珈琲色の2年   作:翔/sho

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皆さん、こんにちは翔と申します。
前回から始まりましたこの小説ですけども、自分で読んでもなかなかにシリアスで何故か笑ってしまいましたw
今回は打ち明ける勇気のない陽介とその周りとの掛け合いに注目して欲しい回ですね。
では、どうぞ!


2話「打ち明ける勇気と先にあるもの」

検診が終わり、病気の帰り道。

俺の心にはポッカリと大きな穴が空いていた。

 

(俺が、すい臓がん....)

 

あれからしばらく時間も経ったが、俺は現実を受け止められなかった。

 

「すい臓がん....余命....2年か」

 

俺には、今の自分が何も見えない暗闇の中で当てもなくたださまよっているように見えた。

 

(人生そんなものなのかな)

 

俺には今ありとあらゆる感情が混ざりあってる。

 

絶望、怒り、悲しみ、恐怖

 

だが、どの感情を取っても負の感情ばかりだ。

 

(でもこんなこと誰に相談すればいいんだ)

 

母親は女で1人俺を育ててくれたから心配なんてかけれない。

父親はすでに10年前に他界している。

祖父母も同様にすでにこの世にはいない。

 

俺には肉親でこのことを打ち明けられる人間はいなかった。

 

(部活の奴らは....いやだめだ!あいつらは今大会に向けて頑張ってるんだ!こんなこと言えるはずがない)

 

(やはり、俺にはもう相談なんてできる相手は居ないのか)

 

そう思ったとき、俺はある1人の名前が頭に浮かんだ。

 

(つぐみ....)

 

浮かんできたのは俺の幼馴染の女の子の名前だった。

 

(いやいやダメだろ!つぐみには心配なんてかけれるわけないだろ)

 

つぐみは優しい。

優しすぎるってくらいにだ。

だからそんな子が俺が余命宣告されたことなんか知ったら、そりゃ心配するに決まってる。

だから、言えるわけなかった。

 

(あいつはきっと俺の事を心配し、同情し、悲しむだろう)

 

彼女の優しさは彼女自身のストレスにもなる。

俺の大事な人にはそんなことしたくなかった。

 

俺にはもう2年後に死ぬ運命しかないとその時悟った。

 

 

三日後

 

あれから吹奏楽の練習にも集中出来ず、周りのメンバーに迷惑ばかりかけていた俺は自暴自棄になっていた。

 

(俺は死ぬ......死に上に周りのヤツらに迷惑かけて....)

 

自分がどうしようもない人間に見えた。

 

(とりあえず地区大会は絶対勝たなきゃ....でもどうやって)

 

俺は悩みや問題を1人で抱え込めるほど器用な人間じゃないってことがそのとき分かった。

 

 

バイト先にて

 

俺は機材などの資金を集めるために、商店街のファストフード店でアルバイトをしている。

 

「はぁ....」

 

事務室で少し大きめなため息をするとバイト先の先輩が気にかけてくれたのか話かけてきた。

 

「浪川くん、大丈夫?」

 

この人は松原花音さん。

同じバイト先の先輩で花咲川女子学園の3年生。

たまに商店街で黒髪の女性と歩いてるのを見たりもする。

 

「いや...なんというか....少し悩やみ事みたいな感じですね」

 

また、はぐらかしてしまった。

はぐらかしたように答えてしまうのが俺の悪い癖だ。

 

「そうなんだ、でも何かあったら私に言ってね!」

 

気弱ながらもしっかり芯の通ったような返事をされた。

花音さんはいつもそうだ。

仕事のミスは俺よりも多いし、スピードも遅い。

でも何故か頼りたくなる、そんな感じがする。

 

「いや!ちょっと待ってください」

 

その優しさにやっばり頼りたくなったのか、去っていきそうな花音さんを引き止めてしまった。

 

「ふぇぇ?!」

 

困惑したような声を出して花音さんは立ち止まった。

 

「やっぱり言います」

 

誰にも相談できなかったけど、この人ならっていう希望が俺にはあった。

 

「あの...実は....」

 

まるで、告白する前のように口篭る俺に少し不安の目を向けられるも俺は真実を伝えようとする。

 

 

「俺はすい臓がんなんです」

 

 

数分後

 

「そうなんだ、そんなことがあったんだね」

 

やっぱり心配してくれた。

優しい人だなと思った。

 

「もう2年しか生きれないと思うとやっぱり怖いです」

 

俺は自分の心の中を晒すように話した。

 

「ねぇ、聞いていいかな?」

 

不安な顔をした花音さんが俺に問いかけてくる。

 

「はい」

 

俺は答える。

 

「このことってつぐみちゃんには言ったの?」

 

「え?」

 

あまりに予想外すぎる質問に俺は困惑の声を出す。

 

「つぐみちゃんにはこのこと知っといてもらった方がいい気がするな」

 

花音さんは続けるように言う

 

「でも、俺のことであいつに心配なんてかけたくないし」

 

俺は逆の意見を言う。

 

「それこそつぐみちゃんを心配にさせるよ!」

 

花音さんが強く言う。

 

「何も知らないのに浪川くんが元気ないんじゃつぐみちゃんは心配するよ!」

 

その時俺の心の何かが変わったような気がした。

 

(あ、そうか。花音さんが気付いたってことはそりゃ、つぐみも気付くよな)

 

「確かに、そう思います」

 

俺はつぐみの心配をしてるつもりだったけど、そうじゃなかった。

 

怖かったんだ、あいつに言うのが。

すると何だか言う勇気が湧いてきた。

 

「花音さん、ありがとうございます。俺、ちゃんと言います」

 

俺は心に決めた。

そうだ、この命がわずかならあいつといたい。

あいつと笑っていたい。

そして、吹奏楽にも打ち込みたい。

あいつのバンドのライブに行きたい。

 

俺の心は色々な気持ちでいっぱいになった。

 

「松原さん、浪川!そろそろ仕事戻って!」

 

副店長の休憩終了の知らせがきて、俺たちは仕事に戻った。

 

 

バイトが終わり、時刻は22:00

もう羽沢珈琲店は閉店してる時間だが、俺はつぐみの元に向かう。

 

(着いた...)

 

羽沢珈琲店に着いた俺はやっばりまだ迷っていた。

だが、迷っていても仕方ないと思い、己の邪念を叩き払いドアを開けた。

 

「よっ、つぐみ」

 

「え?陽介くん?!」

 

閉店時間後に来たのは初めてだったから驚いた様子だった。

 

「悪いなこんな時間に、実は話さなきゃいけないことがあってさ」

 

 

俺とつぐみはイスに座り、つぐみが二人分のコーヒーを持ってきた。

 

「話って?」

 

つぐみが俺に訪ねる。

 

「実は...俺...俺は」

 

(やっぱり言えないのか俺は、いや!勇気を出せ!ちゃんと真実を伝えるんだ!)

 

すると突然つぐみが俺の手を握り言ってくる。

 

「そんな力まないでいいから、ちゃんと伝えて」

 

その表情は優しかった。

だが、その優しさには確かな真剣な感じがあった。

 

すると体の力が抜けて、思うように真実を言えそうな気がしてきた。

 

「つぐみ、実は俺は」

 

もう後悔はない。

だから言う。

 

「すい臓がんなんだ。」

 

(言った。言ってしまった。さぁ、どうなるんだ)

 

しばらく沈黙が続いた。

そして片方がこの沈黙をかき消した。

それはつぐみの方だった。

ゆっくりと口を開き彼女は言う。

 

 

「知ってたよ」

 

 

 




いかがだったでしょうか?
今後の話では陽介の吹奏楽の話や、病気の話をもっと取り入れて話を発展させていこうと思います。

お気に入り登録や感想等もお待ちしております。

ここまで読んで下さりありがとうございました。

では、また次回会いましょう!
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