ああ……逝ってはナランチャ……
「ま、待ってください!!質問をッ!!」
「却下」
メガネをかけた真面目そうな生徒、
「い、いくらなんでも理不尽じゃあないですか!?しかもいきなりッ!入学初日にテスト、最下位は除籍処分って…!」
「ヒーローになれば、自然災害、事故、ヴィランはいきなり、そして理不尽に
麗日が抗議の声をあげるが、相澤は遮るように言葉を紡ぐ
「放課後にマックで駄弁りたいと考えてたヤツもいるようだが残念、雄英は君達に3年間、ひたすら受難を提供するご予定だ。そういう
長い前髪をかきあげて、笑いを浮かべながら生徒達に語りかける
「『
個性把握テストのスタートが切られ、全員がそれぞれ、瞳の奥に「覚悟」を灯していった
ただ1人、
第1種目 50m走
2人ずつ、50mの距離を走る種目であり、ジョルノの出席番号は12番のため、11番の
この種目では個性を使わない障子と違い、ジョルノはゴールド・Eの脚を自身の脚と重なるように発現させる
パンッ!
相澤がスターターピストルを鳴らす
ダッ!
「…!速いッ!」
先ほど見たジョルノの能力から身体強化の個性ではないと考えていた障子は、想像以上に速い走り…いや、前のめりになりながら横っ跳びで駆けるジョルノの姿に驚く
ピッ
『5.76』
6秒台を切ったジョルノだが、その顔は微妙そうな表情だった
(やはり『ゴールド・E』のパワーがあっても、脚で走る以上飛び抜けた記録にはならないな…)
そう思うジョルノに、一足遅れてゴールした障子がジョルノに近づく
「まさか速く走ることもできるとは……いや、ジャンプか?」
「君は…」
「そういえば名乗っていなかったな。俺の名前は障子 目蔵。確か、ジョルノ・ジョバァーナだったか?」
「ええ、よろしくお願いします」
50m走…5.76秒
第2種目 握力
「540㎏wってマジかッ!!」
「あんたゴリラ!?タコか!!」
「タコってエロいよね………」
「………」
障子が“複製腕”の触手で腕を増やし、凄まじい記録を達成した事で周囲が反応する
なお、戯言をほざいているのは、超低身長なエロ葡萄こと葡萄みたいな髪をした
「先生、これ、借りますね」
順番が回ってきたジョルノは、相澤からスターターピストルを拝借すると握力計の中に差し込み、生命エネルギーを流す
メキメキ…
「うおおッ!?あっちは木が生えた!つーか木になった!」
「どんな“個性”なんだ…」
もっとも硬い木の1つと言われている
バキャアッ!!
「こ、壊れたァー!!」
握力…測定不能
第3種目 立ち幅跳び
グオオォオ
「今度は竹がすごいいきおいで成長してるッ!」
「動植物を生み出す能力か…?」
今度はスタートラインに竹を斜めに生やした
50m走と同じくゴールド・Eのパワーで、限界まで成長させた竹の上からジャンプすると、結構な距離を跳んだ
立ち幅跳び…1722cm
第4種目 反復横跳び
ここでは流石にゴールド・Eを使っても記録が伸びない為、普通に反復横跳びをした
反復横跳び…65回
第5種目 ソフトボール投げ
これは1番最初のデモンストレーションの時に最高記録を出した為、ジョルノは見学しているだけだった。みんながそれぞれ自分の個性を駆使して、ボールを遠くに飛ばしていった
しかし、緑谷が個性を使ってソフトボールを投げたところで異変が起きた。記録が46mとあまりにも一般的な記録だからだ
「なッ…今、確かに使おうって…!」
「“個性”を消した」
個性を使ったはずなのに発動しなかった。その事実に困惑していると、目が赤く髪が逆立った相澤がそんな事を言った。長いマフラーのようなものの下にはゴーグルが見え隠れしている
「つくづくあの入試は『合理性』に欠くよ。お前のような奴も入学できてしまう」
「消した…!あのゴーグル…そうかッ!」
相澤の言動、容姿、そして個性が消えたという結果から、ようやく緑谷のヒーローオタク知識の中から彼の正体が浮かび上がった
「視ただけで人の個性を抹消する個性!抹消ヒーロー・イレイザーヘッド!!」
相澤…イレイザーヘッドはいわゆるアングラ系ヒーローであり、緑谷以外はイレイザーヘッドというヒーローを知らなかった
「緑谷…入試でもそうだったな。また
「!」
「お前のしている事は1人を救って木偶の坊になる事……
相澤の厳しい言葉に緑谷はうつむく。相澤はソフトボールを手渡す
「“個性”は戻した…ボール投げは2回だ。さっさと済ませな」
しかし緑谷は投げるそぶりを見せず、ブツブツブツブツと何かを呟いてるだけだ
「緑谷くん、一体どうしたのだろうか…?」
「ハッ!「除籍勧告」食らったんだろうがよォー!」
飯田の心配を爆豪が嘲笑う。しかしそれに反論したのはジョルノだ
「いや、相澤先生は合理主義者です。除籍勧告をしたならボールを渡す理由がない。つまり、彼にはまだチャンスがあります」
「アァッ!?何いきなり割って入ってきてんだてめぇ!入試1位だからって調子乗ってんじゃあねェぞクソコロネ!!」
「…その『クソコロネ』っていうのは、ひょっとしてぼくの事ですか?」
「テメェみてェなクソ髪、どこにもいねえだろうがッ!!」
自分が1番でないと気が済まない爆豪は、入試1位の座を横取りした(と思っている)ジョルノを必要以上に敵視するが、どうでもいいという風に緑谷を見る
「コロネ野郎!シカトしてんじゃあ…」
「SMASH!!!!」
再びジョルノに怒鳴りつけたその時、緑谷がソフトボールを遥か彼方に投げ飛ばした。明らかに700mは超えていた
「先生…!まだ…動けますッ」
「こいつ…!!」
見れば人差し指の色が変わるほど折れているが、涙をこらえ笑いながらそう言う緑谷に、相澤はどこか嬉しそうに笑う
「………ハ?」
一方、緑谷の高記録を見た爆豪の目はあり得ないものを見る目をしていた
(…人差し指が変色するほどヘシ折れている…“個性”の反動で折れたのだろうか?いや、そうとしか考えられない。指1本でゴールド・
「どーいうことだッ!ワケを言え!デクてめぇ!」
ジョルノが緑谷の状態を観察していると、爆豪が右手を“爆破”させながら緑谷に襲いかかる
シュバァ───ガシッ!
しかし、相澤の首元のマフラーのようなものが爆豪を捕らえ地面に叩き落とした
「んだこりゃッ…“個性”が…!」
「炭素繊維に特殊合金を混ぜ込んだ捕縛武器だ。ったく、何度も個性使わすなよ・・・俺はドライアイなんだ」
目を真っ赤にしながら忠告する相澤
「時間がもったいない。次、準備しろ」
第6種目 持久走
ゴールド・Eのパワーで常にトップスピードで走り続けたが、“エンジン”でそれ以上に速く走る飯田には勝てなかった
“創造”でバイクを創った
持久走…2位
第7種目 長座体前屈
ジョルノは座り込むとゴールド・Eにそのままの姿勢で器具を持たせ、そのまま射程距離の限界まで前方に移動させた。長座体前屈姿勢のまま地面を滑るゴールド・Eの姿はとてもシュールな絵面だった
「ええーッ!?金ピカのユーレイ出てきた!!」
「マジにどんな“個性”だよ!?」
「つーかアレ
「ありだ」
長座体前屈…1061.7cm
第8種目 上体起こし
「ユ、ユーレイに手伝わせてる…」
生まれ変わらせた植物をクッションにして、ゴールド・Eに引っ張ってもらうことで素早く上体を起こした
上体起こし…76回
全てのテストが終了し、全員が相澤の前に並ぶ
「んじゃあ、パパッと結果発表。トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括表示する…」
手元の端末を弄りながらホログラムを表示させる。同時に相澤は呟く
「ちなみに除籍はウソな」
『………は?』
さらっと言われたセリフに唖然とする多数の生徒に、相澤はハッと鼻で笑いながら
「君らの最大限を引き出す、合理的虚偽」
『は───!!?』
一部を除き、見事に騙された生徒達は絶叫した
「あんなのウソに決まってるじゃない…ちょっと考えればわかりますわ」
(…いや、あの目は本当に除籍するつもりの目だった……おそらく見込みがないと判断した生徒は全員だ…)
ジョルノは相澤が思っていた以上に容赦のない先生だと認識する一方で、安堵する生徒達を見ながらこう思った
(でもまあ……ぼくを含めた全員が彼のお眼鏡にかなったって事で…良しだったってことにするかな)
ジョルノ・ジョバァーナ──1位で個性把握テストを突破
緑谷 出久──最下位。ただし見込み
握力計──