【この素晴らしい世界に祝福を!】カズマはのんびりと魔王討伐を志す様です。   作:よるくろ

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 今回は同時刻二本投稿です。
 疲れた…やはり戦闘シーンは苦手です。


【23】 死闘

「…レベルアップはしてるな…クソ、あのデカブツなんのスキルも使わねえ…」

 

 

 と、悪態を吐きながら冒険者カードをポケットに突っ込む長髪の男、カズマ。

 

 彼は先程まで中ボスであろう巨体を持つアンデッドと戦っており、勝利を収めた。そして今、最後の敵であるこの城の主人、デュラハンであるベルディアに挑もうとしている最中なのだ。

 

 

「…そういえばデュラハン…伝承があった筈だよなぁ………アイツが来て何か変化…雨、曇り……曇り?太陽が隠れる…いや、これじゃない筈だ、何かあったはず…天気が関係する筈だが…」

 

 

 “せめて弱点がわかればなぁ…”とカズマが呟く。

 

 あの時に交わした一撃限りの剣戟で分かったことは、剣の使い手としてベルディアはカズマの遥か上にいるということ。

 

 スキルを最高効率で運用して、ようやく互角に渡り合える実力差だとカズマは察していた。

 

 

「…」

 

 

 今カズマが使えるスキルはあまりない。アンデッドのスキルを使用するのに必要な魔力が多く、その上使い勝手が悪いからだ。

 

 なので考えられる戦法は、『ワープ』で撹乱しながら攻撃するか、普通に剣で戦うかなのだ。

 

 

「……あと、十五時間…」

 

 

 カズマの足が止まる。目の前には豪華な門がカズマを出迎えるように少し開いており、隙間から見える光景の中に、ベルディアが剣を構えながら立っていた。

 

 カズマは扉をそっと押し………ベルディアと対峙した。

 

 

「…来たぜ、ベルディア」

 

「よくぞ参った、勇ましき冒険者、サトウカズマよ。貴様の仲間の為に命を張ってここまで来たことを褒めてやろう。して、サトウカズマ…貴様は我を倒し、何を望む?」

 

 

 ベルディアが殺気を出しながらカズマに問いかけた。

 

 あまりの殺気に空間が歪み、剣を持つ手が震える。

 

 カズマはあの時のように…無理矢理笑みを作りながら答えた。

 

 

「…テメエがめぐみんに掛けたクソッタレな魔法を…解いてもらう!」

 

「良く吠えたっ!」

 

 

 闘いは始まった。

 

 ベルディアが目にも止まらぬスピードでカズマの近くに接近して、剣を振り下ろした。高速で繰り出される剣戟をカズマは剣で受け止めるが…ベルディアの膂力によって身体毎吹き飛ばされた。

 

 

「良い剣だ、俺の攻撃に耐えている。何処の鍛治師が打った?」

 

「生憎拾いものだよっ!」

 

 

 『ワープ』でベルディアの背後に飛び、剣を振り下ろす。容易く受け止められた。

 

 

「それはもう見たぞ!」

 

「まだまだだよ!」

 

 

 繰り出される『ワープ』と剣を駆使した神出鬼没の剣戟をベルディアは、頭を脇に抱えたまま対応して受け止めていた。その中でベルディアは細かく反撃を入れており、明らかに攻撃側に回っている筈のカズマが時経つごとに身体に傷を増やしていた。

 

 

「(クッソ…!かすり傷一つ付けれねえ!)」

 

 

 『ワープ』で遠くに着地。部屋の角で息を整える為にカズマが顔を上げてベルディアの位置を確認すると___目の前には剣先が迫っていた。

 

 

「___はっ」

 

「首…獲った!」

 

 

 “ザンッッ!!!”という音が最奥の部屋に鳴り響く。

 

 赤い絨毯に更に赤い液体が飛び散り、部屋の角を鮮血に染め上げた。

 

 確実に手応えを感じたベルディアは“舞い上がった土煙”の中にうっすらと見えるカズマの服を手に取り___

 

 

「ッッ!!!ぐぅああぁ!!」

 

 

 ___背中に大きな攻撃を受け、バランスを崩した。

 

 

「がっ、貴様何故!」

 

「っぶねえ…“これ”がなかったら死んでた」

 

 

 カズマが懐から取り出したものは、ベルディアによって斬られた麻袋だった。切り口からは“砂”がさらさらと流れ落ちながら砂煙を作っており、カズマの手のひらから発生する“微風”で舞い上がっていた。

 

 

「お前が斬ったのはこの袋だ。この中には俺が必死に掻き集めたサラサラの砂が入っていてな、お前はそれを斬って仕留めたと勘違いしたんだ。良く考えてみろ、こんな城の中で、しかも生身の人間だけを斬って砂埃が舞うはずがないだろ?」

 

「___っ!?」

 

 

 そう、カズマは反応できていた。

 

 咄嗟に砂の入った麻袋を取り出し、それを斬らせて『ウィンドブレス』で砂埃を撒き散らし視界を遮った。その隙に『ワープ』でベルディアの背後に回って、思いっきり剣を叩きつけたのだ。その際、身体強化魔法である『パワード』も使って。

 

 この一連の流れを察したベルディアは驚愕の感情で心内を埋め尽くした。咄嗟の判断でそこまでの戦略を思いついたのもそうだが、“カズマの性別”についてのことで驚愕したのだ。

 

 

「貴様男だったのか!?」

 

「テメェふざけてんのか!?」

 

 

 最早脊髄反射である。

 

 ここに読者の誰かがいれば、そういえばベルディアはカズマの性別を知っていなかったなと思っただろう。話を読み返す読者もいそうだ。

 

 ベルディアの驚愕の問いかけにコンマ一秒以下で返したカズマは手に持っていた麻袋を力一杯ベルディアに投げつけた。…未だに中身が少し入っていた麻袋を。

 

 

「いてっ!目痛ァッッ!!!!」

 

「ふっ!」

 

「いてっ!お前、卑怯だぞ!」

 

「卑怯上等!俺は!仲間を救う為だったらなんでもする!」

 

「クソ…ふんっ!」

 

 

 ベルディアは唐突に、脇に抱えていた頭を上に投げた。

 

 カズマは視線誘導(ミスディレクション)の類かとベルディアの身体に目を向けていたが…瞬きした瞬間には、ベルディアの身体は目の前に迫っていた。

 

 

「『ワープ』!」

 

 

 遠くに跳び、ベルディアから距離を離す。

 

 するとベルディアはすぐにカズマのいる場所を察知して、カズマへと肉薄した。

 

 

「(おかしい…俺は近くにいない筈なのにすぐに察知してくる。頭を離しただけでこんなに…まさか!)」

 

 

 バッと上を向くと、ベルディアと“視線”があった。

 

 

「(あいつ自分の頭を監視カメラのように使ってる!)」

 

「終わりだ…!」

 

 

 だが、気づいても遅かった。

 

 ベルディアの頭に気を取られたカズマは斬りかかってくるベルディアの身体から意識を逸らしてしまった。

 

 カズマはスローモーションに映る視界の中、自分の死を悟ってしまい___

 

 

 

 

 

 

 

 

「『転移』」

 

 

 

 

 

 

 

 ___ベルディアの身体を、切り裂いた。






『ワープ』→『転移』(new!)

 
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