第2次スーパーロボット大戦J   作:YSK

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第14話 宇宙~ア・バオア・クーの激闘まで

 

──戦力増強──

 

 

 ついに宇宙へあがることとなった第13独立部隊。

 オービットベースにて、ナデシコはナデシコBからナデシコCへと乗り換えることとなった。

 

 補充人員としてナデシコ元三人娘の二人とさらにアカツキ、九十九と元一郎もアリストロメリアと共に着任する。

 

 あと、トゥアハー・デ・ダナンが飛んだ。宇宙に。

 

 

 乗換えをし、準備も完了となったその時、ジェイダー不在のJアークがオービットベースに漂着する。

 

 先行して原種に戦いを挑んだキングジェイダーであったが、返り討ちにあい、Jは艦と乗組員の戒道幾巳を守るためジェイダーで囮になったというのだ。

 ジェイダーを失いながらも行こうとする彼に対し、共に行こうと語りかける護。しかし戒道は、護は家族や友達が待っている地球を他の惑星の様な悲劇に巻きこみたくはないと出撃してしまう。

 

 ならば仕方がないと、勝手についていくことにした第13独立部隊の面々。

 

 それにはさすがの戒道幾己も呆れるしかなかった。

 

 

──襲撃──

 

 

 宇宙に出てすぐ、それは襲ってきた。

 

 かつて窓を開き、隕石を落とした原種と、衛星にとりついた原種により、ホワイトベース隊とミネルバ隊。そしてJアーク以外の者達がクラインスペースに閉じこめられてしまったのだ。

 

 さらに第13独立部隊の動向を監視していたコンスコン艦隊も、隊の異変を察知し、ホワイトベースとミネルバに強襲を仕掛けてきた。

 少ない人員で20を超えるモビルスーツを相手にしなければならないアムロ達だったが……

 

 3分(3ターン)以内にドムを12機以上倒すと、よく知る例のセリフが聞けるぞ!

 

 

 戦闘のさなか、クラインスペースからジェイダーが飛び出してくる。

 

 どうやら囮となったジェイダーも、クラインスペースの中にとじこめられていたようなのだ。

 彼等は中で、ガオガイガーのディバイング&ガドリングによるダブルヘッドドライバーや空間に干渉できる武器を使い、クラインスペースの一点をこじあけ、コンマのタイミングでしまるその小さな門からジェイダーを押し出したのである。

 

 クラインスペースに風穴が開いている時間はほんの瞬きするほどの時間でしかなかったが、志願したジェイダーの幾己を守ろうとする強い決意を凱達は信じ、まかせたのだ!

 

 無事元の宇宙へ出たジェイダーは、キングジェイダーとなり、衛星に擬態していた原種を破壊、第13独立部隊はクラインスペースから脱出する。

 

 

 あとは、姿を現した窓を作る原種、ZX-06、頭脳原種とコンスコン艦隊の三つ巴を制するだけであった!

 

 

──サイド6~ソロモン攻略戦──

 

 

 原種、コンスコン艦隊も退け、彼等はジオンの要塞、ソロモンにむかう通り道にある中立コロニー、サイド6に立ち寄った。

 ※なし崩し的にキングジェイダーも一緒。

 

 アムロはそこで、不思議な少女、ララァ・スンと、シャア・アズナブルと出会う。

 

 シャアと生身で出会うのは初めてのはずなのに、アムロは目の前にいる軍人があのモビルスーツに乗るシャアだと気づいた。

 それほど、アムロの感覚は、宇宙に出て鋭くなってきていているのだ。

 

 それはいわゆる、ニュータイプとしての覚醒がはじまった。ということを意味していた。

 

 

 不思議な出会いを経て、ドズル・ザビの守るソロモンの攻防戦がはじまった。

 

 

 連合の大攻勢の結果、出現する巨大もビルアーマー、ビグザム。

 

 

 その圧倒的な火力は、周囲のモビルスーツはおろか、戦艦さえ一瞬で沈めてみせた。

 

 これを倒さぬ限り、ソロモンは落ちない。

 第13独立部隊は、総攻撃を開始する。

 

 ちなみに、あまり戦闘が長引いた場合、スレッガーの特攻イベントが発生するため、阻止したい場合は早めに倒そう。

 

 

 今回もランバ・ラルが生存していれば登場する。

 

 セイラで戦闘することで、最後の生存フラグが立つので忘れずに立てておこう。

 

 

 からくもビグザムを倒し、ソロモンは連合の手に落ちた。

 

 この勝利により、戦争の流れは完全に連合のものとなった。

 

 

 これ以上戦いを続けても、国力の差でジオンに勝ち目はない。

 

 誰もがそう考えるような状況となった。

 

 

 しかし、ジオン軍最高司令官のギレン・ザビは戦いをやめる気はない。

 

 

 この流れから、ジオンの公王、デギン・ソド・ザビはみずから和平交渉を進めるため、レビルが率いる地球軍の主力、第1連合艦隊との接触を図る。

 

 この和平交渉が成功すれば、戦争は終わる。

 人類同士の争いに幕が下りる。

 

 誰もがそう考えた。

 

 

 だが、そうはならなかった。

 

 

 なんとジオンは、コロニーレーザーでデギンの乗る艦ごと連合艦隊を焼き払ったのだ。

 

 それは信じられない方向からのレーザー砲撃だった。

 なんとそれは、各宇宙、あらゆる方向へ攻撃できる、反射衛星砲でもあった。

 

 廃棄スペースコロニーを利用した、ビーム偏光ステーションを中継点にして放つコロニーレーザーは、連合の艦隊だけでなく、いかなる場所も狙える恐ろしい兵器だったのだ!

 

 

 ギレンが戦いをやめぬわけである。

 

 これがあれば、国力の差など怖くない。

 

 

 さらに直後、ギレンは演説を開始し、ある計画を世界に発表する。

 

 

──ディスティニープラン──

 

 

 その計画の名は、『ディスティニープラン』

 

 色々細かい説明はあるが、このギレンが主張したいことをまとめれば、『人間の遺伝子を解析することで、その適正を国家が管理し、個人から選択する権利を取り上げ、遺伝子的に優れた者達によって世界を管理する』というものだ。

 

 つまりは、そのデータ上優秀な者が世界を支配するべきだと主張するためのものである。

 

 

ギレン「これにより、この人類の中で遺伝的にも我等ジオン国民は優れていると出た。よって、我等ジオン国民は選ばれた優良人種であることが証明された。すなわち我等は、支配すべき側の選ばれし人間なのである!」

 

 

 ギレンは拳を握る。

 

 

ギレン「よって私は宣言する。我等ジオン公国こそが、この地球圏をおさめるにふさわしい国であると! 我等が世界を導くのが正しいことであると! たてよ国民! ジークジオン!!」

 

 

 ジオン公国内で、歓声が広がった。

 

 ギレンはこのプランを持って、この戦争の正当性を示したのである。

 

 もちろん、これが世の中で受け入れられるはずがない。

 だが、公国外で受け入れられなくともかまわないのだ。これは、自国の民を高揚させ、士気を高めるためのものなのだから。

 

 そして、逆らうならば、ロゴスの遺産を加えた先の超兵器。コロニーレーザー・レクイエムをもって殲滅すると脅してきたのだ!

 

 

 戦いはまだ、終わらない。

 

 連合軍は急ぎ艦隊を編成し、コロニーレーザーのあるア・バオア・クーを攻めることを決定する。

 

 

 

 一方。そのギレンの演説を見た、第13独立部隊……

 

 

鉄也「ふん。こんなデータ、いくらでも捏造することが可能だ。故意的に抽出する手段だってある。第三者の検証もなく一方的に正しいなどと。なんのあてにもならん理論だな」

 

 

 演説を見た鉄也が、冷静にばっさりと切り捨てた。

 

 

レイ「違う! ギルはそんなことのためにこのプランを考えたんじゃない! 皆が! みんなが……!」

 

シン「レイ……?」

 

 

 ギレンの演説を聞いた、レイが、突然叫んだ。

 いきなりの激昂に、皆驚きを隠せない。

 

 そこに、通信が入る。

 

 サブチャンネルに映し出されたのは、レイの言うギル。プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルだった。

 レイの話を聞く分には、先のディスティニープランは、このデュランダルが考えたものらしいが……

 

 

デュランダル「レイ」

 

レイ「ギル……」

 

デュランダル「してやられてしまったね。これでもう、ディスティニープランは終わりだ」

 

レイ「でも……!」

 

デュランダル「こんな、独裁者を肯定するための道具として使われては、民衆はこれを受け入れてはくれまいよ。このプランはもう、死んだのだ……」

 

 

 デュランダルは肩を沈める。

 

 例え本当の目的が平等を目指したものだとしても、このように故意的に運用されてしまえば、もう肯定的に捕らえてくれるものはいなくなる。

 なにより、その遺伝子の解析結果は本当に正しいのか。それさえ疑問に思われては、このプランは成り立ちもしない。

 

 デュランダルの言うとおり、このプランはもう死んだのである。

 

 

レイ「なぜ。なぜ! なぜ、ギルの大切なプランを、奴は知っているんだ!」

 

デュランダル「それはわかっている。簡単な話だよ。他の皆も、あのコロニーレーザーは見たかい?」

 

アスラン「ええ。まるで、ジェネシスのようでした」

 

ルナマリア「しかも、曲がるし」

 

デュランダル「そう。あれは、レクイエムと名づけられた、ロゴスの残したものなんだよ。ジオンは、火星にむかったアマルガムから、レクイエムの存在と、私のプランを聞いたのさ」

 

タリア「それって……」

 

キラ「まさか」

 

デュランダル「そう。私は、彼等と手を組んでいたんだよ。ロゴスを潰す。という目的のために」

 

 

 デュランダルにとって、ロゴスを潰し、世論を味方につけるため。

 レナード達にとって、ロゴスを潰せば、組織が自分のものになるため。

 

 利害の一致から、彼等は手を組んでいた。

 

 

テッサ(……だから、あの時いち早くロゴスメンバーの情報を入手できて、アマルガムの動きも把握できていた……)

 

デュランダル「しかし、最後の詰めが甘かった。火星へ逃がし、その報復が、これだ……」

 

 

 むしろギレンの演説は、アマルガムからデュランダルへ意趣返しだったと言ってもいい。

 

 

シン「……でも、これでよかったと思いますよ」

 

デュランダル「なに?」

 

シン「だって、もしあれを議長がぶちあげたとしても、同じ反発が世界から返って来たでしょうから」

 

デュランダル「……」

 

 

 デュランダルは否定することはできなかった。

 ぼんやりと感じていたのだろう。

 

 その時、この部隊のほとんどの者が敵に回っただろうということも……

 

 

シン「運命ってのは、誰かが勝手に決めちゃいけないんです。自分で、選んで。みんなで、作っていくべきなんだと、俺は思います。だから、議長……」

 

デュランダル「……ふっ。そうかもしれないな。私はいつの間にか、プランを実行することのみに捕らわれ、物事の本質を見失っていたのかもしれない」

 

シン「そうです。それに、議長ならできますよ! そんなプランに頼らなくても!」

 

デュランダル「……ありがとう、シン。それと、タリア。すべてが終わったら……いや、今はまだ言うべきではないな。またあとで、しかるべき時に言おう」

 

 

 デュランダルとタリア。この二人は、遺伝的な相性が悪いという理由で一緒になれなかった二人である。

 その考えを変え、改めてやり直そうと口にしようとしたが、それは先延ばしとなった。

 

 だってそれはある意味、死亡フラグだから!

 

 

デュランダル「君達には改めてお願いしよう。あの間違ったプランを、私の過ちを、必ず撃ち砕いてくれ」

 

シン「はいっ!」

 

 

 こうして彼等は、決意も新たに、ア・バオア・クーへむかう。

 

 

レイ(……だが、ギレン・ザビ。お前は絶対に許さない。ギルの夢を壊した、お前だけは!)

 

 

──サイトロンとニュータイプ──

 

 

アムロ「……ふう」

 

 

 ア・バオア・クーの決戦が迫る中、シミュレーションを終えたアムロがため息をついていた。

 結果は悪くない。むしろかなりのハイスコアだ。

 

 なのにどこか不満げにため息をついている。

 

 

統夜「アムロ?」

 

 

 通りかかった統夜が、そんなアムロが気にかかり、声をかけた。

 

 

アムロ「統夜さん……」

 

 

 少し悩むそぶりを見せたが、先輩であり、多くの経験を積んだ歴戦のエースであることから、相談することを決めたようだ。

 

 

アムロ「最近、ガンダムの反応が遅くて……」

 

 

 どうやら、アムロの成長にガンダムがついてこれなくなってきてしまったようなのだ。

 ゆえに、ハイスコアを出したとしても、アムロとしては不満なのである。

 

 それを聞き、統夜はうなずいた。

 

 

統夜「ああ。その不満、わかるよ」

 

アムロ「わかります?」

 

統夜「俺も経験したことがある。あれが遅くて、思うようにならないんだよな」

 

アムロ「そうなんです! そこで、あれの反応が鈍くて、あれなんですよね」

 

統夜「うんうん。それまいるよな。もっとこうなれって思わず声に出したくなるし」

 

アムロ「なりますよね。それは思わず声に出ちゃいます」

 

統夜「やっぱり出るよな。あと、あれさ」

 

アムロ「はい。あれは、あれで、あれですよね」

 

統夜「やっぱりなるかー。あれはあれで、ほんとあれだよ」

 

アムロ「そうなんです! あれだけでもどうにかああなればいいんですが」

 

統夜「あればっかりはなー。ああするしかないと思うんだけど」

 

アムロ「やっぱりそうですか。よかった。統夜さんがわかってくれて。そうなると、僕だけじゃどうにもならないので、技術者の人に頼まないといけませんね」

 

統夜「誰か博士に相談してみよう。誰かいい案を出してくれるかもしれない」

 

アムロ「お願いします」

 

 

 こうして、ガンダムにマグネットコーティングがほどこされる運びとなったそうな。

 

 

統夜「ところで、今度はあれの話なんだけど」

 

アムロ「あれですか……」

 

 

 二人は、続けてなにかを話しながらその場を去っていった。

 

 すると、ひょこっと角から顔を出す娘達がいる。

 

 

テニア「なんだろあれ。今統夜達あれとそれだけで会話してたよ!」

 

メルア「はい。あの会話、まるで長年連れ添った熟年夫婦の会話のようでした!」

 

クド=ラ「なんだかちょっとうらやましいな」

 

カティア「え、いや、あれはきっと……」

 

 

 今にもハンカチをかみそうな子達にカティアはニュータイプのことをふくめて説明しようとしたが、三人の耳には届いてくれなかった。

 

 

カティア(……でも、わかりあうというのは、結局のところ、そういうことなのよね)

 

 

 メルアの言った例えと、それを羨む気持ち。それは的を射ているとカティアは思う。

 人と人とがわかりあった結果。だからみんな、熟年夫婦の会話を羨ましいと思う。

 

 そうありたいと。そうなりたいと願う。

 

 二人で一人のようなわかりあった結果だから、あの二人の姿を羨ましく思ってしまうのだ。

 

 一人で納得するカティアだった。

 

 

シャナ=ミア「確かにあれは、サイトロンの力を引き出した結果でもあるのでしょう。ならば、私達でもいけるはずです!」

 

ロゼ=リア「その通り! 皇族に連なるわたくし達ならばきっと! いきますわよシャナ=ミアさん!」

 

シャナ=ミア「あれは?」

 

ロゼ=リア「これ!」

 

シャナ=ミア「それは?」

 

ロゼ=リア「あれ!」

 

シャナ=ミア「これは?」

 

ロゼ=リア「それ!」

 

 

 二人はうなずいた。

 

 

二人「さっぱりわかりません(わ)!」

 

メルア「わたし達の道のりは遠いみたいですね」

 

カティア「……」

 

 

 そういうことじゃないと思うなぁ。と思ったが、呆れて声にならなかったそうな。

 

 

──ニュータイプ──

 

 

 ア・バオア・クーへむかう第13独立部隊の前に、シャア率いるニュータイプ部隊が襲い掛かる。

 

 シャリア・ブル、ララァ・スンがオールレンジ攻撃を仕掛けてきた!

 

 

 この戦いで、アムロとララァが戦うことにより、ニュータイプの共鳴が発生。ララァへの説得が可能となる。

 

 この場では仲間にできないので、うっかりシャアを撃墜しないよう注意しよう。

 シャアを撃墜すると、ララァがシャアをかばって死んでしまう。やるならララァを撤退させてからだ。

 

 あと、シャリア・ブルはここで退場なので別に注意することはない。

 

 

 シャアの部隊を撃退し、ア・バオア・クー近辺まで到着すると、ラクスとエターナルが合流する。

 

 彼女もコロニーレーザー・レクイエムは危険だと感じ、その破壊に協力を申し出たのだ。

 

 エターナルが合流したことにより、ストライクフリーダムとインフィニットジャスティスにミーティアがついた。

 

 

 コロニーレーザー・レクイエムの再発射の準備が整いつつある。

 

 

 ジオンとの最後の戦いも、近づいてきていた……

 

 

──宇宙要塞ア・バオア・クー──

 

 

 ジェネシス。

 

 かつて放たれた、宇宙に住む民の犯した過ち。

 

 それと同じ。いや、それ以上の災厄が、再び放たれようとしている。

 

 かつての争乱と同じ轍を踏まぬため、第13独立部隊は出撃する!

 

 

 ミネルバ、エターナルに属するモビルスーツ部隊はコロニーレーザーの破壊を目指し、ホワイトベース、ナデシコに属する連合軍所属部隊は、ア・バオア・クーにとりつくことを目指し、進軍を開始した。

 

 

 シャアは新MS、ジオングに乗り、ララァと共に前線へと出る。

 

 

 シャアの狙いはアムロの乗るガンダム。

 

 他には目もくれず一直線に向かってきた。

 

 

 しかしアムロ達の目的はシャアを倒すことではない。

 

 

 かといって、無視して進むには難しい相手であった。

 

 

 再び交わる、アムロとララァ。

 

 交錯の瞬間、ニュータイプ同士の共鳴がはじまった。

 

 

アムロ「っ!」

 

ララァ「これはっ!」

 

 

 再び説得が可能となるララァ。

 この後、生きて戦いが終われば生存フラグは成立である。

 

 

アムロ「ララァ! 今、君はなにを見た!」

 

ララァ「刻を……刻が見える……っ!」

 

アムロ「僕にも、見えた! 見えたなら!」

 

ララァ「見えたわ。見えたけれど!」

 

アムロ「なら、僕と、僕達と来るんだ! 僕達は、戦っちゃいけない!」

 

ララァ「ああ……っ。わかっている。わかっているわ。このままでは取り返しのつかないことになる。でも、あの人も見捨ててはおけないの!」

 

シャア「ララァ!」

 

アムロ「シャア!」

 

 

 アムロとララァの間に、シャアが割って入った。

 

 共鳴が、途切れる。

 

 

シャア「見える。見えるぞ! 私にも敵が見える!」

 

 

 ガンダムへ猛攻を続けるジオング。

 

 ジオングのオールレンジ攻撃を回避し迫るガンダム。

 

 お互い攻撃を察知し致命傷を与えられない。

 

 

 エルメスを置き去りにし、二人の戦いは激化してゆく。

 

 

アムロ「シャア! あなたには見えないのか、この時の果てが! 僕達の末路が!」

 

シャア「ええい、なにを!」

 

アムロ「見えないのか!」

 

シャア「ララァ、私を導いてくれ!」

 

ララァ「大佐。どうかアムロの声を聞いてください! お願い。私の声が届いて!」

 

 

 だが、ララァの声はまだシャアには届いていない。

 

 そのかわり……

 

 

セイラ「誰? 兄さんを呼んでいるのは!?」

 

 

 別の者に、それが届いた。

 

 

シャア「ちいっ!」

 

アムロ「そこ!」

 

 

 ジオングを撃墜すると、首だけとなったジオングはア・バオア・クーの中へと逃げてゆく。

 

 アムロもそれを追い、セイラも追って行く。

 

 

セイラ「待って兄さん! 声を。声が聞こえないの!?」

 

 

 アムロとシャアの戦いが佳境をむかえようとしたころ。

 

 一機のモビルスーツがア・バオア・クーにとりついていた。

 

 それは、レジェンドガンダム。

 本来なら、コロニーレーザーを破壊するべく動いているレイの機体だ。

 

 中に侵入し、さらに機体から降りる。

 

 

レイ(奴だけは。奴は、この手で!)

 

 

 ギルバート・デュランダルの夢を奪ったギレンだけは自分が倒すと、すべてをなげうって突入してしまったのである。

 

 しかし、侵入してすぐジオン兵に発見されてしまった。

 

 しまったと思うが、相手の方が反応が早かった。

 

 

???「危ない!」

 

ジオン兵「ぐわっ!」

 

 

 銃を撃とうとするジオン兵を倒す男が居た。

 

 それは……

 

 

レイ「アスラン……?」

 

アスラン「ああ。シンに頼まれてな。自分はコロニーレーザーを、俺はお前をと」

 

レイ「……あいつめ」

 

 

 しかし、アスランは白兵戦も頼りになるザフトのエースだ。

 

 前争乱の中ではジェネシスに乗りこむことはなく、目に見える活躍はほとんどなかったが、今回はその力を十全に発揮できる。

 

 アスランを先頭に、二人は司令部を目指し走り出す。

 

 

 一方アムロとシャアは機体を捨て、生身での戦いへと移っていた。

 

 

シャア「わかるか、ここに誘いこんだわけを! ニュータイプでも体を使うことは普通の人間と同じと思ったからだ!」

 

アムロ「そんな理屈!」

 

 

 そこに、セイラが到着する。

 

 

セイラ「やめて二人共! 二人が戦うことなんてないのよ! 戦争だからって、二人が!」

 

 

 その瞬間だった。

 アムロとシャア、そしてセイラが揃った瞬間、再びニュータイプの共鳴が発動する。

 

 知覚が交差し、ララァのイメージがシャアにひらめいた。

 

 

シャア「……今、のは」

 

アムロ「感じたのか」

 

セイラ「兄さん。アムロに恨みがある訳ではないでしょう。兄さんの敵はザビ家ではなかったの?」

 

シャア「……」

 

セイラ「敵が同じなら、私達は一緒に戦えるはず。だから……」

 

シャア「……それは、できん。どうやら私の頭は固いようだ。今見たことを即座に受け入れるということはできない。少し、考える時間をくれ」

 

 

 そう言うと、シャアは一人、去っていく。

 

 

セイラ「……兄さん」

 

アムロ「信じましょう。人の可能性を。あの人だって、ニュータイプなんですから」

 

セイラ「そうね」

 

 

???「そこにいるのは誰だ!」

 

 

 シャアが去ったのとは別の方から、数人のジオン兵が現われた。

 

 しまったと思ったが、多勢に無勢。

 さすがのアムロも、三人をこえる人数の軍人相手に生身では勝てない。

 

 どうするかと思案したその時。

 

 

ラル「待て! そのお方はアルテイシア様だ!」

 

 

 兵士達の奥から、一人の男が姿をあらわした。

 

 この部隊はランバ・ラルが率いるランバ・ラル隊だったのだ。

 ※ランバ・ラルが死亡している場合、セイラの顔を知っている元ラル隊のジオン兵がかわりに気づく。

 

 

アムロ「あなたは!」

 

セイラ「ランバ・ラル!」

 

ラル「ここで姫様と会えるとは。ある種の因縁を感じますな」

 

セイラ「……ちょうど良いところに。ランバ・ラル。司令部まで案内できますか?」

 

ラル「なんですと? それはつまり……?」

 

セイラ「厳しいことを言っているつもりはあります。でも、この争いを収めるには、これしかありません。私を、ギレン・ザビの元へ連れて行ってください!」

 

ラル「なんと! いや、これはある意味、天啓かもしれませんな。仲間を撃ったあの男を前に、あの方の遺児がワシの前に現われる。これこそまさに、何者かが導いたに違いありません。わかりました。このランバ・ラル、命をとして、あなたをお守りいたしましょう!」

 

アムロ「セイラさん」

 

セイラ「いいのよアムロ。私は今、できることをやるだけ。それがたとえ、望まない道に戻ることだとしても!」

 

ラル「では、こちらになります。行くぞ、お前達!」

 

ジオン兵「おおー!!」

 

 

 ア・バオア・クー内にて反ギレン派のクーデター勃発。

 同時に、そのクーデターはジオン・ズム・ダイクンの遺児。アルテイシアが指揮をとっているという不確定情報も流れた。

 

 この混乱は思いのほか大きく、ア・バオア・クー内部はどれが敵で誰が味方なのかわからない状況と化しはじめてしまった。

 

 これはアルテイシアが現われたというのが理由だけでなく、同胞もコロニーレーザーで焼き払ったことによるギレンへの不審が多くあったからとも言われている。

 そこに、別の希望が現われたと言われ、それに流れてしまった。

 

 混乱は極致に至り、ラルに連れられたアムロとシャアは、司令部へと到着する。

 

 

 そして同時に、レイとアスランも、司令部へと至った。

 

 

 通路の反対で、双方が顔をあわせる。

 

 

アスラン「アムロ!?」

 

アムロ「アスランさん!?」

 

ラル「第13独立部隊の者か。ならばワシ等は味方だ」

 

 

 双方協力することとなり、司令部への突撃がはじまった。

 

 

 先に伝えておくと、司令部の床にはキリシアが倒れている。

 父殺しの兄を殺そうと銃をかまえたが、逆に殺されてしまったのだ。

 

 一瞬驚くかもしれないが、作戦は変わらない。

 

 

 制圧の結果、結末はレイがギレンを撃つ。セイラがギレンを撃つ。ラルが撃つの3種である。

 

 いずれにせよ、ギレンは倒れ、ジオンは指揮系統を失い、抗うすべも失ってしまうのだから。

 

 

 要塞外部ではコロニーレーザーがシンとキラの手によって破壊され、シャアもゲルググに乗って場を脱出した。

 ララァはそのシャアについていったようである。

 

 

 一部ジオンはアクシズへ逃げていったが、もう戦いを続ける余裕はない。

 

 こうしてジオンは破れ、地球圏をまきこんだ争いは終わりを告げるのだった……

 

 

セイラ「ラル。私は、決めたわ」

 

ラル「なにをですか?」

 

セイラ「父の跡を継ぎ、地球とコロニーのため、働こうと思うの」

 

ラル「なんとっ!」

 

セイラ「でも、今はまだやることがあるわ。私はホワイトベースの一員。セイラ・マスとしてね」

 

ラル「わかりました。ならばこのラル、一命をとしてお守りいたしましょう!」

 

 

──分岐──

 

 

 ジオンとの戦争が終わっても、第13独立部隊の戦いはまだ終わらない。

 

 この後準備が整い次第、彼等は即火星にむけ出発する。

 

 

 すると、小バームより逃げてきたリヒテルの右腕、バルバス将軍を助けることとなる。

 

 

 追ってきていたのはなんとボアザン&キャンベル合同軍。

 指揮官は、キャンベルのワルキメデスだ。

 

 

 バルバス将軍を助けたことにより、統夜達はバーム会談の真実を知る。

 

 バームの和平大使であったリオン元帥を殺したのは、ボアザン、キャンベルの差し金であった。

 すべてはその二星が地球を手に入れるために仕組んだことだったのである。

 

 さらに小バームで眠る(移動で消費しないよう、コールドスリープしている)バームの民は、洗脳され物言わぬ兵士に改造されようとしているとのこと。

 

 それを阻止しようとした平和運動のリーダー、エリカは捕らえられ、解放運動の者達の命と引き換えに、オルバンと無理やり結婚させられそうであることが語られた。

 

 

 バームの民も時間がない。

 

 これにより、火星にてレナード達の野望をくじく者と、バームを開放しに行く者とに別れることになる!!

 

 

 

『バーム方面』

 ホワイトベース隊、ミネルバ隊、ダイモス、コン・バトラーV、ボルテスV

 

『火星方面』

 ナデシコ、ミスリル、ダンクーガ、ガオガイガー系、Gガンダム系

 

『フリー』

 統夜達、マジンガー系

 

 

 

 第14話 終わり

 

 

──没ネタ──

 

 

 VS生身シャア

 

シャア「わかるか、ここに誘いこんだわけを! ニュータイプでも体を使うことは普通の人間と同じと思ったからだ!」

 

アムロ「そんな理屈! 今の僕には関係ない!」

 

シャア「え?」

 

アムロ「流派東方不敗! 爆裂、ガンダムフィンガー!」

 

シャア(み、見える! 私にも、敵の動きが! 見えるぞ)

 

 

 きゅぴーんと頭の上で光が走り、シャアは未来の可能性を見る。

 

 ああなったらこうされて、こうしたらあんなことに!

 

 

シャア(……よけられん)

 

 

 ぼぐしゃー。

 ヘルメットがあっても無事ではすまなくなるので、没に。

 


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