第2次スーパーロボット大戦J   作:YSK

16 / 28
第13話 かなめ救出作戦~メリダ島奪還まで

 

────

 

 

 炎竜、氷竜が復帰し、東方不敗の謎も解けた。

 

 

 そしてついに、連れ去られた千鳥かなめの居場所が判明したのである!

 

 その報告を聞いたトゥアハー・デ・ダナンの艦長テレサ・テスタロッサは、第13独立部隊を離脱し、ミスリル単体でかなめを取り戻す作戦を考えた。

 

 なぜならかなめ有するアマルガムが潜伏してるのは、連合の基地だったからだ。

 

 元々ロゴスとしての地盤を持つ彼等とはいえ、アマルガムがしたことはミスリルという存在しない組織を潰しただけ。

 ロゴスという組織も既にない今、部隊で連合の基地を攻めることはできないと考えたからだ。

 無理に攻撃すれば、今度は彼等の立場が悪くなってしまう。

 

 ゆえに一度離脱し、ミスリルの有志のみでかなめを救出しようという考えに至った。

 

 

 しかしその考えは、現われたナデシコB艦長、ルリによってとめられる。

 

 

ルリ「行くなら、みんなで一緒に行くべきです」

 

テッサ「ですが……」

 

ルリ「いいえ。私達には行く義務があるからです。なぜならそこに、火星の後継者もいるから」

 

テッサ「あっ……」

 

 

 ナデシコBは、世界で暗躍していた木連の残党、火星の後継者に対抗するため組織された連合の部隊。

 

 その任務は、火星の後継者の制圧。

 

 実質的なテロリストがいるのだから、それを名目に第13独立部隊も攻撃に参加する理由は十分にあった!

 

 

テッサ「……いけませんね」

 

 

 彼女は自戒する。

 

 ミスリルを潰したアマルガムのことばかりに目が行って、その他のことが目に入っていなかった。

 

 指揮官として冷静でなかったことを思い出した。

 

 

テッサ「ありがとうございます、ルリさん」

 

ルリ「いいんですよ。だって私達、仲間じゃないですか」

 

テッサ「はいっ!」

 

 

 さあ、かなめ救出作戦の開始だ!

 

 

──ニケーロ島──

 

 

 ニケーロ島に到着した第13独立部隊。

 

 まずは、テロリストである火星の後継者の引渡しを要請する。

 

 

ゲイツ「やっぱそこつかれるわなあ。こいつらがいなければ、ミスリルだけを相手にすればよかったってのに。全部出張ってきたけど、どうするのかね?」

 

北辰「……」

 

レナード「かまわないよ。この程度は僕の計算内だ。目的のために、彼等の協力は必要不可欠だしね」

 

シャピロ「奴等のラムダドライバ搭載の新型はすでにこちらの手にある。それとも、自分だけが持っていても不安だというのかね?」

 

ゲイツ「言ってくれるねぇ。そこまで言われたら、自由にやらせてもらうぜぇ」

 

 

 返って来た答えは、部隊の展開、徹底抗戦というかまえだった。

 

 第13独立部隊側も戦力を出し、かなめ奪還作戦が開始された!

 

 

 ゲイツが表で戦っている中、レナードはかなめをつれ撤退の準備に入る。

 

 連れて行かれようとするかなめは、レナードを拒絶する言葉を投げかける。

 レナードはその答えとして、ウィスパードの共振を利用した、自身の過去をかなめに見せるのだった。

 

 母親に拒絶され、存在を否定され、殺されかけたという過去を。

 

 

 戦いは進む。

 

 宗介用に新たに開発されていたラムダドライバ搭載の新型AS。

 それは完成直前にアマルガムに奪われ、この基地に運ばれていた。

 

 少々分が悪くなってきたゲイツは、それを持ち出し、希望を破壊するよう破壊して見せた。

 

 しかし、基地へ突入するボン太君の進撃は緩まない。

 それがどうしたと言わんばかりに基地内への突入を図る。

 

 戦友(とも)である風雲再起の援護が道を作り、ついにボン太君は基地内部へと飛びこんだ。

 

 強引な突入によってボロボロになった着ぐるみ。ボン太君を脱ぎ捨て、いよいよ宗介本人が姿を現した。

 

 相良宗介に戻った彼は、そのままかなめを救うべく基地の奥へと走る。

 

 

 しかし、その前に立ちふさがったのは、行方不明となったはずのカリーニンであった。

 

 

 なんとミスリルにて宗介の父親代わりと言ってよかった人が、敵に回ってしまったのだ!

 

 カリーニンは言う。「戦場ではよくあることだ」と。

 

 

 一方、宗介の突入を知ったかなめ。

 

 そちらにむかい走ろうとするが、その手をつかまれてしまった。

 

 レナードはそのかなめを挑発するように銃を彼女にわたし、自分を殺せば逃げられると告げるのだった。

 

 葛藤するかなめ。

 だが、一般的な常識を持ち合わせる彼女が人を撃てるわけがなかった。

 

 そこで事件が起きる。

 どこかでなにかが爆発し、その振動でかなめの指が引き金を引いてしまったのだ。

 

 レナードの頭部から血が溢れる。

 

 呆然とするかなめをよそに、宗介をまいてきたカリーニンがレナードとかなめを運ぶのだった。

 

 宗介が追ってくるが、他のアマルガムの隊員に阻止され、かなめの手を握ることは叶わなかった……

 

 

 追って外に出たが、すでにカリーニン達の姿はない。

 

 遠くに離れるヘリが一機見えるだけだった。

 

 そこにかなめがいると確信した宗介は、悔しそうに拳を地面に打ちつける。

 

 

 かなめ救出は失敗した。

 

 だが、戦闘は続いている。

 

 

 そんな宗介の元に、新たな剣が届けられた。

 

 

 アラン・イゴールによって運ばれてきた、真のARX-8レーバテインがだ(アランはまだ仲間にならず帰っていく)

 

 先ほどゲイツが爆破し、いい気になっていたのはただのダミーだったのだ。

 

 

 アーバレストに搭載されていたAIアルはこのレーバテインに移されており、宗介とアルのコンビが復活するに至った。

 

 同じラムダドライバ搭載機であるゲイツのコダールを撃破し、北辰はボソンジャンプで戦場から逃げ、戦闘は終了する。

 

 

 戦後、命をかけたブラフを成功させたかなめが宗介に向け無線にて呼びかけてきた。

 

 最初こそは探すなと。レナードを撃ってしまったことを告白し、別れを告げようとするも、最後の最後で本音は隠すことができなかった。

 

 

かなめ「あたしを助けに来て!」

 

 

 宗介の答えは決まっていた。

 

 

宗介「必ず行く。待ってろ」

 

 

 そう答えを返しあい、無線は切れるのだった。

 

 かなめの救出には失敗した。

 

 

 だが、行方不明であった相良宗介が帰って来た。

 

 

 かなめ救出の作戦は、まだ終わらないのである!

 

 

──ヤムスク11──

 

 

 次に第13独立部隊がやってきたのは地球の北方にあるヤムスク11という場所。

 

 ここは、ウィスパードに関わる実験が行われていた秘密の研究所があった場所だった。

 

 

 同様にその研究を狙って現われたレナード達と相対することになる第13独立部隊。

 

 前回は姿を現さなかったシャピロ、さらにベリアルに乗ったレナードも姿を見せた。

 

 ただレナードは前にかなめに撃たれた影響からか、気性が荒くなり、言葉使いも悪くなっていた。

 

 

 レナードは顔を見せた後、先に侵入した宗介とテッサと同じように研究所内部へと潜入してゆく。

 

 

 地下施設を進む宗介とテッサだったが、戦闘の影響で天井が崩れ、二人は離れ離れとなってしまった。

 

 同様に潜入してきたレナードとかなめもはぐれ、かなめはテッサと出会い、レナードは宗介と遭遇することとなった。

 

 

 地下で瓦礫にとじこめられた宗介とレナードは一時休戦、協力し合うこととなる。

 

 そこで宗介は、レナードの口からウィスパードの秘密を聞かされるのだった。

 

 ウィスパードとは、自分が知るはずのない知識を「実は知っていたと突然思い出す」ことで新しい知識を生み出す者である。

 その思い出す瞬間に、なにかのささやきを聞こえたかのように思うことから、ささやかれる者。ウィスパードと名づけられた。

 

 レナードが言うには、かなめは「ささやかれた者」ではなく「ささやく者」とのことだった。

 

 それが、かなめを重要視する理由の一つ。

 

 

 続いて、レナードは自分の目的を語る。

 

 この世界は間違っている。だから、正しい世界に作り直す。と。

 

 彼の考えでは、世界を作り直すことにより、本来は生きているべきだったが死んでしまった人間が生き返るという。

 そして、死んでいるべきなのに生き残っている人間が死ぬという素晴らしい世界ができるというのだ。

 

 世界を作り変える。

 それはいわば、神になろうとしていると言っても過言ではなかった。

 

 もちろん、宗介はその考えに賛同はできない。

 戦士である宗介は、死もその人間の一部と考えているからだ。

 

 ただ、その考えにカリーニンは賛同してくれたと伝えられた。

 

 カリーニンにも取り戻したいものがあるらしく、それゆえ新たな世界を作ろうとするレナードに従ったのだという。

 シャピロ、北辰も同じくだ。

 

 

 同時刻、かなめと移動するテッサも、この施設のことをかなめに説明していた。

 

 テッサの目的地は、ウィスパード実験の震源地。

 ここにあるのは、ラムダ・ドライバを使用するため搭載されるTAROSと呼ばれるものの本体で、時空間を超えて情報を送信できるもの。

 

 かつてこの地で行われた実験が失敗し、世界にタウ波と呼ばれるものが放出され、それを受けた新生児が、オムニスフィアと呼ばれる時間や空間の制約を受けないいわゆる精神世界から、未来の情報を受信できるようになったのがウィスパードのはじまり。

 

 ブラック・テクノロジーとは、未来からもたらされた技術のことだったのだ!

 

 なんらかの適正が必要なようで、その波を受信したすべての新生児がウィスパードに覚醒したわけでなく、世界に10人いればよいほうだという。

 

 

 それと同じ説明は、宗介の方でもなされていた。

 

 レナードはかなめが最も多くのタウ波を受信した新生児と言っており、それがささやく者の根拠であり、もっとも特殊な存在で、自分の計画の要となる。と。

 

 瓦礫を撤去し終わり、二人に別れの時がやってきた。

 

 殺し合いはせず、二人はそのまま別れることとなる。

 次に出会うことがあれば、と言い。

 

 

 テッサの方も、目的地付近まで到着する。

 

 彼女の目的は、そこにあるブラック・テクノロジーを世界に発信しているアンテナの役割を果たしている存在の破壊。

 そこには、カプセルに入ったかつての実験にて犠牲となった被験体である少女の遺体(遺体そのものはないそうだが)

 

 それを爆弾で破壊しようとしたその時、かなめがなにかを受信し、豹変。

 

 その必要はないと、テッサの爆破をとめたのだった。

 

 かなめの態度がどこかおかしいと気づいたテッサ。

 

 そこに、レナードと別れた宗介も到着する。

 

 

 するとなぜか、かなめはテッサを人質に宗介に銃をむけるのだった。

 

 

 焦る宗介。

 かなめは優しい口調で宗介に邪魔をするなと告げるも、その様子がおかしいのは明らかだ。

 

 宗介がかなめをとめようと動こうとすると、かなめはテッサの側頭部を拳銃で撃ち、さらに宗介の頭部も撃ちぬいた。

 だがこれは、幻だった。

 

 かなめに近づこうとした宗介が、いきなり失神し、その倒れた宗介を放置し、かなめは逃走したとのことだった。

 

 

 この地では実験のせいからか、こうした既視感の幻が多くみられるゆえ、そのせいかもしれない。

 

 だが、かなめがおかしくなってしまったのは、現実だった……

 

 

 かなめはレナードと合流。

 変じたかなめを見て、まるで臣下のように礼をとり、彼女を迎え入れた。

 

 

 崩れはじめる施設。

 

 宗介達も、ここから脱出をする。

 

 

 研究所が崩壊してしまえば双方この地にいる理由はない。

 

 

 適度なところで撤退し、この戦いはお開きとなるのだった。

 

 

 ちなみに外ではクルツ死亡イベントが起きていた。

 師匠との狙撃合戦でボロボロとなり、なんらかの理由で置いてこられてしまったのだ。

 

 でもまあ、あとから来た運び屋アラン・イゴールに助けられていたってオチなので先にばらしておこうと思う。

 

 

──テニアと統夜──

 

 

 ホワイトベースにて移動中。

 

 統夜とテニアが通路を歩いていると、前からハロがぴょんぴょん跳ねてやってきた。

 

 

ハロ「テニア、テニア、トーヤ。トーヤ!」

 

統夜「あれ、ハロだけか?」

 

ハロ「テヤンデー」

 

 

 飛びこんできたハロをテニアがキャッチする。

 

 

テニア「これ、アムロのハロかな」

 

統夜「大きさからしてそうだろうな」

 

テニア「ハロも色んな大きさと色があるよね」

 

 

 昔、ラクスが掌サイズのピンクハロを持っていたのを彼等は知っている。

 

 

テニア「コロニーではポピュラーなマスコットなのかな」

 

統夜「どうなんだろう。確かこいつは、アムロの手作りだって聞いたな」

 

テニア「へー。それはすごいね。そういうのできる人、アタシ尊敬しちゃうよ」

 

統夜「へー。尊敬してくれるのか」

 

テニア「うん。すごいよね!」

 

統夜「確かにな」

 

 

 くるくるとハロを回してその体をまじまじと見る。

 

 

テニア「外からじゃ手作りなのかまったくわからないね」

 

統夜「そうだな」

 

テニア「サイトロンで機械の中身とかもわかったらいいのに……」

 

統夜「機械の……?」

 

統夜(その発想はなかった。確かに、テニアのことも知れたし、機械にもいけるかもしれない。なら……)

 

テニア「? どうしたの、統夜?」

 

統夜「いや、テニアは面白い発想するなあと思って」

 

テニア「え? なんかバカにされてる気がする」

 

統夜「いやいや。凄いと思ってるんだよ。感心してるんだ」

 

テニア「ホントにー?」

 

統夜「ホントホント。それより、アムロにこいつ届けてやろう」

 

テニア「あ、そうだね。君はどこから来たの?」

 

ハロ「アッチアッチ!」

 

 

 二人はハロを抱えながら、アムロの元へと歩き出した。

 

 

統夜(サイトロンを使って機械の解析。それで機械の構造を理解すれば、色々と作れるようになったりもするかな? だとしたら、面白いかもしれない……)

 

 

──メリダ島奪還!──

 

 

 撤退したレナード達はある場所へむかった。

 

 それは、メリダ島。

 そこで、最後の準備を果たすのだ。

 

 それを察知した第13独立部隊も、彼等を追う。

 

 

 地球におけるアマルガムとの最後の戦い。それが迫まっているのが誰にも感じられた……

 

 

北辰「……しかし、なぜこうも、我等の居場所がわかる?」

 

レナード「そりゃ、彼が情報をながしているんだろうさ。ロゴスが壊滅した今、こちらは用済みだからね」

 

シャピロ「あの男か。どちらも利用しあい、ついには裏切られたわけか」

 

レナード「しかたがないさ。ロゴスの壊滅を目的に手を組んだだけだからね。こうなっても不思議はない。でも、そのうち報復は受けてもらう。そのうちね」

 

シャピロ「その前に滅びぬとよいがな。アマルガムが」

 

レナード「彼はそのつもりだろうね。ここで、俺達を壊滅させるつもりなんだろう」

 

北辰「そうはならぬさ。準備は整っている」

 

レナード「だそうだよ」

 

 

 連合に追われるとわかっていて北辰と組んだ理由。

 それがもうじき、明かされることになりそうだ……

 

 

 ついにアマルガムを追い詰めた第13独立部隊。

 

 逃げこんだメリダ島の奪還と共に、火星の後継者&アマルガム掃討作戦を開始するのだった!

 

 

 飛行装備を得たレーバテインと共に島へ攻撃を開始する。

 

 

 そこにはアマルガムだけでなくジオンの地上残党もおり、大混戦となった。

 

 

 基地へ到着する宗介。

 

 しかし肝心の基地は、もぬけの殻であった!

 

 

ルリ「っ! ボソン反応を確認。彼等はこの基地からボソンジャンプで逃げたようです!」

 

 

 残っていたのは……

 

 

カリーニン「よくここまできたものだ」

 

宗介「カリーニン!?」

 

 

 待ち構えていたカリーニン。

 

 彼は宗介に機体から降り、白兵戦で決着をつけようと言ってきた。

 

 勝てば、彼等がどこへ消えたか教えてやる。と……

 

 

アル「いけません軍曹。明らかな挑発です」

 

宗介「言いたいことはわかる。だが……」

 

 

 そうわかりながらも、宗介は機体でカリーニンをどうにかするということはできなかった。

 

 挑発どおりレーバテインを降り、ナイフでの戦いを挑んでしまう。

 

 

 愚か。と言われても仕方のない行為。

 だが、それを責める者はこの場に誰もいない。

 

 その戦いはまるで、稽古をつけているかのようだった。

 

 基地内を飛び出し、戦いは森の中へ移る。

 

 

 やはり、技術面はカリーニンの方が上だ。

 

 宗介は追い詰められ、ついにカリーニンの一撃がその身体を……!

 

 

 ちゅんっ!

 

 カリーニンの耳元を、なにかが掠めた。

 

 

カリーニン「!?」

 

 

 その振動はカリーニンの頭を揺らし、一瞬その意識をそちらの方へと移させた。

 

 着弾点、狙撃者。そちらの方へ……!

 

 

 その一瞬。それが、命取りとなった。

 

 隙を見逃さなかった宗介により、武器を落とされ、押さえこまれる。

 

 

 こうなってはもう、逃げ出せない。

 一瞬で、完全に制圧されてしまった。

 

 カリーニンは敗北を噛み締めながら、自分の頭を撃たず、意識だけをそちらにむけさせた狙撃の腕を感心する。

 

 その狙撃位置を確認すると、はるか遠方で立ち上がる男の姿があった。

 

 

 何者かと思えば、それは、死んだはずのクルツ。

 

 

カリーニン「……見事なチームワークだ」

 

 

 宗介がこの狙撃を知っていたのか知らなかったのか、それはカリーニンにはわからない。

 

 だが、彼が死んだという情報が、カリーニンに狙撃はないと思わせ、宗介一人では勝てぬ戦いを、チームで勝利に導いた。

 

 それは、事実だった……

 

 

カリーニン「だが、戦い自体はこちらの勝ちだ」

 

宗介「なに?」

 

 

 元々カリーニンは殿。自分自身はどうなってもかまわない。

 例え自分が死んでも、目的が達成されればその死も無意味となる。

 

 確保されたまま大人しくしているのも、『それ』がやってくるのを知っているからだった。

 

 

 基地の警報が鳴った。

 

 

 なんと近くの基地からメリダ島にむけてミサイルが発射されたというのだ。

 

 水爆がつまれたミサイルがここを目指して飛んできている。

 

 

 しかも島には伏兵がわんさか出てくる始末。

 

 その中にはなんとデビルガンダムさえあった。

 一撃を加えると、DG細胞はなく、ただ姿を模した紛い物だとわかるが。

 

 それでも、この時間のない中現れるのは脅威である。

 

 

 このままではメリダ島は壊滅してしまう。

 

 

 二発目以降は発射される前にルリがハッキングでとめられたが、最初の一発はネットワーク機能を切られ、インプットされた目的地にのみ飛ぶようセットされているらしく、解除は不可能の状態だった。

 

 最初から、必要なこの一発のみでいいと考えられていたようだ。

 

 事実こんなちっぽけな島、水爆一つで地図から完全に消える。

 

 

ブライト「このままでは!」

 

統夜「……っ! さっきのが、あの発想があたりなら……!」

 

 

 統夜は迫るミサイルへ意識をむける。

 

 

統夜(サイトロン。見せてみろ。お前の新しい可能性を!)

 

統夜「っ! 見えた!」

 

 

 統夜の頭の中に、ミサイルの解析図と、その構造がとびこんできた。

 統夜は瞬時に、それを爆破させず、解体を可能とさせる線を見つけた。

 

 

統夜「みんな、解析図を送る。あとはこれにそって斬れば、ミサイルは爆発しない!」

 

ブライト「こうなったら誰でもいい。この図をもとに、あのミサイルを切ってとめるんだ!」

 

 

 統夜が頭で描いた図が、これまたサイトロンを通じて解析図として全員のもとへと送られた。

 これは、考えたことをそのまま実行できるという、サイトロンコントロールだからできる芸当だ。

 

 ミサイルの構造に点線が表示される。

 それは、そこを切れば、ミサイルは爆発しないというラインだった。

 

 

忍「爆発しないって言われてもよ!」

 

ブライト「アムロ、お前ならできる!」

 

アムロ「そんな無茶な!」

 

ブライト「無茶でもやれなければ、こんな小さな島全滅だ!」

 

アムロ「くそっ! 勝手なことばかり言って!」

 

 

 そう言いながらも、アムロは水爆ミサイルを切り裂き、見事メリダ島を救うこととなる。

 ※アムロでなくとも、剣を持つユニットなら迎撃可能

 

 

 残るは、現われた伏兵を倒すのみ。

 それは、ついに合流したアラン・イゴールのブラックウイングと合体したファイナルダンクーガに任せろ!

 

 

 敗北も確定し、観念したカリーニンは、レナード達がむかう先を口にする。

 

 彼等の目的地。

 

 

 それは、火星だった。

 

 

──宇宙へ──

 

 

 メリダ島の奪還に成功した統夜達。

 

 しかし、肝心のアマルガム上層部と火星の後継者の面々は既にそこから逃げ出していた。

 

 

 ただ、逃げた場所の予測はついている。

 

 

 レナードの目的、世界を作り直すというモノを考えれば、目的地は一つ。

 

 真に歴史を変えられる装置のある場所。

 

 

 そう。タイムマシンの本体である、火星の極冠遺跡!

 

 

 遺跡とかなめをもちいて、彼等は世界を修正しようとしているのだ!

 

 

宗介「そうか、だから、レナードは火星の後継者と手を組んだ」

 

アキト「北辰達も、あれから俺達を追わなくなった」

 

テッサ「それは、もっと制御に適した、世界を変えられるコアに当たりをつけていたから……」

 

沙羅「シャピロが大人しくついているわけだよ。神になる手段がそこにあるわけだからね」

 

 

 このメリダ島に逃げこんだのも、地球から火星にむけ移動するための準備がしてあったからだろう。

 

 唯一の救いは、北辰達のボソンジャンプでは一度で火星に行けないこと(中距離しか跳べない)

 すぐさま世界が変えられてしまうということはないということだった。

 

 

 いずれにせよ、地球を守るためには宇宙へ行かねばならない。

 

 

 ジオン、バーム、アマルガム、そして、原種。

 

 

 それらはすべて、宇宙にいるからだ!

 

 

 第13話 終わり


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。