【この素晴らしい世界に祝福を!】カズマはのんびりと魔王討伐を志す様です。   作:よるくろ

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 今回、原作の説明を丸写ししながら書いたため文字数が多くなっています。
 全部見なくても分かりやすいように書かせていただきますが、小説は一語一句逃さず読む派の人はごゆっくりとお楽しみください。


【30】機動要塞デストロイヤー【上】

 

 

 

 それは、カズマパーティが屋敷でゆっくりとしている時のことだ。

 

 

「〜♪」

 

「アークウィザードは退場っと」

 

「あー!こ、これでは爆裂魔法が!」

 

「か、カズマさん強くないですか…?」

 

「…ふふっ」

 

 

 アクアはソファーの上で寝そべり、カズマとめぐみん、ゆんゆんは懐かしのボードゲームを持ち出して遊び、ダクネスは小説を読みながら、皆の楽しそうな光景を見て笑みを浮かべていた。

 

 そんな時、屋敷の外から放送が流れ始めた。

 

 

 『緊急クエスト!緊急クエスト!街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まってください!繰り返します。街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まってください!』

 

 

 カズマはまた緊急クエストか…と思ったが、どうやらいつもと違うようだ。

 

 と言うのも、呼び掛けている声はいつもの人の声なのだが、いつもの緊急の呼び出しよりも、その声が上擦っている。

 

 やがて、呼び出しの声が一際大きく、悲鳴じみた声になる。

 

 

『普段顔を出さない方も、皆さん、考えられる最大の武装で、必ず参加でお願いします!』

 

 

 やがて、一拍置いて、声が響く。

 

 

『特別指定モンスター、高額賞金首、機動要塞デストロイヤー接近中!冒険者の皆様は、直ちにギルドに集まってください!!!』

 

 

 室内の楽しげだった空気が凍り、アクアが騒ぎ出す。

 

 

「に、逃げるのよ!遠くへ逃げるの!デストロイヤーが来ない場所に逃げるわよ!」

 

 

 色んな物をひっくり返し、ワタワタしながらアクアが言った。

 

 その隣では、既に荷造りを終えためぐみんの姿。

 

 背には大きなリュックを背負い、達観した様にお茶を飲んでいる。

 

 

「こんな時、元より失う物の無い私は強いですよ。この際ですから、皆で暖かい地方に引越しましょう。そして、そこで毎日皆で楽しく、爆裂魔法でも撃って暮らすんです」

 

「俺夏が苦手だから少し肌寒いところがいいなぁ……ってちがうちがう、どうしたお前ら、ギルドに行かないのか?」

 

「はぁ?カズマアンタ、デストロイヤーに立ち向かう気?」

 

 

 呆れたように、アクアはカズマに言った。

 

 何をしているのか、アクアはリュックサックの中に枕や水筒を詰め込んでおり、まるでこれから「遠足に行きます」という感じの荷造りをしていた。

 

 カズマが更に困惑していると、お茶のお代わりをしているめぐみんがカズマに説明した。

 

 

「カズマ。今この街には、通った後はアクシズ教徒以外は草も残らないとまで言われる、最悪の特別指定モンスター、機動要塞デストロイヤーが向かって来ています。これと戦うとか、無謀も良い所ですよ?」

 

「ねえ、私の可愛い信者達がなぜそんな風に言われてるの?さっきも、この街のどこかの信者から、感謝の祈りを捧げられたのよ?みんな普通のいい子達ばかりだから!」

 

「それでも俺は…この街に愛着があるからな。お前達と出会えた思い出の場所でもある場所をそんな訳もわからん奴に潰されたくない」

 

「か、カズマさん…!」

 

 

 カズマの言葉にゆんゆんが目を潤ませていると、いつに間にかいなくなっていたダクネスの部屋から“ガシャガシャン!”という、鎧の音が響いた。そしてドアがバンッと開き、そこから…ノーフェイスの全身鎧を身に付けたダクネスが立っていた。右手には盾も持っている。

 

 

「カズマ、早くお前も準備をしろ。お前のことだからギルドに行くのだろう?」

 

「…お前ら、ダクネスを見習えよ」

 

 

 そう言って、カズマは呆れた顔を浮かべながら自室に戻る。それを見てゆんゆんも慌ててカズマの隣にある自室へと駆け込み、装備を整えに行った。

 

 そんな二人を見て、アクアとめぐみんは渋々ギルドへ行くための装備の支度をし始めた…。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「おーおー…結構集まってるな」

 

「ですね、それほど大変な事態なのでしょう。逃げたいですが」

 

 

 ギルドには、満員電車の如く冒険者が重装備を身につけて蔓延っていた。

 

 中には顔馴染みの冒険者や、制裁を加えた冒険者___今カズマの顔を見て顔を青くした___や、逆に見知らぬ冒険者なども多々いた。

 

 そんな中でカズマは疲弊している様子のルナの下へと近づいた。

 

 

「…一体何があったんです?一応招集かかったんできたんですけど」

 

「あ、カズマさん!来ていただきありがとうございます!魔王軍幹部を単独で討伐したカズマさんが来てくれれば心強いです!」

 

「う、うん…」

 

 

 「お、カズマじゃねえか!こりゃ今回の緊急クエストは楽勝だな!」や、「カズマにかかればデストロイヤーなんざ逆にぶっ壊してやらぁ!」など、ルナの声によってカズマの存在に気づいた冒険者がカズマを持ち上げる。

 

 カズマは若干照れ臭そうにジャージのチャックを一番上まで上げて口元を隠す。最早トレードマークとなっているカズマのその服は冒険者の中でも当然のものとなっており、一部の冒険者(女性)から小さく黄色い悲鳴が上がっていた。

 

 魔王軍幹部の単独討伐という偉業の影響は高く、カズマは一躍有名人となっているようだ。

 

 

「さて…そろそろ説明が欲しいとこだが」

 

 

 顔をジャージに埋めたまま説明を求めるカズマを見計らったように、ルナが声を張り上げて冒険者達の騒々しさを止めた。

 

 

「お集まりの皆さん!本日は、緊急の呼び出しに応えて下さり大変ありがとうございます!只今より、対機動要塞デストロイヤー討伐の、緊急クエストを行ないます。このクエストには、レベルもクラスも関係なく、全員参加でお願いします。無理と判断した場合には、街を捨て、全員で逃げる事になります。皆さんがこの街の最後の砦です。どうか、よろしくお願い致します!」

 

 

 その言葉の後にギルドの職員達がギルド内の全てのテーブルを寄せ集め、即席の会議室のような空間を作った。

 

 既にギルド内の空気は尋常じゃ無いほどに張り詰めており、カズマは少し冷や汗を垂らしながらもギルド職員に勧められた椅子に座った。

 

 

「それではお集まりの皆さん、只今より緊急の作戦会議を行ないます。どうか、各自席に着いてください!」

 

 

 冒険者達は職員の指示に従い、椅子に着席する。

 

 全員が椅子に座ったことを見渡して確認した職員は、生唾を飲みながら声を発した。

 

 

「さて、それでは。まずは、現在の状況を説明させて頂きます!……えっと、まず、機動要塞デストロイヤーの説明が必要な方はいますか?」

 

 

 その職員の言葉に、カズマを含む数名の冒険者が手を上げた。

 

 それを見て、職員が一つ頷き。

 

 

「機動要塞デストロイヤーは、元々は対魔王軍制圧兵器として、魔道技術大国ノイズで造られた、巨大ゴーレムの事です。国家予算から巨額を投じて作られたこの巨大なゴーレムは、外見は蜘蛛の様な形状をしております。大きさは、以前皆さんが掘った、宝島にも劣りません。魔法金属をふんだんに使い、外見に似合わない軽めの重量で、八本の脚で馬にも匹敵する速度が出せます」

 

 

 デストロイヤーはよほど有名なのか、ほとんどの冒険者達はそんな事は知っているとばかりに頷いている。

 

 

「特筆するのは、その巨体と侵攻速度です。凄まじい速度で動く、その八本の脚で踏まれれば、大型のモンスターとて挽肉にされます。そしてその体には、ノイズ国の魔道技術の粋により、強力な魔力結界が張られています。これにより、まず魔法攻撃は意味をなしません」

 

 

 それを聞いている冒険者達の表情が、微妙に暗くなっていく。

 段々、いかに自分たちが無謀な戦いをしようとしているのかが分かってきたからだろう。

 

 

「魔法が効かない為、物理攻撃しか無い訳ですが……。接近すると轢き潰されます。なので、弓や投石などの遠距離攻撃になりますが……。元が魔法金属製のゴーレムな為、弓はまず弾かれ、攻城用の投石器も、機動要塞の速度から運用が難しいと思われます。それに、このゴーレムの胴体部分には、空からのモンスターの攻撃に備える為、自立型の中型ゴーレムが、飛来する物体を備え付けの小型バリスタ等で撃ち落し、なおかつ、戦闘用のゴーレムが胴体部分の上に配備されております」

「そして、その機動要塞デストロイヤーがなぜ暴れているのか、ですが……。研究開発者が、この機動要塞を乗っ取ったと言われています。そして、現在も機動要塞の中枢部内にその研究者がおり、ゴーレムに指示を出していると言われています。速度が速度ですので、すでに荒らされていない地は殆ど無く、その蜘蛛の様な脚で、どれほどの悪路でも踏破してしまいます。現在の所、人類、モンスター合わせ、平等に蹂躙していく機動要塞。それがデストロイヤーです。現在、これが接近してきた場合は、唯街を捨て、通り過ぎるのを待ち、そして再び立て直すしか方法が無いとされています。正に、天災として扱われております」

 

 

 あれほどざわついていた冒険者達は、今はシンと静まり返っていた。

 

 

「……現在、機動要塞デストロイヤーは、この街の北西方面からこちらに向けて真っ直ぐ侵攻中です。……では、ご意見をどうぞ!」

 

 

 控えめに言って、今説明された言葉を冷静に整理すると、カズマの脳内では一番先に“無謀”の二文字が浮かんだ。

 

 魔法無効、その上物理に対しての耐性がかなり高い金属を使った装甲。

 

 そんなもの、地球に現れても、どの国でも対処できないだろう。厄介なものだとカズマはため息を吐いた。

 

 

「…科学と魔法…これほど厄介な組み合わせはないな」

 

 

 隣で水絵(ウォーターアート)を描いているアクアがカズマのその言葉に頷く。冬将軍に多大なダメージを負わせた魔榴弾も、大雑把に言えば科学と魔法を掛け合わせた兵器なのだ。その厄介さは、少し兵器発明に携わったカズマでも分かっていた。

 

 仮にカズマが魔榴弾を『ワープ』でデストロイヤーに転送しても、恐らく大したダメージは与えられない。物理が強いのならば強力な魔法を行使すれば良いのだが、魔法無効の結界が貼られているため魔法は使えない。

 

 ___“詰み”か。

 

 

「……あの、そのノイズ国ってのはどうなったんです? 造った国なら、それに匹敵する何かを造るなりなんなり、出来ないんですか? あと、弱点ぐらい知ってたり……」

 

 

 ある冒険者が手を挙げて発言した。その質問に、職員はすぐさま受け応えた。

 

 

「滅びました。デストロイヤーの暴走で、真っ先に滅ぼされました」

 

 

「……他に、ありませんか?」

 

 

 職員が促した。

 

 それに、また別の冒険者が手を上げる。

 

 

「そんなの、街の周りに巨大な落とし穴でも掘るとか」

 

 

「やりました。エレメンタルマスター等が寄り集まって、地の精霊に働きかけ、即席ながらも巨大な大穴を掘り、デストロイヤーを穴に落としたまでは良かったのですが……。機動性能が半端なく、なんと、八本の脚を使い、ジャンプしました。上から岩を落としてフタをする作戦だったそうですが、その暇も無かったそうです」

 

 

「…………」

 

 

 思わず場が静まり返る。

 

 

「……他にありませんか?」

 

 

 また一人の冒険者が手を上げた。

 

 

「魔王軍の連中はどう対処してるんだ。魔王の城は蹂躙されてはいないのか? 連中はどうやってデストロイヤーから身を守っているんだ。連中だって困ってるんじゃないのか?」

 

「あの城には強力な魔力結界がある様です。人類の力ではとても張れない様なヤツが。結果、自分達には被害は無いので、デストロイヤーを破壊しようとしてくれる気配はありませんね。彼らにとって、野良モンスターが蹂躙される事は、取るに足りない事でしょうから」

 

 

 職員が、静かに言った。

 

 

「他に、ありませんか?」

 

 

 ギルド内はあーでもないこーでもないと、会議は難航していた。

 

 機動要塞にロープか何かで乗り込めないかと言う意見が出れば、速過ぎて無理だと反対意見が出る。

 

 デストロイヤーを越える巨大なバリケードは造れないのかとの意見が出れば、職員が、壁を迂回して踏み潰して行った例があると告げ、静まり返った。

 

 魔法は効かない、接近したら踏まれる、空からの攻撃も撃ち落とされる。

 

 しかも、それらが迅速に行なわれる。

 

 カズマが静かに話を聞きながら、更新されていくデストロイヤーの情報を整理しながら攻略法を導き出している途中、カズマの近くにいる冒険者…テイラーが声を掛けた。

 

 

「なぁ、お前さん何か案は思いつかないか?あのデュラハンを討伐したっつーから機転は効くと思ったんだが…」

 

「…正直、火力はなんとかなるが、魔法無効の結界が一番厄介だ。それがなんとかできれば……できれば…!」

 

 

 ガタッとカズマが立ち上がった。

 

 その所為で案を出し合っていた冒険者達が一斉にカズマを見るが、カズマはそれを無視して、“アクア”に問いかけた。

 

 

「アクア、お前確か『セイクリッド・ブレイクスペル』って魔法持ってたよな……って、上手いな、なんだそれ」

 

「んー、持ってるわよ?まぁその結界を破れるかは賭けになるけど。これカズマよ」

 

 

 カズマ達の声を聞いていた職員が大声を上げた。

 

 

「破れるんですか!?デストロイヤーの結界を!?」

 

「ンー…確約はできないが、こいつの腕は確かだと言っておく」

 

「それでも構いません!少しでも可能性があるなら…あ、あと火力の問題があるんですが、そちらはなんとかなるって言ってましたよね」

 

「あぁ。うちには良くも悪くも…イカれた“偉大な魔法使い”がいるからな」

 

「で、ですがカズマ…私の爆裂魔法の威力でも壊しきれないと思いますが…」

 

 

 と、顔を真っ赤にして口をモゴモゴと動かしながら喋るめぐみん。どうやらカズマの言った“偉大な魔法使い”というセリフで出会った頃のことを思い出したのだろう。

 

 そんなめぐみんの頭をポンと撫でながら、カズマは自信ありげに言った。

 

 

「いるだろ、もう一人。めぐみん以外のアークウィザードで、尚且つ凄腕が…!」

 

 

 

「すいません、遅くなりました……! ウィズ魔法店の店主です。一応冒険者の資格を持っているので、私もお手伝いに……」

 

 

 

 

 







 最後に出てきた凄腕のアークウィザードとは___!?

 少し時系列が乱れていますが、そこら辺はご容赦ください。

 それでは、次回もお楽しみに…
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