side 風人
「うおぉぉ!?」
オレはガバッと起き上がる。
そして、辺りを見回す。
「…なんだ、夢か・・・!変にリアルだったな~」
そう、落ちていく夢だ。
オレが死んだとされて、“新しい人生を送るといい”といわれてオレの足元に穴が開いて・・・
…やめよう。こういうのは悪い夢だ。
オレは気を紛らわす為に時計を見る。
「結構早く起きちまったか」
体を伸ばし、部屋を出てリビングに行くことにする。
階段を下りてリビングに行くと、お爺さんがいた。
その人はお爺さんと思えない程軽快で元気な人だ。
「あれ、じーちゃん起きるの早いね」
「ん?おお、風人!お前さんが早起きとは、関心関心!」
オレがじーちゃんと呼ぶのはオレ、滝坂風人(たきさかかざと)の祖父。名前は滝坂鉄斎(たきさかてっさい)。
オレの自慢のじーちゃんだ!
だけど早起きとは違うけどネ・・・
オレは指で頬をかきながら
「早く起きた・・・というより、悪い夢見ちゃってさ、なんだか変に現実的だったんだよ」
「ふうむ・・・」
じーちゃんが考え込み、俺に尋ねてきた。
「ならば風人よ。組み手をしてみんか?悪い夢のいやな気分もふっとぶぞ!」
「じーちゃんが組み手がしたいだけじゃないの?」
「ハハハ!そーいうことは無しじゃ!そういう風人こそ嫌がっておらんじゃないかの?」
「あ、わかっちゃう?」
オレとじーちゃんは笑いあった。
「では行こうか。ついて来なさい」
「うん」
オレはじーちゃんと一緒についていく。
着いた場所はオレのじーちゃんの書斎だ。
たまにじーちゃんの書斎にいって本を読んでいたっけな。
…裸の女性の本もあったけど。
「風人よ・・・これを覚えておきなさい」
じーちゃんは木彫り熊の置物を時計回りに回す。
すると本棚が動き出したのだ。
(・・・ひ、秘密基地みたいだ・・・・・・!すげぇ!!)
オレはこの瞬間をみてすごい興奮してる。
ぜったい目ェ輝かせて興奮してるよ、オレ。
「ほれ、風人、行くぞ?」
「あ、待って!」
オレはじーちゃんの後を追いかける。
歩くこと数分・・・
「・・・・・・・・・・・・!!!!!!」
オレは目を疑った。いつも通りの風景が反転したかのように。
機械的な空間だった。
「じーちゃん・・・これは一体・・・」
「お前さんのお父さんが作った地下施設じゃ。修行という名目でな」
「父さんが?」
「そうじゃ。そろそろ着くぞ?」
オレの父さんがこんなん作ってたなんて・・・ん?てことはあの書斎は父さんのだったのか。
父さんてばああいう趣味あったのか・・・
じーちゃんが扉を開けると広い空間に出た。
「・・・じーちゃん。ここで組み手すんの?」
「そうじゃな。着替えはそこにあるから胴着に着替えなさい」
「はーい」
オレはすぐに着替えることにした。
数分間経過・・・
「よし、では始めるとしようか!」
「今度こそジーちゃんに勝つよ!」
数十分間経過・・・
やっぱり負けました・・・
じーちゃんの動きには読めてたんだけど、全部ギリギリでかわされちまった・・・
やっぱじーちゃんには敵わないなァ・・・
「ハァ・・・ハァ・・・」
「まだまだ甘いの、風人よ!」
「くっそー・・・じーちゃんの使ってたヤツ、なんなのさー・・・」
「それについては後で話そうか。ほれ、そろそろ学校に行く時間じゃぞ?」
「うぇ?・・・あ、ホントだ」
オレ達はリビングに戻り、オレは部屋に戻って学校に行く支度をする。
じーちゃんは朝飯の準備だ。
オレが食事を済ませ、玄関から出ようとしたとき
「風人!これを持っていきなさい」
じーちゃんから呼び止められ、首飾りをもらった。
ドックタグみたいなヤツだ。真ん中の部分に青い宝石が埋め込んである。
「これは?」
「お前さんの父さんが誕生日プレゼントのお守り・・・だそうじゃ」
ちと遅れてしまったがの、と付け足すじーちゃん。
これでも嬉しい位だよ。ありがとうじーちゃん。
「遅れてもいいよ、サンキュ。じゃ、行ってくる!」
「車に気をつけるんじゃぞ!」
道中、何事もなく普通に学校にたどり着いた。
人生、何事もないほうがいいんだよね。
・・・と、思っていた時期が僕にもありました。
何でかっていうと、この教室の一人、銀髪の子がいてさ、みんなのアイドル達を口説いてんだよね。
そのうえポジティブ思考なヤツなんだよね・・・
みんなのアイドル達は嫌がってるみたいだが・・・
他の男の子が一緒のときは「モブ」だの何だの言って脅して離れさせようとしてるし・・・
そのせいで誰もみんな銀髪に近づこうとしなくなったんだよね。
・・・そろそろ、止めますか。
「おーい銀髪君」
「あァ?何の用だ?モブ」
うーわ、攻撃的な眼してやがる。
「そろそろ授業が始まるよー席に着こうぜ銀髪君」
「・・・おめェな。俺には天龍王河っていう名前があるんだよモブが」
「オレにも滝坂風人っていう名前があるんだよね銀髪君。後・・・」
オレは周りが聞こえないくらいの声で話す。
「あんま口説き続いてると好感度だだ下がりだよ?
後、執拗に口説いてたら本当に見向きしなくなるよ」
「・・・!!わかったよ」
と、オレはそう言った。
王河はかなり驚いてたみたいだったが・・・
授業の休憩時間に入って・・・
「あ、あの」
「…ん?」
声かけられたのはあのアイドル達だ。
あれ?オレ何かしたっけな・・・
「あの時はありがとう。止めてくれて」
「・・・なんの話かな?」
「惚けないの。あの王河の事よ」
「・・・ああ、あの銀髪君か」
「あの時、王河君になんて話したの?」
「ん?あぁ・・・なんとなくな話」
「曖昧ねぇ・・・」
その後、アイドル達と軽い話と自己紹介して休憩時間が終わった。
・・・その所為で男子生徒たちの視線がかーなーり集まっていた。
あの銀髪君は考え込んでいたが・・・
side 王河
俺の名は天龍王河。転生者だ!
俺の目標は俺のハーレムを作ることだ!
・・・だったのだが。
あのモブ・・・いや風人だったか。俺がなのは達を口説いているときに
アイツ・・・滝坂風人は現れた。
アイツを見たときはパッとしないヤツだった。
俺のハーレムの邪魔するヤツだと思った。
アイツは周りに聞こえないように俺にこう言った。
「あんま口説き続いてると好感度だだ下がりだよ?
後、執拗に口説いてたら本当に見向きしなくなるよ」
なんなんだ、アイツは・・・!
まるでわかってるような言い方をして・・・!
もしかしてアイツも転生者なのか・・・!?
だがそれだけで決め付けるのはまだ証拠が少ない。
それまでは情報収集しなければ・・・
だがアイツの言ってたことは本当なんだろうか・・・?
ちょっと思い返してみるか。
思考中・・・
・・・ありまくりだったorz
よくよく考えてみたらなのは達・・・
嫌 が っ て い た じ ゃ ん ! !
アイツの言ってたことは本当だったかー・・・
やべぇ。俺としたことが・・・!
どうする?謝るか?
でも今までやってたし嫌がるだろーなー・・・
この後俺はあーでもないこーでもないと唸りながら
考え続けていた。
side 風人
昼食前にアイドル達・・・高町さん達だっけか。
オレはその3人に昼食に誘われ、現在屋上に居ます。
「風人君のお弁当すごいね」
「あぁ、じーちゃんが作ってくれた」
「風人君のお爺ちゃん?」
「うん、両親が居ないときじーちゃん1人で頑張ってたんだ」
「すごいね、風人君のお爺ちゃんは」
やっぱじーちゃんの作る弁当がすごいんかな?
「お!ここに居たのか皆」
声がするほうへ向く。あの銀髪君・・・天龍王河だっけ。
なのは達が一瞬いやな顔したぞ・・・何をしたんだ?
「やっぱいやな顔するか・・・」
いつもの王河じゃない・・・オレの忠告が効いたのかな?
「アンタは・・・王河君だっけ?」
「お前は・・・風人だったか。なのは達に用があるがいいか?」
「あぁ、いいよ」
オレは一旦席を外し、周りを眺めることにする。
弁当はそこにおいてきた。
はっきり言って、あの場の空気に入れそうもない。
持って来りゃよかった・・・!(泣)
「もういいぞ」
王河からの声。オレはなのは達の居るところへ行く。
この場の空気がなにかしら変な感じになってるが・・・?
「王河君はなんていったんだ?」
「えっと・・・謝りに来たんだって」
「じゃあ、なんで変な感じがするんだ・・・?」
「えーっと・・・」
「察した」
なのはがアリサの方へ見る。
土下座してる王河と腕を組んで立っているアリサの姿が。
「頼む!何でもするから!」
「・・・ん?何でもするって言ったわね?」
「はーいそこまでッ!昼食に入ろうぜ?」
オレがストップをかける。何かする事がズレて明後日の方向に行ってしまいそうだったからな!
閑話休題。
オレ達5人の昼食が終わり、教室へ戻った。
王河は許してくれたそうだ。・・・そのかわり主にアリサ達のお願いを聞くようになったらしいが。
うん。こういう学校生活も悪くないね。