【この素晴らしい世界に祝福を!】カズマはのんびりと魔王討伐を志す様です。 作:よるくろ
今回、カズママは受注側ではなく、発注側になります。
アルカンレティアといえば温泉回ですが、今はまだということで。
それでは、どうぞ…
「全く!見ず知らずの相手に抱き付く上に、更に相手の嫌がる言葉を連呼するとは何事ですかこの変態シスター!今後カズマに干渉する場合は私を通して貰いますからね!」
「お姉様って呼んで良いのよ?」
「呼びません!」
小さなセコムによって、頭に大量のタンコブを付けた変態シスター、もといセシリーは正座をして、めぐみんの説教を聞いていた。
だが彼女はどこ吹く風…というより、話を聞いていない。めぐみんのぷりぷりと怒る姿に興奮しているようだが、チラチラとセシリーを警戒しているカズマを見ている。
「…住居決めるの、間違えたかな」
「…もしもの時は私が守ろう」
「…助かる」
「えっと…ウチの信者がごめんなさい」
流石のアクアもここまで酷いとは思っていなかったようで、稀にしか見ることができない素直な謝罪をしている。
気にするなと首を振り、大丈夫そうに見せるが、やはりセシリーへの警戒は解けない。初対面であのようなスキンシップは、“かつてのトラウマ”を思い出させるのだ。
一応懐に魔貫弾を常備して、いつでも取り出せるようにしておいた方がいいだろう。ただし非殺傷でどこに当たっても問題がない威力のだ。
「大丈夫…多分。と、とりあえず俺は全員が寝られる場所を見つけて整備するから、ゆっくり寛いでくれ」
「は、はい、わかりました」
「助けてカズマたん…」
「聞いているのですかこの変態プリースト!」
未だにめぐみんに怒られているセシリーの懇願を無視しつつ、カズマは立ち上がり、前にダクネスからもらったゴムを加えて後ろ髪を束ねる。
それをヘアゴムで留めながら、髪型をポニーテールにして、自分の荷物から掃除道具や整備用具、そしてウィズからガラクタと称して渡された“魔力を流せば酸素を吸い取る”魔導具を取り出して、自作で作ったマスクで口元を覆う。
「じゃ、行ってくる」
手をひらひらと振りながら仲間と、ついにでセシリーにも声を掛けてカズマは部屋を出た。
一歩目から埃が凄く、ここにくるまでの窓は全部開けた筈なのにハウスダストが物凄く舞っている。これは屋敷よりも大変な掃除になりそうだと、カズマは魔道具に魔力を流しながら思った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そして、夜。
ようやく御目に叶う部屋を見つけ、部屋とその部屋に続くまでの通路を掃除し終えた頃に、カズマへ夕飯の支度ができたという知らせがセシリーによって届いた。
最初は興奮しきっていた彼女も今では落ち着きを取り戻しており、初対面の時の行動の謝罪や、教会内の整備をしてくれたことへの感謝を示し、一応はカズマの信用をマイナスからゼロに戻せたと言ってもいいだろう。
それでも警戒は解けないが、もしもまたあの時のようなことが起きたら…と魔貫弾を壁に向かって撃ち、それをセシリーへ向けると彼女は青い顔をして顔をブンブンと振っていた。
「…それで、今日の献立は?」
「えっと…ジャガイモのスープと、黒パンよ。ギリギリ人数分しかなくて、おかわりは出来ないけど…」
「ふむ…それはまずいな、冒険者にとって身体が資本なんだ、もう少し食事の質を上げられないか?」
「…経済的に無理ね。ここの生活環境を見てわかる通り、私は貧困生活を送ってるわ。この辺りに住む住民達もお金がない状況だし、しかも街の端っこの方にある教会だから観光客なんて滅多に寄ってこないの」
「…なるほどな、端的に言えばお金がない…と。ギルドで仕事の斡旋は受けられないのか?」
「ギルドはあるけど、基本的に教会持ちのプリーストは長時間教会を離れられないの。だから受けるとしたら街中でできる報酬の安いクエストしか受けられない、ましてやモンスターの討伐なんてもってのほか、怪我をして宗教活動ができないってアクシズ教徒の名折れよ」
「ふむふむ…解った、経済的な面の改善が必要だな。俺はこの街のギルドに用があるから、先に晩御飯を食べててくれ」
「えぇ、分かったわ。お気をつけて」
セシリー含む、ここの区域の人気の無さ…いや、活気のなさについての原因が分かったカズマは、取り敢えず冒険者ギルドに向かう事にした。
何か仕事がないか、ではなく、何か仕事を依頼できないかという魂胆で向かうのだ。
基本的に、ギルドが冒険者に斡旋するクエストは、主に一般人から始まり、商人や貴族、ごく稀にだが王族からの依頼から成り立っており、その依頼をギルドが冒険者に紹介、またはギルドの掲示板に載せる事で冒険者に仕事を与えているのだ。
そして、依頼をするには、同時に報酬の用意もしなければならない。
「…ここがアルカンレティアのギルドか」
アクセルとは違い、少し厳かな雰囲気を持っている。中からは賑やかさは感じられず、楽しげな雰囲気はあれどもはっちゃけた楽しさはなさそうだ。
まぁ、騒ぎに来たわけではないからどうでもいいが、と少し寂しさを感じながら、カズマはギルドの扉に手を掛けて中に入る。
「…あー、冒険者ギルドで合ってるか?」
中は、まるでレストランのような雰囲気だった。
木製の机にはテーブルクロスが引かれており、椅子にはクッションがある。受付への道には赤いカーペットが敷かれており、まるでドレスコードが必要な店のようだ。
カズマの質問に、奥にいた受付嬢が苦笑して答えを返す。
「合ってますよ、大丈夫です。ギルドへ何か御用でしょうか」
「依頼をしに来た。身分証明書とかは必要かい?」
「特に問題はありませんが、今後当ギルドのサービスを受けたい場合、最低限身分の証明が義務付けられます」
「へぇ…あ、これ冒険者カードです」
「あ、冒険者だったんですね、お預かりします。…!?」
何やら受付嬢がカズマの冒険者カードを拝見した瞬間、驚愕に顔が染まった。
「こ、高レベル冒険者…!えっ男!?」
「男です。スキルに関しては、俺が冒険者だからとしか。アンデッドを気が狂うほど倒してたら自然と覚えちゃってました」
「にしても多過ぎませんか!?」
たははと苦笑するカズマにツッコミを入れる受付嬢だが、落ち着くとコホンと咳払いをして、真面目な表情になる。
「当ギルドへの依頼は何でございましょうか」
「あー、えっと確か…そう、第三協会区の教会の整備だ。セシリーさんって所の教会に住み込むことになったんだけど、俺だけじゃ修理しきれなくて…」
「あー、あのボロ…コホン、風化したような教会ですね?かしこまりました、どこまでの範囲の整備などの希望はありますか?」
「雨風凌げる程度かな…庭も落ち葉広いとか雑草抜きとかしてくれると助かる。報酬は…そうだな、五万エリスで」
「ご、五万も支払うんですか!?」
「え、安い?じゃあ八万くらい」
「い、いえいえ!普通施設の整備となりますと、ニ万エリスが相場なのですが…」
「あぁ、まぁ手を抜かれると困るから、クエストが終わった後に決める感じかな。基本は五万エリスで」
「はぁ…かしこまりました。クエストとして発注されましたので、こちらを」
「…印鑑?」
「クエストが完了したと見込みましたら、代表の冒険者が持ってくる書類に押してください。クエストが完了した証拠となります」
「なるほどな…よく考えられてる」
冒険者カードに自動で記載される討伐履歴と違って、雑用系のクエストなどは代表の冒険者がクエストを完了したという証拠の書類に依頼者にハンコを押してもらう決まりがあるようだ。
今まで雑用依頼をしてこなかったカズマはこういうシステムに感心しながらハンコを受け取り、キャップを取って中を見てみる。
そこには文字が掘られており、この文字が達成したという証拠になるようだ。
「じゃあ、よろしくお願いします」
「はい、またのご来場をお待ちしております」
冒険者カードを返してもらい、カズマはギルドを出た…。
いかがでしたか?
アルカンレティアの冒険者ギルドはお洒落なレストラン風にしてみました。原作のが分からないので…。
次回はクエストを受けに来た少女達が…?
それでは、次回もお楽しみに…