この世界のチビとハゲは強い。だがチャオズだ 作:カモミール・レッセン
悟空との出会いから、約一年間の時間が経過した。
悟空との戦いは一年が経った今でさえ、灼けた炭の如く僕の心に熱いものをもたらし続けていた。
衰えぬ意欲は僕を修行に駆り立てる。今もなお、今まで以上に強くなろうとする努力の日々が続いている。
とはいえ、最近はあまり大きな動きはなかったりする。
強いて言えば、僕が旅を中断しているということだろうか。
最近は巨悪の話も聞かず、世の中が割と平和なのだ。
それにも理由がある、と僕は考えていた。
原作では悟空がボラを蘇らせた後、すぐ次の回から次の天下一武道会が始まっていた。
そう、原作ではドラゴンボールを集め終えた後にはもう『三年後……』と、割と大胆なカットをしているのである。
アニメの方ではどうだったか知らないが、今は原作における空白の期間にあるというわけだ。
だから今はこの世界にも平和が訪れているのだと思う。
というがそれは何も原作で描写が無いから……という理由ではない。
この時期、悟空は修行のため、世界中を己の足で回っているはずなのだ。
あの体質に性格だ、厄介事を引き寄せては解決していっているのだと、僕は考えていた。
……そんなわけで、仙人として世界を回る事は中断していた。
代わりに今は拠点を設け、腰を据えて修行に打ち込んでいる。
最近の個人的トレンドは──農業だ。
そういえば鳥山先生が、チャオズは超能力を使った農業でそこそこ儲けているなんて言ってたなあと思い出したのが事の発端である。
手ではなく、気を消費しながら超能力を使って農具を動かすことで、超能力の上達と基礎能力の向上を図っているというわけだ。
人が寄り付かないような荒れた地に居着いて、自給自足の生活を送るさまはまさに世捨て人といった様相である。
仙人っぽいなとも思ったが、中国伝承における仙人は霞を食んで生きると言うし、見習いの身でそれを名乗るのは少しおこがましい。
ともあれ、この修業の良いところは『ながら』で出来るということだ。
今僕は切り株の上で座禅を組み、瞑想を行っている。そうしている間にも農具は僕の手を離れて動いている……と。この修業のお陰で、今や念動力は殆ど意識せずとも、それなりの精密さをもって行うことが出来るようになっていた。
これは気のコントロールが上達したことの表れと言えるだろう。
最初は細かい作業をさせるだけでも一苦労だったが、この調子で念動力の訓練を続けていけば、立派な攻撃手段として活躍させることが出来るはずだ。
原作でもフリーザのサイコキネシスは強力なものだったと思うし、最終的にはあれくらい使えるようになればいいな。
正直この地味な修行には時折退屈を感じる事もある。
が、苦ではなかった。カリンさまの修行に比べれば微々たるものではあるが、この修業を続けていれば確実に技術と戦闘力を身につけられるとわかっているからだ。
それというのもスカウター能力のお陰だろう。成果が数値でわかるというのは、大きなモチベーションの上昇に繋がってくれていた。
実を結んでいるかわからない努力は、やはり苦しいものだ。数字で、しかもドラゴンボールの戦闘力として数値を知ることが出来るというのは、楽しくて仕方がなかった。
「……後二年、か」
だが、それでも──実戦でそれを試したい、という気持ちは大きい。
悟空との出会いから一年が過ぎたから、次の天下一武道会は二年後。これはウッカリミスを起こさないように、ちゃんとこの世界で調べたことだ。間違いない。
今までの、チャオズとしての人生を考えるのならば三年なんてあっという間だと思ったが──たった一年の長いこと。
遠足の前日の様な毎日を過ごしつつ、僕は二年後の天下一武道会に向けて意欲を高めていた。
今の僕の戦闘力は、201。原作の天津飯は幾つくらいなのだろう。悟空はどうだ? 僕との接触が、なんらかの影響を及ぼしているのだろうか。
そんなことを考えると、二年後が楽しみで仕方がない。
たとえその時から激動の時代が始まるのだとしても、なんとしてでも食らいついてやるという熱が漲っていた。
あと一年こうしたら、カリン塔に戻って高地のトレーニングを始めよう。
カリンさまも自らを鍛え直すと仰っていたが、実力は増しているのだろうか。
ああ、楽しみな事が多いなあ。
だがひとまずは、今眼の前のことに力を注がなければ。
再び気を集中し、より深い集中状態へと入っていく。
未来のことはある程度分かるとは言っても、少なくともこの『チャオズ』に関してはどうなるかはわからない。
次の天下一武道会は、激動の時代の幕開けとなる。
だからこそ、この天下一武道会だけは、なんとしても取りたいと思っていた。
『チャオズ』の未来を変えられるか。これは、最初の分水嶺となるだろう。
こうして、時は過ぎてゆく──
現在の戦闘力
チャオズ:201
気を扱う技術を高い水準で習得している。