【この素晴らしい世界に祝福を!】カズマはのんびりと魔王討伐を志す様です。 作:よるくろ
だがcut and pasteを使えば安心だ!
さぁみんな!困った時はcut and pasteだッ!
ジャイアントトードの討伐クエストから後日、カズマとアクアはギルドの食卓でジャイアントトードの唐揚げを頬張っていた。日々の疲れが取れるように感じる時は、やはりこの時なんだろうとカズマは思った。カズマは2、3個食べただけで、アクアに全て渡したが。そしてカズマがステータスカードを見ている時、唐揚げを食べ終わったアクアが神妙な顔で突然話題を振り出した。
「…仲間を増やしましょう」
「なんで?」
「クエストの効率が悪いからよ!カズマってばいっつも私を囮にしてるじゃない!」
半泣きでカズマを責め立てるアクア。だが当の本人は冷ややかな目でアクアを見ている。ため息を吐いて、アクアの講義への正論な反論をぶつける。
「いやまぁ、囮にしてるのは認めよう。だけどお前逃げ回るばかりでカエルに攻撃しないどころか、俺を巻き込んで捕食されるじゃん。今日だって何回カエルの腹の中にボットンしたと思ってんの?」
「うっ…そ、そんなに言わなくっても良いじゃない!こうなったら、メンバー募集をしましょう!」
そうと決まればとアクアはルナさーん!と大声を発しながら受付に行き、メンバー募集用の紙を貰う。そして机に戻ってきて、募集用紙に記入を始めた…。
〜〜〜〜数分後〜〜〜〜
『女神アクア様率いるパーティーへ来てみませんか?アクア様のパーティーに入った方は『パーティーに入ったら彼女ができました!』や『アクア様のパーティーに入ったら強くなれました!』との感想が増えています!さぁそこの貴方も女神アクア様率いるパーティー入ってみませんか!?(上級職のみ)』
「馬鹿かお前は」
「あたぁ!?」
カズマは
「何すんのよ!禿げるじゃない!」
「叩いたら治るだろうと思ってな」
「私は昭和のテレビじゃ無いのよ!?」
カズマとアクアがそんなバカをしているうちに、ギルドの窓からさす光が段々と赤みを帯びてきた。もうすぐ日が暮れる合図だ。
クエストからボロボロになって帰ってくる冒険者達も多くなり、それまであまりいなかった客の数は一気に満席になるまでに増えた。ガヤガヤと騒がしい冒険者達の憩いの場は酒と料理の匂いで充満している。
「…帰るか」
「そうね、疲れたから寝たいし…」
欠伸をしながら立ち上がったアクアは、ギルドから歩いて出て行く。カランカランと音を立ててしまって行くドアを見てカズマはため息を吐いて、机の上に放置された募集用紙を少し修正しながら、ギルドの掲示板にペタリと貼った。
周りを見ると、酒を呷る筋肉質な女性、肩を組みながらお互いに酒を飲ませ合う男達。彼らはクエストで溜まった疲れを吹き飛ばすように騒ぎ散らしている。カズマは、それが少し羨ましく思い、ギルドの扉から出ていった…。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
外へ出ると辺りはすっかり暗くなっており、灯りとなるものは道端の街灯や露店の電気だけ。だが夜の街は人は多く、街道には多くの老若男女が蔓延っていた。
カズマはその人通りの多いところを避けながら道端をゆっくりと歩いて、先程のパーティ募集について考える。アクアが言ったように、カズマのパーティーは確かに人手不足だ。何せ二人だけなのだから。
「…アクアがなぁ…」
戦略としては、前衛で後衛のアクアを守りながら戦う…なんてことはなく、何故か前衛であるカズマを“突っ切って”カエルに“突撃”するアクアを囮にしながら、アクアが喰われた瞬間を狙ってカズマが背後から倒す、囮戦法。
こんな戦略を毎日続けては流石にアクアが不憫すぎると思い、アクアの珍しくまともな提案に乗ったカズマだが…本当にあの募集でメンバーが来るのかと、ため息を吐きながら夜の街を歩くカズマ。その背には、少しの哀愁が漂っていた…。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
少し時が経ち、少しの星空が見え、段々と街道から人がいなくなってくる時間になった。露店の屋台を畳む者も多くなり、街道を照らす光は街灯だけとなる。カズマは肌寒くなった空気に体を震わせ、体を温めようとまだ開いている屋台を見つけて、ポケットの中のエリスを握って近づいた。
「おっちゃん、まだやってる?」
「おぉ坊主、今から店畳もうとしてた所だ。何か頼むか?」
「なんか温かいものはあるか?ちょっと肌寒くてな…」
「確かに今日はちと寒いな、んじゃあコーンスープはどうだ?前に紅魔族みたいな黒髪のにいちゃんが教えてくれたんだけどよ」
「へぇ…じゃあそれを頼む」
「あいよ、ちょっと待ってくれ」
そういうと、店主は鍋の中でグツグツと音を立てて煮られているコーンスープの蓋を開ける。とうもろこしの甘い香りが辺りに広がり、近くでズリ…ズリ…と這いずる音が聞こえた。
「…?」
「どうした?」
辺りを見るが、人影はない。それでもズリズリと這いずる音が聞こえる、それは店主にも聞こえたのか、怪訝な表情を浮かべている。2人揃ってキョロキョロと辺りを見渡してみると、店主が何かに気づいたみたいだ。
「…ん?」
「何か見つけたか?……なんだアレ」
カズマも店主が顔を向けている方向に顔を向けると、その方向にはこちらの方へ腹這いになって這いずってくる、“少女”がいた。地面を掴んで体を運び、こちらを見る目は紅色に輝いている。
ボソボソと何かを呟き続けており、ズリズリと汚れることも躊躇せずに這いずってくる姿は、まるで日本の貞○を連想させる。
「食べ…物…」
その言葉を呟いた瞬間、少女はカズマに飛びかかった。まるで獣のように飛び上がりながら、綺麗な弧を描いてカズマへと飛びつきカズマを押し倒す。突然の硬直していたカズマもようやく意識を取り戻し、困惑しながらも引き剥がす。
そして顔を見ると、言葉を失った。少女の顔は痩せこけていたのだ。それに手や足、胴体までもが癌患者のような酷く細い体になっていた。
店主もそれを見て事態を察したのか、屋台内の鍋から器にコーンスープを注ぎ、木製のスプーンと共にカズマに渡す。受け取ったカズマは段々と生気がなくなっていく少女の口に掬ったコーンスープを注ぎ込み、少女の体に負担がかからないように正座をして、膝の上に少女の頭を乗せる。
「ん……ごくっ…」
ゴクリと飲み込む音が聞こえ、カズマは少し安堵の表情を浮かべる。引き続けにコーンスープを掬っては飲ませるという作業を繰り返し、それは少女が安心しきったような表情を浮かべて眠るまで続いた…。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ふぅ…危なかったな、この嬢ちゃん」
「あぁ、見たところ冒険者のようだが…どこのパーティだコイツ」
「分からん…ん?いや、この嬢ちゃんどっかで………あっ!」
「何か思い出したか?」
「そういやこの嬢ちゃん、アクセルの町じゃ『爆裂狂』って呼ばれてるやつだ」
「『爆裂狂』?」
「あぁ、威力は絶大だが消費魔力が多すぎて、一発限りしか放てない究極のネタ魔法、『爆裂魔法』をアクセル近辺でぶっ放してる危険人物だ」
「へぇ、こんな小さい子がなぁ…」
安らかな寝顔を見ているとそうは見えないな、とカズマは言葉を溢す。カズマの膝の上で眠る少女の髪を撫でながら、カズマはポケットの中から報酬の三分の二を店主に渡す。店主は突然のことに驚きながらもちゃんと受け取る。
「…価格よりだいぶ多いぞ」
「お釣りでこの子の宿取っといてくれ、このまんま見捨てるのは後味悪いし。何より心配で夜も眠れなくなっちまう」
カズマは膝で眠る少女を抱え上げ、店主に渡す。
「…ふっ、お前さん冒険者にしちゃ優しすぎるな。まぁ注文として受け取っておくぜ」
「ありがとな」
そう言ってカズマは屋台から離れる。すると、その背後に、小さくか細い声で、言葉が投げられた。
「…ぁ、りがとぅござぃます…」
「…困ったらうちに来いよ、出来ることなら常識の範囲内でなんでもやってやる」
「…ふふ…言質はとりましたょ…」
その言葉を皮切りに、少女は完全に眠ってしまった。カズマは数秒立ち止まったあと、馬小屋へと続く道を歩くのだった…。
なんか結構ストーリーが変わってきましたね…(犯人)。
一応ここまでで終わりにして、次回でめぐみんパーティー入りの描写を入れ込みます。