【この素晴らしい世界に祝福を!】カズマはのんびりと魔王討伐を志す様です。 作:よるくろ
ミツルギ戦…戦闘描写は苦手ですが、頑張って書きました。
想像しながら見てください…命を刈り取る物が、自分の大切な物を奪おうとする場面を…!
「っく!そっちがその気ならっ!」
「っと、あぶね。…ミツルギキョウヤ…まさか、お前転生者か?」
「…そうだよ、そっちも転生者っぽいね…いや、女性の転生者には初めて会ったけど、こんな最悪な形になるとは」
「男だぶっ殺すぞ。声で分かるだろ」
「……」
「黙るなオイ」
互いが向き合いカズマが無手、ミツルギが剣を正眼に構えて膠着状態となった中、会話をしながらの隙の探り合いは互いに難航していた。
カズマは一応剣は所持しているが一瞬の気も緩められない中で剣を抜くわけにはいかず、そして相手の剣の見た目の質量や鉄格子を簡単に捻じ曲げられるという腕力を警戒して近寄れない。
一方ミツルギも、相手の役職やスキルも分からない中で飛び込むのは愚策だと考え、中々攻めあぐねている。
双方険悪な雰囲気の中、カズマが話を切り出した。
「…仲間に手を出された勢いでついぶん殴ったが…何故あんな状況に陥った?俺の仲間に粗相を犯した奴が居たのか?」
その問いに、ミツルギが憤怒の表情で言葉を発する。
「…女神様を誘拐しただろう…!お前の仲間が!」
「女神様?」とカズマはその言葉に疑問を持ったが、仲間に一応種族女神のアクアがいたことを思い出したカズマは「あぁ…」とどこか達観したような表情と声色で、こう答えた。
「あ、ごめん。犯人俺だわ」
「お前かぁぁぁぁ!!!」
相手の軽い口調のせいか、日本人で暮らしていた頃のノリがつい出てきてしまったのか、ボケた同級生にツッコむような勢いで剣を振りかぶりカズマへ肉薄するミツルギ。
だが、カズマは受ける素振りも躱す素振りも見せずにポケットに手を突っ込んだまま剣の軌道を見守るだけだ。
遠巻きでこの物事の行く末を見守っていた通行人も、ギルドの中から見ていた冒険者も、カズマの仲間達も、ミツルギの仲間達も。
この後に起こるであろう惨状を予測して、目を逸らすか、顔を背け、耳を塞ぐ者もいた。
それはミツルギも例外ではなく、いつまで経っても微動だにしないカズマと、思い切り振り切った剣を止められない事を悟って、目を瞑る。
人を斬る覚悟がなかった者は…剣から伝わる重い衝撃によって、剣を落とした。
「…えっ?」
目を開くと、そこにカズマはいなかった。ズシン…と重い音を立てて落ちた剣の下にも横にも。
予想だにもしなかったこの状況にしばらく呆然としていたミツルギだが、白く濁った意識は背後から掛けられた声によって鮮明な色を取り戻した。
「おいおい、どこに剣振ってるんだ。俺はここにいるぞ」
バッと声の方向に体ごと顔を向けると、そこにはポケットを突っ込んだまま立っていたカズマの姿があった。
「な、どうやって!?」
「さぁな、お前が鈍いだけじゃないのか?」
馬鹿にするように言い放った言葉にミツルギは苛立ちの表情を浮かべて剣を拾い、再び肉薄する。
「はぁっ!」
カズマの事を「手練れ」と認識したミツルギは、ニ撃目を放った。
今度はカズマをしっかりと見つめながら、剣先を地面にぶつけないように振りかぶる。
すると、カズマが“消えた”。比喩ではなく、そこにいなかったようにあっと言う間に消えたのだ。
するとミツルギはそんな状況から背後を見ずに後ろへと剣を振りかぶり、剣の遠心力を利用して背後を向く。
そこには剣先で斬れた前髪を弄るカズマの姿。
「…あぶねえな」
「まだだ!」
続いて繰り出される剣戟を、カズマは『ワープ』を使いながら避けていた。
その顔には余裕の表情が浮かんでおり、しまいにはポケットに手を突っ込む所業。そんなカズマに更に苛立ったミツルギは、更に攻撃のスピードを上げた。
袈裟斬り、逆袈裟、払い、突き、蹴り、払い、袈裟斬り、蹴り、拳。その悉くをカズマは避けている。
ひらりひらりと舞のように躱すその姿はまるで蝶のようであり、ミツルギは宙を舞う羽を切ろうとしているかのように当らない攻撃に焦り、ついには大きな隙を見せてしまった。
「う、うおああああああ!!!!!」
上段での大きな振り上げ。
剣士として真正面の隙を見せるという最悪の事態を引き起こしてしまったミツルギのそれを見逃すはずもなく、カズマは『ワープ』を使いミツルギの懐へ入る。
「っ、!?」
ポケットから手を出し、拳を握りしめる。
「俺の…勝ちだ!」
最低限最小限の動きで拳を繰り出し…カズマは、ミツルギの顎に拳を叩き付けた。
見事なアッパーは全身鎧を着こんだミツルギの体を容易く浮かし、ミツルギはそのダメージで着地することもできずに後ろへ倒れこんでしまった。
「ぐ…うぅ」
「やった!」
見事なまでの決着に、思わずゆんゆんが称賛の声を上げた。
ほかのメンバーも拍手、ガッツポーズなどカズマを称賛している。
だが…カズマの怒りはこれで収まらなかったようだ。
ガンッ!という金属音があたりに響く。
女性陣は驚愕の表情を浮かべ、男性陣は股間を抑えながら青い表情でカズマを見ている。
音の正体は、鎧でおおわれているミツルギの股間部分をふみけった音だ。
わずかな衝撃と音の発生源から分かったのか、ミツルギは顔を青くしながら首だけを起こして(股間の)命乞いをし始めた。
「ま、待ってくれ!わかった!俺の負けだ!だから___!」
「わかってないなぁ」
ベコッ、バコンッという音がミツルギの股間から響く。
レベルアップによって底上げされたステータスによってミツルギの鎧は容易く形を変えて、ミツルギの玉の命を奪おうとする。
カズマは肩をすくめて更に力を込める。
ギギギギギッギ…ギギギ…
「全くわかっていない。俺はお前の敗北宣言を聞きたくてお遊びをしたわけじゃないんだよ…」
「お、遊び…?」
「そう、お遊び。こんなのは勝負でもなんでもない、ただ剣とスキルを使ったただのお遊びだ」
その場にいた誰もがその言葉を聞いた瞬間、「いや、それはない」と思った。そんな危険なお遊びは、純粋無垢な子供達でも恐ろしくてできないだろう。
「じゃ、ぁ…何が…っ、何がお望みなんだ…?」
「謝罪」
「っ!…は?」
「だから、謝罪。知らぬ冤罪と俺への侮辱行為。これら二つの事について土下座して謝ってもらいたい。あ、ついでに慰謝料」
何気に女性と言われた事をまだ気にしているカズマ 。
まるで「聞いてくれるよな?」という顔でミツルギに言い放ち、更に足に力を込める。もはや命を刈り取る形のように変形した鎧は、あと数ミリのところでミツルギの大事な物を刈り取ろうとする。
中の状況が見えないはずのミツルギは本能的に感じ取った危険に屈して、半泣きでこう叫んだ。
「も…」
「も?」
「申し訳ありませんでしたああああああぁぁぁぁッッッ!!!」
いかがでしたでしょうか?
これ実際にやられたらトラウマになりますよね(笑)
自分的にはいい感じの出来だったのですが…(苦笑)
次回もお楽しみいただけると幸いです!
次回もお楽しみに…