黄金体験のヒーローアカデミア   作:ジャギィ

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長らくお待たせいたしまた。新鮮な最新話でございます


ティア・ドリンク・レース その3

『先頭はジョルノが独走!後方が轟、爆豪と続いて、下は団子状態!上位何名が通過するかは公表してねえから安心せずに突き進めよ!』

 

プレゼント・マイクの実況が会場に響き渡る。眼下に広がるのは最後の障害にぶつかろうとする選手たちの姿

 

『そして早くも最終関門!!かくしてその実態は…ー面地雷原!!!怒りのアフガンだ!!地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!!目と脚酷使しろ!!ちなみに地雷!威力は大したことねぇが、音と見た目は派手だから失禁必至だぜ!』

『人によるだろ』

 

ジョルノたちの先には何も立ち塞がらない簡素な道。その下にはいくつもの非殺傷性の接触地雷が埋め尽くされている

 

だが、ジョルノの走る速度は緩まない

 

『トップスピードのまま突っ切る気かァ───!?しかし地雷が埋め尽くされてるんだぜ──!』

 

3m…2m…1mと、起爆寸前までジョルノと地雷の距離は近づき…

 

しかし接触直前、ジョルノの体は真横にスライドした。不規則に蛇行する形で走り続けるジョルノ

 

『クネクネ蛇みてーに走ってるがジョルノ、1つも地雷に当たらねェ!どうなってんだァ!地雷の場所でも分かってんのかオメ───!?』

『分かってるんだ……手の「アレ」を見ろ』

 

相澤にそう言われたマイクはジョルノの手元を見る。同時にモニターにも映されたジョルノの左手に抱えられていたのは、細長い体に、大きな前足と長い鼻が特徴の小動物

 

『手に()()()()()()()()……()()()()()()()()!?なるほどアレで地雷を探知してたっつーわけか!』

『そうだ。モグラは視覚が弱い代わりに嗅覚がスバ抜けて発達している生物。それで地雷の金属臭を嗅ぎ分けて、寸前で回避しているという寸法だ』

『解説サンキューなイレイザーッ!まるでモグ博士だなッ!』

『変な名前つけんのやめろ』

 

若干不機嫌になりつつある解説役を放置して、プレゼント・マイクは実況の方に戻る

 

ジョルノが先頭を突っ切る中、2位の轟はジョルノの後を追いかける形でしか走れなかった

 

(地面を凍らせれば地雷を無力化できる。しかし、それをすれば後続の奴らに対する道を作るハメになるし、凍らせたからといってジョバァーナに『勝てる』確証はねェ……だが、このまま追い続けていたんじゃあ、ジョバァーナに勝つ事が…!)

「テメェェ─────半分野郎ォッ!!」

 

賭けに「出るべき」か「出ないべき」か。そんな迷いに乱入してきたのは、爆破の飛行で地雷を無視しながら轟を追い越した爆豪だ

 

「宣戦布告する相手間違えてんじゃあねえッ!コロネ野郎もテメェもデクもブッ殺して1位になんのは俺だァッ!」

「爆豪……!クソ……!」

 

爆豪はようやくジョルノの横に並ぶ。それを見たジョルノは5mほど先に「ゴールド・E」を発現させる

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

「しゃらくせェ!」

 

BOOM!!

 

地面を殴って生命エネルギーを流す。猛成長する木が爆豪の進路を妨げるが、うまく空中で姿勢制御を行いながら爆破で対処する

 

「やはり強い…」

 

改めて爆豪の強さを再認識したジョルノはゴールド・Eをもう1度呼び出し…

 

 

 

BOOOOOOM!!!

 

 

 

「「「!!」」」

 

その時、後続の方向から大爆発が起こる。それは地雷が一斉に爆発した音で…

 

『オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ!!あいつクレイジー過ぎねえか!?』

『なるほど…ジョバァーナの草のボード、そいつを真似したわけか…』

「何……!」

「アァ!?」

「これは…!」

 

その爆発の勢いに乗って、0P敵の装甲に乗って飛来してくる『1つ』の存在

 

『緑谷ァ!地雷の爆発を逆に利用しッ!一気に前に出たアアアアアアアアッ!!』

 

──そう、緑谷が掘り起こして集めた地雷を爆破させ、上位3人の中まで近づいたのだ

 

宙を飛ぶ装甲に乗った緑谷は頭を必死に回す

 

(追いつけた!でもダメだッ!このまま落ちたら、すぐに引き離されるッ!)

「デクてめぇ!俺の前に立つんじゃあねえ!」

「邪魔だ緑谷……!」

 

予想外の人物が追いついてきたのを見た2人は“個性”をフルに使ってでも1位になろうとする

 

(もう1度…爆風で飛ぶ!!)

 

それに対して緑谷は…空中で装甲を鍬のように地面に突き立てるべく振るった

 

ドスゥゥゥッ!

 

 

 

「必ず…そうすると思っていたよ、緑谷くん」

「!?」

 

装甲が地雷に突き刺さったと同時に、ジョルノはそう呟いた

 

「君の個性には大きな『リスク』がある。使わずにぼくたちを出し抜くというのならば……必ず地雷の爆発を利用すると考えた」

 

グニュ グニュ

 

「じ、地雷が!」

「すでに!『ゴールド・エクスペリエンス』で地雷をアミメニシキヘビに変えていた!6mに迫る長さを持つこの蛇は、頭の部位が第三関門のゴール地点まで移動している」

 

緑谷が叩いた地雷のセンサーにあたる部分は尻尾に変わり、そこから伸びた体の先には、炸薬部位が生まれ変わってできた頭部

 

「そしてセンサーの反応は、体内の受信機・安全装置・信管を通って───頭部で起爆するッ!」

「ンだとオオオオオオッ!!」

 

 

BBBBBBOOM!!!

 

 

頭部で炸裂した地雷の衝撃は周囲の地雷を巻き込み、連鎖爆発がジョルノたちに迫り、爆音と共に飲み込んでいった

 

『み、緑谷が機転をきかせてトップに出るかと思いきや、ジョルノの奇策で4人とも全員地雷をモロに食らった───!?つーか、いつの間に地雷を生命に変えてたんだよ!』

『爆豪を妨害した時しか考えられねえだろ。本来なら自分で起爆させるつもりだったが、ちょうど良いタイミングで緑谷が乱入してきたから、急遽緑谷に起爆させる事にした…といったところか』

『だが、地雷はジョルノにも当たったぜ!?こんな自爆同然の方法、策って言えるかァ!?』

 

もっともな事を言うマイク。しかし、相澤の観察眼は見逃していなかった

 

『ジョバァーナが持っていた『モグラ』……「物体」「生命」を与える能力という事は……』

『…おおぉ!!』

 

緑谷が装甲を剥ぎ取った仮想敵…その脚には、緑谷が()()()()()()()とは別に、「もう1枚」分厚い金属の板がなくなっていた事に

 

そして煙の中から出てきたゴールド・Eの手には…

 

()()()()()()()()「生命」「物体」に戻る』

 

───爆破を防ぐ盾にした仮想敵の装甲があった

 

次に出てきたのは、持ち前のタフネスでゴリ押して耐えた爆豪で、3番目に煙から飛び出してきたのは、ジョルノと同じように装甲を盾に前進する緑谷

 

轟も即席で氷のシェルターを作り爆発を防いだが、それ故にその場から動けず、4人の中で出遅れる形となった

 

ジョルノは地雷も何もないデコボコの道をひたすら走り抜け、そして……

 

『さァさァ!最初にスタジアムに還ってきたのは、宣言通り1位になったこの男──ジョルノ・ジョバァーナだァァァッ!!』

 

1番でゴールにたどり着いた


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