【この素晴らしい世界に祝福を!】カズマはのんびりと魔王討伐を志す様です。   作:よるくろ

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 25話目です。
 今回はベルディア討伐から一日経ったお話という内容で書きました。


【25】 笑顔

 

 

 カズマが眼を覚ました時、青空が目一杯に広がっていた。痛む身体の傷を堪えながら起き上がると、そこはアクセルの近くにある平原だった。

 

 どうやらベルディアの城から『ワープ』で帰ってきた時に、魔力が足りず平原に辿り着いたようだ。そこで体力の限界が来て、今まで平原で気絶したように寝ていたらしい。

 

 硬い地面で寝た為凝り固まった身体を解していると、ふと思いついた顔を浮かべる。

 

 

「…あ、そうだ。めぐみん」

 

 

 カズマは急いでギルドに『ワープ』した。

 

 ワープ先の近くにいた冒険者が急に現れたカズマに驚くが、それがカズマだと気付くと眼を見開いて立ち上がり、嬉しそうにカズマに近寄った。

 

 

「か、カズマ!お前ここ最近ギルドに来ねえから死んだかと思ったぜ!」

 

「お、カズマか!どうしたそんな血だらけで!クエストに失敗したか!」

 

「あ、カズマさん!久しぶりです!」

 

 

 次々とカズマと関わりのある冒険者がカズマに気付き、嬉しそうに話しかける。皆突然いなくなったカズマを心配していたのだ。

 

 

「あぁ、すまん。少し魔王軍幹部と戦ってきた」

 

「あぁ!そう言うことか!ははは………はっ?」

 

 

 

「「「「「はあああああああ!!!!?」」」」」

 

 

 

 驚愕の声を張り上げるギルド内の冒険者。受付嬢であるルナでさえも口をパクパクと閉じたり開いたりしており、ギルド内はカズマの爆弾発言により呆然の静粛となっていた。

 

 カズマはその中を歩きながらルナの下へ。そしてポケットから冒険者カードを取り出し、ルナに提出した。

 

 

「これ、討伐した証拠で。俺ちょっと急いでる用事あるから報酬とかは後日で」

 

「は、はい………あ、ちょっと!」

 

 

 時すでに遅し。ルナが止める前にカズマは『ワープ』で消えており、ルナはもちろん、中の冒険者は先ほどまでの騒がしさが嘘のように静まり返っていた…。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

「どうしよう…熱が下がらない!」

 

「落ち着いて!この高熱は呪いかもしれないから近寄っちゃダメよ!私に任せておいて!」

 

「はぁ…ちが…はぁ…」

 

 

 同時刻、カズマがギルドから姿を消した少し後。

 

 昨晩から熱を出して苦しんでいるめぐみんと、同じ宿屋に泊まるゆんゆんに呼ばれたアクアがとある宿屋にてめぐみんの看病をしていた。

 

 ゆんゆんは全く下がらない熱にあわあわと焦っており、アクアはベルディアの『死の宣告』の期限が迫ってきていることによる副作用的なものだと判断して、同じく慌てている。

 

 唯一息を荒げながら自分の体について一番わかっているめぐみんは呪い云々と騒いでいるアクアの言葉を訂正しようと声を出そうとするが、“単なる体調不良”のせいで疲弊しているため、中々声を出せずにいた。

 

 

「あわわどうしよう!こういう時にカズマさんがいてくれれば…!」

 

「ん、呼んだ?」

 

「きゃああああ!!!」

 

「え、何!?」

 

「はぁ…はぁ……かず、ま」

 

 

 そんな中に、カズマが現れた。鍵も掛けて、誰も出入りされないように入り口付近の人払いを頼んでいたはずなのにだ。

 

 

「ど、どうしてここがわかって」

 

「え、めぐみんの生命力を察知して来たんだけど…」

 

 

 そう、カズマがアンデッドから見て盗んだスキルの中に、『生命察知』というスキルがある。それは生き物であればどんな隠匿スキルを使用しようが察知できるというスキルで、索敵にはこれ以上ない有用なスキルである。

 

 カズマはこれの効果範囲を魔力を込めることで広め、少し生命力の弱まっているめぐみんの生命力を察知して『ワープ』したのだ。

 

 その旨をアクア達に話すと、めぐみんを除いた彼女らは物凄い剣幕でカズマに詰め寄った。

 

 

「カズマさん、正直に話してください。もしかしてですけど、単独で魔王軍の幹部の城に行ったなんて言いませんよね」

 

 

 ハイライトの無い目でカズマに無機質な声で問いかけるゆんゆん。

 

 

「どーして私達に言わなかったのよ!一人でそんな危ないことして!心配かけさせないでよ!」

 

 

 顔を赤くして怒るアクアに怒鳴られ、

 

 

「カァカズマァァァ!!!お前一人で魔王軍幹部の討伐に行ったとはどういうことだああああああッッッ!!!」

 

 

 突然足音をドタドタと立ててドアを蹴破って来たダクネスにこれ以上ないくらいの怒声を浴びせられ、

 

 

「…(ぷい)」

 

 

 めぐみんに見て見ぬふりをされる。

 

 

「「「カズマ(さん)!!!!」」」

 

 

 希望は、なかったようだ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 めぐみんを除いたパーティからの説教は、凡そ三時間ほど続いた。

 

 

「じゃあ、もうめぐみんの呪いは解かれたってことですね?」

 

「はい、ソウデス…」

 

 

 死屍累々となったカズマが床で正座をさせられており、首には「反省中」を書かれた木製のプレートが掲げられている。

 

 カズマにプレートをかけた犯人であるダクネスは「しばらくそうしておくように」と、温くなった濡れ布を替えるために部屋を出て、アクアもそれに付き添った。

 

 そしてカズマはダクネスが出た隙に立ち上がった。ゆんゆんが「あっ!」と友人の悪い行動を見たような反応をするが、すぐに表情を変えてカズマに問い掛けた。

 

 

「じゃあめぐみんの熱は働きすぎによる過労…ってことなんですね?」

 

「あぁ、どうにもそうらしいな。…まったく、無理をするなよ」

 

「あぅ……えへへ」

 

 

 カズマがめぐみんにコツンと指先で額を突き、めぐみんは嬉しそうな顔をして布団を少し上げた。ゆんゆんは少し羨ましそうな顔をしながら、少し考えるような仕草をしてカズマに近寄り…

 

 

「…えいっ」

 

「んっ…」

 

「っ!?」

 

 

 頭を包むようにして抱きついた。カズマはそれほど動揺しなかったが、めぐみんが過剰に反応して眼を赤く光らせてゆんゆんを睨んでいた。

 

 

「どうした?」

 

「…心配したんですよ、全然帰ってこなくて…めぐみんは長期のクエストって言ってましたけど、単独で達成できるクエストなんてなかったですから…すぐに嘘ってわかりました」

 

「ぬぐぅ……嘘が甘かったです…」

 

「…心配したんですよ………!」

 

 

 ゆんゆんの声に、嗚咽が混じる。

 

 帰ってこないカズマや、日に日に弱っていく変化した友人を心配して、精神が参っていたのだろう。たった今その感情を堰き止めていた理性が壊れ、決壊したのだ。

 

 カズマは言葉は発さないものの、自身の頭を抱える腕をそっと触り、腕を伸ばしてゆんゆんの頭を撫でる。ゆんゆんはカズマの首筋に顔を埋めて、しばらく泣いていた。そして涙の跡が消えていない顔で笑顔を浮かべて、

 

 

「おかえりです!カズマさん!」

 

「…あぁ、ただいま。ゆんゆん、めぐみん」

 

「はい、おかえりです…!」

 

 

 めぐみんも笑顔でカズマに言った。だがすぐに顔を戻してゆんゆんを睨みつけ、声を上げてゆんゆんに物申した。

 

 

 「それはそうとして…いつまでカズマにひっついているのですかゆんゆん!私に喧嘩を売っているのなら買いますよ!」

 

「何よ!私だって人と触れ合う時間は欲しいわ!めぐみんが独り占めするのはおかしいと思うのだけど!」

 

 

 ぎゃんぎゃんと言い合う二人に挟まれながら疲れた表情をしているカズマ。だがその表情の中には笑みが浮かべられており、カズマは身を委ねて力を抜きながら喧嘩をする二人を宥め始めた。

 

 

「…しばらく下で寛いでおこうか」

 

「そうね…邪魔しちゃ悪いし」

 

 

 部屋のドアの外側では様子を伺っていたダクネスとアクアがおり、二人で笑みを交わし合ってその場を後にした。

 

 カズマが世界を揺るがすほどの偉業を達成した翌日。その日は…皆、笑顔で溢れていた…。






 最近、私自身が笑顔になることは少なくなって来ているのに、何故か今話は書きやすかったです。
 元々小さい頃から笑顔が少なかったという私ですが…皆様の期待のコメントや応援のコメントなどを見ると口角が上がっている記憶があるんです。
 自分の創作物が褒められるって、気分がいいですよね。まるで自分の成長が認められているような気がして、人生が無駄じゃなかったって気持ちになります。
 これからも執筆は続けます。ナメクジの方が早く見える更新頻度かもしれませんが、そこは皆様の深く優しい心を以ってご容赦ください。
 では…次回もお楽しみに、
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