「さて、講評といこうか!!ではまず、今回1番活躍してたのは誰だったと思うッ!?」
「はい、オールマイト先生」
オールマイトの質問に手を挙げたのは八百万だった
なお、彼女の
「今回1番貢献していたのは、やはりジョバァーナさんだと思います。互いの“個性”を最大限に活用し口田さんの索敵を利用した作戦の立案、真っ先に自分の弱点である口田さんを確保した事、そして自ら囮役になって常闇さんを抑えた事…今回の戦闘内容を全てコントロールしたと言っても過言ではないと考えています」
「うむ!今回ジョバァーナ少年は本当に上手く立ち回ったと言える!何気に核に1回も近寄らせていないというのも良い点だ!他にはないかな!?」
そう促すと、オズオズと手を挙げた女子生徒が。長いコード状になっている耳たぶが特徴の
「えっと、常闇かな…?モニターで見た感じだとジョルノの個性を見破ってたみたいだし、1人になっても諦めずに戦って、そんでギリギリまで追い詰めていたから」
「その通り!「ヒーロー」というのは例え1人になったとしても決して諦めてはいけない!孤立しても最後までベストを尽くした常闇少年も、十分貢献したと言えるだろう!」
オールマイトは常闇を褒め称える。とても嬉しいのだが、手加減していたとはいえゴールド・Eでボコボコに殴られていた為、軽く頷く
「峰田少年も作戦の要として頑張ったが、もう少し自分の意見も言うべきだ!口田少年も特に悪い点があるわけではないが、索敵を逆手に取られて作戦を組まれたのは痛かったね!」
オールマイトはそう言うと講評を締めようとするが、そこに待ったをかけるように轟がジョルノに声をかける
「…ジョバァーナ、1つ気になることがある」
「気になること?」
オウム返しするジョルノに、轟は問いかける
「常闇は戦ってる最中にお前の『弱点』が分かったみたいだったが……なんでお前は、戦う前から2人の『弱点』が分かっていたんだ?」
『……あ!!』
轟の指摘に、生徒の何人かがその事実に気づく。そしてそれを聞かれたジョルノは、特に変わらない様子で答えを言う
「そんなのは単純な話ですよ。ぼくは1番最後だった故に、みんなの戦闘訓練をモニターを通して見ることができた。だからぼくだけ、みんなの“個性”を対策できる立場にあったってわけだ」
ジョルノはモニターを指差しながら続ける
「例えば口田くんは頑なに虫を操らなかった。バレる可能性が高い鳥などよりも都合がいいにも関わらずだ………だから、彼が虫を使わない理由が、虫が苦手なんじゃあないかと予想はできた。常闇に関してはもっと簡単だ。彼が日陰に入っている時だけ影のモンスターが強くなっていた…なら、逆に明るければ明るいほど力を失うのではないか?って推測したんだ」
「…たったそれだけで分かるもんなのか?」
轟の言うように、オールマイト以外戦闘中の会話などが聞こえないモニターを見ただけで“個性”の弱点を見つけるのは困難なのだ
少しため息を吐くと、物憂げな表情を浮かべジョルノは語る
「正直な事を言うと、どっちもあくまで推測に過ぎなかった…どっちかは当たるだろうが、最悪
「おう、ジョルノはオイラにそう言ってたぜ」
「だから口田くんが虫嫌いじゃあなかったとしても、見た目がグロテスクなアシダカグモを出しておけばゴールド・エクスペリエンスで抑え込む隙を作る事ができたし、鏡の太陽だって
「……そうか」
説明が終わったジョルノは一息つくが、みんなはその高い洞察力に舌を巻いていた
なぜなら、ジョルノだけは一緒に組む味方も戦う相手も完全にランダムなのだ。分からない相手の対策を取るということは、A組20人全員の“個性”を把握するということなのだから
「じゃあさァー!もし俺が相手だったらどう戦ってたんだよジョルノ?」
そう聞いてきたのは
「そうですね…見た感じ君の個性は電気を放出する個性だ。そういった個性には許容量に限界があるもの……“個性”はあくまで身体能力の一端ですから。だから素早く数の出せる蛇とかで襲わせ続けて、許容限界がきたところを捕らえる…といった感じですかね」
「コエ────よッ!?お前と当たらなくてマジでよかったわ!!」
「常闇も完全にとどめさした上で捕獲したしな…」
「ケロケロッ。ジョルノちゃん、意外と過激なのかしら?」
ジョルノの想像以上に容赦ない作戦に、上鳴は震え上がる思いだった
そんな中、軽く俯いて考え込むのは爆豪だった
(コロネ野郎は終始圧倒してたわけじゃあねえ…けど不利な奴がいたにも関わらず勝ちやがった。「余裕」だッ!あの野郎、最初から最後まで「必ず勝つ」って顔してやがった…!俺はなんだ?デクの奴に負けて、氷の野郎に勝てねえって思っちまった。
これまでの人生で勝ち続けた、今まで緑谷を見下し続けてた爆豪にとって、今回の戦闘訓練は大きく、そして確かな衝撃があった
「それじゃあ、今日の授業はここまでッ!」
今度こそ授業を終わらせる為に、オールマイトは大声でそう言った
とあるバー…ほのかな電灯でしか照らされてない薄暗いその場所で、奇妙な2人の男が向かい合っていた
1人は黒スーツを着てバーテンダーのようにカウンターの前に立つ男。しかし、その全身が黒いもやのようなものに包まれていて、男の本当の全貌を把握できないでいた
もう1人の男の出で立ちはさらに不気味だ。顔と体の至る所に手首から切断、切断面を加工された手が掴むようにくっついていて、顔はほとんど手で見えなかった
「なァ────
「…なんですか?
黒霧と呼ばれた黒スーツの男は、死柄木と呼んだ男の言葉に耳を傾ける。そして…
「俺はなぁ〜〜〜〜つくづく思うんだ。もし世間一般のみんなが聞いたら、知ったらどう思うんだろうってなぁ〜〜?」
死柄木は………指の隙間から狂気の瞳をのぞかせる
「もしオールマイトが「死んだ」ら……」
「DIOの血筋が「絶えてなかった」ら……」
「知った奴ら、どう思うんだろうなァ?」