第2次スーパーロボット大戦J   作:YSK

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第15話 バーム開放ルート

 

──コーヒー初体験Ⅱ──

 

 

 ※ロゼ=リアが早期退場している場合、このイベントは発生しない。

 

 

ロゼ=リア「むむっ。むむむむむ……!」

 

 

 ホワイトベース、食堂。

 そこでテーブルの淵に噛みつかんような体勢をし、目をテーブルの上に出し、そこに乗っているカップを凝視しているロゼ=リアの姿があった。

 

 

統夜「ロゼ=リア?」

 

テニア「なにしてるの?」

 

ロゼ=リア「あら、皆さん」

 

 

 やって来た統夜達に気づいたロゼ=リアが立ち上がった。

 

 

シャナ=ミア「この香り……」

 

メルア「コーヒーですか?」

 

 

 テーブルの上から香るコーヒーの香り。

 それは、ロゼ=リアが凝視していたカップから漂ってきているものだった。

 

 

ロゼ=リア「はい。この地球には、不思議な飲み物があると聞きまして。それを飲んでみたいと所望いたしましたら、あの新たにやって来たエターナルの方が入れてくださいましたの」

 

テニア「ああ。バルトフェルド、来てたね。そういえば」

 

 

 ジオンとの最終決戦にて合流したエターナル。

 その艦長であるバルトフェルトはコーヒー好きである。

 

 その彼が、ロゼ=リアのためにコーヒーを用意してくれたのだ。

 

 

クド=ラ「コーヒー? なにそれ?」

 

ロゼ=リア「これですわ!」

 

 

 テーブルの上に乗ったカップを指差す。

 

 

クド=ラ「え、これ飲み物なの? 真っ黒よ」

 

ロゼ=リア「はい。まるで闇夜を抽出したかのような色。とても苦くて、若者は砂糖やミルクを入れて飲むものなのだとか!」

 

クド=ラ「そのまま飲めないものなの?」

 

テニア「うん。大人はそのまま。ブラックで飲む人もいるけどね」

 

メルア「わたしはお砂糖多目じゃないと無理です」

 

カティア「私はミルクが多い方が口当たりが好みかしら」

 

ロゼ=リア「ならば大人であるわたくしは、そのまま美味しく飲めるということですわね!」

 

 

 ガッ! とカップをとり、そのままぐいっと一気に飲んだ!

 

 

ロゼ=リア「……」

 

シャナ=ミア「……」

 

ロゼ=リア「にっがいですわー!」

 

 

 顔をしかめ、うー。と舌を出した。

 

 

ロゼ=リア「うう、なんてにがにがなんですの……」

 

テニア「ふふーん」

 

メルア「ようこそ。ですよ!」

 

統夜「一気にいくから。はい。砂糖。ロゼ=リアも甘いものが好きなんだから、無理しないでいいんだよ」

 

ロゼ=リア「ううー。トーヤはわたくしのことをよく知ってますわねぇ」

 

統夜「俺だけじゃなくみんな知ってるよ」

 

カティア「そうよ。だから、ミルクも多めに入れた方がいいと思うわ」

 

ロゼ=リア「皆さん……。では、お言葉に甘えて……」

 

 

 皆に勧められ、ロゼ=リアが砂糖の入った入れ物へ手を伸ばす。

 

 

クド=ラ「ねえねえ、これ、そのままで美味しいわね! ボク、これ好きかも!」

 

みんな「……」

 

みんな(この子が一番味覚大人だったー!?)

 

 

 味覚はホント、人それぞれである。

 

 

クド=ラ「ふふっ。みんな子供ねー」

 

テニア「こうなったら統夜、出番だよ!」

 

統夜「だからなんで俺にブラックを飲ませようとする!」

 

テニア「だってー。ねー?」

 

メルア「ねー?」

 

ロゼ=リア「にがにが、嫌いですもの!」

 

統夜「ったく……」

 

シャナ=ミア「ふふっ」

 

カティア「ふふふ」

 

クド=ラ「あはは」

 

 

 皆、思わず笑い出してしまった。

 

 

ロゼ=リア(ああ、なんて楽しい時間なのでしょう……)

 

 

 皆で笑いあう中、ふとロゼ=リアは思ってしまう。

 この楽しい時間がずっと続けばいいのにと……

 

 そう思ってしまうのも、この時間が幸せだから。皆がとてもいとおしいから。

 

 だから、終わるのが怖くなる。

 覚悟が少し、鈍りそうになる。

 

 だが、そうもいかない。

 彼女の両肩には、世界の命運がかかっているのだから……

 

 

 彼女は再び、砂糖の入っていないコーヒーを口にする。

 

 

ロゼ=リア(……やっぱり、甘い方が好きですわね。でも、この苦さは、わたくしにお似合いの味ですわ)

 

 

 彼女は一人、自嘲した。

 

 

──平和開放運動──

 

 

 エリカは、リヒテル達が小バームへ戻ったのとほぼ時を同じくして、小バームへやってきていた。

 そこで平和の草の根活動を続けていたが、その活動が大きくなり、同志が増えるにつれ、体制側の知るところとなった。

 

 ついに無視できないレベルの影響力となったところで、エリカ達平和解放運動のメンバーはバーム大元帥オルバンの秘密警察の手によって捕らえられ、今に至る……

 

 

──無敵のバリアを打ち破れ!──

 

 

 火星周回軌道に浮かぶ小バームに到着した統夜達。

 

 その巨大な姿は、移民船というより、宇宙要塞のようにも見えた。

 

 

 ザッ!

 モニターに映像が流れた。

 

 それは、小バームから流れる結婚式会場の映像だった。

 

 どうやらオルバンは、今から行われる結婚式をオープンチャンネルで放送し、やって来た統夜達に見せ付ける腹づもりなのだ。

 

 

一矢「エリカ!」

 

 

 花嫁衣裳で歩くエリカの姿を見て、一矢は声を上げた。

 

 久しく見なかったその姿に、彼は喜びを覚える。

 

 だが、ベールの下に隠れたその決意の表情から、なにをしようとしているのか、即座に感じ取った。

 

 

一矢「いけない! エリカは死ぬ気だ! オルバンと刺し違えるつもりで、これを受け入れたんだ!」

 

京四郎「なんだって!? なんでそんなことがわかる!」

 

一矢「わかる。俺にはわかるんだ! このままでは、エリカが!」

 

 

 それは事実であった。エリカは、平和運動に関わった者達の命を救うため、オルバンとの結婚という屈辱を飲んだのである。

 そして、結婚の当日、隠し持ったナイフでオルバンと刺し違える覚悟だったのだ!

 

 

豹馬「なら、急いでこの結婚式、潰しにいこうぜ!」

 

甲児「結婚式に花嫁を奪いに行く、ある意味王道だぜ!」

 

和泉博士「待つんだ君達!」

 

小介「そうです。そう簡単な話ではありません!」

 

 

 和泉博士が通信で行動を制止する。

 

 

 小バーム最大の防衛機構。

 

 その船の周囲はバリアで覆われ、いかなる攻撃も吸収し、エネルギーに変換。それをそのまま跳ね返すという無敵のバリアなのだった。

 もちろん、ワープなども阻害される。

 

 

一矢「くそっ! 目の前にエリカがいるといのに!」

 

和泉博士「だが、方法は一つだけある。将軍からの情報では、小バームのバリアは受けた破壊エネルギーをそのまま吸収し、攻撃エネルギーへ変換しているようだ。ならば、途中それを変換する集積回路に運ばれるはずだ。それを逆に利用し、ダイモスのダイモライトエネルギーを開放し、エネルギーの塊となって内部に侵入するんだ!」

 

一矢「なんだって!?」

 

甲児「まさか、前に言ってたことをホントに実行するのかよ」

 

和泉博士「それ以外に内部に侵入する手立てはない!」

 

一矢「わかりました!」

 

 

 成功率は、これまた限りなく低い。

 

 しかし、一矢はそれにひるまず、自らの体とダイモスをエネルギーに変え、小バームのバリアへと飛びこんだのだった。

 

 ダイモスとバリアがぶつかり、光の渦を巻く。

 

 光が瞬き、ダイモスの姿が、宇宙から忽然と姿を消した……!

 

 

 結婚式が進む。

 

 エリカがついに覚悟を決め、花嫁衣裳の中に潜ませていたナイフを強く握った。

 

 

エリカ(……いまっ!)

 

 

 オルバンの隙をつき、その体にナイフを突き刺そうとしたその瞬間。

 

 

一矢「エリカー!」

 

エリカ「っ!」

 

 

 愛しい人の言葉に、動きが止まった。

 

 

 光が瞬く。

 

 

エリカ「ああっ。あああっ!」

 

 

 目の前に現われたのは、愛しき男。

 

 竜崎一矢の乗る、ダイモスが小バーム内に現われたのだ!

 

 

 あの行為がどれほど危険なのか。知識はなくともエリカにはよくわかった。

 

 命を賭してまで、自分を助けに来てくれた。

 危険で無謀であったこと。それと同時に、涙があふれんばかりに嬉しいことだった……!!

 

 

和泉博士「一矢君、目の前にある集積装置、それを破壊すればバリアは解除される。それを破壊するんだ!」

 

一矢「はい!」

 

 

 ダイモスは目の前にある集積装置を破壊する。

 

 これにより、バリアが破壊された!

 

 

ブライト「バリアが消えたぞ。総員突撃!!」

 

タリア「ここには10億のバーム星人が眠っている。戦闘の被害には十分注意しろ!」

 

 

 

 牢屋。

 

 

リヒテル「……」

 

リヒテル(余が牢に閉じこめられ、どれくらいの月日がたったであろうか? 戦いはどうなったのだ? 我がバームは勝利したのか? それとも……)

 

 

 バームに大きな衝撃が走る。

 

 

リヒテル「くっ……この小バームにこれほどの衝撃が走るとは。まさか地球人の侵入を許したのか!?」

 

 

 かちり。

 鉄格子の鍵が開いた。

 

 

???「時は来た。出るのだ」

 

リヒテル「貴様は……」

 

ハイネル「今こそ、お前はみずからの目で真実を確かめる時だ!」

 

 

 ハイネルに促され、リヒテルは牢の外へと出た。

 

 

ライザ「リヒテル様!」

 

リヒテル「ライザ!」

 

 

 リヒテルを救出するためやってきたライザと出会う。

 

 

リヒテル「なにがあった?」

 

ライザ「すべてをお話いたします」

 

 

 ライザはバルバスと共に調べた結果を伝える。

 

 リオン大元帥の死は、オルバンとその背後に居るボアザン。キャンベルの謀であったこと。

 オルバンはバーム10億の民を洗脳し、おのが戦力として使おうとしていることを。

 

 その証拠と共に、リヒテルは真実をしることとなった。

 

 

リヒテル「なんてことだ! オルバン、許せん!」

 

 

 バリアが破壊された直後、オルバンは親衛隊にロボを出撃させ、同時に自分はエリカをつれ、結婚式場から逃げ出していた。

 

 

リヒテル「オルバン!」

 

 

 そこに、牢を脱走したリヒテルが現われた。

 

 ライザと共に、オルバンを守護する親衛隊を一瞬にして倒し、オルバンへ詰め寄った。

 

 

リヒテル「聞いたぞ。貴様、我が父を、そしてバーム10億人の民を!! その腐った性根、余が正してくれる!」

 

オルバン「来るでない! ワシに近づけば、この娘の命がないものと思え!!」

 

リヒテル「なにっ!?」

 

 

 オルバンは引き寄せたエリカの頭に銃を突きつけた。

 

 いかにリヒテルが凄腕であろうと、その妹を人質にとられては手も足も出ないと知っていた。

 

 

 しかし!

 

 

オルバン「ぐあっ!」

 

 

 オルバンが腕をおさえうめく。

 

 エリカが花嫁衣裳に隠してあったナイフで切りつけたのだ。

 

 

リヒテル「今だ!」

 

 

 銃声が響く。

 

 オルバンが、倒れた。

 

 

エリカ「兄上!」

 

リヒテル「エリカ!」

 

 

 ちゃきっ。

 

 駆け寄るエリカにむけ、銃口がむけられる。

 

 

ライザ「っ! 危ない!」

 

 

 再び銃声が響いた。

 

 驚きの表情を見せる、リヒテル、エリカ、ライザ。

 

 

 さらに、撃ったオルバンも驚きの表情を隠せなかった。

 

 

 不意打ちの一撃を、ハイネルがその剣を持ってはじいたのだ。

 

 間に入り、覚悟を決めたライザを守ったのである。

 

 

ハイネル「やはり、影武者がいたか。貴様が、本物のオルバンだな?」

 

オルバン「おのれこうなれば!」

 

 

 オルバンは奥の手を出す。

 

 みずからがメカ戦士ゴッドアーモンに乗り、侵入者すべてを抹殺せしめんと動き出したのだ。

 

 

ハイネル「あとは、奴を倒すのみ」

 

リヒテル「……なぜ、ライザを助けた?」

 

ハイネル「……昔、同じように男をかばい、死んだ女が居た。お前にも、そんな思いをさせたくなかっただけのことよ」

 

リヒテル「……」

 

エリカ「……」

 

ハイネル「余は奴を倒しに行く。貴様はどうする?」

 

ライザ「リヒテル様、機体ならば格納庫に」

 

リヒテル「ならば、余も行こう! ライザよ、エリカをかませる」

 

ライザ「はっ!」

 

 

 現われたメカ戦士達の数を減らし、ついにすべての元凶、オルバン大元帥の乗るゴットアーモンが姿を現した。

 

 同時に、親友アイザムの設計したギメリアに乗ったリヒテルと、ボアザンの守護神ゴードルに乗ったハイネルが出撃する。

 

 

リヒテル「オルバン! 民を欺き、無益な戦いを引き起こした罪、その身で償うがいい!」

 

健一「ハイネル兄さん!」

 

ハイネル「久しぶりだな、健一」

 

オルバン「その姿。ボアザンの! ならば貴様はプリンス・ハイネル! 平和運動を扇動し、裏から操ったボアザンの裏切り者!」

 

健一「やはり兄さんも平和のために戦っていたんですね……!」

 

オルバン「貴様、ボアザン星の人間が、同盟を結んだバームになぜはむかう!」

 

ハイネル「黙れ、下郎! 貴様のような輩が居る限り、民に待つのは不幸だけだ! ボアザン皇帝、ズ・ザンバジル共々、貴様等を許しはせんぞ!」

 

オルバン「くっ……!」

 

ハイネル「健一よ、余はあの日、炎に飲まれ死んだはずであった。余が生きて再びボアザンの地を踏めたのは、ひとえに守護神ゴードルの加護であろう」

 

 

 ちなみに、そうして息をとりとめた彼を助けたのはミスリルである。

 

 

ハイネル「しかし、そこで余が見たのは、皇帝ズ・ザンバジルにより腐敗しきった母星の姿だった。余はそこで、キャンベル星人の女帝ジャネラとボアザンが手を組み、バームを裏から操り地球を狙っていることを知り、再び地球へ戻ってきたのだ」

 

 

 そうして一緒に活動したのは、単独行動が過ぎると怒られたこともあるアラン・イゴールだ。

 彼と共に平和運動の組織をつくり、第13独立部隊とエリカを影ながら支えていたのである。

 

 アランが隊に合流したのも、エリカ達が小バームにわたったからである。

 

 ちなみにアランがこのことを秘密にしていたのは、ハイネルが機を見て自分で話すと決めていたからだ。

 男と男の約束のため、話せなかったというのが理由である。

 

 

ハイネル「オルバン、貴様の野望もここまでだ。逆賊ザンジバルの野望共々、ここで成敗してくれる!」

 

オルバン「リヒテル、ハイネル。そして、地球の者どもが! 貴様等程度の力で、このワシが討てるものか!」

 

リヒテル「黙れオルバン! 今、余の肩にはバームの民の未来がかかっている!」

 

ハイネル「貴様にはわからぬだろう。民を自分の所有物としか考えていない貴様ではな!」

 

オルバン「王が臣民を好きにしてなにが悪い! 奴等は王に仕えるために存在しているのだ!」

 

一矢「この男の歪んだ欲望が俺の父さんとリオン大元帥を殺し、バームと地球の戦いを呼んだ……!」

 

健一「オルバン! 地球とバームの失われた生命の償いをしてもらうぞ!」

 

豹馬「いくぜ、みんな! こいつを倒して小バームの人達を救うんだ!」

 

 

 バームを開放する、最後の戦いがはじまった!

 

 

──戦闘前会話 オルバン──

 

 

VS一矢

 

一矢「オルバン、なぜお前はこんな無益な戦いを起こした! なぜ俺の父さんを、エリカの父さんを殺した!」

 

オルバン「なぜ? 簡単な話だ。あそこで和平がまとめられれば、バームが我が物とならぬだろう! ゆえに、この謀に乗った! ゆえに今のバームがある!」

 

一矢「私欲のため、父さん達を、バームの民を手にかけたというのか! ならばバームのため、この拳で貴様を討つ!」

 

オルバン「バームはすでにワシのものだ! 王が臣民を好きにしてなにが悪い。奴等は王の、ワシのために存在しているのだあぁ!」

 

 

VSシャナ=ミア ※サブでもメインでも発生

 

シャナ=ミア「民を洗脳し、すべてを意のままに操ろうとする……民のことをいとわぬ為政者であった私には、心に刺さる姿です……」

 

テニア「シャナ……」(同乗者によってこの返答者は変わる)

 

シャナ=ミア「大丈夫。皆のおかげで、私達は救われました。それは、バームも同じ。このまま不幸となることは見過ごせません! オルバン元帥。民の幸せを考える気がないというのなら、私は剣をとることもいといません。覚悟!」

 

オルバン「ぬっ、ぬうっ! ワシが、たかが小娘の迫力に押されているだと!?」

 

 

VSロゼ=リア ※サブでもメインでも発生

 

ロゼ=リア「王としてなすべきことをなそうとせず、結果国を滅ぼす。その醜い姿は、同じく国を滅ぼしたわたくしには、くるものがありますわね……」

 

メルア「ロゼ=リアさん……」(同乗者によってこの返答者は変わる)

 

ロゼ=リア「ですが、だからこそまだ間に合う。あの男を倒し、わたくし達はバームを救います!」

 

オルバン「いきなり現れ、なにを言い出す! 貴様等などに、負けてたまるか!」

 

 

──決着──

 

 

 オルバンの乗るゴッドアーモン。それを撃破すれば、この戦いは終わる。

 

 

オルバン「ぐわあぁぁ! ば、馬鹿な。ワシが、ワシがここで……!」

 

リヒテル「自業自得というものだ! 己の罪の重さを感じて死ねっ!」

 

オルバン「くくくくく」

 

 

 オルバンは笑う。

 死を目前にして。

 

 

オルバン「この愚か者らめが! バーム10億の民の命、これで助けたつもりかッ!」

 

 

 なんとオルバンは、自分の心臓と小バームの動力コントロールルームのコンピューターを連動させており、自分の命が尽きた時、小バームを近くの重力惑星に落とし、木っ端微塵となるようセットしておいたのだ。

 

 オルバンの命が尽きた時、小バームは火星へ落下し、すべてが粉々となる!

 

 これが、オルバンが残した最後の土産であった……!

 

 

 笑いながら、オルバンの命が尽きる……

 

 

 振動が小バームを襲う。

 

 

 それは、火星へと落下する序曲であった……

 

 

──火星落下を防げ──

 

 

リヒテル「小バームが沈んでいく……ふふっ。地球人達は満足であろうな。憎き小バームが宇宙のチリと消えてゆく

のだからな……」

 

エリカ「違います、兄上! 地球の皆は、この小バームを、バーム10億の民を救うためにやってきたのです!」

 

リヒテル「エリカ、なぜきた!」

 

エリカ「兄上を説得するためです! 皆と、一矢と共に、このバームを救いください!」

 

リヒテル「愚かなことを。奴等がここに来たのは、地球を攻めたことへの報復よ。奴等が我等への憎しみを捨てるものか。あまたの都市を攻撃し、地球の民を傷つけた我等へ、その仕返しをせぬわけがない!」

 

エリカ「違います! 地球人は、そのような心の持ち主ばかりではありません! 確かに地球の民にも悪い人はいます。しかし、私達バーム星人にだって、オルバンのような者がいたではありませんか!」

 

リヒテル「黙れ! オルバンはバームの恥さらし。我等と一緒にするな! まして地球人ごときが我等と手を取り合えるわけがない!」

 

エリカ「そんなことはありません! 現に、見てください!」

 

 

 火星への落下をはじめた小バーム。

 

 それを阻止するため、動き出した者達がいた。

 

 

 バルバスの案内でコントロールルームを目指す第13独立部隊。

 

 しかし、その道は罠だらけで、そう容易く突破できるような道ではなかった。

 

 オルバンは、侵入を防ぐため、通路全体を要塞化していたのだ!

 

 

リヒテル「バルバス……!?」

 

エリカ「彼は、兄上を救うため、誇りを捨て地球の皆に助けを要請しました。彼等はその想いに応えてここまできたのです」

 

リヒテル「いいかげんに目を覚ませエリカ。よく見てみよ」

 

エリカ「一矢達が、戻っていく!?」

 

リヒテル「どうだエリカ。地球人どもは怯えて引き上げはじめたわ。しかもあの竜崎一矢は先頭を切って走っておるではないか! 所詮は地球人。我が身が一番可愛いのだ!」

 

エリカ「いいえ、そんなことはありません。彼等は諦めていません」

 

リヒテル「奴等はこの小バームから逃げる気だ。これがバームの民を救いに来たなどと、奇麗事を並べる地球人の正体なのだ!」

 

 

 ゴゴゴゴゴゴッ!

 

 

リヒテル「これは、なんの音だ?」

 

一矢「うおおぉぉぉ!!!」

 

 

 それは、トランザーに変形し、狭い通路へ強引に突撃する一矢の姿だった。

 

 ロボが入れるほどの大きさのないそこへ、小さくなった車で突破をかけたのだ!

 

 通路からの攻撃を受け傷ついてゆくトランザー。

 一矢は自らが傷つくこともいとわず、ただひたすらに前進する。

 

 どのような攻撃が襲い掛かろうと、一矢の小バームを救おうとする心を、折ることは叶わなかった。

 

 

リヒテル「馬鹿な。奴は、本当に小バーム10億の民を助けようというのか!」

 

エリカ「そうです。これが地球人の真実の姿です。逃げようと思えば逃げ出せるものの、一矢達はこの小バームを救おうとしているのです!」

 

リヒテル「……」

 

エリカ「兄上、このままでよいのですか!? 地球の人達があんなに懸命になってバームの民を救おうとしているのに、私達はただ見ているだけだなんて!」

 

リヒテル「ふっ、そうだな。バームの民の危機に地球人が戦い、余がそれを見ているだけなど、あってはならん!」

 

 

 通路の猛攻に、武装のないトランザーも途中で止まってしまった。

 

 さらに先へ進もうとする一矢のもとへ、仲間が、ハイネルが到着する。

 

 

 残り少ない通路の道のりを、皆は力をあわせ、進みきった!

 

 

 阻止限界点直前、コントロールルームへかけこんだリヒテルは、補助エンジンを作動させ、火星への突入を食い止める。

 

 ギリギリであったが、バームの滅亡は免れた。

 

 

 小バームの損傷はかなりのもので、立て直すにはかなりの時間がかかるだろう。

 

 それでも、人々の顔は希望に満ちていた。

 

 

エリカ「必ず立て直します。そして、今度こそ、地球との和平を……!」

 

一矢「ああ。俺も、協力させてもらう!」

 

エリカ「はい、そして小バーム復興のあかつきには、正式な和平を結びましょう」

 

健一「新たなるバームの誕生か」

 

ちずる「ねぇ、いま、気がついたんだけど、このままいったらエリカさんが次のバームの大元帥というか、女王様になるんでしょう」

 

ジュン「そういうことになるわね」

 

豹馬「すると、エリカさんと結婚すれば、竜崎はバームの王様ってことになるのか?」

 

十三「そうや、そうなるんやな!」

 

一矢「おいおい、よしてくれ」

 

京四郎「へっ、一矢が王様かよ。あいつに政治なんて、できるのか? バームをつぶしゃしねえだろうな?」

 

一矢「京四郎、近衛兵くらいになら、取り立ててやってもいいぜ?」

 

京四郎「ほざきやがれ」

 

 

 小バームを救い、和気藹々と話をする姿を見て、リヒテルも顔をほころばせた。

 

 

リヒテル(竜崎一矢よ、エリカを、お前に託そう)

 

リヒテル「あとは、余が……」

 

ハイネル「……リヒテルよ。その先に考えていることを実行してはならんぞ」

 

リヒテル「っ!」

 

ハイネル「死して責任をとりたい気持ちはわかる。しかし、生き恥をさらし、恥辱にまみれようと、バームの復興に尽力することこそが、貴公のとるべき責任であると、余は思う」

 

リヒテル「貴様……!」

 

 

 この言葉、同じような責任のとり方をしようとしたアル=ヴァンが言ってもいいかもしれないが、ここはハイネルに譲ることにしよう。

 彼も、この説得に大きくうなずいているはずだ。

 

 

リヒテル「……ふっ。そうかもしれぬな。その言葉、胸に刻み、生きるとしよう」

 

 

 決意を新たに歩みだす、新たなバーム。

 

 しかし、これで一件落着とはいかなかった。

 

 火星の周回軌道に戻ったバームを、監視していたボアザン、キャンベル合同軍が攻撃を仕掛けてきたのだ。

 

 

 それを退け、やっとバームの開放が終わるのである!

 

 

 第15話 バーム開放ルート 終わり

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