ビー!ビー!ビー!
「なんだァ!?このビービーうるせェのはよッ!」
「“セキュリティ3”が突破されたんだッ!“セキュリティ3”は雄英高校の敷地への侵入を守っていた『雄英バリアー』だっけか…今、この雄英敷地内に、何者かが入り込んでいるッ!」
「なんだとォーッ!?」
警報が鳴り響く中でも聞こえるほどの大声で、鉄哲が叫んだ
『緊急警報発令!!──“セキュリティ3”が突破されました。生徒の皆さんは屋外へと避難してください。これは訓練ではありません。──繰り返します──』
「マズイよッ…!この食堂にはたくさんの生徒がいるんだ、もし生徒がパニックを起こしたら…」
緑谷はこれから起こるだろう事態を懸念する。そして残念な事に、その懸念は実現してしまった
「イテエ、イテエ!」
「押すなってェー!」
「ちょっと待ってー!倒れるッ!」
どわっと押し寄せてくる大量の生徒にジョルノ達は飲み込まれる。6人は必死にかたまりながら窓側の方へと避難する
「! みんなッ!外の方を見て下さい!」
その時、ジョルノは校門の方から近づく集団を見つける。ペンとメモを持ち、カメラを構えた集団
「マスコミ…!」
「
「ジョバァーナくん!ゴールド・エクスペリエンスで壁一面を植物に変えてッ!広いところに出られれば、みんな一旦落ち着くはずなんだ!」
緑谷はジョルノにそう指示する。一見すると最善な解決策だが、ジョルノはその方法を拒否する
「残念だがそれはできない。今、みんなを外に出してしまえば、マスコミは間違いなく生徒達に食いつく……そうなればより大きな「パニック」になってしまう…」
「クソッー!どうすれば…!」
ジョルノは外を見る。緑谷の外に出るという提案、実の所ジョルノは妙案だと考えていた
(みんなを外に出すのはダメだ…しかし、ぼくだけが外に出てマスコミを食い止められれば…その為には、
「麗日さん!君の“
「え…う、うんッ」
ジョルノが突然麗日にそう命令すると、麗日はちょっぴり戸惑ってから飯田に指先の肉球で触れて、無重力にする
急に体が浮き上がる感覚に飯田は混乱する
「う、麗日くん!?」
グワシィッ!
「そういう事かよォ──ジョルノ!今
「鉄哲さん、やみくもに飛ばしてはいけません……ちょうど出入り口の、非常口看板に向かって!」
そして無重力の飯田の腕を掴んだのは、塩崎のツタの上でバランスをとってる金属製の鉄哲である
「ふ、ふたりとも、一体何を!?」
「今から目立つ場所に飛ばさせます!!飯田、君がみんなを先導して下さい!」
「ボ、ボクがか!」
「今からぼくはマスコミを止めに行く!君だッ、君がやらなくっちゃあならないんだ!」
ジョルノは飯田の目をまっすぐ見る。
「……わかったッ!ボクはどうすればいい!」
「できるだけ大声で注目を集めてほしい!ぼくがみんなを落ち着かせる!」
そう伝えるとゴールド・Eを呼び出し、床にラッシュを叩き込む
「無駄無駄無駄無駄ァ!」
メキョ グググゥ……
「わっ!床に花が咲いた!」
「なんて
ジョルノを中心に広がっていくピンク色の絨毯、それはゼラニウムと呼ばれるフウロソウ科の花だ
「中世ヨーロッパでは悪霊を追い払うとして魔除けの為に植えられる事もあったこの花は、
グシャア!グシャッ!ブチッ!
「…な、なんだ。この匂い…?」
「毒ガスか!?」
「いや、なんか、嗅いでると落ち着くぞ」
「『花』だわッ!何故だか床一面に咲いてる『花の匂い』だわッ!」
ゼラニウムの草花は、混乱する生徒達によって
「すごい…!みんなが落ち着いていく!今しかない、鉄哲くん!」
「行ってこい飯田ァ!!オゥラァ────ッ!!」
「うおお──ッ!」
鉄哲はその場で一回転し、遠心力で飯田を目的の場所へぶん投げた
飯田は回転する体勢をくるぶしから生えた『エンジン』で整えながら、「EXIT」の看板を目指す
(ジョバァーナくんの言う通り!分かりやすく!目立つように!そして…)
そして飯田は、非常口マークのような姿勢で「EXIT」の上の壁に激突し
(大胆に!!)
「大丈ー夫ッ!!」
大声でそう叫んだ
「ただのマスコミです!なにもパニックになることはありません、大丈ー夫ッ!!ここは雄英!!最高峰に相応しい行動をとりましょう!!」
目立つ場所の大声は人の視線を集中させ、みんなは飯田の言葉で完全に落ち着きを取り戻す
次の指示を出していく飯田の姿を、振り返りながら見ていたジョルノは小さく呟く
「…
報道陣は雄英校舎を目指して駆け抜けていた
やがて、校舎の前まで近づいた、その一歩手前
ググオオオ
『な、なんだアアアッ!?』
校舎の出入り口を塞ぐように、急成長した大樹がコンクリートを突き破って現れた
「あ…あの子は!」
その時、とある女性記者が大樹の陰にいたジョルノの姿に気づいた。その記者は、朝ジョルノに取材を申し込んで失敗した人だった
「雄英生だッ!」
「この際生徒でもいい!取材せねば!!」
「オールマイトについて一言!!」
マスコミがジョルノに迫ろうとした時、女性記者はジョルノの目に既視感を覚えた。そう、あの冷たい目は…
ジョルノがこの世のゴミを見ている目だ
「あなた達は不法侵入罪と器物損壊罪で訴えられます」
『えッ…?』
「理由はもちろんお分かりですね?」
スッ…とジョルノが指差した方を見ると、その先には崩壊した雄英バリアーがあった
「あなた達が雄英バリアーを破壊して不法侵入し、雄英のみんなを混乱させたからです」
「いや、あれを壊したのは俺たちじゃあ…」
「そんな言い訳がまかり通ると思わない事だ…覚悟の準備をしておいて下さい。ちかいうちに雄英が訴えます。裁判も起きます。裁判所にも問答無用でいくことになるでしょう。慰謝料の準備もしておいて下さい」
ジョルノは静かに、しかし確実に怒りのボルテージを上げながら、これから起こることを羅列していく。すると報道陣はだんだんを顔を真っ青に染めていく。今更になって、自分達がしでかした暴挙に気がついたからだ
そしてジョルノはとどめに、マスコミ達を苛烈に責め立てる
「貴方達は犯罪者です!刑務所にぶち込まれるのを楽しみにしておいて下さい!いいですね!」
「ジョバァーナ…お前、何やってるんだ?」
そんな中、校舎と樹木の隙間から相澤とプレゼント・マイクがヌッと姿を現した
完全に勢いを失ってるマスコミを見て、深くため息を吐く
「先生……自分の欲の為に他人を平気で踏みにじるような奴はこの世に存在してはならない……ぼくはそう考えている」
「だとしても相手と場所を選べ。
「…わかりました」
マスコミの目の前ですべきではない会話だが、マスコミ達は全員、自分のこれからの末路に頭がいっぱいのため聞こえてなかった
「…とりあえず、今日はお引き取り願います……後日、またお話しすることになるでしょう」
その言葉は、マスコミ達には死の宣告に聞こえた
混乱が収まったその後…
相澤は、ネズミなのか犬なのか熊なのか、かくしてその正体は雄英高校の校長である
「派手に壊されてるね!」
「マスコミは利用されたって所ですか…
「どちらにしろ、生徒達に被害を出させる訳にはいかない。──
相澤は小さく頷いた
正直、今回これが書きたかっただけ