………だからゆるして(T△T
『 戦騎龍唱シンフォギアO 』
序章Ⅰ
プロローグ
突然だが、俺はいわゆる転生者だ。
……うむ、
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとは思っていないよ。
あぁ、遅くなったけどこのオレンジジュースはサービスだから、一口でも飲んで落ち着いて欲しい。
なぞと現実逃避にバーボンハウスなことを脳内で呟きつつ、日曜日は3時のおやつと一緒に出されたオレンジジュースをくぴり。
いやね、俺ってば少々人嫌いなことを除けばどこにでも居そうなくたびれた中年独身オタリーマン、だったはずなんだよ。
それがふと気が付いたら周囲360度なんにもない、ただただ真っ平な地面? と薄暗い空? だけが延々と続いて地平線が見えるっていう異様な場所にいたんだ。そうして「なぁにこれぇ」と呟かんばかりに混乱する俺をよそに現れたのは、マジモンのやばいのだった。
一目でやばいと本能でわかるどころか、記憶に姿と声を残すのを無意識に拒否するくらいやばい神か悪魔かわからない超常存在、某幼女へ転生させられたおっさんが仮称したそれとは比べもにならないだろうモノホンの『存在X』が。
俺の本能さんが
しかし俺、死んだ覚えないんだが………
ま、まぁ、死に際をはっきり覚えていてトラウマになるよりはいいけどもさ。覚えていないのはあれかね、寝てる時とか意識ない時にアレがコレして往生昇天ってとこかね。ブラックじゃなかったけど運悪く仕事がちょっとばかり立て込んでデスマって徹夜続いてたし。
ともあれ、転生して現在御年7歳のピカピカの小学一年生の俺なわけだが、転生した世界は――
「どうした、たくみ? きゅうにぼーとしだして」
とってもバーローボイスな声に振り向けば、隣に座る特徴的な赤毛をした女の子がその隣に座る幼女と一緒に俺の顔を不思議そうに覗き込んできていた。
「なんでもない、とうとつにものおもいにふけりたくなっただけだよ、
「たぁにぃへんー」
「たくみがへんなのはいつものことだけど、だいじょうぶか? 」
「へんへんて、あたまがおかしいみたいにいわないでくれ。じじつだとしてもきずつくものはきずつくからねかなでちゃん、□□□ちゃん」
この子たちはお隣さん家の幼馴染み、
――はい、『戦姫絶唱シンフォギア』です。やったね!
……第一期第一話でいきなり
なに? なんなの!? これはアレか、幼馴染みってことで俺も神獣鏡発掘現場に同行してノイズに襲われ、オルフェノクが如く灰になって死ねと! 天羽 奏の悲劇メモリアルの一部に成れと! どんなのか知らんけど特典いくつかとやらはどうした早くぜんぶよこせくださいおねがいします!!!(大懇願)
「? ほんとうにきょうのたくみはいつもよりもずっとへんだぞ」
「んな!? な、ななんでもないほんとになんでもないそれよりこのあとどうするなにするなにをやる」
訝しげな表情で息がかかるほどに顔を近づけて覗き込んきたかなでちゃんから慌てて顔を背けてそう捲くし立て、無理やり話題やら空気やらを換える。
いくら物心つく前からほぼいつも一緒にいる幼馴染みだからって無防備が過ぎる。心臓に悪くてかなわん。
あ? ロリコン? バッカおまえ、バッカバァカ! 将来死亡フラグさえなきゃそのままメインヒロイン張れるほどの美少女になるくっそ可愛い美幼女やぞ。あの天羽 奏やぞ。さらにこちとら心と体を分離できてる某バーローと違って肉体年齢に思いっきり精神引っ張られて感情の抑制が上手くできんのだ。いくら精神年齢高くたって
「ふふふ、たっくんはやっぱりおませさんなのねぇ」
「おませ~?」
「?」
あらあらうふふと微笑ましい物を見たとばかりに温かい眼差しを向けてくる
Hey! My mother! いくら前世の記憶を思い出す前から歳不相応にやたら老成した精神性に可愛げのない言動行動が目立っていた幼児とはいえ、息子のいつもと違う反応を見て愉しむのはやめてくれ。地味に来る。
「………ねる!」
オレンジジュースをぐびりりっと飲み干し、そう告げて席を立ってダダダッと足早に愛用のタオルケットを取りに歩を進め、手に取るや否やリビングの3人掛けソファへダイブ。そのままタオルケットを頭からかぶるようにくるまって丸くなる。
「子供か!」と言われるかもしれないが、ならば俺は「子供だ!」と胸を張って返そう。さっきも言ったことだが、
例え母さんの「あらあら」という微笑まし気な声やらが聞こえてきていてもだ。
「たくみー」
「………」
「たぁにぃー」
「……………」
妹ちゃんを連れてかなでちゃんが側へ近寄ってきて「よくわかんないけど、きげんなおせー」と言いながら構ってくるが、俺は頭の中で最近ではイチゴ味になってはっちゃけてる某聖帝のかつての名言のように「動かぬ! 喋らぬ! もう知らぬ!」と叫びつつ、一層小さくタオルケットにくるまった。
「んー……とうっ」
かなでちゃんのそんな掛け声が聞こえた後に襲ってきた衝撃と重みに思わず「でゅえっ!?」とどこぞの決闘者の掛け声のような声が漏れ、慌ててタオルケットから顔を出せば、あらお約束。特徴的な赤毛のくっそ可愛い美幼女のニッカと笑う笑顔がそこに。
「あたしもねる。なかにいれろー!」
「ちょ……まっ、かなでちゃん!」
「おねーちゃんずるい。わたしもー!」
「ちょぉッ!」
ホントにちょっと待って。いくら十にもならない歳の子供でも3人まとまって川の字で寝れるほどこのソファは大きくないんだから。というか普通
そんなこんなで時折りTVで
このまま平和に過ごすことは無理だろうことなど分かりきっている。
しかし、特典で戦える力を得ても俺は自分の身を守ること以外でその力を使うつもりはない。
なぜなら、どんな特典が手に入っても死亡キャラ生存目指して原作介入Daze! なんてのはないな、というのが将来に対する俺なりの考えだからだ。
俺は『自分の分』というものをわきまえているつもりだ。転生して特別な立ち位置、特別な力や才能を得ようと根底にあるのは前世と変わらない自分なのだ。人間早々変われるものじゃない。それは転生しても同じ。
記憶と人格がそのままなら人間性もそのままだ。転生したからって人間としての器が大きくなるわけでも、悪人から善人へ変われるわけじゃない。悪人なら悪人のまま、下衆は下衆のまま、偽善者なら偽善者のまま、何も変わらない。
聖人君子やら英雄やらには決してなれやしない。俺は最高の力を得たぞと万能感に酔ってなにか高望みしたところで、失敗するだけだ。
あと第一期ラスボスが何喰わぬ顔で主人公勢の中で獅子身中の虫をやっているのだ。隙を見せたり下手こいたらマッハで詰む。最悪だと得た特典によっては奪われてデッドエンドまっしぐらである。
そして何より、俺は体張って命を懸けるなんて、自分から死亡フラグ建てに危険に飛び込むのはごめんこうむる。痛いのも苦しいのも怖いのも真っ平だ。
加えて『希望へ向かう終わらない夜へと繋がる絶望へ進む零の物語』を知る身としては必要な絶望悲劇に死っていうものを、納得はできないなりに理解はしているから。様々な創作物、二次創作物から本来たどるべき道筋を歪めたら助かる命も助からず、より多くの命が失われ、より大きな悲劇や絶望が顕現するかもしれないと知っているから。
だから、
………どうあがいたって、どんな力があろうと、俺ごときにはどうすることもできはしない。
そんな風に思っていた時期が、俺にはありました。
数年後、俺こと一文字 巧が
つづく?
ヒロインはクリスで行こうと考えてたのに死亡キャラ救済は二次の醍醐味だよねと暴走、気が付いたら幼児期は家がお隣さんで天羽 奏と幼馴染みという設定が生えて全体構想がいつの間にか奏ヒロインに………どうしてこうなった?