おひさーの方はお久しぶりです!
稚拙『最深の階層守護者』をお楽しみ頂ければ幸いです…
その世界には『魔王』と呼ばれる存在がいる。そして『魔王』が世に現れし時、神の啓示を受けた『勇者』とその仲間が『魔王』を討つべく世界を導く。
◇◆◇
『最古』にして『最大』のダンジョンがそこにはあった。
数多くの英雄と謳われる者達の生命を以てしてもダンジョンを殺すことには至っていない。
そんなダンジョンで一番厄介な場所が九十階層からダンジョン最奥前の百階層まで続く一階ごとにいる通常の個体より強力な所謂『階層守護者』たちである。
ひとつの『階層守護者』を倒すと約一日後には復活するため、進んで行くほどに後には引けなくなっていく。
そういう訳でここ数十年は九十階層までは来ても帰っていくことが多々ある。命を賭してまでも挑もうと言う者はいない。
◇◆◇
95階層の裏の間に設置されている所に91階層から上の階層守護者たちが集まっている。
「んんっ! これってどこの茶葉!?」
「それはね〜〜60階層で育ってる茶葉だよ〜〜。美味しい? 美味しいよね!?」
「うんうん、美味しい! 私の所に後で持って来てくれる?」
「了解。後で使用人に伝えておくね〜〜」
ドンッと乱暴にティーカップをソーサーに落とす。そんな音が響いてもソーサーにもティーカップにも傷一つついていない。
「も〜〜乱暴に置かないでよっ! 壊れたらどうしてくれるのよ!」
「ハッ! 知ったこっちゃねぇーよ! DPが増えるだけだろよ!」
「そんな風にやるんなら、お茶会に参加しなくてもいいんだよ? あの武人みたいにさ」
「迷宮主が最奥に隠れて以来、オレたちは何をして来た!? 何もだろ!」
「む、失敬な! 迷宮主の命令通りに守護しているじゃないか」
「ね〜〜。その合間に茶葉を摘んだり、お茶会を開いてるだけじゃない。文句を言われるようなことはしていないと思うけど〜〜?」
「お前らは地上のことを知らないからそんなことを言えんだよ! ニンゲン共はここを単なる資源として周りに街を作ってんだぞ!」
「……国……正確」
「ああ、そうだ! 国だぞ! 国! 昔は英雄共が来て忙しかったが、今は違うだろ?!」
「えー、だって勇者来ないじゃん」
「そ〜そ〜」
「ああ、そうだろ!? 勇者が来ねぇんだよ! 千年経っても一度もな!」
「死んだのかな?」
「勇者は迷宮主を倒すまで死なない加護を授かってるって昔教会で聴いたけど?」
「そのことだが、判明したぞ。千年前に生まれた勇者は生き埋めにされたり、薬品の被検体になったりして心が死んだらしい」
「あ゛? 聞いてないぞ?」
「お前に言うと面倒臭い。そのあと、何人かの勇者が目覚めたが、その分だけ他の迷宮主が生まれたりした……最近は領土戦争で勇者大活躍中」
『…………』
「という訳で地上を攻めるぞ! まずは上にある街を潰す」
「「え〜〜」」
「階層守護者統括! お前の指示でオレたちは楔から解き放たれる!!」
迷宮主が最奥に入る際、全権をあろうことか私に渡した。コイツらが受けた迷宮主の命令を上書きすることが私には可能だ。それをすれば、迷宮主への叛逆になるのではないか?
「地上にはこんな不味い食べ物はない。美味い物が溢れてる」
「全軍突撃」
いつの間にか私の口から漏れた。何がって? それはもちろん、よだ――進軍の命令が。
こうして、名も無きただ古いだけしか取り柄のない迷宮から地上へと進軍するのであった。