第2次スーパーロボット大戦J   作:YSK

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第08話 訓練特訓偽物回

 

──Gアイランドシティ──

 

 

 ※今回、ロゼ=リアが退場していると、一部会話があったりなかったりします。

 

 

 大仕事を一つ完了させ、第13独立部隊は本拠地となっているGアイランドシティへ戻ってきた。

 

 統夜達が通路を歩いていると、親しげに話す凱と一矢の姿があった。

 

 

統夜「あ、二人共」

 

テニア「やっほー」

 

ロゼ=リア「やっほーですわー」

 

一矢「ああ、みんな」

 

凱「やあ」

 

メルア「前から思ってたんですが、お二人は昔からの知り合いなんですか?」

 

凱「ああ。俺も一矢も、どちらもスペースマンだからね。共に訓練を受けた仲でもあるのさ」

 

カティア「ああ。だから」

 

一矢「そういうことさ」

 

 

 言われ、納得する。

 同じ日本人。同じ夢を追ったもの同士。

 

 それなら親しく話をしているのも納得である。

 

 

一矢「ただ、GGGに来て驚いたよ。俺は凱が死んだと聞いていたからな」

 

統夜「あー」

 

凱「この体(サイボーグ)だからな。表向き俺は、死んだことになっている」

 

 

 凱は今から約2年前、シャトルで宇宙に出ようとしたところで事故にあい、瀕死の重傷を負った。

 その時、ギャレオンのGストーンと父親の麗雄博士によりサイボーグとなり、その命を繋いだのだ。

 

 しかしその結果、人間としての凱は死んだことになったのである。

 

 

一矢「だから、こうして再会できて嬉しいよ。俺は」

 

凱「はは。なんかくすぐったいな」

 

 

 朗らかに、二人は笑った。

 

 

ドモン「竜崎、ここにいたか」

 

一矢「ドモンか。なにか用か?」

 

ドモン「ひさしぶりに日本に戻ってきたんだ。一つ手合わせをどうかと思ってな」

 

 

 竜崎一矢は空手の達人である。

 ダイモスはその動きをトレースし動くという、一部ガンダムファイターと似た操縦法となっている。

 

 ゆえに、その力を最大限に発揮するには、こうして生身を鍛えるのが一番というわけでもあるのだ。

 

 

一矢「確かに、最近色々あって稽古もしていなかったな。いいだろう。みんな、いいかい?」

 

統夜「はい」

 

シャナ=ミア「せっかくですから、見せていただいてもよろしいですか?」

 

ドモン「かまわん」

 

 

 ということで、皆で修練場へとむかう。

 

 むかいあい、手合わせをはじめる二人。

 気合と共に、拳と拳がぶつかり合った!

 

 

カティア「そういえば……」

 

凱「ん?」

 

カティア「凱さんと一矢さん。どちらが先輩だったんですか?」

 

 

 戦いを見て、ふと思ったカティアが共に見物する凱に聞いた。

 

 

凱「スペースマンとしては、俺かな。でも、本来なら彼が俺より早く宇宙に出ていて不思議はなかった……」

 

ロゼ=リア「その言い方ですと、なにかあったのですか?」

 

凱「ああ。調べればすぐにわかることだが……」

 

 

 そう前置きし、凱はかつて竜崎一矢の身に起こったことを説明する。

 

 

凱「今から約四年前。一矢はスペースマンとなるための訓練中、事故にあって全身麻痺という状態になってしまったんだ」

 

テニア「ええっ!?」

 

メルア「それって、大変なことじゃ?」

 

凱「ああ。大変なことだ。宇宙飛行士どころか、マトモに生活さえできない絶望的な状況におちいった。だが一矢は諦めず、不屈の精神でリハビリに挑み、それを完全に克服し、再びスペースマンとして立ち上がった。それが、今の彼だ」

 

カティア「すごい」

 

ロゼ=リア「奇跡の復活ですわね!」

 

統夜「一矢さんにそんな過去があったなんて」

 

凱「ああ。まさに不屈の精神だ。だから、俺は一矢を尊敬している」

 

凱(そう。あの努力の姿を見たからこそ、俺はこの体になってもふてくされず、希望を捨てずにやってこれた……)

 

凱「一矢なら、きっとバームとの友好の架け橋になれると、俺は信じているよ」

 

シャナ=ミア「はい。それはとても信頼できる情報ですね! 私もより、一矢さんとエリカさんならそれができると思えるようになりました!」

 

ドモン「うむ。いい戦いだった」

 

一矢「ああ。いい刺激になった」

 

 

 手合わせも終わり、ドモンと一矢はがっしと握手を交わし、統夜達の方へ戻ってきた。

 

 

ドモン「話をしていたのに、時間をとらせ悪かったな」

 

統夜「いえ。世間話をしていただけですから」

 

一矢「ところでみんな、なにか俺について話をしていなかったか? あと、この視線は……?」

 

 

 凱の話を聞き、一矢にむけ尊敬の念がこもった視線がむけられている。

 

 

シャナ=ミア「一矢さん。私は信じていますから! その不屈の精神があれば、きっとエリカさんと幸せになれると!」

 

メルア「わたしもそう思います! バームとの友好。絶対に、絶対に実現させましょうね!」

 

一矢「い、いきなりなんだぁ!? おい、凱。なにを言った!」

 

凱「お前は凄いってことをみんなに教えたのさ」

 

一矢「いや、絶対違うだろ。なにか勘違いさせただろ!」

 

テニア「まー、しょうがないよね」

 

カティア「ええ。でも、勘違いではないと思うわ」

 

 

 和気藹々と、皆笑うのだった。

 

 

一矢「一体なんなんだぁ!?」

 

 

 そうしていると、修練場に足を踏みいれた人影が一つ。

 

 

???「ここにいたか。紫雲統夜」

 

統夜「ん?」

 

 

 不意に声をかけられ、振り返ったそこには相良宗介がいた。

 

 

統夜「相良軍曹?」

 

宗介「お前を探していた。お前は今、命を狙われているのを自覚しているか?」

 

統夜「そりゃしてるよ」

 

宗介「ならば、もう少し備えた方がいい。相手もそろそろ必死になってくる。このままでは、生身の状態で襲われ、死ぬ可能性がある」

 

統夜「その可能性は……いや、ないとも言えないのか」

 

宗介「それだけでなく、命の危険はいつも存在している。生き残る確率を少しでもあげるため、暗殺から逃れる訓練を受けさせるべく、お前を探していた」

 

統夜「確かに、軍曹の言うとおりかもしれない。ところで軍曹」

 

宗介「なんだ?」

 

統夜「その訓練、わざわざ俺のために用意してくれたの?」

 

宗介「当然だ。仲間の生きる確率を少しでも上げる。それはやるべきことだろう?」

 

統夜「いや、ありがとう。それなら俺も、がんばって軍曹のシゴキに耐えるよ!」

 

宗介「……?」

 

統夜「?」

 

 

 統夜の言葉に、宗介は首を捻った。

 続いて、統夜も首を捻る。

 

 

宗介「俺は指導しないぞ」

 

統夜「しないの!?」

 

宗介「ああ。俺がやるのは千鳥にとめられていてな。どうやら、ラグビー部の一件がお気にめさなかったらしい。女子五人が嫌がるからやめろと言われた」

 

統夜「ああ、あれか……」

 

テニア「あれかー」

 

メルア「あれですねー」

 

カティア「あれは……」

 

シャナ=ミア「ひどかったですね……」

 

ロゼ=リア「??」

 

 

 事情を知る全員が遠い目をした。

 それは平時。ファンシー好きで廃部寸前となったラグビー部を宗介指導で一般以上の汚い言葉を使うラガーマンに変貌させたエピソードが(フルメタ原作に)あったからだ。

 

 

テニア「さすがに、統夜がああなるのはイヤだよね」

 

メルア「イヤですね」

 

カティア「かなめに感謝しないと……」

 

シャナ=ミア「ほっ」

 

ロゼ=リア「雰囲気から、ヤバいことが起きそうだったのが理解できましたわ!」

 

宗介「だから、かわりにテンカワ・アキトが身を隠していた時組まれた訓練プログラムがある。それを使う」

 

統夜「ああ。連れ去られたりしないように訓練したんだ」

 

宗介「そうだ。逃げる。かわすに特化した生存重視の訓練だ。暗殺から生き残るためのお前にはちょうどいいだろう?」

 

統夜「確かに。それはありがたい」

 

宗介「俺はあまり信じていないが、サイトロンとやらの恩恵で先読みも得意だろう。それもあわせ、訓練後には弾丸もかわせるようになると講師達も言っていた」

 

統夜「……え?」

 

アキト「……大丈夫だよ。死にはしないから。捕まった方がマシだったとか思うかもだけど」

 

統夜「え?」

 

 

 唐突に現われたアキトに肩を叩かれ、憐憫の目をむけられてしまった。

 

 

宗介「ちなみにテンカワ・アキトは弾丸はかわせず、試行錯誤の結果あのエステバリスに改造されたそうだ」

 

 

 装甲をあげて耐えつつ逃げるという方向でブラックサレナが完成したようである。

 

 

アキト「普通の人間はね、弾丸はかわせないんだよ……」

 

統夜「さ、相良軍曹? 一つ聞くけど、その講師は、普通の人だよね?」

 

宗介「もちろん人間だ。テンカワ・アキトの場合はミスリルの人間がかわりを勤めたが、今回はプログラムを作った本人達がいる。彼等に直接指導してもらう。運がいいらしいぞ。滅多に彼等の指導など受けられないからな」

 

統夜「……い、嫌な予感しかしない」

 

宗介「では、きてくれ。シャッフル同盟」

 

チボデー「よーし、まかせろ!」

 

ジョルジュ「少女達のためにも、死なせるわけにはいきませんからね」

 

サイ・サイシー「おいらはちゃーんと加減するから、安心してくれよ」

 

アルゴ「……」

 

ドモン「ふっ。俺は今回監修だけだ。他の四人が張り切っているからな」

 

ジョルジュ「さあ、はじめましょう! 絶対に生き残らせてみせますよ!」

 

統夜「なんかすっごい張り切ってるー!」

 

 

 こうして、統夜の生存特訓がはじまった!

 

 

ジョルジュ「相手の殺気が感じられないとしても、撃たれる可能性のある場所をしっかり把握し、いつでも対応できるよう注意を払っておきなさい!」

 

チボデー「きた。と思った瞬間にはもう避けられるようになれ。じゃなけりゃ、銃には勝てねーぞ!」

 

サイ・サイシー「ダメなら見てよければいいのさ!」

 

アルゴ「……全員の無茶ができれば、立派なガンダムファイターになれる」

 

統夜「そこまで目指してませんよ!」

 

ジョルジュ「口答えしない!」

 

統夜「は、はいー!」

 

 

 そして、それを遠くから見ているしかできないお嬢さん方。

 

 

メルア「わたし達はどうしましょう……」

 

テニア「んー。なにかしてあげられることあるかな」

 

シャナ=ミア「むしろあれは、私が受けるべきことだと思うのです。なのでいっそ私も……!」

 

カティア「気持ちはわかるけど、それだと逆に統夜君の負担になってしまうと思うわ」

 

ロゼ=リア「ですわよねえ」

 

シャナ=ミア「ですよねぇ……」しょぼーん。

 

メルア「わたし達にできること……」

 

テニア「応援?」

 

シャナ=ミア「トウヤ、がんばってくださーい!」

 

ロゼ=リア「がんばってくださいましー!」

 

統夜「……っ!」

 

チボデー「余所見している暇はないぜ!」

 

ジョルジュ「してもかまいませんが、こちらにも意識を残して!」

 

統夜「うわー!」

 

シャナ=ミア「……」汗

 

テニア「……やっちゃったかな」

 

シャナ=ミア「ぎゃ、逆に、トウヤの負担に……」

 

アルゴ「いや、これはこれで訓練になる」

 

クルツ「そうそう。他に意識を持っていかれても、ちゃんと注意を払えるってのは意味あることだと思うぜ。だから、こういうのはどうかな?」

 

シャナ=ミア「はい?」

 

 

 いきなり現われたクルツが、シャナ=ミアに耳打ちした。

 

 

シャナ=ミア「バニーガールー!?」

 

統夜「……っ!」びくっ!

 

 

 耳打ちされたシャナ=ミアが叫び、その声と意味に思わず統夜の意識はそっちへいってしまった。

 

 

ジョルジュ「はい、集中!」

 

統夜「今のは反則だと思う!」

 

 

 統夜の叫びに、一部野次馬に来ていた男性陣がうなずいたような気がした。

 シャナ=ミアのバニー姿。言われて頭に浮かべない男の子はオトコノコじゃないからだ!

 

 

ジョルジュ「敵は反則も使ってきます。文句は言えませんよ!」

 

統夜「くっ!」

 

 

 ジョルジュの正論に、統夜は返す言葉がなかった。

 殺しに来る相手は女。同じような手段で来られたら殺されてしまったわけだから。

 

 

クルツ「そう。この格好で応援すれば、ヤツの集中力をさらに分散させて、より特訓に意味が出る! そして、俺達も嬉しい!」

 

雅人「出るね! 嬉しいよね!」

 

マオ「……」

 

沙羅「……」

 

 

 二人は退場した。

 残されたのは、バニーガールの衣装のみ。

 

 

シャナ=ミア「……」

 

テニア「どーすんのこれ」

 

ロゼ=リア「どうしましょう」

 

メルア「人数分ありますよ……」

 

カティア「たぶんサイズとかあってるんでしょうね……」

 

シャナ=ミア「トウヤのためならば、わ、私の恥辱など……!」

 

統夜「やめて! 一人やったらみんなやりはじめちゃうから! 俺がホントに死んじゃう!」

 

シャナ=ミア「しゅん……」

 

 

 統夜決死の懇願に、シャナ=ミアがしゅんとする。

 

 

ドモン「ほう」

 

一矢「やるな」

 

テニア「え? 今なにかあったの?」

 

ドモン「紫雲が叫んだあの瞬間、こちらへむいた意識にあわせ、ジョルジュが死角から攻撃を仕掛けた。だが、それを見事かわしてみせた」

 

一矢「あれは偶然の動きではない。きちんと背中にも意識を残していた証拠。なんだかんだ言うが、ちゃんと成果は出ているようだな」

 

シャナ=ミア「では意味はあったと!?」

 

凱「だからまあ、着替える必要はないんじゃないかな?」

 

 

「えー」

 一部遠巻きの野次馬からそんな声も上がったが、退場者の末路を知らされ文句を言うものは出なかった。

 

 

ジョルジュ「やりますね。ならば、次の段階へ進みましょう。こんなに早くこの段階に進むとは。これであなたも立派なファイターになれます!」

 

統夜「それ、喜んでいいのかわからないんですが!」

 

 

 んで。

 

 

ジョルジュ「これにて、訓練プログラムは終了です」

 

統夜「……し、死ぬかと思った」

 

アキト「すごいなぁ。俺、途中でリタイヤしたのに」

 

ジョルジュ「アキト君と彼とは質がちょっと違いますからね。君は連れ去られないことが重要。彼は死なないことが前提。必要なものが違いますから、どちらが劣っているというわけではありませんよ」

 

アキト「そう言ってもらえると助かります」

 

 

 アキトの場合はアキトとユリカを連れ去ることが目的なので、攻撃をくらっても殺される可能性は低い。ゆえに、当たっても捕まらず逃げられる方法が重要だが、統夜の場合は相手が殺しに来るので、なるべく当たらないのが重要となるのである。

 なので、できたから統夜がアキトに勝っているとは一概に言えないので注意しておこう。

 

 

東方不敗「うむ。よいものを見せてもらったぞ」

 

ドモン「師匠!?」

 

東方不敗「あのサイトロンとかいうので相手の思考を読むことと、未来の先読みがうまいのが完遂できた理由であろう。これは、本気で鍛えれば、ドモンとは違った強さを持つ戦士に成長するかもしれん」

 

一矢「確かに。ドモンとは逆の、後の先をとれる戦いができそうですね」

 

ドモン「相手の動きを先読みし、動いたところをうつ。紫雲はカウンターを得意としている。それを生身でも同じ感覚でできるようになれば、確かに……!」

 

統夜「いや、俺の体がそもそもついていかないんですが……」

 

東方不敗「ドモンよ!」

 

ドモン「はい!」

 

東方不敗「良い刺激を受けたようだな!」

 

ドモン「はい! 師匠、このまま一つ、稽古をお願いします!」

 

東方不敗「まかせよ! さあ、くるがいい!」

 

ドモン「ししょー!」

 

東方不敗「ふははははは!!」

 

 

 どのまま二人はものすごい勢いで別の場所へ移動していきました。

 戦いながら。

 

 

一矢「……俺も、もうひと汗をかいてこよう!! じゃあな、みんな!」

 

ジョルジュ「皆さん、いい刺激になったようですね」

 

統夜「なった。んですかね……」

 

シャナ=ミア「ともかく、お疲れ様です。本来なら私の……」

 

統夜「おっと、それ以上はもう言う必要ない。あれは、俺が自分で引き受けたんだから。それ以上は言わない」

 

シャナ=ミア「は、はい」

 

カティア「そういうことよ。はい、タオル」

 

統夜「サンキュ」

 

テニア「飲み物も用意してあるよ!」

 

メルア「はちみつのレモン漬けも準備しておきました」

 

ロゼ=リア「とってもおいしくできてますわ!」

 

テニア「つまみ食いしてるし……」

 

統夜「ははは。どっちもありがとう。助かるよ」

 

 

 休憩し、ほっと一息つく統夜。

 見物も終わったためか、修練場からは続々と野次馬はいなくなっていく。

 

 

アキト「それじゃ、俺も食堂のしこみがあるから、もう行くよ」

 

シャナ=ミア「はい」

 

ロゼ=リア「そのうちまた食堂へいかせていただきますわ。アキト・サン!」

 

統夜「そういえば、軍曹は?」

 

メルア「機体の整備があるとかで呼び出されていっちゃいました。統夜さんに、訓練をがんばれと伝言が」

 

統夜「そっか。あとでお礼を言いに行かないとな」

 

凱「ご苦労様。立てるかい?」

 

統夜「はい。なんとか」

 

 

 ぷるぷる震える膝を震わせながら、統夜は一人立ち上がった。

 女の子の前でかっこつけるその姿に、凱は優しく微笑み、手は貸さなかった。

 

 

──偽物がいっぱい!──

 

 

甲児「おー、いたいた」

 

統夜「甲児か」

 

甲児「紫雲。探したんだぜ」

 

統夜「ああ、なんの……っ!」

 

 

 瞬間、統夜は体を捻った。

 

 

 ビームッ!!

 

 

 ほんの一瞬遅れ、甲児の目からビームが飛び出し、統夜の体があった場所を貫いた。

 

 もちろん統夜はそこにいない。ビームはそのままあった場所を通過し、修練場の壁をどかんと破壊する。

 

 あんなのが当たれば、統夜の体などひとたまりもなかっただろう。

 それは、早速訓練が役に立った瞬間だった。

 

 

統夜「こ、こいつ、甲児じゃない!」

 

偽甲児「ギギッ!」

 

 

 正体を見破られた偽物が正体を現す。

 顔がわれ、機械の部品が現われた。

 

 無数の目が、そこいらへ焦点をあわせようとする。

 

 

凱「イークイップ!」

 

 

 直後、サイボーグに変身した凱が、ウィルナイフで切り裂き、無差別ビームの脅威は去った。

 

 

凱「ロボット。いや、アンドロイドか」

 

カティア「大変です! 基地に偽物が入りこんでいるわ!」

 

 

 爆破する偽甲児を背に、カティアが司令部にそのことを伝える。

 直後、警報が鳴り響いた。

 

 それは、偽物が基地に侵入したからだけではない。

 

 外に……

 

 

統夜「あれは……」

 

 

 そこには、コン・バトラーVとボルテスVの姿があった。

 

 統夜達はすぐに気づいた。

 あれも、偽甲児と同じだと!

 

 

 格納庫。

 

 

豹馬「コンバトラーの偽物だって!?」

 

十三「外に出やがったで!」

 

小介「それだけではありません。基地に偽物が侵入しているみたいです!」

 

ちずる「みんな、早く出撃しましょう!」

 

 

 遅れてやってきたちずるが格納庫を走る。

 

 

ロペット「待ってください! そのちずるさんに脳波がありません。偽物です!」

 

豹馬「なんだって!?」

 

十三「なんやて!?」

 

ちずる「嘘を言わないで。ロペットこそ偽物でしょう!」

 

小介「くっ。ロペットも物陰から現われました。僕達四人はずっと一緒で入れ替わるタイミングはありませんでしたが、この状況ではどちらが本物とも言い切れません!」

 

ちずる「むしろ人間よりロボットの方が偽物を作りやすいわ!」

 

ロペット「皆さん信じてください!」

 

ちずる「豹馬はどっちだと思う!?」

 

豹馬「うっ……」

 

 

 見比べる。

 

 

ちずる「ねえ、豹馬……」

 

豹馬「っ! お前は、ちずるじゃないな!」

 

偽ちずる「くっ、おのれ!」

 

 

 豹馬が断言した直後、正体を現した偽物は体中から刃物を生やす。

 だが、即座に反応した射撃の名手、十三に脳天を撃ちぬかれ倒される結果となった。

 

 

ちずる「みんな!」

 

 

 再びちずるがやってきた。

 さっきとまったく同じ流れである。

 

 

十三「おいおい。こっちは本物かいな?」

 

豹馬「大丈夫だ。こっちは本物だ」

 

ロペット「はい。脳波もちずるさんのものです」

 

ちずる「わっ。本当に私がいる……。豹馬、よくわかったわね」

 

豹馬「……ま、まあな」

 

豹馬(匂いが違ったとか言えねえよな……)

 

 

 同時刻、モビルスーツハンガー。

 

 

アムロ「違う。この人はセイラさんじゃない!」

 

アスラン「アムロ、さがれ!」

 

偽セイラ「……なぜわかった」

 

アムロ「感じたんです。いや、感じないんです。人の気配が」

 

偽セイラ「そのようなあやふやなもので!」

 

 

 様々なところに潜む偽物達。

 

 一部勘の鋭い者がいればいいが、いない場合、それを見破るのは困難なほどの精度だった。

 

 

アスラン「よし、倒した。みんな、機体の方へ……」

 

ブライト「皆、聞いてくれ!」

 

 

 基地のすべてに各指揮官の声が響く。

 

 

ルリ「皆さん。偽物と本物の区別は今、オモイカネがやっています。それが終わるまで、機体には搭乗しないでください」

 

アスラン「っ! なぜ! 急がないと外の偽物が」

 

ルリ「万一偽物が搭乗した場合、機体を敵に奪われることになります。それだけは避けなければなりません。ですから、自己認証機能を持つ機体のみ、出撃してください」

 

タリア「聞こえたか! 認証に間違いのない者だけ出撃しろ! あとは、スキャンの結果を待て!」

 

アスラン「くっ。確かにそうか……!」

 

 

 相手はアンドロイド。その区別はオモイカネのセンサーを使えばどうにでもなる。

 

 問題は、偽物が機体に乗ってしまった場合。

 コックピットに乗れば運転できるものだと、偽物が本物を運転するという事態になりかねない。

 

 それを許すと、戦力が減った上、味方を倒さなければならなくなる。

 

 ゆえに、出撃が許可されるのは、パイロットが自分で乗りこむのでなく、呼べば来るタイプか、機体がパイロットを選ぶタイプのみだ。

 この二種の場合は、本物のパイロット以外乗ることができないから、現われた機体は偽物でさえない。

 

 これから、呼べば来るモビルファイターや間違いようのないギャレオンなど、偽物が乗りようのない者しか、今しばらく出撃することはできない状態となった。

 

 問題なく出撃できた機体は、統夜のグランティードとロゼ=リアのバシレウス。そしてシャッフル同盟と風雲再起&東方不敗とガイガー&勇者ロボ。そして、アーバレストだけであった。

 

 

統夜「軍曹。平気なのか!?」

 

アル「イエス。私に間違いはありません」

 

ボルフォッグ「そうです。彼ならば間違いがありません!」

 

統夜「なるほど。確かに」

 

宗介「整備ですでに乗りこんでいたのも幸いだった」

 

 

 アーバレストは宗介専用機。そしてAIのアルがついている。

 さらに、整備の関係で既に宗介と認証されているゆえ、こうして出撃が可能となったのだ。

 

 

宗介「そういうことだ。皆、行くぞ!」

 

 

ガイ「続々と偽物が出てくるとは、実にらしいじゃないか! やっぱ偽物が出るのは王道だよな! さあ、俺達も偽者退治に出発と行こうじゃねえか!」

 

アキト「いや、オモイカネが全力で偽物をスキャンしてるから、終わるまで俺達も動けないみたいだよ」

 

ガイ「なにいぃぃ!? この大事な時にー!」

 

 

 アキト達の乗るエステバリスはオモイカネのバックアップを受け動いている。

 そのオモイカネは今、偽物を暴くのに全力をつくしているのだから、こうなるのも当然といえた。

 

 一部出撃が制限された中、偽のコンバトラーと偽ボルテスとの戦いが切って落とされた。

 

 

 一方。基地内。

 

 

 凱とギャレオンがフュージョンし、ガイガーが現われたのが見えた。

 

 すると、その姿を見て、一矢がにやりと笑った。

 

 

一矢「やはりお前は偽物だったようだな!」

 

偽凱「だからどうした!」

 

 

 格納庫へ向かう途中、凱と相対した一矢は、偽物か本物かの問答でにらみ合いの状態となっていたのだ。

 だが、ガイガーが現れたことで、目の前の凱は偽物であることが証明された!

 

 

一矢「お前が偽物ならば、思いっきりやれるってことさ!」

 

偽凱「だからどうしたといっているだろう!」

 

 

 正体がばれたのだから、もう秘密を隠す必要は無い。

 本気となった偽凱は、両手をチェンソーのようなものに変形させ、一矢に襲い掛かってきた。

 

 

一矢(早い! だがっ……!)

 

 

 ぴちょん。

 一矢は、ひとしずくの水が落ちるのを見た。

 

 

一矢(見えた。水の一滴!)

 

 

 まるで時が止まったかのような世界。

 スローモーションで襲いうる偽の凱を、一矢は捕らえた。

 

 

一矢「そこだ!」

 

 

 ごがっしゃ!

 

 

 一矢の正拳突きが、偽凱に突き刺さる。

 偽物は体をくの字に曲げ、そのままきゅりきゅり回転し、壁にめりこんだ。

 

 

偽凱「バカ、な……」

 

 

 信じられんという言葉と共に、凱に化けたアンドロイドは、爆発する。

 

 残心の構えを取り、一矢は息をはく。

 

 

一矢「本物の強さは、よく知っている。肉体も、心もな。やはり貴様は、本物には遠くおよばない!」

 

 

 そう言い、急いでダイモスのある格納庫へ走った。

 

 

 続々と出現する偽ロボット達。

 早く他の者も出撃できなければ、数の差によって押し切られてしまう可能性もあった。

 

 しかし、スキャンも終わり、基地の偽物が排除され、残った仲間が出撃をすればその戦力は逆転。

 

 しょせん偽物でしかないロボット達は次々と撃破され、Gアイランドシティの平和は守られるのだった。

 

 

健一「偽物か。一体どこの勢力からの攻撃だったんでしょう、父さん」

 

剛博士「うむ。残ったアンドロイドの部品は地球のものではないように見えるな……」

 

一矢「ということは、バームの攻撃だった?」

 

京四郎「やつらの仕業か」

 

一矢「……そう、だろうか」

 

京四郎「どういうことだ?」

 

一矢「やり口が、今までのバームとは違いすぎる気がする。あのリヒテルや、バルバス将軍らしくないというか……」

 

ドモン「確かに、奴等は今までこのような方法はとってこなかった。常に正々堂々をむねとして戦っていたように感じたが」

 

ジョルジュ「確かに。彼等がこういう手段を好むようには思えませんね」

 

京四郎「確かもう一人、ライザとかいう科学者があの総大将の近くに居たはずだろ。そいつが一人暴走したんじゃないか?」

 

剛博士「そういう可能性も十分ありえるね。そうでなくとも、彼等が疲弊し、正攻法でなくしぶしぶ絡め手に頼らざるを得なくなったという可能性もある。情報がなさすぎて、これではわからないな……」

 

 

 先に明かしておけば、これはバームの裏に潜む、ボアザン・キャンベル連合軍の仕業であるが、それが明らかになるのはもう少しあとのことである……

 

 ゆえに真相は今のところ、闇の中となる。

 

 

 こうして、隊を大混乱におとしいれた偽物騒動は終わりを告げるのだった。

 

 

 第8話 終わり

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