黄金体験のヒーローアカデミア   作:ジャギィ

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ファイアー・アンド・アイス その3

「俺だって…ヒーローに…!!」

「───…!」

 

轟の左半身から炎が燃え盛る。それは極限まで冷え切った肉体を、バトルフィールド全てを覆い尽くす氷を勢いよく解かし始めていく

 

 

 

「そうだッ!焦凍ォォ───!!」

 

 

 

その時、観客席からエンデヴァーが歓喜の声を上げた

 

「ようやくその『血』をッ!俺の『炎』を受け入れたかッ!そうだ………その力を使うことでおまえはようやくスタートラインに立ったのだ!!」

 

炎の髭の熱量を上げながら観客席の最前列へと進み、そして叫ぶ

 

()()()ッ!!No. 1になるのだ!!このエンデヴァーも、オールマイトも超えてッ!!」

 

その言葉に込められた熱量を感じ取れば、どれだけエンデヴァーがオールマイトを超えることを望んでいるのか…執着しているのかがよく分かる

 

それでも…轟焦凍には、もはやあれだけ(わずら)わしかった父親の言葉が()()()()()()()()()

 

「…うるせェな……周りが……」

「轟くん…!」

「──いくぞッ」

 

ゴオオオッ!!

 

直後、凄まじい熱量の炎が前から迫る

 

『轟が出した凄まじい炎が緑谷に迫るゥゥゥ!』

「くっ…!」

 

飲み込まれれば意識を持っていかれそうな炎を横っ跳びで回避する緑谷

 

「逃さねェ!」

 

轟はとっさに炎を緑谷に向けて広げた

 

しかし炎の範囲が広がると、同時に熱量も一気に高く上がる

 

「!? しまっ…!」

「───ッ」

 

ボフワァ!

 

「ウアアアアーッ!」

 

火が緑谷を襲い、衣服に着火する。だが、この状況を生み出した轟の方にも焦りがあった

 

轟は緑谷を気絶させるつもりで炎を放ったわけで、必要以上に火力を上げるつもりはなかったのだ

 

しかし長年、父親に対する憎悪から炎の訓練をロクにしておらず、ゆえに炎をうまくコントロールできていない轟は、範囲を広げると同時に火力も上がってしまったのであった

 

ガバァ

 

体操服の上着を脱ぎ、火から逃れようとする緑谷

 

メラ メラ メラ

 

だが、まだズボンの左脚の裾先に引火した炎が残っていた。徐々に燃え広がる炎

 

「ヤバいッ…!」

 

決断は早かった。炎を包まれゆく左脚を鎮火させるために右脚から氷結を伸ばし…

 

「うおおお!!」

 

バキャァ!

 

───緑谷はそれよりも早く、左脚を溶け始めている氷の柱に、ピックで突き刺すように蹴りを入れた

 

ドジュゥゥゥ…

 

「!」

「ぐうう…!」

 

メラメラと燃えるジャージの布地が、密着する氷によって直接冷やされ勢いが弱くなっていく。緑谷の脚の皮膚にも少なくないダメージがあるが、無視した様子で氷柱(ひょうちゅう)から脚を引っこ抜く

 

「ハァー ハァー」

(ためらいなく氷の柱に脚を突っ込んで炎を鎮火させた…普通なら少しは動揺するか正確な判断が下せないものだが…どんな精神力をしていやがるんだ?こいつは…。しかし、何にせよ()で強い攻撃ができないことは理解した。未熟な俺の炎じゃあ緑谷を殺しかねない…すまなかった緑谷…)

 

轟は反省する。そして勝負が終わったらもう1度緑谷に謝ろうと心に決めると、素早く氷を生み出して相手の拘束を試みる

 

「スマッ…!?」

(こ、この氷…さっきと比べてずっと規模が小さい…!あくまで僕の動きを止めて、拘束するためだけが狙いッ!連続で狙われたら体がもたない…!)

 

ダッ!

 

そう判断した緑谷は反撃をやめ、逃げの選択をする。轟はそんな緑谷を逃さないよう新たな氷を生み出し、逃げ道を断ち切るように火炎を繰り出す

 

ジャンプし、ステップし、迫る魔の手から逃げ続ける緑谷。そして氷の追手が一箇所に固まったその瞬間を逃さなかった

 

(ここだッ!)

「スマッシュ!!」

 

残っていた右手、その中指を犠牲に、超パワーの余波で氷結の波をまとめて吹き飛ばす

 

「これで攻撃は全部吹き飛ばした…!」

 

ビシィ!ビシィ!

 

「……え?」

 

しかし、凍りつく音と急激に冷えていく足の感覚

 

緑谷はゆっくりと足元を、そして後ろを見る…そこには、ステージ外から回り込む形で緑谷の足首を捕らえた氷の道筋が見えていた

 

「何ィィィィィ!?」

「おまえを追いかけていた氷はすべて囮…」

 

ようやく緑谷の動きを止めた轟は静かに語る

 

「本命は静かに、ゆっくり回り込ませていた…そして捕まえた」

『とうとう緑谷を捕らえた轟ィィ!さっきの状況とは一転、轟が王手をかけたァ───!!』

「だが、油断はしない…!」

 

炎で全身を温めて体温を整える轟を前に、緑谷は必死に打開策を考える

 

(どうするどうするどうする!?足が凍っているからうまく体が動かせない!腕が届かなくて氷を砕くことができない!脚でワン・フォー・オールを使えば…ダメだッリスクが高すぎる!脚じゃあ力の調整ができないッ!クソ!()()()を壊さないで“個性”を使うことができれば………)

 

そこまで考えて…緑谷はあることに気づく

 

(……()()()?待てよ…そういえばオールマイトは腕や脚だけワン・フォー・オールを使って戦っていたのか?そんなはずがない!移動だけで強化してない部分がもたないし、テレビの電源みたいにいちいち切ったりつけたりしてたら動きにタイムラグだって……)

 

轟がこちらを見据え、左手を構える

 

(…そうか…!今の僕が「それ」だッ!いちいち“個性”を使っているから動きが遅くなる!「腕」だけじゃあなく「脚」も………いいや!)

 

ボアァァァ!

 

そして、意識を刈り取る炎の(アギト)が緑谷のいた場所を通過した

 

 

 

「………」

 

攻撃した後も轟は決して警戒を解かなかった。揺らめく炎が消え、解けた氷の水蒸気が晴れた先にあったのは……

 

何も残っていない、()()()()()()ようにひび割れた床と氷

 

「ッ!!」

 

ズァッ!

 

そこからの判断が早かったのは、轟の叩き込まれた戦闘能力の高さのおかげと言えた。即座に自身を囲むように氷壁を生み出し、攻撃に備える

 

ガシィィ

 

しかし、攻撃をしかけた者は氷の壁を掴み、即座に登りきって轟の真上を取る

 

「なッ」

「オラッ!」

 

バキャァ!

 

「ぐぅッ…逃がすか!」

 

轟を殴った襲撃者を拘束すべく、手を伸ばして捕まえようとする

 

ビュオ!

 

「な、なにィ!?」

 

だが、伸ばした手は体を掴むどころか、衣服にかすりすらしないほどの高速移動で氷壁の内側から脱出した

 

そして…ステージ上で生み出された氷のオブジェの上にその男は…緑谷は着地する

 

「ハァー!ハァー!ハァー!」

「…………」

 

明らかに肉体を酷使した激しい呼吸で全身を上下させる緑谷は、しかし自分に言い聞かせるように小さくつぶやく

 

「…人型のエネルギーを…ハァー…()()()()()()()()()…!」

 

バリ バリ バリ

 

直後、緑谷の体から薄く輝くスパークが発生し、赤いラインが浮かび上がる

 

「なんだ…その体は…?」

 

その轟の疑問を、“個性”の名前だけ隠して…答える

 

(ワン・フォー・オール…)

 

 

 

「───フルカウル…!!」

 

それは、平和の象徴の後継者が次のステージに足を踏み入れた瞬間だった




「フルカウル」発動です。 ズギャァァァン!

ヒロアカ二次じゃあ二番煎じな展開かもしれませんが、この話のラストは気合入れて書きますので楽しみにしててください
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