【この素晴らしい世界に祝福を!】カズマはのんびりと魔王討伐を志す様です。 作:よるくろ
今回はオリキャラが出ます。
では、どうぞ…
カズマがクエストを発注してから数日後。
クエストを受けて、とあるパーティが、カズマ達が住んでいる教会を訪ねた。
「すいませーん!クエストを受けに来たんですけどー!」
「あー、はいはい。今行きますよー」
丁度、エプロンと三角巾を装備して、掃除をしていたカズマが、教会の入り口先からの声に気づいて声を掛けた。
手に持っていた雑巾を手放し、扉へ向かう。
そして、扉を開けると、三人組の女性パーティが依頼書を持って立っていた。
「おー、いらっしゃい。君達がクエストを受けに来たのかな?」
「………は、はい!昨日冒険者になったばっかりで…とりあえずこのクエストを受けてみようと来てみたんです!」
「ちょ、ちょっとミオ、とりあえずは無いでしょ。すいません、私達冒険者登録をした時に…」
どうやらこの少女達、地元からアルカンレティアに来て、冒険者登録をしたはいいものの、冒険者登録をする際の登録手数料で金額が底を尽きてしまったらしいのだ。
冒険者登録に手数料が掛かることを知らなかった彼女達は、当然無一文で、装備を買うお金も無い。なので己の身一つで出来ることがないか、クエストを漁っている所、カズマが発注したクエストを見つけたようだ。
「なるほど…確かに絶望的だな。まぁ今回のクエストは出来次第で報酬も上乗せするから、頑張ってくれ」
「本当ですか!ありがとうございます!」
「それじゃ、早速頼みたいことがあるんだけど…」
床掃除、埃取りはカズマが数日の内に終わらせたので、今回、彼女達に頼む仕事は屋根の修復にした。
というのも、現状の教会では雨風凌げるどころか、雨も風も入り放題な状況だ。なので、まずは一番大変な天井、雨を防ぐ所から終わらせたいのだ。
彼女達はすぐに肯定の返事を返して、準備に取り掛かる。カズマも手伝おうとしたが、「危険ですので私達がやります!」と拒否られてしまった。
こういうことはアクセルにいた頃は滅多になかったので、少し珍しく感じたカズマだったが、そういう事ならとカズマは大人しく庭の雑草抜きに専念することにした。
「じゃ、気を付けて」
「はい!すぐに終わらせますので!じゃ、行くよ!ニーナ、ウルル!」
「えぇ」
「はーい」
元気で活発なミオ、しっかり者のニーナ、落ち着きの良いウルル。
個性的で、成長の見込みのある、冒険者としては将来有望なパーティだな、とカズマは梯子を登る彼女らを見て思った。
「さて……こっちも始めるかな」
手に持っている草刈り鎌を持って、カズマは目の前に広がる小麦畑のような雑草の群れに歩み寄った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
しばらくして、視点はミオの方へと移動する。
屋根の修理を始めて、しばらくは無言で作業していた彼女達であったが、少しするとミオから話が切り出された。
「…綺麗な人だったね」
「えぇ…村一番の美少女って言われた私でも、思わず見惚れてしまったわ」
「うん…雲泥の差?」
「ビンタするわよ?」
「身長も高かったし、髪綺麗だったし…あとあと、優しかったね」
「声は少し低めだけど、それを抜きにしても完璧ね」
「…あと、あの人…冒険者かも…」
「「えっ?」」
「…あんまり足音がしなかったのと…重心が常に一定だったから…そんな人って騎士団とか、それと冒険者の人くらいの筈…」
「…言われてみれば、確かに足運びが綺麗だったわね」
少女達はカズマが冒険者かどうか、ウーン…と悩み続けていると、下から声が聞こえた。カズマの声だ。
「おーい!そろそろ休憩しないかー!」
「あ、カズマさんだ。…あれ、良い匂い。この匂いもしかして…!」
「オヤツに“パンケーキ”を焼いたから、食べて良いぞー!」
「「行きますッッ!!!」」「わーい」
ミオとニーナがしゅばっ!と梯子に駆け寄り、我先にと降りようとする。
だがここは屋根の上。新米冒険者がそんな足場の悪いところでそのような争いを繰り広げると、予想通り…
「あっ」「わっ!」
「っ、ミオ!ニーナ!…うっ!」
…二人はまとめて落ちてしまう。
助けようとしたウルルだが、距離的に間に合わず、伸ばした手は空を切る。同時に身体が屋根ギリギリの所に打ち付けられ、ウルルは思わず呻き声を出した。
二人はこれからくるであろう衝撃を恐れて目を瞑り、歯をグッと噛み締め、手足を思わず縮こまらせた。
風を切るような音が耳に入る中、ミオは“フォンッ”という音と共に、誰かに抱き締められる感覚がした。同時に優しい匂いが彼女らを包み込み、安心感を与えている。
二人が恐る恐る目を開けると…そこには、カズマが二人を抱えて空中に躍り出る姿があった。
「「か、カズマさん!!」」
「二人とも、食い意地を張るのは良いけど己の身を危険に晒さないように」
「はい…」「反省しているわ…」
カズマが着地すると、ミオとニーナを下ろし、「怪我はないか」と問う。
二人は反省しているようで、暗い顔をしながら「はい…」と覇気のない声で返事をした。
遅れて、ウルルが梯子から飛び降りて二人に駆け寄り、普段の落ち着いた様子からは到底かけ離れたような声が発せられる。
「危ないでしょ!何やってんの二人とも!」
「…ごめん」
「何も考えないで下に降りようとして…!怪我をしたらどうするの!」
「…ごめんなさい」
「だから___!」
怒りが増していくウルルの肩に、手が置かれる。
怒りで冷静な判断ができていないウルルは手を振り払おうとしたが、その手に“ヒール”の魔法陣が浮かび上がっているのを見て、自分の肩を見る。
「…あ」
どうやら木の破片が肩に突き刺さっていたようで、ひどく血が出ている。
あまりの怒りで痛みを忘れていたようだが、自覚して、今になって痛みを覚えたウルルは顔を顰めて痛みを堪えている。
「…お前の怒りが尤もだが、怒りは時に自分を蔑ろにする。今のように友達を叱るのも良いが、自分のこと含めて周囲の状況を確認して、冷静になって対処するようにしよう。心は熱く、頭は冷静に、だ」
「…う、うん」
やはり、冒険者か。というウルルの確信と共に、カズマは治療し終えた肩から手を離し、ウルルの頭を撫でる。
「だが、今回は間違っていない。お前達はまだ新米だ、これから“冒険”して、もっと色々な事を学ぶ。俺がそうだったようにな。だから、今回の教訓を生かして、次はもっと最善、最高の結果を出すように頑張ろう。な、皆」
「…はい!」
「分かったわ。…最善、最高の結果…良い言葉ね」
「……うん」
「よし…それじゃ、休憩に入るか」
「…ん?“俺”?」
「え?」
「カズマさん、女性なのに“俺”って言うんですね、珍しい」
「…いや俺…男だけど」
「えっ」
「え?」
「…えっ?」
「「「えぇぇぇーーーっっ!!!?」」」
「…えぇ…」
タグに“オリキャラ”を付けておきます。
あと十話くらいでアルカンレティア編を終わらせたいところです。
では、次回もお楽しみに…