スゴロクガンダム戦記(旧潜水艦)   作:ハトメヒト(ヒットマン)

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第8話 夢を超えて (作:K-15さん)

夢の中で俺はずっと走り続けた。

前だけを見て一目散に、木々を生い茂る森の中を全力で走り抜けた。

制服は汚れるし、ブーツも土でドロドロになっていくのがわかる。

夢なのに細かい所までリアリティーのある事なんて、今の俺にはどうでもよかった。

捕まりたくない一心で、横っ腹が痛くなりながら口で息をしながら辿り着いた先は、断崖絶壁の崖だ。

 

「うおっとっと!!」

 

ブレーキを掛けてなんとかギリギリで落ちずにすんだが、目の前に広がるのはどこまでも続く大海原でもう逃げる場所はない。

地面に叩きつける馬の蹄の音に恐怖し、体中から汗がどっと流れてくる。

けれども迷っている暇なんてない、一か八かで戦うか?

でも、アイツが本当にマスターアジアなら勝てる確率なんて0パーセントだ。

それなら逃げるか?でも何処に?どうやって?

蹄の音がどんどん大きくなってきている、ここに追いつくのなんてもうすぐだ。

どうする?どうする!どうする!?

 

「無理だ…… 戦う事も出来ない。逃げる事も出来ない。もうダメだ……」

 

諦めた俺は地面へへたり込んでしまうが、その時に目の前の地面に大きなひび割れが起きた。

俺が座っている地面は重力に引かれて少しずつ少しずつ崩れて行く。

体に力の入らない俺は立ち上がる事すら出来ない。

 

「う……ウソだ!? ま――」

 

崖は突然崩壊し、何も出来ない俺は岩と一緒に海へと落っこちて行く。

 

「うああああぁぁぁぁ!!」

 

叫びながら俺は崩れた岩と共に塩辛い海へ沈む。

あっと言う間に制服が水を吸い込んで重たくなり、どこまでもどこまでも深く冷たい海に包まれる。

 

(もうダメなのか……このまま俺は……)

 

助からない、諦めた俺はゆっくりと両目を閉じて潮の流れに身を任せた。

冷たくて気持ちがいい、そんな風にも感じている俺はもうオシマイなんだと思う。

けれども一向に息が苦しくならない。

不思議に感じた俺は目を開けてみると、そこは見慣れた俺の部屋だった。

 

「どうなっている、これは?」

 

俺がこの世界に来る前、一人暮らしの俺が住んでいた部屋だ。

つけっぱなしのテレビ、洗っていない食器を置きっぱなしのシンク、食べかけのポテトチップスの袋を輪ゴムで縛って机の上に置いてあるのも、正真正銘ここは俺の部屋なんだと確信する。

でも、どうして?

何で俺はここに居るんだ?

海に潜ったら家に帰れるなんて話聞いたことがない。

頭の中がグチャグチャだ。

 

『アナタはいつも傍観者で、人をもてあそぶだけの人ではないですか!!』

 

『わたしにはそういう資格がある!!』

 

不意に何かが聞こえてきた。

それはつけっぱなしの俺のテレビからだ。

液晶画面にはアニメの映像と音声が流れており、俺は思わずそれに見入ってしまう。

 

「ゼータ……ガンダム」

 

『その傲慢は人を家畜にする事だ!!人を道具にして!!』

 

「何でゼータガンダムが流れてるんだ?それも劇場版の」

 

このアニメの結末を俺は知っている。

テレビと劇場版では最後の終わり方だけ違うのだが、それ以外はほぼ同じだ。

テレビでは最後にカミーユがシロッコを倒すが、シロッコが死に際にカミーユの精神に呪縛を掛けてしまう。

そのせいで続編のダブルゼータでは、セリフもほとんどないちょい役でしか登場しなかった。

劇場版もカミーユが最後にシロッコを倒すんだが、精神に呪縛は掛けられずシロッコは1人で死んでいってしまう。

無事に生還したカミーユは幼馴染のファと抱き合ってめでたしめでたし、って感じで終わったはず。

テレビに映っているゼータガンダムの劇場版は進んでいき、ウェーブライダーに変形したゼータガンダムはジ・オのコクピットへ突撃した。

別名、スイカバー。

 

「でも、結局なんで俺はこんな所に居るんだ?マスターアジアに追いかけられたかと思ったら、ゼータガンダムを見せられて……って、家の外はどうなってんだ」

 

気になった俺はテレビから視線を離して、玄関へ向かおうとした。

部屋から出ようと思ってドアノブをひねったんだが、押せども引けどもうんともすんとも言わない。

 

「あれ?おっかしぃな、鍵は掛けてないのに」

 

念のためにロックを掛けるつまみを右へ左へと捻り、それからもう1度ドアノブを握ったけれどもやっぱり開いてくれない。

 

「もしかして!?」

 

不安がよぎった俺はベランダのドアガラスへ走った。

鍵は掛かっていないのに、やっぱり外へ繋がるドアガラスは開いてくれない。

 

「こうなったら!!」

 

数歩後ろに下がり、助走を付けてガラスにタックルした。

防犯ガラスでも何でもないヤツだから、普通なら簡単に割れる筈なのに、俺は冷たくて固いガラスにぶつかっただけで終わる。

 

「痛っ~~~!! これでもダメなのか?」

 

右肩を痛めただけに終わった俺は、疲れて椅子に座った。

ここから出る方法もすぐには考えつかず、いろいろしている内にゼータガンダムの劇場版は終わってエンディングが流れ終わっている。

画面が真っ黒になって白い文字で『おことわり』って文字が出てくると俺は唐突に意識を失った。

 

「うぅ、何してたんだっけ?」

 

気が付いた俺は艦長室のソファーの上だった。

それでようやく思い出した、俺は疲れてちょっと寝てただけなんだ。

にしても、最悪な夢だ

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