【この素晴らしい世界に祝福を!】カズマはのんびりと魔王討伐を志す様です。 作:よるくろ
エタって気が向いた時にちょくちょく書いてたのに、完全非公開設定にしたまま数年経ってたのに気付かないバカがいるってマ?
「魔法っ、魔法っ、見せてっ!」
「ちょ…圧が強い…」
「あはは…すいません、こうなっちゃうと私達でも止められなくて…」
「前衛職より筋力高いのよ、この子」
「なんでウィザードなの?」
模擬戦を終えたカズマと少女ら三人。休憩として数十分間の自由時間を作った時に、カズマはウルルから質問責め…もとい、魔法を求められていた。
生粋のウィザードであるウルルは、とにかく魔法に目が無い。自分で魔法を探求するのも良いが、他人が使う自分が知らない魔法を見た時には、自らの知識欲が暴走してしまう時がある。
『ハイ・クリエイトスプラッシュ』という魔法を見た彼女が、今のような状態になるのは仕方ないと言えよう。
「でも、えーと、『ハイ・クリエイトスプラッシュ』でしたっけ。あんな魔法、見たことも聞いたこともないです!」
「まぁ、あれは俺が即興で作っただけだし。知らないのも無理はないかな」
「「「
三人の声がハモる。
それはそうだ、この世界の魔法は、全てスキルというカテゴリに当てはまる。冒険者を例外として、全ての役職には既に可能性が示されている通り、新たな役職でも発見されない限り、新たな魔法、知らない魔法というのは存在しないのだ。
しかし、目の前の男は違う。あろうことか、魔法を作ったと言うのだ。驚くのも無理はない。
「上位を司る『ハイ』。水を創り出す『クリエイト・ウォーター』。単なる魔力操作による『スプラッシュ』。この三つを同時発動させることで生まれる魔法が『ハイ・クリエイトスプラッシュ』だ」
「…えっと、魔力操作?」
「ん?うん、魔力操作」
「なにそれ」
ウルルが呟く。それを訝しげに見るカズマ。まさか、この世界に魔力を操作するという観念はないのだろうか。
その通りである。魔法は全てスキルを発動するという感覚を通して、自動的に繰り出すことができるものだ。故に魔力操作などというものは必要ないし、今まで認知されなかったのも仕方がない。
「何って、自分の中にある魔力を意識して動かすだけでしょ」
「…意識して?え?魔力って自分で動かせるものなの?」
「スキルを使って動かせるんなら、自分でも動かせるってことじゃない?」
「そういうものなの?」
「私に聞かれても知らないわよ?魔法とかそっちの知識はウルルが一番持ってるはずだし」
「…ううん、私も聞いたことがない。でも、納得はできた。
「魔力操作。字の通り、身体の中の魔力を自由に操作する。本来ならスキルを介して自動的に操作されるそれを、自分自身の意思で操作するから、今までのどのスキルにもない
誰もいない方向へウルルが手を突き出す。すると、手のひらから
そしてその次の瞬間に展開される、『ウィンドカーテン』。どうやら、今の二つを同時に発動させようとしたらしい。
「難しい…」
「今のは『ファイアボール』と『ウィンドカーテン』で炎の壁を作ろうとしたのか」
「うん。でも、やっぱりできなかった。多分、魔力操作ができてないから」
「それもあるけど、俺みたいに片手で発動させようとしたのが失敗だったかも。実は片手で同時発動させるのは魔力操作がどうしても必要だけど、両手で使う時には要らないんだよね。二つスキルを使えばいいだけだし」
「そうなの?」
「まぁそれぞれの手で複雑で難しい字を書くくらいの技量は必要だけど。因みに片手で同時発動させようものなら、五指それぞれの指が違う動きが可能になるくらいの技量が必須ね」
「うげ…ニーナ、できる?」
「そんなタコみたいなことできないわよ」
「タコっ…!?」
思わず己の手がタコになった光景を想像してしまったカズマだが、一瞬でその思考を断ち切った。
「まぁつまり、魔力操作とか云々よりも、まずは“想像力”を高めるのが大事だね」
「…想像力」
「そう。これとこれを組み合わせれば強そう、とか、今この時にこれとこれをしたら絶対に有利になる、的なね。でもそれは魔法だけじゃない、スキルもだ。『ライトニング』と『狙撃』を合わせたら狙いの狂わない精密射撃ができるし、魔法の組み合わせでも、初級魔法の『ウィンドブレス』と『クリエイトアース』で相手の視界を遮れる。要は、使いようだね」
「ん…ありがとうございました」
ぺこりと、ウルルが頭を下げる。
「お、そろそろ夕暮れか…じゃ、今日のところはこれまでかな。明日からは依頼は昼まで、昼から夕暮れまで今のを続けるから、各自鍛錬と休息を行うように」
「はい!/分かったわ/ん!」
隠して、少女らの依頼の始まりの一日は幕を閉じた。
そしてこれから、少女らはこの日をきっかけに、とてつもない出会い、経験、そして
はてさて、今や勇者に近い男となるカズマの元で、少女らはどんな冒険をするのか。
それは、誰にもわからない。