雄英襲撃事件の翌日、今回の襲撃犯である『ヴィラン連合』への対策会議の為に雄英高校は1日だけ休校となった
他に誰もいない自宅でジョルノ・ジョバァーナは静かに佇む。何かを決意する為に、目をつぶって深く考え込む
ジョルノは意を決するように顔を上げるとスマホのLINEアプリを起動した。雄英を受験するまでダウンロードすらしてなかったアプリの中には、鉄哲と塩崎の友だちLINEと、1つのグループLINEがあった
(「友だち」か…)
『ダチッ!』というグループ名のLINE(命名:鉄哲)には、昨日の襲撃事件を受けたジョルノを案じるメッセージが羅列されていた。指を動かしメッセージを入力していく
『2人に大切な話があります。直接会えませんか?』
入力して十数秒も経たない内に既読が2つ入り、鉄哲と塩崎の2人から返信が来る
『別に行けるけどよォ〜なんの話だ?』
『私は構いません。どこで落ち合いますか?』
『石海図書館まで来てください。あそこの裏なら、誰もいない』
『分かりました』
鉄哲の既読が入る。1分ほど経ってからメッセージが飛んでくる
『聞かれたくない話か?今聞くんじゃあダメなのか?』
『直接聞いてほしいんだ』
『……分かった。今から行くぜ』
話が終わり、LINEの動きはそれ以降止まった
ジョルノはところどころテントウムシのブローチをつけた服を着ながら、これから会う2人のことを考える
(やはり、徹鐡も塩崎も…いい人だ…)
巨大な石と鉄格子のようなフェンスに囲まれた石海図書館
まるで刑務所のような不気味な静寂さを持つ建物の裏に、ジョルノは足を踏み入れた。集合場所にはすでに鉄哲も塩崎もいる
「……ジョバァーナさん?」
ジョルノの物々しい雰囲気に気づいた塩崎が不可思議そうにつぶやく
「来ましたか2人とも…」
「ジョルノ、一体なんの話をする気なんだよ?」
「その前に少し待ってください」
鉄哲の質問に答えながら、ジョルノは背後の茂みに向かって叫ぶ
「そこのお前!出てきたらどうだ!」
ガササッ
「「!」」
すると、ジョルノの声に反応して茂みが激しく揺れ動く。それを見た鉄哲と塩崎は警戒する
「お前が
徐々に距離を縮めながら「ゴールド・E」をすぐそばに出現させて
「わ〜〜〜ッ!待て待て待て待て待て待て待てッ!オイラだってジョルノ──ッ!」
「…峰田くん……?」
「街を歩いてたら途中で見かけたから、つい
ゴールド・Eが出た瞬間、大声をあげながら茂みから出てきたのは峰田実の姿だった。あまりに予想外の人物が出てきて、流石のジョルノも呆気をとられる
「知り合いか?」
「ヒーロー科のクラスメイトです。そうか…
「そうか。昨日いきなり襲撃されたからな、無理もねえ」
心配……つまりジョルノが心配でついてきたのだろう、と鉄哲は思った
「…うう……」
なのに峰田は、どこかバツの悪いといった表情をしている
「峰田くん…君の懸念はもっともだ。警戒するべきなのだからな………」
そして峰田の心の奥を見透かしたように、峰田が隠そうとした本当の気持ちを口にする
「──この『ぼく自身』を」
「……なんだって?」
鉄哲は自分の耳を疑った
「つまり……なんだ?
「………」
執行時間を静かに待つ死刑囚のような気持ちで黙りこくる峰田。彼自身、ジョルノを尾行する事に凄まじい罪悪感があったが、自分の中に不安に打ち勝てなかったのだ
ガッ!
「どういうつもりだテメ───!」
「ひいいいいいっ!」
「落ち着いてください鉄哲さん!暴力はいけません!」
胸ぐらを掴んで峰田を持ち上げる鉄哲。キレた鉄哲を止めようと塩崎が腕を掴む
「冗談じゃあねェ!これが落ち着いて…」
「昨日から雄英で流れている噂がある。『雄英のヒーロー科にはヴィランの子供がいる』という噂が、だ……いくら隠そうとしても、情報は人から人へと流れ出ていくもの」
言葉を遮られた鉄哲は、遮った張本人を見る。そのジョルノの横顔は何かを決意した目と寂しげな表情をしていた
「…何を言ってるんだジョルノ?」
「だから峰田くんはぼくを追いかけてきた。原因はぼくにあるのだからな…」
「まさかッジョバァーナさん」
「何言ってんだよジョルノ!俺には何言ってんのかさっぱり分からねぇッ!分からねぇぞッ!」
鉄哲はウソを言っている。頭が悪いと自覚している彼だろうと、ここまで言われて分からないわけがなかった
「ぼくの父の名前は───『DIO』と言います」
そしてジョルノから告げられた真実に、鉄哲と塩崎の2人は一瞬思考を止めた
パチン
ポケットからサイフを出してホックを外す。開かれたサイフには写真入れがある。そこに入っていたのは……上半身が裸で、背を向け、首筋に星型のアザがある、大きな背丈をした金髪の男の写真
写真の右上に書かれた名は…「
「これはぼくが唯一持っている父の写真……そしてこの写真こそが」
ジョルノは写真を見せながら服のファスナーを開けて、自身の首筋を見せる
「お、同じ星のアザ…」
「ぼくがDIOの血を継いでいる証拠でもあります」
服を元に戻しながら、ジョルノは3人の方へ向く
「これがみんなに隠していたぼくの『秘密』です。ぼくの出生はそう遠くないうちに多くの人たちが知る事になる…そうなれば、
「……」
「君たちがもうぼくと関わりたくないというなら、それでも構わない…君たちには選ぶ権利がある」
ジョルノの悲壮な決意を感じ取った鉄哲と塩崎は顔を伏せる
ガシィ!
その時、ジョルノの脚にしがみつく者が
「うわあああああああっ!ああ、あああ!」
「み、峰田くん…?」
「ジョルノ────ッ!オイラが悪かったよォォ!ゴメン─────!!」
その正体は峰田だった。大粒の涙をボロボロこぼしながら泣いて謝っている
「オイラ怖かったんだ!せっかく仲良くなれた、オイラを認めてくれたヤツがヴィランだったらって考えたらよォー!昨日ヴィランから守ってくれたのはおまえなのに……ジョルノは何も悪くないのにッ!ゆるしてくれジョルノ───ッ!」
「ソイツの言うとおりだぜ…」
そんな峰田の言葉に同調した鉄哲が前に立つ。怒りと思いやりが握りしめられた拳が震える
「おめーの親父がDIOだからなんだってんだ!?ンな事はダチをやめる理由にはならねえぜ!俺も、塩崎も、緑谷たちだって絶対そう言う!」
ス…
塩崎は近寄り、両手で静かにジョルノの右手を握った
「ジョバァーナさん…いえ、ジョルノさん。あなたのこれから起こる過酷な未来は分かりました…だからこそ、
「塩崎…」
「茨でいいです。徹鐡さんだけ名前呼びなんてズルいじゃあないですか」
「その理屈ならよォー?俺も茨って呼んでもいいんじゃあねえか?」
「はい」
ジョルノは深く思考する。ジョルノにとって、これまで出会った人間は、1人の恩人と少ない味方と多くの敵と無関心を貫くその他だった…「友だち」と呼べる者などいなかった
だが、雄英で過ごしていて少しだけ分かっていた…友人とは、彼らのように心の許しあえる存在なのだろうと
「……ありがとう…君たちの気持ちはたしかに伝わった」
「ジョ、ジョルノ…ごめんよ〜…」
「
その言葉だけで、峰田は心にこびりついた泥が剥がれ落ちたような気持ちになった
鉄哲に対して右手を差し出すジョルノ。それは歩み寄ろうとする彼なりの行動だ
「だから、友だちになろう…これからも、よろしくお願いします」
「さっき言ったじゃあねーか。とっくに『ダチ』だぜ、俺ら」
パァン
ジョルノの誠意に応えようと鉄哲なりに出した返答は、ハイタッチの為に振るわれた右手だった
「君の“個性”、君の精神、君の支配…じつにスバラシイ。君はこの世でもっともこの『DIO』に近い人間だ」
「しかし……君は「
「だから『───』くん………友だちになろう」
──とある邪悪たちの会話より抜粋──
今回すごく難産でした。原作じゃあジョルノに仲間はいても友だちはいませんでしたから、どうすればジョルノらしいのか、あるいはジョルノらしさを崩さずにいられるのか大変でした
色々詰め込みすぎ男になっちゃったけど間のお話はこれで終了。いよいよ次回から雄英体育祭編です