暑すぎて痩せそうなくらいで、このままじゃホラーマンかキン骨マンになってしまいそうなレベルです。皆さんも適度な水分補給は欠かさないよう気をつけましょうね
「大丈夫かジョルノ。どこか痛んだりしてねえか?」
「ええ、パイプの中で頭を打ったくらいです。コブにもなってないし、特に問題はありません」
“薄化”から解放されたジョルノは、敵が持っていた双眼鏡で周囲を見渡しながら切島にそう答える
一方、爆豪は…
「次は右足の裏を『爆破』する。いやならよォー、てめーらの情報を洗いざらい話せよ。ナァ」
「ゥんがァアアア───アァッ!」
両手両足を縛り、口を塞いだ状態でボロボロになっているズッケェロに尋問していた。しかしズッケェロはしゃべる事が出来ない為、完全に私怨による拷問と化している
「おい爆豪!そのへんにしとけよ!広場の様子がわかったってジョルノが言ってる!」
「フンっ」
切島からそう言われた爆豪はつまらなさそうに鼻息を鳴らす
ドギャアァ!
「ンぎゃんッ!」
そしてズッケェロの頭を蹴って、再び気絶させた。ドスドスといった感じにジョルノと切島の2人に近づいて怒声を飛ばす
「寄越せッ!」
「ハイ」
差し出された双眼鏡をひったくるようにジョルノの手から取ると、そのままUSJの中心、セントラル広場を見る
「状況は見ての通りです。オールマイトがきて、脳みそが露出した怪物と一騎打ちで戦っています」
「オールマイトが来てんのか!?じゃあ勝てるぞ!みんな助かる!」
「いや、そうとは言えねェ」
切島の言葉を否定したのは意外にも爆豪だ
「脳みそのヤロー、どういった「個性」か「理屈」か知らねェが、オールマイトとまともに打ち合ってやがるのにダメージがない。並外れた増強系ってのは確定だが、このままじゃあキリがねェな」
「しかも相澤先生も13号先生もやられている。オールマイトだけではみんなを守りきれない。このままじゃあ、みんなが確実に始末されてしまう」
「な…先生が2人ともやられてんのか!?」
それを聞いた切島は、今からでも助けに行こうと飛び出そうとして、ジョルノが制止する
「切島!」
「!」
「そこから……10時の方向…山岳ゾーンを見てください…」
「? オウ…」
ジョルノにそう言われた切島は、「チッ」と舌打ちする爆豪から双眼鏡を手渡されると、山岳ゾーンを覗きこんだ
「なッ」
そして絶句する
なぜなら山岳ゾーンの広い場所…多くのチンピラヴィランが倒れてる中心で、ヴィランに上鳴を人質に取られ両手をあげている、八百万と耳郎の姿が見えたのだから
「か、上鳴ッ!八百万ッ!耳郎ッ!」
「向こうもかなり…いや、援護が望めない以上、向こうのほうが危機的状況だと言えます」
(広場を見たとき、飯田の姿はなかったが、USJの出入り口に、外に向かって強く踏みしめた足跡があった。彼は1人脱出してヒーローに救援を求めに行ったはずだ。だが、救援の到着が間に合わなければ彼女たちは間違いなく殺される…!)
山岳ゾーンは『ゴールド・E』の射程距離よりも遥か先にある。ハブなど足止めできる生命を向かわせても間に合わない。ならば最後の望みは…
「爆豪」
「断る」
「まだ何も言ってねえぞ!?」
ジョルノが言い切る前に断る姿に切島が突っ込む
「俺にあいつらを救けに行けっつー気かァ?……言っとくがコロネ野郎、俺がさっき謎を解いたのは、そっちの方が都合がよかったからだ。てめーやクソ髪がいなくても俺1人でモブくれーブッ殺せてんだよ。全部手のひらで踊らせたようなスカしたツラしやがってよォー、ナメてんじゃあねェぞカスッ!」
ジョルノが敵を追跡できるようにしなかったら?切島がビルが崩壊する時間を稼がなかったら?
そんな、1人では何もできなかったという事実を爆豪は簡単に認めたくはなかった
「爆豪ッ!今はそんな事言ってる場合じゃあ…」
「敵を倒しに行く必要なんてない」
一触触発な雰囲気の中、ジョルノは地面に転がっていた程よい大きさの石ころを拾い、爆豪に差し出す
「アァ?」
「君はこれをあそこに投げこめばいい。“爆破”の加速を使えば、移動するよりずっと早くおわる………それだけでいい」
ジョルノは瞬き一つせず爆豪を見つめる。爆豪も眉間にしわを寄せてジョルノを睨めつける
「………」
「………」
「……クソがッ」
何を伝えようとしたのか、何が伝わったのか
ガシッ
緊迫した空気は爆豪が石ころを手に持った事で霧散する
「ウラァッ!」
BOOM!
そして掌の爆破の勢いを利用して、山岳ゾーン向けて石を投擲する。不機嫌を隠さず体を翻し歩き始める
「爆豪…?」
「行きましょう切島。おそらく爆豪は敵の移動手段であるもやのヴィランを抑えるつもりだ。ぼくたちもその援護をするべきです」
「ちょ…ちょっと待てよッ!まだ上鳴たちが…」
そこまで言って、山岳ゾーンから喧騒が聞こえてくるのに気づく切島。再び双眼鏡で上鳴たちを見ると…
『い、石がヘビに…!?く、首に巻きついて、息が…!!』
『これは、ジョバァーナさんの…!』
『チャンスッ!』
ドスッ ドックン!
『ばべッ!』
人質を取っていたヴィランの首に『ゴールド・エクスペリエンス』で生み出したヘビが絡みついていた
それによって上鳴を手放したヴィランは、耳郎の耳たぶが長いコード状になった個性『イヤホンジャック』で体にプラグを挿され、爆音の衝撃波を撃ち込まれた事で倒れた
「す、すでに攻撃を終わらせていたのか……」
切島は改めてジョルノのすごさを実感した。同い年とは思えない大人びた雰囲気と冷静さ、人を信じる熱い心と信頼を得る為に自ら飛び出す自己犠牲
なにより、他人に従う事をもっとも嫌う爆豪すらも動かす、ジョルノのカリスマと精神力
(爆豪が俺たちを信じて動いてくれなかったら、きっと死んでたのは俺たちの方だ。爆豪はお前の事をちょっとは認めたと思うぜ、ジョルノ…爆豪はゼッテェー認めねえって言うだろうけどな)
2人を追いかける為に走る切島は思った
(俺らを信じて1番に動くなんてよォ…ジョルノ、おめー
一方、水難ゾーンから広場まで戻ってきた緑谷は、蛙吹、峰田と共に絶体絶命の状況に追い込まれていた
相澤と13号は戦闘不能、頼みの綱のオールマイトも現在、脳が剥き出しの化け物…脳無に動きを止められた状態で、黒霧のワープゲートに引きずり込まれようとしていた。オールマイトを中途半端に入れたワープゲートを閉じ、真っ二つにする作戦なのだ
(オールマイト!!)
このままではオールマイトといえど殺される。そう確信した緑谷は、使用した部位のパワーが上がるが自壊する個性で、黒霧を止めようとして
ズァ
目の前に、もやでワープしてきた死柄木の手が見えた
「あ…」
「残念、ゲームオーバーだ」
離れている死柄木があざ笑う
すでに攻撃のモーションを終えてる緑谷には「崩壊」してくる手を止める術はなく…
(まだだッ!)
だが、緑谷は突き出した手をデコピンの形に変え、それで迎撃しようと力を込める
そして中指だけの攻撃を行う
BOOM!
「うぐぁ!」
「邪魔だッどけデクゥ!!」
「かっちゃん!?」
──その直前、広場に到着した爆豪の先制爆撃が黒霧に直撃した。急な幼なじみの登場に驚く緑谷
「なんだと…!?」
しかし、死柄木の驚愕はそれで終わらない
「無駄ァ!!」
メキャァ
突如現れた「ゴールド・エクスペリエンス」の拳が、死柄木の腕にめり込んだからだ
「ううおぉぉおおおおっ!?」
肉がめり込む生々しい音と痛みに思わずもやから腕を戻す死柄木
ビシ ビシ ビシ
さらに別方向から轟が歩いてきて、足元からのびる氷が器用にオールマイトを避けながら、脳無だけを氷漬けにする
「平和の象徴はてめーらごときにやらせねえ」
「轟くん…!」
ジョルノ・ジョバァーナ、爆豪勝己、轟焦凍…
もっとも強い生徒たちがセントラル広場に集まった