世界四大大陸の内の一つオルデ大陸を統治するリディン19世を国王とする、『人間国』ベルロード。
そこから北へ20キロ進んだ先の山奥にあるルオ村。100年程前は年間を通して温暖で花々が咲き誇る壮観な景色が生まれる村として知られていた。村の直下に『春石』と呼ばれる春の季節の気候そのものが結晶化した『魔石』が多量に眠っていた為だ。
だが、時の国王がその景色を国内で作る為に、国内の地下に埋まっていた同数の『冬石』をどうにかするためにルオ村の『春石』を根こそぎ奪い、代わりに『冬石』を埋めてしまったのだ。
それが直接的な原因となり現在は廃村、その小さな村は年中を通して雪が積もり、人間の屍から生まれたであろうやせ細ったアンデッド、ゴースト系統の魔物が多数住むだけの有様である。
しかし廃村になったにも関わらず、ルオ村という名を残したままだ。その理由は定かではないが、考古学者の中からは「現在に至るまでの国王が過去の国王の愚行を繰り返さない為の戒めだ」「四種族に共通して伝わる伝承の男が住むからではないか」と諸説語られる。
伝承というのは、1000をゆうに遡る古き戦争の時代、大剣を片手に人間族の男が獣人族、魔人族、竜人族を相手取り三種族に甚大な被害を与えたが、最後には男を危険視した人間族に迫害され、国王を殺した悲しい英雄の物語だ。
最終章の一節を抜粋しよう。
『騎士達の訓練場に男は立っていました。体をメイスで砕かれ、胸に槍で穴を開けられ、毒の塗られた矢が至る所に突き刺さったその体で、立っていました。』
『騎士達は顔を伏せます。何処からともなく「すまない」と言葉が聞こえてきました。』
『男は死ねません。死ぬ事さえ出来ない男に対して、騎士達は更に攻撃しました。』
『男は言います。「俺が何をしたというのですか」と。』
『国王は言います。「お前はもう用済みだ。平和の為に死んでくれ」と。』
『男は怒りました。何度も死ぬような真似をしながら戦い抜いてきたのに、こんな扱いを受けて死ねと言われた事に。』
『男が言います。「殺せる物なら、殺してみろ。その間にお前を殺す」と。』
『国王は笑って「出来る物ならやってみろ」と嘲ります。男はがむしゃらに暴れました。』
『騎士達のミスリルで出来た鎧を壊し、奪った剣を振り回して騎士達を気絶させました。』
『国王は高慢そうに笑って「私の部下になれ」と言いました。男は「断る」と言って国王を殺しました。』
『その後男は追われる身となりましたが、国王の部下であった者は誰も追いません。』
『男はきっと、故郷で今も尚静かに過ごしています。』
この物語に登場する『男』は不死の
そして、その故郷がルオ村であるとする説が多数ある。それ故にルオ村はその名を残し続けているのではないかと冒険者達の間で囁かれているが、真偽の程はわかっていない。
だが人族以外には当時の英雄の事を知る者が生きている。その筆頭は間違いなく竜だ。
中でもこの物語に登場した男と戦った竜人族の住むヤハ大陸の極東に位置する小さな小島の上に建造されている、今現在発見された中で最難関ダンジョンである『竜の塔』の主、『炎帝竜』オルヴァは語る。
「あの伝承はまず事実だろう。著者は判らんが、少なくとも奴が死ぬ事はまず無い……我の全力のブレスを受け、それでも立ち向かってくるどころか我が角を片方斬り落としおったからな」
その竜と戦い、
その中でハルベルトを抱えた軽装青髪の青年、四人のリーダーである《人間族》カルマ・アルバード。『護剣のアルバ』と呼ばれる
「……あってみたいな」