【この素晴らしい世界に祝福を!】カズマはのんびりと魔王討伐を志す様です。   作:よるくろ

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 ついにデストロイヤー戦…

 まさか自分がここまで書けるとは…

 


【31】 機動要塞デストロイヤー【中】

 

 

「…デカイな」

 

 

 カズマが、ポツリとつぶやいた。その言葉に、隣にいた冒険者が思わず頷く。

 

 カズマから見て遠目に見えるその巨体。八本程ある脚を忙しなく動かしながら迫ってくるその光景は恐怖でしかなく、寄せ集まっている一部の冒険者はガタガタと震えながらデストロイヤーを睨みつけている。

 

 

「ちょっとウィズ!大丈夫なんでしょうね!大丈夫なんでしょうね!?」

 

 

 ウィズの隣で魔法の準備をしているアクアが、ウィズに何度も何度も確認している。カズマからかなり離れたところにいるが、それでも余裕で声を拾える声量だ。

 

 

「大丈夫です、任せてくださいアクア様。これでもリッチー、最上位のモンスターの一人ですから。アクア様がアレの魔力結界を打ち破ってくれれば、後はお任せを!……もし失敗したら、皆で仲良く土に還りましょう」

 

「冗談じゃ無いわよ!冗談じゃ無いわよ!!」

 

 

 全くである。

 

 やれやれと頭を振るカズマは、隣でガタガタと震えているめぐみんに目を向ける。

 

 完全に緊張しており、丸まった背中には冷や汗によるシミができていた。

 

 

「だだだだ、だい、大丈夫です!わわわ、我が爆裂魔法で、消し、消し飛ばしてくれるわっ!」

 

「落ち着け、あんなのベルディアの『死の宣告』よりもっとマシだろ」

 

「それはないです!か、カズマから見れば大したことないんでしょうが、わ、わわ私から見たらより大きく見えるんですよ!」

 

「まぁ小さいもんな」

 

 

 「あぁん!?」という風にカズマの顔を見るめぐみんを無視して、カズマは段々と姿を大きくさせるデストロイヤーに目を向けた。

 

 本当にデカイ。気休めのようなもので、木と木の間を縄や網で張り巡らせ、クリエイター達が制作したゴーレムなども配置している。

 

 その真ん中には、大剣を地に突き立てて、それの柄の部分に両手の平を置き、全身甲冑に合わせ、鎖を編み込んだ重いマントを羽織ったダクネスがただ一人、街を守護するかの様に、巨大な機動要塞を前にして、怯むことなく立っていた。

 

 

「…本当に、見てくれだけはカッコいいな…少し行ってくる」

 

「へっ、か、カズマ!?」

 

 

 カズマは『ワープ』でダクネスの下へ転移し、隣に立つ。

 

 

「…カズマか」

 

「あぁ、俺だよ。…本当に、この配置でいいのか?」

 

「…それは」

 

「デストロイヤーの進路だけあって、ここは最も危険なポジションだ。もしもアクアの魔法が効かなかったら、とか、爆裂魔法で脚を破壊できなかったらとかの要因が一つでも発生すれば、ここアクセルは不毛に大地と化すだろう。勿論、アレの先にいるお前もだ」

 

 

 カズマは、そこから先は言わなかった。ダクネスならこの先の言葉を察してくれるだろうと思ったからだ。

 

 

「…………この私は、貴族の娘。この街を守る義務がある。……本来ならば、その義務はこの地の領主なのだが、そいつがどんな奴かは既に説明しただろう?」

 

「あぁ、控えめに言ってクソだ」

 

「元々この地はダスティネス領。父が、王の懐刀と呼ばれ、長く王都勤めを命じられた時にこの地を国に返還し……。今は、王都の近くに広大な所領を拝領してはいるが。それでも、私にはこの地の住人を守る義務がある。私はそう思っている。だから……。無茶だと言われても、ここからは何があっても一歩も引かん」

 

「…ふふ、やっぱりそこら辺は貴族か。我儘なお嬢様だな?」

 

「…貴族は嫌いか?」

 

 

 カズマは少し黙り込んで、答えた。

 

 

「古典的なクソ貴族は嫌いだが…お前みたいな正義感に溢れる、素晴らしい貴族は好きだ」

 

「んっん!……そうか」

 

 

 その言葉を皮切りに、カズマは『ワープ』でめぐみんの隣に戻る。

 

 未だにめぐみんはガチガチに震えており、カズマはダクネスの説得に失敗した旨を伝えると、めぐみんは震えた声で、

 

 

「そ、そそ、そうですか……!や、やらなきゃ……!絶対やらなきゃ……!」

 

 

 重大な会議に参加する前の一般社員のようだ。

 

 カズマはそんなめぐみんの顔と同じ目線になるように膝を曲げて、目を合わせる。呆れたようなカズマの顔がめぐみんの視界に入り、そして…

 

 

「落ち着けっ」

 

「あうぁっ」

 

 

 額に“ズビシッ!”と人差し指を当てた。目を瞑って怯むめぐみんは情けない呻き声を上げて帽子を落とし、それをカズマが拾う。

 

 

「お前は慌てた時はポンコツだが、落ち着いて対処している場合は俺以上に機転が効く。魔法の知識とかも俺より上だ。そんなヤツが、こんなところで狼狽えてどうする」

 

「ですが…今回は絶対に失敗できないんですよ?」

 

「それはいつもだろ。クエストでも失敗は許されない」

 

「で、ですが…」

 

 

 もう一度めぐみんの額を突いた。

 

 

「もしもの時は俺がいる。失敗しても、俺に任せろ」

 

「……………はいっ!」

 

 

 めぐみんに帽子を被せて、カズマは前を向いた。

 

 

『冒険者の皆さん、そろそろ機動要塞デストロイヤーが見えてきます! 街の住人の皆さんは、直ちに街の外に遠く離れていて下さい! それでは、冒険者の各員は、戦闘準備をお願いします!』

 

 

 遠く離れた、坂になった丘の下から、最初にその頭が見えてきた。

 

 感じるのは軽い振動。まだほんの僅かな物だが、確かに大地が震えている。

 

 “重量は戦艦級、スピードは馬並みか?”とカズマは冷静に『千里眼』でその姿を確認して判断した。

 

 めぐみんの放つ爆裂魔法を見てきたカズマは、その姿を見て、とてもじゃないが爆裂魔法で脚四本を破壊できるとは思えないと、『千里眼』を切った。

 

 

「…さてと…」

 

「戦闘準備ーッッッ!!!」

 

 

 その号令に冒険者達は武器を構える。

 

 だが大半は武器を構えたままパニックになっている。無理もない、この町に集まった冒険者は駆け出しが殆どなのだから。

 

 

「…そろそろか」

 

 

 デストロイヤーが迎撃地点に近づいているのを確認して、カズマは息を吸い込む。

 

 アクアが魔法を撃つタイミング、めぐみんとウィズが魔法を撃つタイミング、それらはカズマに一任されている。正直辞退したかったカズマだが、若い駆け出し冒険者から羨望の眼差しを向けられるとどうも断るわけにもいかず、職員からギルドが保有する拡声器などを受け取っている。

 

 デストロイヤーがすぐそこまで接近している。それは見上げんばかりの圧倒的な威圧感。

 

 現場指揮なんて任されなければ、そしてダクネスが頑固に留まっていなければ、これは諦めて逃げてしまっていたかも知れない。

 

 カズマはニートだったのだ、あまりハードルを上げないでほしいと切実に思う。

 

 そして、『千里眼』を発動させずとも全体を細やかに確認できる距離まで迫ってきた。

 

 背中の部分を空母の甲板の様に平らにし、そしてその上に、まるでヤドカリの様に砦みたいな建造物を乗せ、それ以外にも甲板の部分の所々にバリスタを搭載した、蜘蛛の様な外見の巨大ゴーレム。

 

 機動要塞デストロイヤー。

 

 ふざけた名前とは裏腹に、宝島にも匹敵するその巨大な移動要塞は、仕掛けられた数々の罠も物ともせずに、地面を踏みしだく轟音を響かせる。

 

 カズマは、指示を行った。

 

 

『アクア!今だ!』

 

 

「『セイクリッド・ブレイクスペル』ッッ!!!」

 

 

 カズマの指示の下、魔法を発動させた。

 

 アクアの足元で展開された魔法陣が浮かび上がったかと思うと、それは光の球を生み出し、アクアの手の上に収まる。

 

 アクアは気合とともに息を吐き出し、それをデストロイヤーに撃ち出した。

 

 

「ハァッッ!!!」

 

 

 撃ち出した光の玉がデストロイヤーに触れると同時に、一瞬デストロイヤーの巨体に薄い膜の様な物が張られたが、それがガラスでも砕く様に粉々に弾け飛んだ。

 

 ここまでは計算通り、次に『爆裂魔法』で機動性を奪う工程へと移行した。

 

 

『めぐみんっ!ウィズっ!』

 

「はい!」

 

「行きます!」

 

 

 既に詠唱を終わらせた二人が魔力の収束をデストロイヤーに定め___撃ち出した。

 

 

「「『エクスプロージョン』ッッッ!!!」」

 

 

 全く同時に撃ち出された力強い一撃は真っ直ぐと目標に向かい…デストロイヤーの脚を、一本残らず破壊した。

 

 

 





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 カズクリ最高!や、カズクリ最高!や、カズクリ最高!等の感想待っています。

 それでは、次回もお楽しみに…
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