『先頭はジョルノが独走!後方が轟、爆豪と続いて、下は団子状態!上位何名が通過するかは公表してねえから安心せずに突き進めよ!』
プレゼント・マイクの実況が会場に響き渡る。眼下に広がるのは最後の障害にぶつかろうとする選手たちの姿
『そして早くも最終関門!!かくしてその実態は…ー面地雷原!!!怒りのアフガンだ!!地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!!目と脚酷使しろ!!ちなみに地雷!威力は大したことねぇが、音と見た目は派手だから失禁必至だぜ!』
『人によるだろ』
ジョルノたちの先には何も立ち塞がらない簡素な道。その下にはいくつもの非殺傷性の接触地雷が埋め尽くされている
だが、ジョルノの走る速度は緩まない
『トップスピードのまま突っ切る気かァ───!?しかし地雷が埋め尽くされてるんだぜ──!』
3m…2m…1mと、起爆寸前までジョルノと地雷の距離は近づき…
しかし接触直前、ジョルノの体は真横にスライドした。不規則に蛇行する形で走り続けるジョルノ
『クネクネ蛇みてーに走ってるがジョルノ、1つも地雷に当たらねェ!どうなってんだァ!地雷の場所でも分かってんのかオメ───!?』
『分かってるんだ……手の「アレ」を見ろ』
相澤にそう言われたマイクはジョルノの手元を見る。同時にモニターにも映されたジョルノの左手に抱えられていたのは、細長い体に、大きな前足と長い鼻が特徴の小動物
『手に
『そうだ。モグラは視覚が弱い代わりに嗅覚がスバ抜けて発達している生物。それで地雷の金属臭を嗅ぎ分けて、寸前で回避しているという寸法だ』
『解説サンキューなイレイザーッ!まるでモグ博士だなッ!』
『変な名前つけんのやめろ』
若干不機嫌になりつつある解説役を放置して、プレゼント・マイクは実況の方に戻る
ジョルノが先頭を突っ切る中、2位の轟はジョルノの後を追いかける形でしか走れなかった
(地面を凍らせれば地雷を無力化できる。しかし、それをすれば後続の奴らに対する道を作るハメになるし、凍らせたからといってジョバァーナに『勝てる』確証はねェ……だが、このまま追い続けていたんじゃあ、ジョバァーナに勝つ事が…!)
「テメェェ─────半分野郎ォッ!!」
賭けに「出るべき」か「出ないべき」か。そんな迷いに乱入してきたのは、爆破の飛行で地雷を無視しながら轟を追い越した爆豪だ
「宣戦布告する相手間違えてんじゃあねえッ!コロネ野郎もテメェもデクもブッ殺して1位になんのは俺だァッ!」
「爆豪……!クソ……!」
爆豪はようやくジョルノの横に並ぶ。それを見たジョルノは5mほど先に「ゴールド・E」を発現させる
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」
「しゃらくせェ!」
BOOM!!
地面を殴って生命エネルギーを流す。猛成長する木が爆豪の進路を妨げるが、うまく空中で姿勢制御を行いながら爆破で対処する
「やはり強い…」
改めて爆豪の強さを再認識したジョルノはゴールド・Eをもう1度呼び出し…
BOOOOOOM!!!
「「「!!」」」
その時、後続の方向から大爆発が起こる。それは地雷が一斉に爆発した音で…
『オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ!!あいつクレイジー過ぎねえか!?』
『なるほど…ジョバァーナの草のボード、そいつを真似したわけか…』
「何……!」
「アァ!?」
「これは…!」
その爆発の勢いに乗って、0P敵の装甲に乗って飛来してくる『1つ』の存在
『緑谷ァ!地雷の爆発を逆に利用しッ!一気に前に出たアアアアアアアアッ!!』
──そう、緑谷が掘り起こして集めた地雷を爆破させ、上位3人の中まで近づいたのだ
宙を飛ぶ装甲に乗った緑谷は頭を必死に回す
(追いつけた!でもダメだッ!このまま落ちたら、すぐに引き離されるッ!)
「デクてめぇ!俺の前に立つんじゃあねえ!」
「邪魔だ緑谷……!」
予想外の人物が追いついてきたのを見た2人は“個性”をフルに使ってでも1位になろうとする
(もう1度…爆風で飛ぶ!!)
それに対して緑谷は…空中で装甲を鍬のように地面に突き立てるべく振るった
ドスゥゥゥッ!
「必ず…そうすると思っていたよ、緑谷くん」
「!?」
装甲が地雷に突き刺さったと同時に、ジョルノはそう呟いた
「君の個性には大きな『リスク』がある。使わずにぼくたちを出し抜くというのならば……必ず地雷の爆発を利用すると考えた」
グニュ グニュ
「じ、地雷が!」
「すでに!『ゴールド・エクスペリエンス』で地雷をアミメニシキヘビに変えていた!6mに迫る長さを持つこの蛇は、頭の部位が第三関門のゴール地点まで移動している」
緑谷が叩いた地雷のセンサーにあたる部分は尻尾に変わり、そこから伸びた体の先には、炸薬部位が生まれ変わってできた頭部
「そしてセンサーの反応は、体内の受信機・安全装置・信管を通って───頭部で起爆するッ!」
「ンだとオオオオオオッ!!」
BBBBBBOOM!!!
頭部で炸裂した地雷の衝撃は周囲の地雷を巻き込み、連鎖爆発がジョルノたちに迫り、爆音と共に飲み込んでいった
『み、緑谷が機転をきかせてトップに出るかと思いきや、ジョルノの奇策で4人とも全員地雷をモロに食らった───!?つーか、いつの間に地雷を生命に変えてたんだよ!』
『爆豪を妨害した時しか考えられねえだろ。本来なら自分で起爆させるつもりだったが、ちょうど良いタイミングで緑谷が乱入してきたから、急遽緑谷に起爆させる事にした…といったところか』
『だが、地雷はジョルノにも当たったぜ!?こんな自爆同然の方法、策って言えるかァ!?』
もっともな事を言うマイク。しかし、相澤の観察眼は見逃していなかった
『ジョバァーナが持っていた『モグラ』……「物体」に「生命」を与える能力という事は……』
『…おおぉ!!』
緑谷が装甲を剥ぎ取った仮想敵…その脚には、緑谷が
そして煙の中から出てきたゴールド・Eの手には…
『
───爆破を防ぐ盾にした仮想敵の装甲があった
次に出てきたのは、持ち前のタフネスでゴリ押して耐えた爆豪で、3番目に煙から飛び出してきたのは、ジョルノと同じように装甲を盾に前進する緑谷
轟も即席で氷のシェルターを作り爆発を防いだが、それ故にその場から動けず、4人の中で出遅れる形となった
ジョルノは地雷も何もないデコボコの道をひたすら走り抜け、そして……
『さァさァ!最初にスタジアムに還ってきたのは、宣言通り1位になったこの男──ジョルノ・ジョバァーナだァァァッ!!』
1番でゴールにたどり着いた