翔と申します。
今回は倒れた陽介のその後です。
では、どうぞ!
目を覚ますと、俺は知らない天井を見ていた。
「ここは、病院か」
すぐにどこだか分かり記憶を遡る。
そして、すぐに思い出した。
(そうか、俺はとんでもない腹痛で気を失ったんだ)
とりあえず誰か知り合いが居ないか探そうと思ったときに、ドアが開いた。
「陽介...起きたのか」
入ってきたのは大輝だった。
「大輝か」
俺は起きたばかりであまり力が入らなく声も細々としていた。
腕には点滴の針が入れられており、いかにも入院している患者みたいだった。
「俺は、気を失ってたのか」
俺が言うと、大輝が何か言おうとたが、病室に入ってきた者の言葉で遮られた。
「気が付いたか、陽介くん」
入ってきたのは、俺に余命宣告をした医師だった。
「久々に会ったね、元気してたかね」
よっこいしょと言いながら椅子に腰掛けると言ってきた。
「お久しぶりです」
俺が返事をすると、病室のドア付近から無数の足音が聞こえてきた。
ドアが開き、そこに居たのは吹奏楽の人たちと上原、そしてつぐみだった。
「浪川さん、すい臓がんってどういうこと...」
上原が顔をしかめなら言ってきた。
そして次々に吹奏楽部の奴らも言ってきた。
「浪川、どういうことだよ」
「陽介、俺聞いてないぞ」
みんな、俺がすい臓がんということを初めて知り、戸惑っているようだった。
すると、医師が沈黙を断ち切った。
「陽介くん、君の腹痛はすい臓がんによる症状だ。この後もあるだろうから薬だけは出しておくよ。あとの話は若いもの同士でな」
そう言って、医師は病室から出ていった。
しばらくの沈黙が続いた。
ただただ静かで、息苦しく時間が止まったような苦しい時間が続いた。
そして1人が口を開く。
「浜辺、お前は知ってたんだな」
言ってきたのは、吹奏楽部の主将だった。
「はい、知ってました。陽介からは半年前に聞いてました」
大輝はいつもの活気ある声ではなく、小さな声で答えた。
「浪川、なんでお前は言わなかったんだ」
主将の質問の鉾は俺の方に向き、質問をしてきた。
「俺は、ただ怖かったんです。これを言うことによって、周りからの接しられ方が変わってしまうんじゃないかとか、仲間たちへの練習の悪影響になったりとかするんじゃないかとか...だから....ッ?!」
俺は驚いた。
目の前の光景に驚いていたのだ。
主将が涙を流していた。
普段は厳格な性格だった主将が涙を流していることに言葉が出なかった。
「なんでだよ、俺たちは仲間だろ!
仲間ならもって気持ちを分かち合えよ!俺たちはお前が病気だろうと受け入れられるんだよ!」
主将は俺の肩を強く握り言ってきた。
俺はただその光景が衝撃だった。
だが、衝撃よりも俺には感極まる感情が湧き上がってきた。
知らぬ間に俺も大輝も自然と涙を流していた。
「ありがとうございます。俺は、これからもやります!」
俺は決意を病室中に響き渡るように言った。
それを聞いてきた、上原も目に涙を浮かべ目頭が熱くしていた。
そしてつぐみは優しく微笑むように俺を見つめていた。
俺はこの場にいる人間や今まで俺を見てきてくれた人間に自然と言葉が出た。
ありがとう
それからしばらくの雑談が続き、上原とつぐみが帰ったのちに、大輝が会話の話題を重大なことに変えてきた。
「そうだ、陽介。お前のスティックを折った犯人が分かったぞ。」
俺はそれを聞き一気にその話に食いついた。
「犯人は榊原だった」
榊原とは吹奏楽にいる2人のドラム担当の俺以外のもう1人だ。
「なんでも、選手権に選ばれなかったことを根に持ってお前に八つ当たりしたらしい」
普通ならここで榊原を愚弄するのだろうか、あるいは暴言を吐き散らし暴力を振るうのだろうか。
だが、俺はそのどっちにもならなかった。
「そうか、榊原が...でも、いいんだ」
それを聞き、大輝が怪訝な顔をした。
「犯人がわかったのに、問い詰めないのか?」
それを聞いて、部長は微笑を零して大輝に言う。
「何言ってんだ浜辺、浪川はそんなことはもうどうでもいいんだよ」
主将は笑いながら答えた。
確かにそうだった。
だからなんか主将が俺の事を代弁したみたいで少しわらってしまった。
それからまたしばらく話していたら面会終了時間が来たので、2人は帰って行った。
その後俺はみんなから貰ったお菓子などを食べた後に寝ようとした。
だが、10分も経たないうちに携帯が鳴った。
「ん?LINEか、またこんな時間に誰が」
送ってきた人物とその内容を見て俺は腰が抜けそうになった。
そのLINEはつぐみからで、内容は....
「ねぇ、今から会えない?」