──コーヒー初体験Ⅱ──
※ロゼ=リアが早期退場している場合、このイベントは発生しない。
ロゼ=リア「むむっ。むむむむむ……!」
ホワイトベース、食堂。
そこでテーブルの淵に噛みつかんような体勢をし、目をテーブルの上に出し、そこに乗っているカップを凝視しているロゼ=リアの姿があった。
統夜「ロゼ=リア?」
テニア「なにしてるの?」
ロゼ=リア「あら、皆さん」
やって来た統夜達に気づいたロゼ=リアが立ち上がった。
シャナ=ミア「この香り……」
メルア「コーヒーですか?」
テーブルの上から香るコーヒーの香り。
それは、ロゼ=リアが凝視していたカップから漂ってきているものだった。
ロゼ=リア「はい。この地球には、不思議な飲み物があると聞きまして。それを飲んでみたいと所望いたしましたら、あの新たにやって来たエターナルの方が入れてくださいましたの」
テニア「ああ。バルトフェルド、来てたね。そういえば」
ジオンとの最終決戦にて合流したエターナル。
その艦長であるバルトフェルトはコーヒー好きである。
その彼が、ロゼ=リアのためにコーヒーを用意してくれたのだ。
クド=ラ「コーヒー? なにそれ?」
ロゼ=リア「これですわ!」
テーブルの上に乗ったカップを指差す。
クド=ラ「え、これ飲み物なの? 真っ黒よ」
ロゼ=リア「はい。まるで闇夜を抽出したかのような色。とても苦くて、若者は砂糖やミルクを入れて飲むものなのだとか!」
クド=ラ「そのまま飲めないものなの?」
テニア「うん。大人はそのまま。ブラックで飲む人もいるけどね」
メルア「わたしはお砂糖多目じゃないと無理です」
カティア「私はミルクが多い方が口当たりが好みかしら」
ロゼ=リア「ならば大人であるわたくしは、そのまま美味しく飲めるということですわね!」
ガッ! とカップをとり、そのままぐいっと一気に飲んだ!
ロゼ=リア「……」
シャナ=ミア「……」
ロゼ=リア「にっがいですわー!」
顔をしかめ、うー。と舌を出した。
ロゼ=リア「うう、なんてにがにがなんですの……」
テニア「ふふーん」
メルア「ようこそ。ですよ!」
統夜「一気にいくから。はい。砂糖。ロゼ=リアも甘いものが好きなんだから、無理しないでいいんだよ」
ロゼ=リア「ううー。トーヤはわたくしのことをよく知ってますわねぇ」
統夜「俺だけじゃなくみんな知ってるよ」
カティア「そうよ。だから、ミルクも多めに入れた方がいいと思うわ」
ロゼ=リア「皆さん……。では、お言葉に甘えて……」
皆に勧められ、ロゼ=リアが砂糖の入った入れ物へ手を伸ばす。
クド=ラ「ねえねえ、これ、そのままで美味しいわね! ボク、これ好きかも!」
みんな「……」
みんな(この子が一番味覚大人だったー!?)
味覚はホント、人それぞれである。
クド=ラ「ふふっ。みんな子供ねー」
テニア「こうなったら統夜、出番だよ!」
統夜「だからなんで俺にブラックを飲ませようとする!」
テニア「だってー。ねー?」
メルア「ねー?」
ロゼ=リア「にがにが、嫌いですもの!」
統夜「ったく……」
シャナ=ミア「ふふっ」
カティア「ふふふ」
クド=ラ「あはは」
皆、思わず笑い出してしまった。
ロゼ=リア(ああ、なんて楽しい時間なのでしょう……)
皆で笑いあう中、ふとロゼ=リアは思ってしまう。
この楽しい時間がずっと続けばいいのにと……
そう思ってしまうのも、この時間が幸せだから。皆がとてもいとおしいから。
だから、終わるのが怖くなる。
覚悟が少し、鈍りそうになる。
だが、そうもいかない。
彼女の両肩には、世界の命運がかかっているのだから……
彼女は再び、砂糖の入っていないコーヒーを口にする。
ロゼ=リア(……やっぱり、甘い方が好きですわね。でも、この苦さは、わたくしにお似合いの味ですわ)
彼女は一人、自嘲した。
──平和開放運動──
エリカは、リヒテル達が小バームへ戻ったのとほぼ時を同じくして、小バームへやってきていた。
そこで平和の草の根活動を続けていたが、その活動が大きくなり、同志が増えるにつれ、体制側の知るところとなった。
ついに無視できないレベルの影響力となったところで、エリカ達平和解放運動のメンバーはバーム大元帥オルバンの秘密警察の手によって捕らえられ、今に至る……
──無敵のバリアを打ち破れ!──
火星周回軌道に浮かぶ小バームに到着した統夜達。
その巨大な姿は、移民船というより、宇宙要塞のようにも見えた。
ザッ!
モニターに映像が流れた。
それは、小バームから流れる結婚式会場の映像だった。
どうやらオルバンは、今から行われる結婚式をオープンチャンネルで放送し、やって来た統夜達に見せ付ける腹づもりなのだ。
一矢「エリカ!」
花嫁衣裳で歩くエリカの姿を見て、一矢は声を上げた。
久しく見なかったその姿に、彼は喜びを覚える。
だが、ベールの下に隠れたその決意の表情から、なにをしようとしているのか、即座に感じ取った。
一矢「いけない! エリカは死ぬ気だ! オルバンと刺し違えるつもりで、これを受け入れたんだ!」
京四郎「なんだって!? なんでそんなことがわかる!」
一矢「わかる。俺にはわかるんだ! このままでは、エリカが!」
それは事実であった。エリカは、平和運動に関わった者達の命を救うため、オルバンとの結婚という屈辱を飲んだのである。
そして、結婚の当日、隠し持ったナイフでオルバンと刺し違える覚悟だったのだ!
豹馬「なら、急いでこの結婚式、潰しにいこうぜ!」
甲児「結婚式に花嫁を奪いに行く、ある意味王道だぜ!」
和泉博士「待つんだ君達!」
小介「そうです。そう簡単な話ではありません!」
和泉博士が通信で行動を制止する。
小バーム最大の防衛機構。
その船の周囲はバリアで覆われ、いかなる攻撃も吸収し、エネルギーに変換。それをそのまま跳ね返すという無敵のバリアなのだった。
もちろん、ワープなども阻害される。
一矢「くそっ! 目の前にエリカがいるといのに!」
和泉博士「だが、方法は一つだけある。将軍からの情報では、小バームのバリアは受けた破壊エネルギーをそのまま吸収し、攻撃エネルギーへ変換しているようだ。ならば、途中それを変換する集積回路に運ばれるはずだ。それを逆に利用し、ダイモスのダイモライトエネルギーを開放し、エネルギーの塊となって内部に侵入するんだ!」
一矢「なんだって!?」
甲児「まさか、前に言ってたことをホントに実行するのかよ」
和泉博士「それ以外に内部に侵入する手立てはない!」
一矢「わかりました!」
成功率は、これまた限りなく低い。
しかし、一矢はそれにひるまず、自らの体とダイモスをエネルギーに変え、小バームのバリアへと飛びこんだのだった。
ダイモスとバリアがぶつかり、光の渦を巻く。
光が瞬き、ダイモスの姿が、宇宙から忽然と姿を消した……!
結婚式が進む。
エリカがついに覚悟を決め、花嫁衣裳の中に潜ませていたナイフを強く握った。
エリカ(……いまっ!)
オルバンの隙をつき、その体にナイフを突き刺そうとしたその瞬間。
一矢「エリカー!」
エリカ「っ!」
愛しい人の言葉に、動きが止まった。
光が瞬く。
エリカ「ああっ。あああっ!」
目の前に現われたのは、愛しき男。
竜崎一矢の乗る、ダイモスが小バーム内に現われたのだ!
あの行為がどれほど危険なのか。知識はなくともエリカにはよくわかった。
命を賭してまで、自分を助けに来てくれた。
危険で無謀であったこと。それと同時に、涙があふれんばかりに嬉しいことだった……!!
和泉博士「一矢君、目の前にある集積装置、それを破壊すればバリアは解除される。それを破壊するんだ!」
一矢「はい!」
ダイモスは目の前にある集積装置を破壊する。
これにより、バリアが破壊された!
ブライト「バリアが消えたぞ。総員突撃!!」
タリア「ここには10億のバーム星人が眠っている。戦闘の被害には十分注意しろ!」
牢屋。
リヒテル「……」
リヒテル(余が牢に閉じこめられ、どれくらいの月日がたったであろうか? 戦いはどうなったのだ? 我がバームは勝利したのか? それとも……)
バームに大きな衝撃が走る。
リヒテル「くっ……この小バームにこれほどの衝撃が走るとは。まさか地球人の侵入を許したのか!?」
かちり。
鉄格子の鍵が開いた。
???「時は来た。出るのだ」
リヒテル「貴様は……」
ハイネル「今こそ、お前はみずからの目で真実を確かめる時だ!」
ハイネルに促され、リヒテルは牢の外へと出た。
ライザ「リヒテル様!」
リヒテル「ライザ!」
リヒテルを救出するためやってきたライザと出会う。
リヒテル「なにがあった?」
ライザ「すべてをお話いたします」
ライザはバルバスと共に調べた結果を伝える。
リオン大元帥の死は、オルバンとその背後に居るボアザン。キャンベルの謀であったこと。
オルバンはバーム10億の民を洗脳し、おのが戦力として使おうとしていることを。
その証拠と共に、リヒテルは真実をしることとなった。
リヒテル「なんてことだ! オルバン、許せん!」
バリアが破壊された直後、オルバンは親衛隊にロボを出撃させ、同時に自分はエリカをつれ、結婚式場から逃げ出していた。
リヒテル「オルバン!」
そこに、牢を脱走したリヒテルが現われた。
ライザと共に、オルバンを守護する親衛隊を一瞬にして倒し、オルバンへ詰め寄った。
リヒテル「聞いたぞ。貴様、我が父を、そしてバーム10億人の民を!! その腐った性根、余が正してくれる!」
オルバン「来るでない! ワシに近づけば、この娘の命がないものと思え!!」
リヒテル「なにっ!?」
オルバンは引き寄せたエリカの頭に銃を突きつけた。
いかにリヒテルが凄腕であろうと、その妹を人質にとられては手も足も出ないと知っていた。
しかし!
オルバン「ぐあっ!」
オルバンが腕をおさえうめく。
エリカが花嫁衣裳に隠してあったナイフで切りつけたのだ。
リヒテル「今だ!」
銃声が響く。
オルバンが、倒れた。
エリカ「兄上!」
リヒテル「エリカ!」
ちゃきっ。
駆け寄るエリカにむけ、銃口がむけられる。
ライザ「っ! 危ない!」
再び銃声が響いた。
驚きの表情を見せる、リヒテル、エリカ、ライザ。
さらに、撃ったオルバンも驚きの表情を隠せなかった。
不意打ちの一撃を、ハイネルがその剣を持ってはじいたのだ。
間に入り、覚悟を決めたライザを守ったのである。
ハイネル「やはり、影武者がいたか。貴様が、本物のオルバンだな?」
オルバン「おのれこうなれば!」
オルバンは奥の手を出す。
みずからがメカ戦士ゴッドアーモンに乗り、侵入者すべてを抹殺せしめんと動き出したのだ。
ハイネル「あとは、奴を倒すのみ」
リヒテル「……なぜ、ライザを助けた?」
ハイネル「……昔、同じように男をかばい、死んだ女が居た。お前にも、そんな思いをさせたくなかっただけのことよ」
リヒテル「……」
エリカ「……」
ハイネル「余は奴を倒しに行く。貴様はどうする?」
ライザ「リヒテル様、機体ならば格納庫に」
リヒテル「ならば、余も行こう! ライザよ、エリカをかませる」
ライザ「はっ!」
現われたメカ戦士達の数を減らし、ついにすべての元凶、オルバン大元帥の乗るゴットアーモンが姿を現した。
同時に、親友アイザムの設計したギメリアに乗ったリヒテルと、ボアザンの守護神ゴードルに乗ったハイネルが出撃する。
リヒテル「オルバン! 民を欺き、無益な戦いを引き起こした罪、その身で償うがいい!」
健一「ハイネル兄さん!」
ハイネル「久しぶりだな、健一」
オルバン「その姿。ボアザンの! ならば貴様はプリンス・ハイネル! 平和運動を扇動し、裏から操ったボアザンの裏切り者!」
健一「やはり兄さんも平和のために戦っていたんですね……!」
オルバン「貴様、ボアザン星の人間が、同盟を結んだバームになぜはむかう!」
ハイネル「黙れ、下郎! 貴様のような輩が居る限り、民に待つのは不幸だけだ! ボアザン皇帝、ズ・ザンバジル共々、貴様等を許しはせんぞ!」
オルバン「くっ……!」
ハイネル「健一よ、余はあの日、炎に飲まれ死んだはずであった。余が生きて再びボアザンの地を踏めたのは、ひとえに守護神ゴードルの加護であろう」
ちなみに、そうして息をとりとめた彼を助けたのはミスリルである。
ハイネル「しかし、そこで余が見たのは、皇帝ズ・ザンバジルにより腐敗しきった母星の姿だった。余はそこで、キャンベル星人の女帝ジャネラとボアザンが手を組み、バームを裏から操り地球を狙っていることを知り、再び地球へ戻ってきたのだ」
そうして一緒に活動したのは、単独行動が過ぎると怒られたこともあるアラン・イゴールだ。
彼と共に平和運動の組織をつくり、第13独立部隊とエリカを影ながら支えていたのである。
アランが隊に合流したのも、エリカ達が小バームにわたったからである。
ちなみにアランがこのことを秘密にしていたのは、ハイネルが機を見て自分で話すと決めていたからだ。
男と男の約束のため、話せなかったというのが理由である。
ハイネル「オルバン、貴様の野望もここまでだ。逆賊ザンジバルの野望共々、ここで成敗してくれる!」
オルバン「リヒテル、ハイネル。そして、地球の者どもが! 貴様等程度の力で、このワシが討てるものか!」
リヒテル「黙れオルバン! 今、余の肩にはバームの民の未来がかかっている!」
ハイネル「貴様にはわからぬだろう。民を自分の所有物としか考えていない貴様ではな!」
オルバン「王が臣民を好きにしてなにが悪い! 奴等は王に仕えるために存在しているのだ!」
一矢「この男の歪んだ欲望が俺の父さんとリオン大元帥を殺し、バームと地球の戦いを呼んだ……!」
健一「オルバン! 地球とバームの失われた生命の償いをしてもらうぞ!」
豹馬「いくぜ、みんな! こいつを倒して小バームの人達を救うんだ!」
バームを開放する、最後の戦いがはじまった!
──戦闘前会話 オルバン──
VS一矢
一矢「オルバン、なぜお前はこんな無益な戦いを起こした! なぜ俺の父さんを、エリカの父さんを殺した!」
オルバン「なぜ? 簡単な話だ。あそこで和平がまとめられれば、バームが我が物とならぬだろう! ゆえに、この謀に乗った! ゆえに今のバームがある!」
一矢「私欲のため、父さん達を、バームの民を手にかけたというのか! ならばバームのため、この拳で貴様を討つ!」
オルバン「バームはすでにワシのものだ! 王が臣民を好きにしてなにが悪い。奴等は王の、ワシのために存在しているのだあぁ!」
VSシャナ=ミア ※サブでもメインでも発生
シャナ=ミア「民を洗脳し、すべてを意のままに操ろうとする……民のことをいとわぬ為政者であった私には、心に刺さる姿です……」
テニア「シャナ……」(同乗者によってこの返答者は変わる)
シャナ=ミア「大丈夫。皆のおかげで、私達は救われました。それは、バームも同じ。このまま不幸となることは見過ごせません! オルバン元帥。民の幸せを考える気がないというのなら、私は剣をとることもいといません。覚悟!」
オルバン「ぬっ、ぬうっ! ワシが、たかが小娘の迫力に押されているだと!?」
VSロゼ=リア ※サブでもメインでも発生
ロゼ=リア「王としてなすべきことをなそうとせず、結果国を滅ぼす。その醜い姿は、同じく国を滅ぼしたわたくしには、くるものがありますわね……」
メルア「ロゼ=リアさん……」(同乗者によってこの返答者は変わる)
ロゼ=リア「ですが、だからこそまだ間に合う。あの男を倒し、わたくし達はバームを救います!」
オルバン「いきなり現れ、なにを言い出す! 貴様等などに、負けてたまるか!」
──決着──
オルバンの乗るゴッドアーモン。それを撃破すれば、この戦いは終わる。
オルバン「ぐわあぁぁ! ば、馬鹿な。ワシが、ワシがここで……!」
リヒテル「自業自得というものだ! 己の罪の重さを感じて死ねっ!」
オルバン「くくくくく」
オルバンは笑う。
死を目前にして。
オルバン「この愚か者らめが! バーム10億の民の命、これで助けたつもりかッ!」
なんとオルバンは、自分の心臓と小バームの動力コントロールルームのコンピューターを連動させており、自分の命が尽きた時、小バームを近くの重力惑星に落とし、木っ端微塵となるようセットしておいたのだ。
オルバンの命が尽きた時、小バームは火星へ落下し、すべてが粉々となる!
これが、オルバンが残した最後の土産であった……!
笑いながら、オルバンの命が尽きる……
振動が小バームを襲う。
それは、火星へと落下する序曲であった……
──火星落下を防げ──
リヒテル「小バームが沈んでいく……ふふっ。地球人達は満足であろうな。憎き小バームが宇宙のチリと消えてゆく
のだからな……」
エリカ「違います、兄上! 地球の皆は、この小バームを、バーム10億の民を救うためにやってきたのです!」
リヒテル「エリカ、なぜきた!」
エリカ「兄上を説得するためです! 皆と、一矢と共に、このバームを救いください!」
リヒテル「愚かなことを。奴等がここに来たのは、地球を攻めたことへの報復よ。奴等が我等への憎しみを捨てるものか。あまたの都市を攻撃し、地球の民を傷つけた我等へ、その仕返しをせぬわけがない!」
エリカ「違います! 地球人は、そのような心の持ち主ばかりではありません! 確かに地球の民にも悪い人はいます。しかし、私達バーム星人にだって、オルバンのような者がいたではありませんか!」
リヒテル「黙れ! オルバンはバームの恥さらし。我等と一緒にするな! まして地球人ごときが我等と手を取り合えるわけがない!」
エリカ「そんなことはありません! 現に、見てください!」
火星への落下をはじめた小バーム。
それを阻止するため、動き出した者達がいた。
バルバスの案内でコントロールルームを目指す第13独立部隊。
しかし、その道は罠だらけで、そう容易く突破できるような道ではなかった。
オルバンは、侵入を防ぐため、通路全体を要塞化していたのだ!
リヒテル「バルバス……!?」
エリカ「彼は、兄上を救うため、誇りを捨て地球の皆に助けを要請しました。彼等はその想いに応えてここまできたのです」
リヒテル「いいかげんに目を覚ませエリカ。よく見てみよ」
エリカ「一矢達が、戻っていく!?」
リヒテル「どうだエリカ。地球人どもは怯えて引き上げはじめたわ。しかもあの竜崎一矢は先頭を切って走っておるではないか! 所詮は地球人。我が身が一番可愛いのだ!」
エリカ「いいえ、そんなことはありません。彼等は諦めていません」
リヒテル「奴等はこの小バームから逃げる気だ。これがバームの民を救いに来たなどと、奇麗事を並べる地球人の正体なのだ!」
ゴゴゴゴゴゴッ!
リヒテル「これは、なんの音だ?」
一矢「うおおぉぉぉ!!!」
それは、トランザーに変形し、狭い通路へ強引に突撃する一矢の姿だった。
ロボが入れるほどの大きさのないそこへ、小さくなった車で突破をかけたのだ!
通路からの攻撃を受け傷ついてゆくトランザー。
一矢は自らが傷つくこともいとわず、ただひたすらに前進する。
どのような攻撃が襲い掛かろうと、一矢の小バームを救おうとする心を、折ることは叶わなかった。
リヒテル「馬鹿な。奴は、本当に小バーム10億の民を助けようというのか!」
エリカ「そうです。これが地球人の真実の姿です。逃げようと思えば逃げ出せるものの、一矢達はこの小バームを救おうとしているのです!」
リヒテル「……」
エリカ「兄上、このままでよいのですか!? 地球の人達があんなに懸命になってバームの民を救おうとしているのに、私達はただ見ているだけだなんて!」
リヒテル「ふっ、そうだな。バームの民の危機に地球人が戦い、余がそれを見ているだけなど、あってはならん!」
通路の猛攻に、武装のないトランザーも途中で止まってしまった。
さらに先へ進もうとする一矢のもとへ、仲間が、ハイネルが到着する。
残り少ない通路の道のりを、皆は力をあわせ、進みきった!
阻止限界点直前、コントロールルームへかけこんだリヒテルは、補助エンジンを作動させ、火星への突入を食い止める。
ギリギリであったが、バームの滅亡は免れた。
小バームの損傷はかなりのもので、立て直すにはかなりの時間がかかるだろう。
それでも、人々の顔は希望に満ちていた。
エリカ「必ず立て直します。そして、今度こそ、地球との和平を……!」
一矢「ああ。俺も、協力させてもらう!」
エリカ「はい、そして小バーム復興のあかつきには、正式な和平を結びましょう」
健一「新たなるバームの誕生か」
ちずる「ねぇ、いま、気がついたんだけど、このままいったらエリカさんが次のバームの大元帥というか、女王様になるんでしょう」
ジュン「そういうことになるわね」
豹馬「すると、エリカさんと結婚すれば、竜崎はバームの王様ってことになるのか?」
十三「そうや、そうなるんやな!」
一矢「おいおい、よしてくれ」
京四郎「へっ、一矢が王様かよ。あいつに政治なんて、できるのか? バームをつぶしゃしねえだろうな?」
一矢「京四郎、近衛兵くらいになら、取り立ててやってもいいぜ?」
京四郎「ほざきやがれ」
小バームを救い、和気藹々と話をする姿を見て、リヒテルも顔をほころばせた。
リヒテル(竜崎一矢よ、エリカを、お前に託そう)
リヒテル「あとは、余が……」
ハイネル「……リヒテルよ。その先に考えていることを実行してはならんぞ」
リヒテル「っ!」
ハイネル「死して責任をとりたい気持ちはわかる。しかし、生き恥をさらし、恥辱にまみれようと、バームの復興に尽力することこそが、貴公のとるべき責任であると、余は思う」
リヒテル「貴様……!」
この言葉、同じような責任のとり方をしようとしたアル=ヴァンが言ってもいいかもしれないが、ここはハイネルに譲ることにしよう。
彼も、この説得に大きくうなずいているはずだ。
リヒテル「……ふっ。そうかもしれぬな。その言葉、胸に刻み、生きるとしよう」
決意を新たに歩みだす、新たなバーム。
しかし、これで一件落着とはいかなかった。
火星の周回軌道に戻ったバームを、監視していたボアザン、キャンベル合同軍が攻撃を仕掛けてきたのだ。
それを退け、やっとバームの開放が終わるのである!
第15話 バーム開放ルート 終わり