【この素晴らしい世界に祝福を!】カズマはのんびりと魔王討伐を志す様です。   作:よるくろ

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 アルカンレティア、到着です。

 さて…()

 それでは、どうぞ…


【40】 水と信仰の都

「それでは、どうぞごゆっくり。ぜひこの温泉街を楽しんでいってください!いや本当に助かりました、ありがとうございました!」

 

 

 カズマ達に何度も頭を下げ、キャラバン隊のリーダーが馬車に乗り込んでアルカンレティアを後にする。

 

 物資を送り終えた馬車もそれについて行き、残ったのはカズマ達と観光客だけだ。

 

 観光客は一足先にアルカンレティアへと行き、カズマはそれを眺めて荷物をまとめる。仲間達も一纏めにしてあった自分達の荷物を分けて、それぞれ片手に持つ。

 

 

「荷物は持ったか?忘れ物はないか?」

 

「バッチリです!」

 

「ダクネスさんとアクアさんも問題ありません!」

 

「よし」

 

 

 アルカンレティア。

 

 ここベルセルグ王国最大の湖に隣接する、国内最大の都である。

 

 名物は温泉や噴水などといった水に関連するもので、今カズマの仲間である…水の女神アクアを崇拝する、アクシズ教徒の本拠点などもここに存在する。

 

 信仰の都とも呼ばれているだけあり、その信仰心は辞書より、聖典より厚い。どれくらいヤバい奴かと言えば___

 

 

「ようこそアルカンレティアへ!ご来場の目的は入信ですか?入信ですよね!ではこちらの紙にサインを頂けると___」

 

「あー…すまない。私はエリス教徒なのだが」

 

「ぺっ!」

 

 

 ___これくらい(唾を吐きかける程)やばい奴らだ。

 

 スゴスゴとどこかへ行くアクシズ教徒の背を見送ってから、カズマはダクネスに目を向けると、そこには顔を赤くして身悶えている“変態(やばい奴)”がいた。

 

 

「…さて、住居区があるんだよな。まずは不動産屋に行くか」

 

「…ですね。まぁこれだけ広い範囲ですし、どこか良い物件が空いてるでしょう___」

 

 

 

 そこから不動産屋に行くまでに、かなりの距離があった上に、道のりは単純ではなかった。

 

 

「あぁっ!」

 

「…大丈夫か」

 

「あぁ、足を怪我してしまいましたわ!この傷を治すには、だれかがアクシズ教に入信しないと治らないとお告げがありました!この入信書にサインを!」

 

「アンタ多分プリーストだろ、足の傷くらい自分でなんとかなるよ」

 

 

 正直、情報収集の時点で嫌な予感はしていた。信仰狂いのイかれ集団、御仲間を集める事に手段を選ばないと言った紹介文に、現物を見る前からげんなりしていたカズマはなるべく関わらないようにアクシズ教徒を避けながら進んだ。

 

 果てしない道のりを経て、不動産屋にたどり着いたのだが…、

 

 

 

 

 

 

 

 

「ないよ」

 

「えっ」

 

 

 すっぱりと吐き捨てられた言葉に、カズマは硬直する。

 

 仮にも観光名所として有名な場所なのだから、移住民を受け入れる施設も完璧なのだろうと踏んでいたのだが…ただ単に、移住民としてでなく“教徒”として受け入れられていた場合なのだと、説明されて初めて理解した。

 

 

「それにねぇ…ここは宿とかはあるけど、住居区なんかごく一部しかないよ」

 

 

 自分で言うのもなんだけど、どうして不動産屋なんかあるんだが、とお婆さんはため息と共に吐き捨てる。

 

 住める場所などは教会などしかなく、一部を除いて泊まり込むためにはアクシズ教に入信するしかないのだと。無論エリス教徒のダクネスと、アクシズ教に悪いイメージしか持っていない残りのメンバーは当然それを却下。

 

 どうしたものかとカウンターで悩んでいると、不動産屋のお婆さんがカズマを見て唸るように話を切り出す。

 

 

「…アンタくらいの見た目なら、イケるかもね…」

 

「…?」

 

「一つ、どうにかなりそうな教会があるよ。ただそこの管理者が曲者でね…アンタにとってはかなりの強敵かもしれないよ。それでもいいかい」

 

「…要するに、力試しで勝てればいいのか?なら大丈夫そうだ、是非そこを紹介してくれ」

 

「…はいよ。…くれぐれも、気をつけるように」

 

 

 相当なバトルジャンキーなのかと少し戦々恐々して、カズマは頷く。仲間を引き連れて不動産屋を出て、お婆さんから渡された地図を頼りに道を進んでいく。

 

 

「…どんな人なんでしょうね?女に目がないって話ですけど…あれ、男性でしたっけ」

 

「同性愛者…レズビアンかもな。狂った信仰心を持つアクシズ教徒だ、そんなとんでもない奴がいてもおかしくない」

 

「こ、怖いです…!」

 

「大丈夫だゆんゆん、もしもの時は私が守ってやる。だからアクシズ教徒から助けて欲しい時は迷いなく私を盾にしてくれ…!」

 

「…ねぇカズマ、ちょっと思ったんだけど、私おとなしくしていた方がいいわよね」

 

「…ん?」

 

 

 突然のアクアの提案に、カズマは少し困惑する。

 

 

「だって、私がアクアだって知られたら混乱するか、嘘をつくなって迫害されるかも知れないわ。だから私をどこかの宿に閉じ込めた方が良かったんじゃないかと思ったんだけど…」

 

 

「アホ」

 

「あだっ!?な、何するのよ?!」

 

 

 手刀を頭頂部に一撃。かなり力を込められた一撃に悶えながら、突然暴挙に出たカズマに文句をぶつけるアクア。

 

 カズマはそんなアクアの文句を一蹴りに、アクアに言葉を送る。

 

 

「お前はそんなこと気にしなくていいんだよ。気兼ねなく生きろ、後始末とかは俺がしてやるから」

 

「…でも」

 

「大体、俺がお前らの事でいくつもの尻拭いをしたと思ってるんだ?たとえ世界敵に回しても、お前らの後始末をする方がよっぽど苦労するね」

 

「…」

 

「俺はお前の元気な姿が見たい。そんな中途半端に腹が埋まって注文の追加を悩むめぐみんみたいな顔すんな」

 

「私はそんな顔してませんよ!」

 

 

 急に飛び火しためぐみんに対する暴露に本人が憤慨する。

 

 この時アクアは、カズマに感じたこともないような感情を向けていた。そう、例えるならば“子が親に安心感を持つ”ような、そんな感情を。

 

 「ふふっ」と笑うカズマに、アクアはそっと俯きがちに近寄る。

 

 そして、

 

 

「…ありがと」

 

「どういたしまして、美しく可愛い女神様」

 

「…ふふ、そうよ!私は美しくて、可愛らしい女神なんだから!ねぇ!あそこ行きましょ!」

 

 

 もうここに、暗い顔をする者はいない。

 

 カズマの腕を引っ張りながら、目についた楽しそうなところを目指して走り行くその足取りは軽そうだ。

 

 暗い顔から一転して彩るアクアの顔は、笑顔で満ち溢れていた…。

 

 

 

 

 







 なかなかどうして無理矢理感。

 カズママの存在を引き立てたくてこんなストーリーにしていましたが、うーん…と釈然としない作者。

 まぁいいかで済ませて投稿を許してしまう自分を殴りたいです。

 では、次回もお楽しみに…
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