──遺跡発見──
バームの主力地上攻撃部隊も地上から去った今、主戦場はついに宇宙へと移りはじめていた。
地上において明確な敵と呼べるものはミスリルを壊滅させたアマルガムのみ。
彼等は再び闇に潜み、いまだ連れ去られた千鳥かなめの行方も知れない。
大打撃を受けたミスリルにかわり、連合の諜報員やある忍者(ボルテスV)が探しに出ているが、まだ成果はなかった。
第13独立部隊は宇宙より飛来する原種への対応を行いながら、宇宙へあがる準備を進めていた。
そんな中、ヨーロッパ方面を調査する諜報員から連絡が入った。
なんと、古代ミケーネの遺跡が発見されたというのだ。
かつて地球征服をもくろみ幾度も戦うこととなったドクターヘル。
若かりし彼が地中海のバードス島で発見し、機械獣を作り出す元としたバードス島の巨人を発見した場所。
戦闘獣となる前の、機械の体となったミケーネ人達が眠るところ。
最終決戦を行うこととなった地獄島以前に居たであろう、ドクターヘルはじまりの場所が発見されたのだ。
ちなみに、ミケーネの使う戦闘獣とは突然の滅亡から地下に逃げ、そこで生き延びるためさらに体を改造した者のことを指す。
場所が場所だけに、関わりのある光子力研究所にも連絡が入り、GGG全体で調査することとなった。
このGGGも調査に加わること。それは、この事態に大きく関わっているからでもある……
護「僕まで来ても平気なの?」
凱「ああ。是非来て欲しいそうだ。俺達、GGGにもな」
護「いったいなにが見つかったっていうの?」
凱「正直、説明するより実際に見た方が早いだろう。それに俺も、まだ半信半疑なんだ……」
護「ふーん」
甲児、統夜達。さらに他の勇者ロボと共に来た護と凱が話ながら広い通路を進む。
一応東方不敗も関係者なので、ガンダムファイター達も一緒だ。
勇者ロボも軽々と歩けるほどの通路。
その気になれば、コン・バトラーだって歩けるほどの余裕がありそうだ。
それほど広い通路の壁や床には、ドクターヘルが参考にしたであろうミケーネの巨人達が転がっていた。
その通路の一番奥。
そこに、ミケーネ最古と思われるバードス島の巨人。
はるか古代の地層に眠る彼等の姿があった……
凱「なっ!? これは……!」
ボルフォッグ「なぜこんなところに!」
その姿を見た者すべてが驚く。
約6500万年前の地層。
むき出しとなったそこに埋まるようにして、超竜神がいたのだ!
凱「最初聞かされた時はなにかの間違いかと思ったが、間違いじゃなかった。これは、超竜神だ!」
見間違えるはずもない。
はるかな月日を経てボロボロになっているが、ここに居るのは間違いなく戦友だった!
護「だから僕達も呼ばれたんだね!」
調査だけならばわざわざ第13独立部隊が来る必要はない。
だが、あえて全員が呼ばれたのは、これが理由だったのだ!
理由はわからないが、あの日消えた彼等は、ここにいたのだ!
凱「超竜神、こんなところにいたのか」
経験から、思い浮かぶ可能性が一つ。
ルリ「……あの時、ボソンジャンプに似たなにかが起きたのかもしれません」
そう。空間転移にみせかけて実は時間移動であるボソンジャンプ。
あの時開かれたESウインドウと呼ばれる別の場所を繋ぐそれが閉じる時、空間だけでなく時間を飛ぶ現象が起きた可能性は捨てきれない。
甲児「確かに俺達も何ヶ月も時間を飛んだ経験あるもんな」
経験者は語る。
統夜達もかつてナデシコに乗り、火星から地球へ戻る際、チューリップと呼ばれる転移装置に入るボソンジャンプにて8ヶ月ほど時間移動した経験がある。
別のケースでいえば、数億年単位で過去と現在を行き来したケースも。
それらのことから、なんらかの原因で超竜神が過去の地球にタイムスリップしているのは『ありえる』話なのだ。
小介「もっともこれだけでは原因はわかりませんがね」
コンバトラーチームの天才児が言う。
鉄也「しかし、これで色々な謎が解けたな」
小介「はい。古代ミケーネ帝国が突然、あの時代に巨人というロボットを持って現われたのも、ここで二人を発掘し、それを参考にしたからなんですね」
そう。宇宙に存在した古代文明との接触なく、まったく別に突然地球に現われたミケーネ帝国。そのミケーネがどうしてその技術を得るに至ったか。その答えがここにあった!
小介「もちろん、これを見てロボットを作れるだけの優秀な人がいたという前提があります。そして、実際にいたんでしょう……」
忍「どおりで奴等の機械獣と凱に類似点があるなんて言われるわけだ。元を同じにしてるんだからな」
東方不敗「……」
ただ、この状況ではなぜ東方不敗を復活させたのか。
それはわからない。
統夜(どおりで超竜神を見た時、妙な既視感があったわけだ。あしゅら男爵のもとになった可能性さえあるんだから)
鉄也「……どおりでな」
統夜「……」
鉄也「……」
また目があった。
二人でちょっと苦笑する。
???「くくっ。よくぞきたな。兜甲児」
甲児「お前は!」
東方不敗「貴様は!」
通路の闇の中から、ぬぅっと現われたのは虎の下半身に武人の上半身を持つ男。ゴーゴン大公であった!
甲児「やっぱり生きてやがったか!」
ゴーゴン「ここであったが百年目! 兜甲児! 今までの恨みを晴らしてくれる! やるのだ! 究極戦闘獣!」
ばっと、杖を持ち上げた。
直後……
東方不敗「ぬぅっ……きかーぬっ!!」
ゴーゴン「なんとっ!?」
東方不敗が一瞬うめいたかと思えば、即座に一喝。
ゴーゴンの持ち上げた杖が粉々に砕け散った。
ゴーゴン「バカなっ! 気合だけでこの支配を打ち破っただと!?」
東方不敗「愚か者がぁ! その程度でワシを支配できるなどと思うな!」
ゴーゴン「くっ。ならば!」
ゴーゴン大公の背後から、二体の戦闘獣が現われた。
ゴーゴン「これならば!」
しかしそれも、イクイップしたサイボーグ凱とガンダムファイター。さらに勇者ロボ。ついでにボン太君等によって返り討ちにされてしまう。
この第13独立部隊。生身サイズの戦闘力が高すぎる……
ゴーゴン「くそっ! これほどまでとは!」
甲児「奥に逃げたぞ!」
鉄也「生身では危険だ! 機体で追うぞ!」
機体と共に、統夜達は奥へとむかう。
すると、広い地下広場へ出た。
甲児「追い詰めたぞゴーゴン大公!」
ゴーゴン「くくっ。かかりよったな!」
甲児「なにっ!?」
にやりと笑うゴーゴン大公。
統夜達が場に足を踏み入れた瞬間、その罠が発動する!
地面になにやら紋様が生まれ、そこにほの暗い光が漏れる。
刹那、各機体から力が抜けた!
甲児「っ! エネルギーが!」
小介「まさか、吸われているんですか!?」
ゴーゴン「くくっ。貴様等はおびき寄せられたのよ。我が主復活の贄となるべくな!」
種類が違うというのに、その床は機体のエネルギーを吸い上げる。
吸い上げるたびその床の光は強まり、広場の奥にある玉座のような場所へ流れているように見えた。
その玉座には、なにか人が座っているかのような塊が置いてある。
ゴーゴン「ここまで待っていたのも、貴様等の戦力がこうして集結するのを待っていたためよ! 大量のエネルギーを連れてくるのをな! このままエネルギーを吸い尽くされ、我が主を復活させるのだ!」
さらに光があつまり、玉座に座る塊に、座る暗黒大将軍のようなシルエットが見えた。
ぼうっ。ぼう。と、ゆっくりと塊が光り輝いてゆく。
凱「くっ」
護「僕まで、力が……!」
超竜神の技術が元になっているがゆえ、その影響は護にさえおよんでいた。
エネルギーの吸収が強まり、皆が膝をつく。
ゴーゴン「その強大な力、我が主復活の糧となれ!」
甲児「な、なんてこった。どんどんエネルギーが吸われていっちまう。このままじゃ!」
護「……このままじゃ!」
このままなにもできず……
護「負けて……負けてたまるかー!」
どっくん。
護の声に、誰か応えた……っ!
超竜神「護隊員!」
広場に飛びこむ金色の光。
それは、太古の昔から復活した超竜神だった。
ゴーゴン「なっ!? これは、我等が祖! 一体なにを!?」
超竜神「そんなにエネルギーが欲しいというのなら、私達の力もくれてやりましょう!」
床に降り立った超竜神が、その体内に残る超パワーを一気に放出させる。
その瞬間、床の光がさらに強くなった!
ゴーゴン「くくっ。なにかと思えば、わざわざ協力してくれるとは。これが我等の祖とは思えぬ。なんと愚かな!」
東方不敗「いいや、愚かなのは貴様の方よ!」
ゴーゴン「なにっ!?」
東方不敗「その心意気、受けとった! ゆくぞ、ドモン!」
ドモン「はい! 高まれ、シャッフルの紋章よ!」
凱「唸れ、GSライド!」
豹馬「超電磁パワー!」
甲児「マジンパワー!」
「「「「全開だ!」」」」
ゴーゴン大公「な、なにを、まさかっ!」
どんっ!
背後にあった塊が爆発を起こした。
あまりに急なエネルギーの高まりに、その容量をこえ、耐え切れなくなってしまったのだ。
超竜神「これで、復活など二の次になりましたね」
ゴーゴン「な、なんてことだ! おのれ、こうなれば!」
ゴーゴン大公の合図と共に、潜んでいた機械獣が次々と姿を現す。
ゴーゴン「貴様等を帰さぬ。絶対に帰さぬぞ!」
甲児「それはこっちのセリフだ! ここで決着をつけてやるぜ。覚悟しな、ゴーゴン大公!」
無敵要塞デモニカに乗ったゴーゴン大公との決戦がはじまった!
──戦闘前会話 ゴーゴン大公──
VS東方不敗
ゴーゴン「こうなれば、その体をよこせ! やはり必要なのは、貴様の体だ! 貴様ならば、あのエネルギーも受け止めきれたろうに!」
東方不敗「笑止!」
VSボン太君
ボン太君「ふもっ!」
ゴーゴン「なにっ!? 人間もこのサイズの戦闘獣を生み出していたというのか!? なんと心をざわつかせる姿をしている! これが、恐怖か!?」
クルツ「あっちの感覚はわかんねーな……」
マオ「意外と恐怖じゃなくて、別の感情だったりしてね」
クルツ「……そっちのが逆に嫌な気がするのは気のせいか?」
VS甲児or鉄也
ゴーゴン「兜甲児! 剣鉄也ぁ!」
甲児「ゴーゴン大公! 今日でお前達の野望も終わりだ!」
ゴーゴン「うるさい! 今さら貴様等など眼中になかった! あの方さえ。あの方さえ復活すれば、すべてが終わったというのに! 世界は、我等の物だった!」
鉄也「現実を見るんだな。そんなことは実現しなかった。今日こそ引導を渡してやる。ミケーネ!」
ゴーゴン「おのれえぇぇ!」
VS超竜神
ゴーゴン「我等が始祖とこのような関係があろうとはな! だがもう関係ない! その体の解析はすでに終わっている!」
超竜神「お前達が解析したそれは、すでに過去の私! 今の私とはすでに別物だと考えていただきたい!」
ゴーゴン「ほんの数分でそのようなことあるわけがなかろう! 滅びよ!」
──決着──
戦いのさなか、超竜神と撃龍神は新たに幻竜神、強龍神への合体をこなし、ゴーゴン大公率いるミケーネ帝国の残党を見事打ち破る。
ゴーゴン「たとえワシが敗れようと、いつか必ず我が主は甦るであろう。いつか。いつか必ずな! くはっ。くははははは! 闇の帝王様、ばんざーい!」
戦いも終わり、無事帰還した超竜神を迎える第13独立部隊。
超竜神「ただいま戻りました!」
護「お帰りなさい超竜神!」
ちなみに、超竜神が6500万年前の地層にタイムスリップしていた理由の件だが、彼等が隕石を押し戻し、ウインドウの向こう側へ放り出されたのち、木星付近で謎の光に遭遇し、その結果時間をこえ地球へ帰還したということだった。
その謎の光によって与えられた力──ザ・パワー──により、超竜神は復活し、今に至るというわけだった。
超竜神もその光に関してなんなのかはわからなかったし、戦いの後そのパワーは消滅してしまい正体は不明のままである。
その力の正体を知りたいのなら、木星まで行って調べなければならないようだ。
こうしてひとつの謎がとけ、炎竜、氷竜が部隊に復帰したのだった。
──決着の時──
※このシナリオはロゼ=リアが早期退場している場合スキップされます。
クド=ラ「……」
彼女は無言だ。
無言でコックピットに座り、膝を抱えていた。
考えるのは、憎き紫雲統夜のこと。
だというのに、思うのは、これから先自分がどうしたいかという夢の話だった……
クド=ラ(あいつは、兄さんの仇だというのに……!)
その憎しみの心が、薄れてしまっているのに気づいた。
???「ホッホ。悩んでおるようじゃの」
クド=ラ「……博士!」
博士と呼ばれた老人が、コックピットへむかうタラップを歩き、その入り口へやってきた。
名を、ハ=カ・セという。
彼女にクストゥエル・ブラキウムを与えたのは彼である。
ハ=カ・セ「悩み、迷っておるのなら、初心を思い出すがいい。ほれ、目を瞑り、耳を傾けてみい。聞こえぬか? この声が……」
クド=ラ「……」
博士に言われたとおり、彼女は目を瞑り、コックピット内で耳をすませた。
???「コロ、セ、トウヤ、オレ……コロセェ……!」
クド=ラ「っ! そう、だ。そうだ。聞こえたよ。兄さん。兄さんの声が! そうだよ。あいつをボクが殺してあげる。兄さんの仇をとるんだ!」
ハ=カ・セ「ホッホ。迷いは、晴れたようじゃの」
クド=ラ「でも、あいつは強い。博士。ボクにもっと力を!」
ハ=カ・セ「ならば、システムにもうちょっと頑張ってもらおうかの。出力を、あげるとしよう。その分おぬしにも負担が来るが、覚悟はあるか?」
クド=ラ「もちろんだよ!」
ハ=カ・セがサブシートの方へ行き、なにかをちょちょいといじると、奥から聞こえる声がさらに強さを増したような気がした。
???「アアアァァァッ!! トウ、ヤ……コロ……テ……オレ……シ……テ!!」
それにより、機体の出力、制動も大きくアップしたように感じる。
クド=ラ「いける。これならいけるよ。ふふっ。次こそは必ず。必ず兄さんの仇をとってあげるからね!」
ハ=カ・セ「……」
ハ=カ・セ(そろそろ、潮時じゃの。あれは、勝てぬわ。じゃがそれでもかまわぬ。方法は、一つだけではないからのう)
浮かれる少女の背中に、冷たい視線が注がれていたことを、彼女はまだ、知らない……
あくる日、統夜宛の果たし状が、第13独立部隊に届いた。
敵討ちの決着をつけようとの申し出だった。
今後のことを考えれば、ある意味で願ってもない申し出ではあった。
場所は、適当な無人島。
立会人として隊の者も連れて来いとも書いてあったので、みんなも来ることとなった。
もちろん、統夜一人をおびき出し、多勢で抹殺する可能性も考慮してだ。
しかし、それは杞憂であり、荒野の無人島にたたずんでいたのは、クド=ラの乗るクストウェル・ブラキウムだけであった。
ただ、島の反対側となるところに一つ、人工物とそれに乗る人影がある。
それこそが、先のハ=カ・セである。
統夜の側と同じく、立会人として彼もこの場にやってきたのであった。
甲児「誰だあれ?」
ロゼ=リア「あれは……」
メルア「お知り合いですか?」
ロゼ=リアは、顎にて手を当て、目を細めてそこに居るハ=カ・セをじっと見た。
ロゼ=リア「あれは……!」
みんな「……」
ロゼ=リア「全然知らない人ですわね!」
だあっ。と、みんな古いタイプのずっこけをかまさざるをえなかった。
ロゼ=リア「むしろシャナ=ミアさん。あなたの方のお知り合いでは?」
シャナ=ミア「いえ。あのような方は私の記憶には……ですが、クド=ラに関係があるのですから、我等フューリーに関係のある人間だとは思います」
ロゼ=リア「ならばわたくしの……? いや、でも、わたくし方も、わたくし以外を残してもういないはずですし……」
うーんと首をひねるが、当然答えは出ない。
ハ=カ・セ(あの小娘。ワシのことなどすっかり忘れておるか。まあ、仕方のないことじゃ。それに、その方が都合が良い!)
統夜達の到着を確認すると、組んでいた腕をはずし、クド=ラが動いた。
クド=ラ「よくきたねシウン・トウヤ! 今日こそ決着をつけてやる!」
統夜「その決着は、俺が死んだ時だろ。なら、まだまだつきそうにないぞ。俺はまだ、死ぬ気なんてないからな」
クド=ラ「うるさい! お前を殺す! ボクはそう、決めたんだ!」
そう言い、無人島へ踏み入れたグランティードへ襲い掛かった。
パワーアップしたはずのクストウェル・ブラキウムであったが、実力差はまだ大きな開きがあった。
統夜の最小の動きについてゆけず、軽くあしらわれてしまっている。
クド=ラ「くそっ! なぜ届かない! ボクの憎しみは、恨みは! こんなものじゃないのに!」
ハ=カ・セ(いやはや。こんなにも実力に差があったか。ワシが知る中でも、あの救世主の実力は1、2を争うほどの腕前じゃわい。伊達にバシレウスに選ばれてはおらんということか。こりゃ、その敗北者などで勝てるわけがないわ)
戦いを直に見て、ハ=カ・セは心の中でため息をついた。
ハ=カ・セ(ならばやはり、こちらのプランにうつるしかないようじゃな)
ズズゥン。
グランティードの重い一撃をくらい、クストウェルは無人島に倒れた。
なんとか立ち上がるが、すでにかまえる気力さえない。
クド=ラ「くそっ! もう、殺せ!」
統夜「殺さないよ。俺には、君を殺す理由がない」
クド=ラ「うるさい!」
ハ=カ・セ「ホッホ。やはり、勝てぬようじゃな」
クド=ラ「博士?」
ハ=カ・セ「騎士まで上り詰めた男と、その肉親を使えばなんとかなると思うたが、これほどの実力差。これでは無理じゃ」
クド=ラ「わかってるよ! でも!」
ハ=カ・セ「うむ。じゃからもう、諦めい」
クド=ラ「え?」
ハ=カ・セ「そして、ワシの新たな計画の糧がなるとよい」
クド=ラ「はか、せ? それは、どういう……?」
ハ=カ・セ「真実を教えてやろうというんじゃ。見るがよい。貴様の後ろを」
クド=ラ「後ろ……?」
チュドッ!
ハ=カ・セが言った直後、クストウェル・ブラキウムのサブシートにあたる部分が小さく破裂し、その隠された部分が露となった。
そこは、本来もう一人パイロットが乗るところであり、彼女が一人でクストウェルを動かせるよう、ハ=カ・セが『システム』と呼んだ場所を設置してある場所だった。
そこが、突然中身を見せるように爆ぜたのである。
小さな破裂音と共に、覆いが外れ、『それ』が露となる……
ごぽごぽごぽっ。
衝撃に、空気が動く音が聞こえた。
???「オォぉ。オオォォォォ」
クド=ラ「え……?」
その声に、彼女は聞き覚えがあった。
その姿に、彼女は見覚えがあった。
そこにあったのは培養器。
透明な容器にヒビが入り、中の液体がちろちろと漏れている。
失われつつある液体の中に、彼は、いた。
頭は半分無く、中身はむき出し。胸から下も、なんとか心臓と脊髄が残っているのみで、他はない。
あるのは、かろうじてわかる顔のみ。
そこにいたのは……
クド=ラ「にい、さん……?」
ジュア=ム「クド……ラ」
そこにいたのは、無残な姿となったジュア=ムだった。
かろうじて生きながら、機体につながれた、ジュア=ムだった!
ハ=カ・セ「ホッホ。嬢ちゃんよ。なぜ訓練もしておらぬおぬしが、いきなり戦えたと思う? それは、サイトロンの恩恵だけではないのじゃよ」
クド=ラ「う、そ……」
それは、誰もが疑問に思っていたことだった。
戦闘訓練も受けていない彼女が、いきなり激戦を潜り抜けてきた統夜達と互角近くまで戦えたこと。
その強さが、どうして得られたのか。
その答え。
それが、これである!
それは、こうしてボロボロのジュア=ムの体を機体とつなぎ、無理矢理戦わせていたから。
彼女の兄を、彼女が戦うためのパーツとして機体に組みこんでいたからである!
クド=ラ「嘘よ!」
ハ=カ・セ「嘘ではない。これが現実じゃ。さあ、嬢ちゃんのお兄さんよ。今の気持ちを、伝えてやるといい」
ジュア=ム「ト、トウヤアアァァ……!」
培養器の中から、ジュア=ムが口を開く。
音としての声は響かない。
だが、その言葉は、はっきりと皆の耳に届いた。
ジュア=ム「……助けて」
出たのは、恨みの言葉ではなかった。
ジュア=ム「コロセ。統夜。俺を、殺せっ。殺してくれっ……! 助けてクレ……! もう、イヤだ……!」
ハ=カ・セ「おやおや。随分と疲弊したものじゃ。最初こそはちゃんと憎しみを垂れていたというのに。今ではすっかり死を懇願するばかりか。まあ、しかたもなかろう。妹がこんなにも不甲斐ないのじゃからな」
クド=ラ「嘘よ。じゃあ、あの声は、兄さんが苦しんでいたのは……」
ハ=カ・セ「そうじゃ。貴様の無能が、憎しみ以上の苦痛をこやつに与え、役に立たないお前のせいで炉は壊された。そう。小僧を殺すのは、そこのバシレウスに選ばれし王ではない……」
クド=ラ(いや……。やめて。それ以上は言わないで!)
ハ=カ・セ「お前の兄を殺したのは、お前自身じゃ!」
ガツンッ!!
殴られたような衝撃が、クド=ラを襲う。
……ボクが、兄さんを?
本当の仇は、ボクだった?
なら、今までしてきたことは……
クドラ「い、いやあぁぁぁ!」
ロゼ=リア「っ! これは……っ!」
真実を知らされた瞬間、クストウェル・ブラキウムの足元に闇色の門が開いた。
大地に描かれる、闇の円。
それは、絶望した彼女が、自分と世界を拒絶した証。
絶望の感情が引き金となり、この世界へ『ジ・ヴォーダ』の力が呼び起こされた証明!
統夜「なんだあれは!」
ロゼ=リア「くっ! おさまりなさい! 鎮まりなさい!」
直後ロゼ=リアの巫女の力に呼応したバシレウスが輝き、その闇の門は閉ざされた。
クストウェル・ブラキウムが膝をつき、完全に動きを止めた。
テニア「一体なにが起きてたの?」
ロゼ=リア「あの子も、わたくしと同じく刻(とき)の巫女となりえる素質を持っていたのです。その才能を呼び水に、絶望の感情を呼び起こされ、終わりを望んでしまった。そのせいで、『ジ・ヴォーダ』の力がこの世界に顕現したのです!」
統夜「なんだって!?」
ハ=カ・セ「やはり、封印の要である真なる刻(とき)の巫女がおる限り、完璧にとはいかぬか。じゃが、これだけ開けば十分。貴様等を始末するだけの力は十分に集まった!」
ゴゴッ!
ハ=カ・セのいた場所が脈動し、無人島の地下から巨大な機体が姿を現した。
ハ=カ・セ「あとはこれで貴様等と刻の巫女を排除し、楽園の門を完全に開き、すべてのものを極楽へいざなうのみよ!」
豹馬「楽園!?」
甲児「極楽だって!?」
統夜「なにを言っているんだこの人は」
ロゼ=リア「そうか。誰だかわからぬわけです。彼等は、集合体。かつてあの『ジ・ヴォーダ』を作り上げた者達の集まりなのです!」
ハ=カ・セ「我等のつくりし最高傑作を、その穢れた名で呼ぶな!」
メルア「ロゼ=リアさんと同じ時代の人ということですか?」
ロゼ=リア「そうです。ならば、先ほど現われた『ジ・ヴォーダ』の一部はあの機体の中が収束させたのでしょう。ヤツの目的は、わたくしの排除。そして、『ジ・ヴォーダ』の封印の解除。『ジ・ヴォーダ』を開放し、この世を地獄に染めることです!」
忍「やっぱ楽園なわけねーのか」
統夜「なぜそんなことを!」
ハ=カ・セ「我等は間違っておらぬからだ! この世すべてを楽園に変えること。それが正しきことなのだ! なのに、それがなぜわからぬ! なぜ封印を施した。我が皇よ。ロゼ=リア・エルテナ・フューラよ!!」
ロゼ=リア「まだ、わからないのですか。あなた達は! どうして、どうして認められないのです! わたくし達は過ちを犯したと。間違いを犯したという事実を!」
ハ=カ・セ「黙れ!」
ロゼ=リア「我等は神などではなかったといい加減認めなさい。万能でも、全能でもない。小さな種族でしかなかったと!」
ハ=カ・セ「黙れ! 貴様等こそなぜわからぬ! すべてを超越した我等がつくりたもうし楽園こそが真実! 真に開放された新たな世界。真実の園なのだ! それを勝手に、貴様等は!」
甲児「ダメだこいつら。話が通じねえ」
ハ=カ・セ「そうだ。貴様等にはわからぬ。だから我等が与えてやらねばならぬ。英知を。安らぎを! だから、どくのだ刻の巫女よ! 貴様さえいなくなれば、世界は救われる。我等こそが、世界を救う真の救世主なのだ!」
ハ=カ・セ。
それは、ロゼ=リアの生まれた時代に『ジ・ヴォーダ』を作り上げた科学者達の執念といってもいい存在だった。
サイトロンの力により、一つの老人の中にあつまり、自分達の作った存在に誤りなどなく、世を救済するものと信じきっている。
ゆえに、世界を楽園に導かんと、それを封印した刻の巫女を排除しようとした。
彼等はバシレウスの導きの元、はるか未来へ旅立ったロゼ=リア姫を追い、この時代にやって来た。そして、ロゼ=リア排除の手段として、同じ刻の巫女としての素質のあるクド=ラに目をつけ、その復讐心を利用し、統夜と共にロゼ=リアの排除を目論んだ。
しかし、統夜が思いのほか手ごわかったため、計画を変更。
クド=ラの巫女としての力を利用し、彼女を絶望させ、地獄の門を開き、その力を持って要石のロゼ=リアを排除しようとしたのである。
封印の要であるロゼ=リアが健在である限り、その力の放出はすぐ止められてしまうだろうが、それでも統夜達を排除するには十分であるとハ=カ・セは考えていた。
果し合いの場に選ばれた無人島はそのために用意された人工島であり、現われた『ジ・ヴォーダ』の力を受け止める機体が、ハ=カ・セの居た場所に設置されていたのだ!
そうして地獄の門よりその力の一端を受けとり、大地より這い出たそれが動き出す。
超竜神「この力。私の受け取ったザ・パワーの力に似ている気がします!」
麗雄博士「ならば、油断できないってことだな。皆、気をつけろ!」
ずんっ!
重い音を響かせ、ハ=カ・セの乗る巨大な機体が進む。
その足元には既に動かなくなったクストウェルが膝を突いていた。
ハ=カ・セ「……ホッホ。楽園へいざなう道具としては十分な仕事をしてくれた。ゆえに、くれてやろう。この世界最初の楽園への到達者だ。誇りに思うがいい!」
巨大な脚を持ち上げ、そのままそこに、振り下ろした。
ズンッ!!
ぐりっ。ごりっ。念入りに足をひねり、すりつぶす。
ハ=カ・セ「……ん?」
手ごたえが、ない。
脚を持ち上げてみると、その下に、残骸の一つもなかった。
統夜「……いい加減にしろよ」
ハ=カ・セ「む?」
無人島のはし。
ハ=カ・セの居た場所とは反対側に、彼等はいた。
グランティードとバシレウスにはさまれ、肩を貸すようにして、クストウェルもそこにいる。
潰されようとしたあの一瞬、その二体がオルゴンクラウドの転移を使い、彼女達を救ってみせたのだ。
ハ=カ・セ「? なぜ我等の救済の邪魔をするのかね? これは君の命を狙った。君を恨むこの者が、この苦しみの世界から開放されることは、君の願うところでもあるだ……」
統夜「黙れ!」
ハ=カ・セ「っ!?」
統夜「お前の欺瞞と偽りに満ちた言葉なんて聞きたくない。なにが救済だ。今彼女を排除しようとしたのは、俺達を倒したあと、心変わりをする可能性のある彼女に『ジ・ヴォーダ』を再封印されるのを恐れたからだ! ただ、邪魔になると思ったからだ!」
ハ=カ・セ「!!」
統夜「彼女の救済なんて微塵も考えていない。お前達は結局、彼女を利用することしか考えていない。自分達の目的しか考えていない! そんなお前の言葉など、もう、聞く必要はない!」
ハ=カ・セ「……これが、サイトロンを極めつつある者か。だが、何故貴様に怒る権利がある。我等は利用したのではない。今回のこの復讐。すべてのきっかけは、貴様にあるというに」
シャナ=ミア「また心にもないことを言うのはおやめなさい。復讐のきっかけがトウヤであろうはずがありません! トウヤのせいにしたのは、あなたがそう仕向けたから! それを、まるでトウヤが原因であるかのように言うのは、私が許さない。トウヤを、あの悲しい戦いを、あなたの目的のためだけに利用などさせません!」
テニア「そうだよ。はじまりがジュア=ムをうったこと? 違うよ。そもそもジュア=ムはそこに生きてる。生かしていられるなら、ちゃんと助けてやれたんじゃないの!!」
メルア「そうですよ! それもしないで、あの子に復讐をたきつけたのは、あの子を利用したいがため。その証拠に他なりません! それは、彼女の家族への愛につけこんだ。外道の所業です!」
カティア「自分達の正しさを証明するためだけに、人を道具のようにあつかう。そのどこに救済が。楽園があるというの!」
ロゼ=リア「いつまでもかわらぬ、傍若無人な振る舞い。それが、我等を滅ぼしたとなぜ理解できないのです。いい加減、このわたくしの。いえ、わたくし達全員の堪忍袋の尾が切れました!」
統夜「俺は、そんなお前達が許せない。彼女の深い家族の情を利用して、必要以上に苦しめたお前が! だから、みんな!」
シャナ=ミア「はい!」
テニア「うん!」
メルア「はい!」
カティア「ええ!」
ロゼ=リア「はい!」
統夜「その真なる姿を現せ……!」
正しき怒りのもとに、グランティードとバシレウスに連なる六人の心が一つとなった!
皆の想いに応え、グランティードとバシレウスの合体が、今!
統夜「グランティード・ドラコデウス!」
今、再びこの場に、一つとなったグランティードが姿を現した!
ハ=カ・セ「未来はおろか、我等の心まで見通すか。これが、バシレウスに選ばれし救世主。ホッホ。だが、いかに救世の剣といえど、この力にはかなうまい!」
甲児「そんなことはねえ!」
豹馬「ああ。そうだ。今ここにいるのは、統夜だけじゃないんだからな!」
健一「俺達だって、貴様の身勝手なやり方にハラワタが煮えくり返っているんだ!」
アキト「そうだ。絶対に許せないぞ!」
一矢「ああ。俺達だって、許せない気持ちは同じだ!」
凱「貴様は、絶対に許さん!」
忍「みんなで、思い知らせてやる。てめえの思い通りにはならないってことをな!」
ハ=カ・セ「何人集まろうが、我等が最高傑作の力に勝てるはずがあるまい! 刻の巫女ごとすべてを楽園へ送ってくれる!」
短い時間であったが、溢れた『ジ・ヴォーダ』の力はすべてこの中に納まっている。
もし、この後本当に世界を救うというのなら、これを破壊できずして、ロゼ=リアの中に現れる真の地獄を破壊することなどは不可能。
世界を救うことなど、もってのほかだった!
戦いが、はじまる!
無人島の地下に隠してあったフューリーの機体が飛び出す。
数の優位は消えたが、いくら無人の機械を出そうと、正しき怒りに燃え、気力がマックスとなった統夜達はとめられない。
一瞬にしてそれらは破壊しつくされ、統夜の刃はハ=カ・セへと迫った。
ハ=カ・セ「くっ。ぐおおっ! なぜだ。なぜ、思い通りに動かん!」
ロゼ=リア「一部とはいえ、その力を受け止め切れなかったのですよ。それが、あなた達の限界だと知りなさい!」
ハ=カ・セ「そのようなこと。そのようなことはない! 我等が、我等は!」
統夜「これで、終わりだ! インフィニティ・キャリバー!」
ついに解禁された最強の剣が、ハ=カ・セの体ごとその機体を貫いた!
ハ=カ・セ「バ、カな……。我等の最高傑作が。世を楽園へと変える最高の発明が……。世界が、このような……」
統夜「安心しろよ。今から行くそこが、お前達の望んだ世界だ」
ハ=カ・セ「い、嫌だ。いや。そんなの、嫌だあぁぁぁ!!」
巨大な爆発を起こし、『ジ・ヴォーダ』を生み出した者達の執念はチリへと帰っていった……
戦いは、終わった。
そして、彼女の復讐も……
クストウェル・ブラキウムは回収され、クド=ラ。彼女はその前で呆然としていた。
そのコックピットのサブシートには、ハ=カ・セの培養液の効果がつき、真の死を待つのみの兄がいる。
彼女はその最後を見たくなく、足元のここに逃げてきたのである。
麗雄博士「お嬢さん。諦めるのはまだ早いぞ」
レイン「ええ。まだ、あの子の命は終わっていないわ」
クド=ラ「え?」
現われたのは、凱の父。サイボーグ開発の第一人者の獅子王麗雄博士と、医師であるレインだった。
クド=ラ「でも、どれだけ早く戻っても、兄さんの体はもう、耐えられない。ボクが弱かったから、そのせいで、その体は……!」
レイン「いいえ。大丈夫。設備のあるGアイランドに戻るまで、死なせたりしないわ」
こんな時のために、第13独立部隊には時を止めるベッドが用意されている。
ステイシスベッドを使えば、あの状態のまま、ジュア=ムを死なせず移動させることが可能だった。
クド=ラ「じゃあ、兄さんは助かるの?」
レイン「それはまだわからないわ。でも、希望は捨てないで」
麗雄博士「その通りだよお嬢さん。まだまだ希望はすてちゃいかん。ここはボク達を信じてみないかね?」
クド=ラ「……はい。お願いします。兄さんを、助けて……!」
麗雄博士「任せておきたまえ! 可愛い女の子に頼まれたのなら、その期待を裏切るわけにはいかないからね!」
そうして、ステイシスベッドに入れられ運ばれてゆくジュア=ムを、彼女は見送った。
そこにあるのは、希望。
ハ=カ・セによって植えつけられた絶望を跳ね除ける、未来を見据えた顔だった。
統夜「あとは、レインさん達に任せるしかないか」
シャナ=ミア「そうですね。私達にできるのは、ここまでですから」
テニア「きっと大丈夫だよ。生きているなら、どうにかしてくれるよ。きっと!」
メルア「はい。信じています!」
カティア「そうね。サイボーグでも、生身でも、どちらもエキスパートが揃っているのだから」
クド=ラ「あの……」
見送った統夜達のところへ、クド=ラがやってきた。
統夜「ん?」
クド=ラ「ごめんなさい。仇だなんて。ずっと、あの博士に、ボク……」
統夜「いいんだよ。君は間違ってない。あの時、俺は確かに、ジュア=ムをうったんだから」
むしろ、生きて戻って来た方が驚きである。ハ=カ・セはきっと、あの時からあの第2プランを考えてボロボロのジュア=ムを助けたのだろう。
非道なのは、生きているとわかって、その状態で生かしておいたことである。
クド=ラ「それでもボクは……!」
統夜「そんなに償いたいというのなら、一つ言うことを聞いてもらおうか」
クド=ラ「うん。なんでもするよ!」
統夜「いい覚悟だ。なら、聞いてもらおう」
クド=ラ「ごくり……っ!」
統夜「じゃあ、これまでのことは水に流して、ちゃんと前をむいて歩いて行こう。君も、俺も、もう自由だ」
クド=ラ「……は?」
つまるところ、お咎めなんてない。ってことだ。
統夜「みんなも、それでいいだろ?」
甲児「命を狙われていたお前がそう言ったら、他に誰が反対できるっていうんだよ」
豹馬「その通りだぜ。彼女の恨みを一手に引き受けたのはお前なんだから、俺等に言えることはなにもないさ」
クド=ラ「……それだけ?」
統夜「ああ。大変だぞ。今までの憎しみを忘れて生きていくんだから」
ロゼ=リア「ものはいいようですわね」
シャナ=ミア「でも、実際大変かもしれません」
クド=ラ「呆れた」
カティア「でも、統夜君らしいわ」
クド=ラ「ホント、呆れたよ……」
そう言いながら、彼女は涙を流した。
あれほどの憎しみをぶつけたというのに、彼はそれをけろりと受け流し、それどころかクド=ラの未来のことを考えてくれていたのだから。
最初から、そうだ。
憎しみという枷をはずしてみれば、統夜の行動はいつも信じられないくらいクド=ラのためを思っていた。
その優しさを感じ、思わず涙がこぼれてしまったのである。
それを見て、戸惑うのは統夜。
自分は悪くないというのに、少女の涙を見てわたわたとしてしまうのだった……
それを見た皆から、笑顔がこぼれた。
こうして、クド=ラの復讐は終わりを告げる。
彼女はひとまず、元指導者であるシャナ=ミアのところに厄介になることとなった。
そして、皆の力になりたいと仲間に加わり、皆と共に戦うことを誓うのだった。
──インターミッション──
クストウェル・ブラキウムと共にクド=ラが仲間に加わりました。
ジュア=ムユニットが失われたため、クストウェル・ブラキウムは大幅に弱体化しました。
ただ、基本二人で動かすユニットですが、その気になれば一人でも動かせます(クド=ラが加わりフューリー機パイロットが9人になったから)
クド=ラはメイン、サブ。どちらでも運用が可能です。特別に合体したグランティード・ドラコデウスへの搭乗も可能となります。
合体が解禁されたグランティード・ドラコデウスは四人乗りとなりました。
メインパイロットは統夜。残り3人はサブパイロットとなり、3つの機体ボーナスを得ることが可能になります。
合体した場合、バシレウスのメインパイロットからロゼ=リアをはずし、別のサブパイロットを乗せることが可能になりました。この場合でも、分離は可能(バシレウスへの機体ボーナスは、サブパイロットの子のが適応される)
──新たな決意──
ロゼ=リア「……」
ロゼ=リア(『ジ・ヴォーダ』を作った者達でさえ、その力の一部さえ受け止めることはできなかった。やはり、刻の巫女を依代としなければ、完全な『ジ・ヴォーダ』を世に顕現させるのは不可能)
他のなにかを依代にし、ロゼ=リアを救う。
それは不可能なのだと、今回の一件で証明されてしまった。
強大な力を持つ『ジ・ヴォーダ』を倒せるほど強力な戦力はすでに揃いつつある。
ならば……
ロゼ=リア「世界を救うためには、やはり……」
自身を犠牲にするしかない。
そう、改めて覚悟を決める彼女。
統夜「……」
そして、それを見逃さない統夜がいた。
第12話 終わり