【この素晴らしい世界に祝福を!】カズマはのんびりと魔王討伐を志す様です。 作:よるくろ
さて、皆さん大好きなあの悪魔が登場、いったい誰なんでしょうか…
悪感情ってどんな味がするんでしょうかね()
それでは、どうぞ…
【36】 とある地獄の大悪魔
ただでさえ寒かった冬が本格的に始まり、雪が降り始めてきたアクセル。こ
んな天候ではクエストなどできないため、朝っぱらから飲んだくれている冒険者がしばしば…、そんな中、カズマは屋敷の中で本格的な兵器作りに専念していた。
場所は地下室、かつてアンナが眠っていた所だが、今ではカズマの作業部屋と化している。今までは小道具などを用いていたが、最近になって臨時収入が入ったため本格的な道具を購入することができていた。
因みに臨時収入というのは、デストロイヤーの討伐報酬である。撃退作戦にて参加した人数が130人余り居り、尚且つ討伐報酬が三十億エリスとギルドからキリの良い金額に上げてもらい、それぞれ参加者に二千三百万エリスが贈呈されたのだ。
その中の六百万エリス程を使い、工具を買ったカズマ。ワクワクしたような笑顔で机上の物を弄るその姿は、完全に夏休みの自由工作を作る小学生のようであった。
尤も、自由工作よりも危険な代物を作っているのだが。
「…うーん、やっぱり魔力回路がおかしくなる…“銃”ってこんなに難しいのか」
銃。
それは男の子の憧れであり、同時に生き物を殺すことに特化した武器である。
有名なコルトパイソンから始め、M27などの拳銃や、アサルトライフル、SMG…江戸の頃から歴史と共に歩み続け、様々な進化を遂げた、人類史上最も扱い易く、殺し易く、恐怖を与え易い兵器だ。
この異世界に於いて、拳銃などの現代兵器は御法度という暗黙の了解があるが、そんなもの、死を間近に感じた者からすればどうでも良い事なのだ。
だがいざ作ろうにも、まず作り方を知らないため、記憶の中にある形に沿って、中身の構造を一から作るしかない。流石のカズマもそこまでの知識は全くないため、魔導具の中に存在する魔力回路を併用した銃を作ろうと試行錯誤しているのだが、ここ三日間全く進捗がないのである。
カズマはその事実に頭を抱えながら、机上の作り掛けの武器を見下ろす。
「ンー……………」
硬直しまま数秒。気分転換に外へ散歩に行こうかと、ヤケクソ気味にコートを引っ掴んで地下から地上へと上がるのに三秒も掛からなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
雪がチラチラと降り、地面や屋根の上を真っ白に染める中、カズマは自作の傘を刺しながら雪を踏みしめ、歩みを進めていた。
番傘、という傘だ。一番作りやすかったと言うのもあるが、日本が恋しくなったカズマが少しでも“和”の要素を含む物を作ろうとしたのが、この傘だ。
メンバー用にも作ってあるが、緑色の中に白い円が描かれているこの傘が最高傑作だとカズマは自負している。この完成度なら作って販売してもいいかもしれないと、カズマは傘の裏側を眺めながらそう思った。
「…そろそろ小腹が空いてくる時間か」
クゥ…と静かに鳴る腹部を抑えて、カズマは何処か良い店はないかと探す。だがどこも雪の影響で休業しており、カズマが望む飲食店はどこにもなかった。
暫く歩くと、ウィズの店が見えてきた。丁度良いと、少し激しさを増してきた雪から避難しようと、雨宿り…雪宿りをしようと少し急いだ。
カランカランと客がやってきたことを知らせるベルが鳴る。毎度毎度出迎えをするウィズの声を予想しながらカウンターへと目を向けると…そこには見知らぬ“仮面をつけた男性”が居た。
「へいらっしゃい!へっぽこアークウィザードが運営する魔道具店へようこそ!オススメはそこの棚に置いてある赤いポーション、蓋を開ければ爆発するポーションである。値段は少々高めではあるが、何処かの店の会計時に開けるそぶりを見せれば相当なリターンが返ってくるであろう」
「ちょっと“バニル”さん!そういう商品紹介はお客が減るのでやめてください!」
「減るも何も閑古鳥の鳴くこんな店に客など来んわ!」
「酷いっ!」と涙目でバニルと呼ばれる男に怒るウィズ。確かに客は少ないよな…とカズマが思うと、バニルという言葉に記憶の中の情報が引っ掛かった。
その単語に関する言葉を前に聞いたことがある気がして…思い出した。
「…まさか、魔王軍のバニル…?」
「ふむ、名前だけという少ない情報で良く見抜けたものよ、小僧。観察眼ならば我輩に匹敵するかもしれんな」
「『見通す大悪魔』さんに褒められて光栄だよ…というか、駆け出しの街に魔王軍幹部来すぎじゃないか?これで三人目だぞ」
「む…確かに、魔王軍幹部が三人とは少々過剰戦力であるな…だが魔王軍とこの街には因果関係が全くと言って良いほど無い、ならば偶然であろうな」
魔王軍幹部バニル。『見通す悪魔』として名を馳せるこの悪魔は、魔族に於ける公爵の地位に位置する。
人的被害は全くと言って良いほど“ある”が、それは外傷的ではなく、精神的なものだ。例えば男が惹かれる美女に変身して男を釣り、そして営みを始める寸前で変身を解き、悪感情を生み出させるなど、人間が生み出す悪感情を糧として生きる大変な悪魔だ。
更にタチが悪いことに、噂では魔王より強いかもしれないというそのチートっぷり。恐らく、公爵級悪魔特有の『残機』や『地獄にいる本体』がチート足らしめる厄介な要因なのであろう。
その上『全てを見通す』と来た。
ソファの下に隠してあったゆんゆんの“大量の付箋が付いた悪魔辞典”からその知識を引っ張り出したカズマは、目の前のチートの権化たる悪魔を見て、溜息を吐いた。
「どうした、最近とある仲間との身長差を気にして、パーティに隠れて乳製品などを摂取している低身長よ。身長を伸ばすことに関しては諦めが肝心であるが、厚底のブーツなどを履いて誤魔化せば後々恥をかくぞ」
「お前…っ!」
「おぉ、中々の悪感情、美味である!フハハハハハ!…こっ、こらっ止めろ!なぜ初対面の相手の仮面に気安く手を掛けるのだ!仮面を引き剥がそうとするな!」
羞恥心で顔を赤くしたカズマがバニルの仮面を掴み取りにかかり、バニルは思ったより力の強いカズマへ抵抗する。暫く均衡状態であった掴み合いは、とある出来事によって終了した。
「ふ、二人共店の中で暴れな___きゃっ!」
「えっ」
「あ“っ」
原因は、あわあわと二人をどうにか収めようと、一歩踏み出し、ロングスカートを踏んでしまい、バランスを崩し、“爆発するポーションが置かれている棚”へ頭から突っ込んで、棚のポーションを“爆破させた”犯人である、ウィズだった…。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「こっこっこの!このポンコツ行き遅れ年増ポンコツなんちゃってアークウィザードが!商才だけでなく日常生活までもポンコツか!幸いこの小僧がスキルでまだ爆発していなかったポーションを取り寄せ最低限に収めたは良いものの、それが無かったら我輩の残機が無駄に減った上に店まで無くなってしまうところだったぞ!なんとか言ったらどうだこのツルツル脳みそが!」
「ふ、ふええええぇぇ!」
「危なかった…マジで、本当に危なかった…ッッ!!」
ほんの数瞬、瞬きをする間ではあるが、カズマは『
その間僅か0.5秒ほど、命の危機をフルマックスで感じたカズマだからこそできた芸当である。とはいえ、実際爆破してしまったポーションがあるため、店内は損大なダメージを負っている。
カズマに感謝しつつも、そろそろ度を過ぎたおっちょこちょいをフルで発揮するウィズに、ブチ切れたバニルが黒焦げになっているウィズを、何度も何度もガクンガクンと胸元を掴んで揺らし、説教をしている。
バニルと喧嘩していたとはいえ、ウィズのおっちょこちょいに完全に巻き込まれた側であるカズマは「あれ、俺何しに来たんだっけ」と現実逃避気味に黒く焦げた床を眺め、目に光を無くす。
気分転換として出掛けたカズマの散歩は、悲惨な結果になって終わりを告げた。
実は密かに身長のことを気にしていたカズママ…最近の悩みは幾ら経っても身長に変動がないこと!終焉を迎えた
伸びていない現実から目を覚ましたくて、毎日柱に同じ場所に傷を付けて柱に深い傷残したく無いですよね…それか乳製品とか飲んだのに、柱に行ってみれば何故か頭の少し上にある
次回はどんな内容にしましょうか…
では、次回もお楽しみに…