黄金体験のヒーローアカデミア   作:ジャギィ

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とうとうアニメで『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』が登場。いよいよ次回、あのセリフが聞けるのか


ジョルノ・ジョバァーナの夢 その3

「え……?」

 

ジョルノの言葉にそうこぼしたのは塩崎だった。それほど、今のジョルノからは想像もできないセリフだったのだ

 

麗日は、かみ砕くように言葉を繰り返す

 

「ねえデクくん……ネグレクトって…」

「…簡単に言うと育児放棄の事だよ、麗日さん」

「子供に虐待など卑劣な…!」

 

絞り出すように飯田は怒りの言葉を漏らす

 

しかし鉄哲は、それよりも気になるワードがあった

 

「…なあジョルノ……義理の父親って言ったか?」

「ええ、母はいわゆるシングルマザーって奴で、ぼくは実の父親を見た事がありません。実際は結婚などせずに産まれたらしいので、4歳の時に母はイタリア人の父と初めて結婚したのですが……ぼくはその父に、母の見てないところでひたすら革のベルトで殴られていました」

「そんな…!」

 

麗日は顔を青くしながら呟いた。虐待や育児放棄などテレビなどでしか見た事や聞いた事がないし、彼女は親に愛されてきた。無表情で淡々と告げるジョルノに麗日は涙が出てきそうだった

 

「そして当時ぼくを()()()()()()()からしてみれば、あの頃のぼくはまさに格好の獲物だった。だから「家」だろうと「外」だろうとぼくには居場所がなかった」

「ジョバァーナくん…」

 

緑谷出久は、1年前まで『()()()』だった。個性を持つ事が当たり前の個性社会において緑谷の無個性は、ひたすら侮蔑され嘲笑われる原因だった。しかし両親の愛情があったから、緑谷はへこたれながらも生きてこれた

 

目の前の少年は一切愛を受けずに幼少の時を過ごしてきた。僕だったら耐えられるのか?そんな無意味な考えを起こさせるほど、ジョルノの過去は悲惨だった

 

「やがてぼくは、自分のことをこの世のカスだと信じるようになっていた………心のねじ曲がった人間になるのは、誰が見ても明らかだった……もしかしたら、ヴィランになっていたっておかしくはなかったんだ………」

 

でも、とジョルノは間にはさみ

 

「あの日」がきっかけだった」

 

 

 

いつものようにジョルノが学校の帰り道を歩いていると、男が、血だらけで石壁のかげに倒れていた

 

生きているのか?死んでいるのか?わからなかったけれども、胸を銃で撃たれているみたいだった

 

ドヤ ドヤ ドヤ

 

すると、そこに別の男たちがわめきながら走ってくる……

 

「チクショー!どこ行きやがった!」

「逃がすな、探せ!」

 

あきらかにこの、ケガをした男を探している風だった………どんどん、こっちへ向かってくる

 

「男を見なかったか」とジョルノに質問してきた…

 

「あっちへ行ったよ」

 

ジョルノはウソをついた…

 

恐怖はなかった。ただ、倒れてる男に対し「自分と同じようにひとりぼっちでさびしそうだな」と思っただけだった

 

そして、幸運な事に男の体は『草』がのびて、隠れていた。これはジョルノの『ゴールド・エクスペリエンス』の能力なのであるが、まだ、ジョルノ自身はこの能力に気づいておらず無意識の行動だった。この事はだれにも言わなかった

 

2ヶ月くらいしたころ………

 

「男」がジョルノの前にあらわれた。「男」は生きており、そして、ジョルノがかばってくれた事を覚えていたのだ………

 

──そして、こう言った

 

「君がしてくれた事は決して忘れない」

 

なぜ撃たれていたのか、それは言わなかったが、ほどなくして義父がジョルノを殴らなくなった。町の悪ガキどもが満員の映画館でジョルノに、席を譲ってくれる

 

男は『ヒーロー』だった

 

『男』は遠くから、ただジョルノを静かに見守ってくれているだけだったが、他人の顔色ばかりうかがっている子供に対し、ひとりの人間として敬意を示してくれるつき合いをしてくれた

 

両親から学ぶはずの「人を信じる」というあたり前の事をジョルノは無言の他人を通じて知ったのだ。奇妙な事だが………名前も顔を知らない他人の「ヒーロー」がジョルノの心をまっすぐにしてくれたのだ

 

もう、イジけた目つきはしていない…彼の心には、さわやかな風が吹いた……

 

男は決して、ジョルノを『ヒーローの世界に巻き込まない』という厳しい態度をとっていたが……

 

ヴィランが横行してヒーローが市民だけを守り真の弱者(ヴィランにならざるを得なかった者)を守らない今の世界の状況では、ジョルノの気持ちを止める事はできない…彼の中に生きるための目的が見えたのだ…

 

こうして「ジョルノ・ジョバァーナ」はNo. 1ヒーローのオールマイトにあこがれるよりも……

 

 

 

『名もなきヒーロー』にあこがれるようになったのだ!

 

 

 

「…結局、その人はぼくのいた町からどこかへ行ってしまった…いろんな人たちに慕われているのにだれも名前を知らない不思議な人だった……」

 

最後にジョルノは自分の意志を言葉にする

 

「ぼくは彼のように、この世に絶望している者たちに正しい正義と希望がこの世界にはある事を伝えられるヒーローになりたい…そう思ったんだ」

 

ジョルノは話し終わると、ちょっと呆れた風に息を吐いた。なぜかというと…

 

「ジョルノくん…君にそんな過去が…ッ!」

「ゔゔゔッ〜……!ひぐっ、ぐろゔじたんやなぁ、ビョルノぐん…!グスッ」

「君にとってそのヒーローが、ボクにとっての兄のような存在なのだなッ…!」

「ジョルノォォ〜〜オッ!!なんかあったらすぐに俺を呼べ!ゼッテェ救けてやっからよォ〜〜!!」

「なんと過酷な過去を歩んでいたのか…!」

 

麗日と飯田と鉄哲の3人が、干からびてしまいそうなくらい号泣していたのだから。緑谷と塩崎もすすり泣きしている

 

「まったく…やめてください。もう全部終わった事なんですから」

「で、でもよ〜…ズビッ」

 

ティッシュで顔から溢れ出る体液を拭き取る作業を尻目に、ジョルノは言う

 

「本当に終わった事なんだ…結局その後、父も母もぼくにしてきた事が警察にバレたから逮捕されて今は服役中、ぼくは2人と決別する意味も含めて、ジョルノ・ジョバァーナとして生きる事になったんだ」

「ジョルノ・ジョバァーナとして生きる…?そういえば、子供の頃に結婚したならイタリア人とのハーフって訳じゃあないんだよね?じゃあ、その金髪はお母さんの遺伝?」

 

緑谷の質問をジョルノは否定する

 

「いえ、おそらく、ぼくの本当の父の遺伝だと思います。母が語っていた男は金髪らしいですから」

「ジョルノ・ジョバァーナってのも本当の名前じゃないの?」

「元の名前は汐華(しおばな) 初流乃(はるの)でした。でも、役所の人達がぼくに同情してくれたのか、名前の変更を許可してくれたんですよ」

「汐華 初流乃…ジョルノ・ジョバァーナ…あ!ハルノ・シォバァーナ?ひょっとして」

 

麗日の思いついたような発言に、他の4人はジョルノの名前の由来に納得した

 

ジョルノは「子供だったから他にいい名前が思いつかなかったんです」と言おうと口を開く…その時

 

ビー!ビー!ビー!

 

『緊急警報発令!!──“セキュリティ3”が突破されました。生徒の皆さんは屋外へと避難してください。これは訓練ではありません。──繰り返します──』

 

──校舎内で反響するサイレンと放送が流れた




名前変更のあたりですけど、市役所に行くと1回だけ名前って変更できるみたいですね。未成年だけじゃ難しいって話だけど、あくまで()()()だけで()()()()ってわけじゃないから、そーいうことにしときます
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