第2次スーパーロボット大戦J   作:YSK

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第11話 奪還! ダイモビック!

 

──オービットベース──

 

 

 合体原種を退けた第13独立部隊。

 

 思いがけずダイモスのパワーアップ法も見つかり、新たな反撃ののろしがあがろうとしていた。

 

 

一矢「やりましたね和泉博士。あのパワーなら、バームの新兵器も……!」

 

和泉博士「うむ。確かに道は見えた。しかし、そう簡単な話ではない。あの粒子がある。と証明されたところで、その生成方法はまだわからないからね」

 

 

 あの時のあれは、あくまで偶然。

 どれがどう作用してあの粒子が生まれたのかはまったくわからない。

 

 

和泉博士「今、なにがどう作用してあの粒子が発生したかを確認しているが、いつになればわかるかは……」

 

 

 第13独立部隊が持てるエネルギー兵器を一点に集めた結果の話なのだから、その中から粒子発生の原因を特定するのは至難の業だった。

 

 

和泉博士「かといって、皆にあれをまたやらせるのは危険すぎる。もっと安定してあの粒子を発生させる方法が見つからねば、実用は無理だ」

 

一矢「確かにそうでしたね……」

 

和泉博士「一応、別の手段も考えてはいたのだが……」

 

一矢「本当ですか!?」

 

和泉博士「うむ。いくら超弾性金属といえども金属なのだからその分子結合を破壊すればいい。超低温と超高温を続けざまに与えることにより、その急激な温度差により分子はその性質を失い、分子間の結合が破壊されるはずなんだ」

 

一矢「低温と高温。氷と炎、ですか……?」

 

和泉博士「そう。ここにはそれを可能にする二人がいた。氷竜と炎竜。彼等がいれば、その連続攻撃から打撃を与えることであれを打ち破ることも可能だったかもしれない」

 

一矢「ですが、彼等は……」

 

和泉博士「うむ。凱君達を救うため、どこかへ消えてしまった……」

 

一矢「残念でなりません」

 

和泉博士「一応彼等の生みの親。麗雄博士の協力により、ダイモスのダブルブリザードをファイヤーブリザードに。耳の部分にフリーザーストームをと機能を追加することができた。だが、今のダイモライトのエネルギーからでは、想定する急激な温度差を与えられるかというと微妙なところだよ……」

 

 

 計算上、ゾンネカイザーの超弾性金属を打ち破るにはダイモライトの出力を200%以上に引き上げなければならない。

 それは、今のタキオン方式では不可能なレベルであった。

 

 

一矢「やはり、あの粒子によるパワーアップが必要不可欠ということですか……っ!」

 

 

 一矢が悔しそうに拳を握る。

 

 パワーアップの兆しが見えたというのに、結局それは雲をつかむような話だった。

 

 

 びーっ。びーっ。

 

 警報が鳴る。

 

 

 それは、なにか正体不明の飛行物体がオービットベースへ近づいてきたという警報だった。

 

 近づいてきたのは、鳩の形をしたメカだった。

 なにをするわけでなく、無防備に近づいてくる。

 

 元スペースマンの凱と一矢がガイガーとダイモスをもって警戒しながらそれを回収した。

 

 調査の結果、鳩のメカに危険はなく、中に入っていたのは一つのデータと一厘の花だった。

 

 

一矢「これはっ!」

 

 

 その花を見た瞬間、一矢は驚いた。

 

 それは、かつてエリカが去る前、祭りの時自分がプレゼントした花だったからだ。

 

 この事実を知るのは、その場に居た当人達のみ。

 

 

 つまりこれは、彼女からの贈り物。

 

 

 データを確認する。

 

 するとそれは、ダイモライトをパワーアップさせるのに必要なあの超粒子の発生方法だった!

 

 

 そのデータを見た博士達は驚きを隠せない。

 

 

剛博士「この粒子の発生法を考え出した者は、恐ろしい頭脳の持ち主だな」

 

麗雄博士「ああ。味方であることに安心するね」

 

和泉博士「よし。これならなんとかなる。早速ダイモスを改造しよう!」

 

 

 博士達は急いでダイモスの強化へ走った。

 

 

一矢「ならばこちらは、その一撃が完璧とすべく特訓だ!」

 

凱「そうだな。せっかくの贈り物も、お前が使えこなせないんじゃ無意味だからな」

 

ドモン「ならば、俺達も力を貸そう」

 

一矢「ああ。望むところだ! 皆、頼む!」

 

一矢(エリカ、君がどうやってこれを手に入れたかなんてどうでもいい。君が生きていること。俺を応援してくれること。それだけが、嬉しいよ……)

 

 

 一方、データと花を運んできた鳩のメカを見て、一人の男は思うところがあった。

 

 

剛博士「……」

 

 

 彼には、この鳩にどこか見覚えがあった。

 

 かつて炎の中に消えた、もう一人の息子。ハイネル。

 彼に渡した短剣に彫られていた紋章にどこか似ていたからだ……

 

 

剛博士「いや、いかんな……」

 

 

 地球において鳩は平和の象徴。

 そう願い届けられただろうこれに鳩が使われるのはなんら不思議なことではない。

 

 むしろ、そういうメッセージである方が自然だ。

 

 

剛博士「未練。ということか……」

 

 

 やれやれと、剛博士はかぶりをふった。

 

 

 ダイモスの改造も終わった。

 

 いよいよダイモビック奪還作戦の開始である!!

 

 

──ダイモビック奪還作戦──

 

 

 バームに占領されたダイモビック奪還作戦がはじまる。

 

 当然、バーム側は無敵のメカ戦士ゾンネカイザーを出す。

 

 

 現われたゾンネカイザーにダイモスの新たなる必殺技、烈風正拳突き改が突き刺さる。

 

 

 自慢の超弾性金属はその一撃に見事砕かれ、ゾンネカイザーは敗れ去るのだった。

 

 

リヒテル「ば、馬鹿な! ゾンネカイザーが敗れるとは!」

 

アイザム「ダイモスのあの力……! あれは、まさか!」

 

 

 あれからさほど時が立っていないというのに、この結果である。

 驚きを隠せないのも無理はないだろう。

 

 だが、アイザムの驚きはリヒテル以上だった。

 

 なぜなら、あの力の源である新たな粒子。

 

 それは、この天才科学者アイザムが発生法を見つけだしたアイザロン粒子に違いなかったからだ!

 どういった経緯でバームから地球人にわたったのか、さしものアイザムもわからない。

 

 唯一わかるのは、自分自身の力がそのまま敵に回ってしまったという事実だった!

 

 

アイザム「こうなれば……!」

 

 

 リヒテルを守るため、アイザムは出撃する。

 

 自分を倒すには、自分以外にないと考えたからだ。

 

 新たに出撃するゾンネカイザー。

 

 

一矢「何体出たところで結果は同じだ!」

 

 

 だが、一度勝利し、同じ敵ということが一矢に小さな油断を生んだ。

 

 

 再び、超弾性金属をものともせず、烈風正拳突き改はゾンネカイザーに突き刺さった。

 

 

アイザム「かかったなっ!」

 

一矢「なにっ!?」

 

 

 貫かれたゾンネカイザーは、ダイモスを逃がさぬよう、その体をしっかりとホールドした。

 

 

バルバス「リヒテル様! あのメカ戦士にはアイザム殿が乗っておられます!」

 

リヒテル「なんだと!? なぜだ。なぜお前が乗っている!」

 

アイザム「ふっ、リヒテルよ。我等が今、負けて当然。この戦いは、とんだ茶番よ」

 

リヒテル「な、なにを言う、アイザム!」

 

アイザム「この、ダイモスの急激なパワーアップ、それはおそらく、アイザロン粒子の力によるものだ……!」

 

一矢「なにっ!?」

 

リヒテル「アイザロン粒子!? それはそなたが研究していたという……!」

 

アイザム「そうだ。敵はもはや、下等な地球人のメカなどではない。このアイザムの力を持つメカなのだ! だから今、ここで俺が始末する!」

 

リヒテル「なんだと!?」

 

一矢「まさか……っ!」

 

アイザム「気づいたか! このゾンネカイザーには、そのアイザロン粒子を発生させる装置を俺が載せた。それを反転稼動させることで、反アイザロン粒子は生まれ、アイザロン粒子との反応で大きな衝撃を生み出す! 貴様と俺は、ここで一緒に吹き飛ぶのだ!」

 

 

 反アイザロン粒子を発生させるには、意図的にその装置を操作せねばならない。

 ゆえに、人の手が必要であり、アイザムがこのゾンネカイザーに乗る必要があったのだ!

 

 

一矢「自爆をする気だと! そこまでするとは!」

 

リヒテル「やめよアイザム! 何故そなたが死なねばならぬのだ!」

 

アイザム「いいや。もう俺に残された時間はない。アイザロン粒子の実験中の事故で、俺の命はもう長くないのだ!」

 

リヒテル「なん、だと!? アイザム、何故黙っていた!? 何故余に打ち明けてくれなかった!?」

 

アイザム「話したとて、どうにもなるものではない……! むしろ、この命、お前のために散れるのだ。これほど嬉しいことはなかろう!」

 

リヒテル「アイザム!」

 

アイザム「そんな声を出すな、リヒテル。俺は、それなりに自分の人生に満足しているさ」

 

一矢「このままではっ!」

 

アイザム「さらばだ、リヒテル! お前と勝利を祝えぬことが、心残りと言えば心残りだ!」

 

 

 アイザムの反アイザロン粒子発生装置が起動された!

 

 

 どどどどんっ!

 

 ゾンネカイザーの爆発と共に、ダイモスの各部を爆破が襲った。

 

 

アイザム「これで、ダイモスも……!」

 

一矢「いいや、まだだ!」

 

アイザム「なにっ!?」

 

 

 爆破の中、ダイモスはまだ健在だった。

 

 大きなダメージを負っているが、予測されたほどのダメージではない!

 

 

一矢「とっさに動力をすべて落とした。アイザロン粒子の発生をとめたのさ。おかげで、被害はこのくらいですんだようだ。今生の別れが、仇となったな!」

 

アイザム「なんてことだ……すまぬ、リヒテル。俺は、なんの役にも立たなかった……」

 

 

 ゾンネカイザーから力が抜ける。

 

 そのままそれは、アイザムと共に海へと沈んでゆくのだった……

 

 

一矢「助かった。だが……」

 

 

 ダイモスへのダメージは、計り知れなかった。

 

 

リヒテル「よくぞここまで。見事であったぞアイザム。あとは、余に任せろ。しかし、アイザム。余は、そなたを死なせたくなかった……」

 

 

 ダイモビックよりバーム軍が出撃する。

 

 さすがにもう、超弾性金属を持つメカはいないようだ。

 

 ダイモビック奪還作戦は、これからが本番だ!

 

 

 戦いは激しさを極めた。

 

 リヒテルの気迫が、傷ついたダイモスを追い詰める。

 

 しかし、心強い仲間がまだまだ居る第13独立部隊に、そのあと一歩は遠い一歩だった……

 

 

 敗れたリヒテルはダイモビックを放棄し、撤退する。

 

 

 ここに、ダイモビック奪還作戦は成功をもって終了することとなった。

 

 

ドモン「一矢、お前の命をかけた拳、見せてもらった」

 

凱「ああ。見事な正拳突きだった」

 

一矢「いや、みんなとの特訓のおかげだ。ありがとう」

 

 

 勝利をたたえあう中、周囲を警戒し偵察していた者から連絡が入る。

 

 海に沈んだゾンネカイザーが発見され、中からまだ息のあるアイザムが発見されたのだ。

 

 

 その容態を医者であるレインが診る。

 

 しかし、先ほど自己申告した通り、彼の体はアイザロン粒子によってボロボロだった。

 

 このままでは、確かに助からない……

 

 

シャナ=ミア「いいえ、彼はまだ生きています。ならば、とれる手段もあります!」

 

 

 ある少女が声を上げた。

 

 彼を癒せるかはまだわからない。

 

 だが、死なせないための手段はあった!

 

 

 彼は急ぎ、そこへと運ばれる。

 

 

 こうして、ダイモビック奪還作戦は幕を閉じる……

 

 

──海底城──

 

 

リヒテル「おのれ……っ!」

 

バルバス「リヒテル様。アイザム殿の自室に、このようなものが……」

 

 

 それは、自分に万が一があった時のため残したビデオレターだった。

 

 そこにはゾンネカイザー以上のメカ戦士、ギメリアの設計図や、万一のための反アイザロン粒子砲などの作り方が記してあった。

 

 それを見たリヒテルは涙を流す。

 

 

リヒテル「どこまで、用意周到なのだお前は……! このようなものを残すくらいならば、どうにかして生きていて欲しかったものぞ! アイザム、安らかに眠れ。そなたの無念、このリヒテルが必ず果たして見せる。必ずや!」

 

 

 最後の誓いと共に、リヒテルはこの忘れ形見の製造を急がせる。

 

 リヒテル自身にも残されたチャンスはもうない。

 

 

 次が、自身と地球軍との最後の闘いになる。そう感じていた……!

 

 

──シャナ=ミアと統夜──

 

 

 ダイモビックを奪還し、ひと時の休息の中。

 

 

シャナ=ミア「うーん」

 

 

 統夜は、自動販売機の前でなにかを考えこんでいるシャナ=ミアを発見した。

 

 

統夜「どうしたの?」

 

シャナ=ミア「あ、トウヤ。ここにおしるこという飲み物がありますね」

 

統夜「ああ」

 

 

 シャナ=ミアの指差す先には、ホット缶のおしるこドリンクがあった。

 確かに、地球の文化に触れて間もない彼女にそれは珍しいものなのだろう。

 

 

シャナ=ミア「これが飲み物というのも不思議なのですが、それだけでなく、こちらにはぜんざいとういう同じようで名前が違うものがあるのです!」

 

統夜「あー」

 

 

 シャナ=ミアが指を移動させると、今度はぜんざいドリンクというあたたか~い飲み物があった。

 

 何故こんなものが自動販売機に。と思わざるを得なかったが、今の第13独立部隊は拠点が主に日本なので、あってもおかしくはない。

 

 

統夜「確か……」

 

 

 つたない記憶を頼りに、統夜はおしることぜんざいの違いを説明する。

 

 

 説明しましょう!

 

 お汁粉と善哉は、どちらも小豆を砂糖で煮て、餅や白玉団子を入れたもののことをいいます。

 

 区別は関東、関西で違い、関東では汁気のあるもの全般を『おしるこ』。汁気のない餅に小豆(餡)をかけたものを『ぜんざい』と呼ぶようです。

 関西においては、汁気に関わらず、こしあんを用いたものが『おしるこ』粒あんを用いたものが『ぜんざい』となるようです。

 

 ですので、上のぜんざいドリンクというのは関西の認識によるぜんざいの可能性が高いでしょう。

 

 ちなみに名前の由来は諸説あるので、ここでは説明はいたしません。

 

 

 同じように似た食べ物に『ぼたもち』と『おはぎ』があります。こちらは基本同じもので、食べる時期が違うだけの食べ物になります。

『ぼたもち』は牡丹の季節。春のお彼岸に食べるもので、あずきの粒を牡丹の花に見立てたから『牡丹餅』と。一方『おはぎ』は、萩の季節。秋の彼岸に食べるもので、萩の花に見立てたことから、『御萩』という名になります。

 

 以上、日本の豆知識でした。

 

 

統夜「……てな感じかな」

 

シャナ=ミア「地球の文化はまだまだ奥深いものですね」

 

統夜「そこまで感心するほどのものでもない気がするけどね」

 

シャナ=ミア「そんなことはありませんよ。他にも和服や和食など、気になることはたくさんあります。あの引越しソバの習慣とか。場所にってはタオルを配るところもあるとかで驚きました」

 

統夜「ん……?」

 

 

 統夜は、なにか違和感を覚えた。

 

 

統夜「なんか、日本に偏ってる気がする」

 

シャナ=ミア「トウヤの生まれ育った国の文化ですからね。おのずと力も入ります。ですから、今お味噌汁の作り方も習っているんですよ」

 

統夜「へえ。そのうち一度食べさせてもらってもいいかな?」

 

シャナ=ミア「はい! 毎日でも食べてください!」

 

統夜「ああ。ありがとう」

 

シャナ=ミア(……って、今の、プロポーズみたいじゃないですか!?)

 

 

 日本の伝統を学んだシャナ=ミアは、毎日味噌汁に関して、プロポーズに使われるということを知っていた。

 

 

シャナ=ミア「ト、トウヤ。今のはその、違うんですよ」

 

統夜「ん? なにが?」

 

シャナ=ミア「……気づいて、ないのですか?」

 

統夜「だから、なにが?」

 

 

 そもそも最近の若者にその味噌汁プロポーズ、通じるのか? という伝統である。

 

 統夜は気づいていないようだった。

 

 まったく意識されていない。それはそれで嫌な乙女心。

 

 

シャナ=ミア「ぷくー」

 

 

 頬を膨らます。

 

 

統夜「え? どうしたんだ?」

 

シャナ=ミア「ふーんだ。知りません」

 

統夜「??」

 

 

 困惑するしかない統夜であった。

 

 

シャナ=ミア(トウヤのバカ! なんでこんな時だけ鈍感なんですか!)

 

 

甲児「あの二人、自販機の前でなに固まってんだ?」

 

豹馬「どうせまた統夜がなにかやらかしたんだろ」

 

 

 通りすがりの親友二人が、状況を分析しつつ通り過ぎてゆくのだった。

 

 

 

統夜(やっぱり慣れないせいで勘違いしただけか。下手に期待しないでよかった……)

 

 

 気づいていたが、やっぱり気づいていない統夜であった。

 

 どっとはらい。

 

 

──決戦! 海底城!──

 

 

 ダイモビックを取り返されたリヒテルは、いよいよ進退窮まった。

 

 いつ指揮官の座を追われても不思議はない状況。

 

 

 リヒテルは最後の挽回のため、海底城を浮上。持てる戦力すべてをもって地球との決戦に挑む!

 

 

 現われた海底城に連合軍が攻撃を仕掛けるが、アイザム最後のメカ、ギメリアにのったリヒテルの指揮するバーム軍の前に次々と撃破されてゆく。

 

 出撃の要請を受けた第13独立部隊はそこへ急行。

 

 

 バーム地上攻撃軍との最後の戦いが切って落とされた!

 

 

 地上におけるバーム最後の戦いと銘打っただけあり、その猛攻は激しさを極めた。

 

 

 しかし第13独立部隊の面々とて歴戦の猛者ぞろい。

 

 海底城の機能を破壊し、一矢の烈風正拳突き改はリヒテルのギメリアに突き刺さった。

 

 

リヒテル「これほどの戦力をもってしても、奴等には勝てぬというのか!」

 

ライザ「リヒテル様、ここはもう戦線が維持できませぬ。一度、バームへ!」

 

リヒテル「馬鹿を言うな! 生きてのこのこ帰れるわけがなかろう! こうなれば!」

 

一矢「まさかっ!」

 

 

 察知した時にはすでに遅かった。

 

 リヒテルは第13独立部隊の旗艦にむけ特攻を仕掛けるつもりなのだ。

 

 

ライザ「おやめ下さいリヒテル様! そのようなことをなさっても、アイザム殿は喜びませぬ!」

 

リヒテル「うるさい! バームに栄光あれぇぇっ!!!」

 

 

 しかしその特攻は、不発に終わる。

 

 リヒテルと艦の間に巨人が現われ、ギメリアの進攻をその巨体を持ってとめてしまったからだ。

 

 

リヒテル「ぬぅ、貴様!」

 

???「……」

 

健一「あのロボットは……! ゴードル!?」

 

豹馬「マジかよ……」

 

 

 そこに現われたのは、かつて地底において戦った、ボアザンの守護神。ゴードルだった!

 

 

大次郎「兄さん、あいは……!」

 

日吉「あのロボットに乗ってる人って!」

 

健一「ああ。間違いない。あれを動かせる人、それは一人しかいない。兄さん! ハイネル兄さんだ!」

 

リヒテル「なん、だと!? 誰だそれは!」

 

???「……」

 

 

 しかし、ゴードルのパイロットは答えない。

 

 そのままリヒテルの乗るギメリアをつかみ、その空域から撤退してゆく。

 

 

健一「ああっ!」

 

 

 大将の逃亡をきっかけに、バーム軍の撤退もはじまった。

 

 

一矢「あのロボット、リヒテルを助けに来たのか……?」

 

京四郎「つまり、俺達の敵ってことか?」

 

健一「違う! あの時ハイネル兄さんは戦いの無意味さを知った。その兄さんが敵であるはず……!」

 

鉄也「だが、奴はリヒテルを助けた。この事実を前に、簡単に信用するのもどうかと思うぞ?」

 

健一「……」

 

 

 反論はできなかった。

 

 論じるにも情報が少なすぎてなにも言えないのが現状だからだ。

 

 そもそも、乗っているのがハイネルかすらわからないのだから……

 

 

健一(ハイネル兄さん。生きていたのは嬉しい。でも、なんのためにリヒテルを? わからないことが多い。だが、俺は兄さんを信じる。心を通わせた者同士として。血を分けた兄弟として……!)

 

 

──海岸──

 

 

 無人島の海岸に、ギメリアをおろし、ゴードルから人影が一つ現われた。

 

 それは、仮面をつけたボアザン星人であった。

 知る者にはわかる。それはまさしく、剛健一達の兄、ハイネルその人である!

 

 

リヒテル「貴様! 何故、余を助けた!」

 

ハイネル「……」

 

リヒテル「余は将として、最後の勤めを果たそうとしていたのに、それをよくも!」

 

ハイネル「死しておのれが責を全うするのもよかろう。だが、それは貴公にとって誤った道だ」

 

リヒテル「なにっ!?」

 

ハイネル「貴公はまだ本当の敵を知らぬ。ゆえにあの場で死ぬことなど許されない」

 

リヒテル「なにを言う! 本当の敵とはどういう意味だ! その言い方では、地球の民は敵ではないと聞こえるではないか!」

 

ハイネル「それは、おのれの目と耳で確かめられよ。この裏に、なにが潜んでいるのかを」

 

 

 仮面の男。ハイネルはそういい残し去っていった。

 

 残されたリヒテルのもとに、撤退したバルバス達がやってくる。

 

 

バルバス「リヒテル様!」

 

リヒテル「……こうなってはもう地球攻撃軍を維持できぬだろう。一度、バームへ戻る!」

 

 

 こうして地球より、バーム軍は一度撤退することとなった……

 

 

──小バーム──

 

 

 木星圏、小バーム。

 

 戻ってきたリヒテルが、オルバン大元帥と面会していた。

 

 

オルバン「………」

 

リヒテル「オルバン大元帥閣下! どうか、この私にもう一度だけチャンスをお与え下さい!」

 

オルバン「黙れ、リヒテル! 貴様はワシの期待を裏切ったのだ!」

 

リヒテル「一兵士としてで構いません。どうかもう一度、地球に向かうことをお許し下さい!」

 

オルバン「ならん! 貴様にはこの小バームにて謹慎を命じる!」

 

リヒテル「オ、オルバン大元帥!!」

 

オルバン「その目は何だ? 貴様、バームの指導者であるワシの決定に不服があるのか?」

 

リヒテル「………」

 

オルバン「リヒテルを連れてゆけ!」

 

リヒテル「お待ちを! どうか、どうか私の願いをお聞き下さい!」

 

オルバン「聞けぬ! 貴様は敗戦の将としての責任をとるのだ!」

 

 

 大きな扉が開きリヒテルは連れて行かれた。

 

 

オルバン「……やはり、奴は危険な男よ。奴がリオン暗殺の黒幕がワシとボアザン、キャンベルのたくらみとしれば、面倒になることだろうな」

 

 

 オルバンの元に通信が入る。

 

 

オルバン「これはこれは、女帝ジャネラ殿。ズ・ザンバジル皇帝のご機嫌ははいかがか? なんと、小バームを地球へ? しかしそれでは、バームの民を危険にさらすことに……いえ、決してそのようなことでは。わ、わかりました。小バームは木星より地球にむけて移動を開始します……」

 

 

 事態は進む。

 

 ついに地上からバームの戦力は撤退した。

 

 

 残る地上の脅威は、新たに生まれた組織、アマルガム。

 

 しかし、残っていたのはそれだけではない。

 

 

 闇の中で静かにうごめいていたソレが。

 

 再び、姿を現すのだった……

 

 

 第11話 終わり

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