 

 

「な、げっほ、何するげっほげっほ!」

 

「す、すまないめぐみん!大丈夫か!?」

 

「あなたが犯人でしょうがッ!」

 

 

 助けに寄ったダクネスに杖の一撃を喰らわせるめぐみん。だがダクネスは少しの嬌声を発するだけで、少しのダメージにもなってなかった。

 

 そんな一連の流れをカズマはダクネスから目を離す形で目を逸らし、野菜を食べる。タレに絡んだ噛みごたえのあるキャベツがシャキシャキと音を鳴らす。

 

 

___…結構賑やかになったよなぁ

 

 

 最初は女神であるアクアの二人だけで、初めて見るものばかりの異世界で右往左往していた頃が夢のようだ。行き倒れていたアークウィザードのめぐみん、同じくアークウィザードでボッチのゆんゆん、“クルセイダーという最高の前衛職に就いているにも関わらずただ性癖を解消するような耐久ステータスなだけの攻撃が当たらないとんでもない変態”のダクネス。

 

 字面だけ見ればヤバイパーティだが、各々の能力は一級品。使い方によっては最高のパーティになるのだ。だが前のキャベツ収穫クエストで分かる通り、彼女らは色々やらかす。

 

 そんな彼女らを纏めるカズマの疲労は尋常ではない。

 

 賑やかになったが、これからの苦難を想像して、カズマは溜息を吐いてフォークを置いた。

 

 

「あれ、もう食べないの?カズマ」

 

「あぁ、もう腹は貯まったしな」

 

「早いわねぇ、だからそんな細いのよ?全く羨ましい」

 

「…アクアもスタイルはいいと思うんだがなぁ、まぁ頭のほうがアレだからな…」

 

「ん?なんて?」

 

「いや、何でもない。…少し剣の手入れをしてくる」

 

 

 そう言って、カズマは剣を置いている場所へと歩く。

 

 カズマの剣を含めた皆の荷物は炎が燃え移らないように少し離れたところに置いている。盗られないか心配だったが、流石に墓地に来てまで荷物を盗む輩はいないだろう。

 

 だが、離れている故に、その道中は暗く静かだ。意外とこの手の雰囲気に弱いカズマは背を丸めながらなるべく下を見るようにして歩き続ける。

 

 やがて後ろから聞こえる仲間達に声が聞こえなくなり、一帯にはカズマの足音だけが響く。

 

 ようやくカズマが荷物を置いてある所まで辿り着くと、何やら物音がした。

 

 

「…!」

 

「ない…ない…」

 

 

 ガサゴソと荷物の山の目の前で黒い影が蠢いている。

 

 掠れた声だが、声的にどうやら女のようで、微かに見える長い黒髪が、木の間から溢れる月光で反射している。だがそれでも顔が見えず、カズマは恐怖で後ろに下がった。

 

 

___パキッ!

 

「み…!?」

 

 

 落ちていた木の枝を踏んでしまった。小さな音でも極度の恐怖に陥っているカズマは小さく悲鳴を上げた。だが物音ひとつしない森の中、そんな小さな音をそれほど離れてもいない距離で聴き逃すはずもなく…。

 

 バッ!と赤く輝く双眼がカズマを捉えた。

 

 

「…ぁ」

 

 

 カズマに女の幽霊は手を伸ばし、恐怖で足が竦んでいるカズマの手を取った。それがトリガーだったのか、ついにカズマの脚は折れ、カズマは座り込んだ。

 

 女の幽霊はそのままカズマの肩に手を掛けて、顔を近づける。赤く光る双眼がカズマの目に前に来て、そこでカズマの恐怖のピークが頂点に達し…。

 

 

「…きゅぅ」

 

 

 気絶した。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「すいません!本当にすいません!」

 

「…へ?」

 

 

 気絶したカズマが目覚めると、出迎えたのは土下座をしているゆんゆんだった。訳もわからずゆんゆんの土下座を眺めているカズマはゆんゆんから語られる今までの話を聞いた。

 

 話を要約すると、あの女の幽霊の正体はゆんゆんだったのだ。

 

 アクアの酒で喉を痛め、荷物で喉の痛み止めを探していた所、物音がして「まさかお化け!?」と背後を見るとカズマだったそうだ。

 

 そしてよく見ると顔面蒼白で、それを心配したゆんゆんが近づいて手を取るといきなり座り込み、体にも異常があるのかと肩に手を掛けると気絶したそうな。

 

 声を出さなかったのは単に発声すると喉が痛いそうだ。

 

 

「まさかカズマさんが怖いものが苦手だと知らずに…申し訳ございませんでした!」

 

「…いや、俺も誰にも言ってなかったし…その前に本当に幽霊じゃなくて良かったというか…というかそろそろ頭を上げてくれ」

 

 

 いつまでも頭を地面を擦り付ける光景に申し訳なさを感じたカズマはゆんゆんに頭を上げさせる。

 

 

「…というか、喉は大丈夫なのか?」

 

「はい、カズマさんが気絶している間に治りましたので…すいませんでした」

 

「いやいいってもう…気にしてないから」

 

 

 気絶前の赤い目を思い出して震えるカズマだが、そろそろ戻らないと仲間達が心配するだろうと思い戻ろうと立ち上がる。立ち上がったカズマは未だ座っているゆんゆんの手を取って引き上げて、仲間達に元へ戻った…。




 やはりアクアの運は低い…キャベツとレタスって本当に見分けつきませんよね。
 関係ないのですが先日炒飯を家族に振る舞った所、塩じゃなく砂糖を入れてしまったみたいで甘ったるくなっていました。それから私が台所に立つと「塩はこれ」と言われ続けられます。
 しかもそれが何故か友達にも伝わっているらしく、いじられ続けられました。もうこれから塩と砂糖を見分けられるまで修行するしかないと思います。
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