スゴロクガンダム戦記(旧潜水艦) 作:ハトメヒト(ヒットマン)
ドップの個室に運び込まれ拘束をされた俺はこれからどうするか考えていた……。
考えていたのはここから脱出する方法とスゴロクがあれば! という思い。しかし今までロクに働かせてもいない俺の頭ではどうすることも出来ない。このままジッとして待っているしかないのか……。
そう思っていると室内の揺れが収まる。
「ついて来い」
そう言いながらジオン兵が俺の拘束された体の背中を押して鉄の廊下を歩く。
俺は廊下中に響くカツカツと言う音、そしてその音の二倍の早さで動く心臓、今まで感じたこともないような冷や汗、体中の毛の先がピリピリと固まっているような緊張があり意識をしっかりと保って重い足をゆっくりと前へ進めていくだけで精一杯だった。
「ここだ、早く入れ」
声をかけられて前を向くと固定された椅子が真ん中に置かれているだけの部屋に着き、その椅子に拘束されてしまった。
しばらくすると、ノーマルスーツを来たジオン兵が入って来た。
「単刀直入に聞くが――」
ジオン兵が何かを言っているが意識がただ遠のいて行くが急に殴られたのか意識が戻った。
「勝手に寝ているんじゃない!」
これから俺はどうなるのだろうか? あまり嫌なことにならないといいんだけど……。
◇
あれからしばらく点滴と軍人のサンドバック役の生活が続いている。結局今は誰も助けに来ず半ば諦めていた、そろそろ軍人が来る頃だろうか。
ドアが開くと軍人が立っていた。しかし懐かしい顔だ。そして懐かしい声で俺に向かって叫んでいる。
「大佐殿! クレイムフレア大佐殿!」
視力を失っていない方の目でよく見ると、どこからどうみてもラックスだった。
ラックスは俺に向かって拘束具と点滴をすぐに外した。
無事だったことに安心したのか泣きそうになっているが、男同士のむさ苦しさに浸っていたくはない。
(ケガしているし、疲れているんだ抱きつこうとするなよ)。
俺の無事を確認すると安全確認のためラックスは拳銃を片手に廊下を確認する。
「こちらです、付いてきてください」
俺に折りたたみ式の松葉杖を渡すと廊下を厳重に確認しながら脱出経路であろう通路を走り始めた。
捕まる前に撃たれた右足の穴を広げられたりしていたため右足が完全に壊れていたのだ。
俺は松葉杖に掴まってろくに力も出ない体に鞭を打って走り始める。
部屋から出るとピー!という音が艦内に響き渡った、恐らく緊急時に鳴るものだろう、ここまでくれば逃げ切るしか道がない。俺はただラックスについていく。
「ここもか……」
ラックスが止まったと思うとジオン兵がチラッと見えた、どうやら脱出経路がいくつも潰されているようだ。
しかしここで捕まるわけにはいかない
そう思うといつか聞いたような甲高い音が頭の中を走る。
「ん?」
「どうしました? 大佐殿」
隣にある鉄の部屋がどうにも気になる。
このままどうせ捕まるのなら何かをして捕まる。また今まで以上に酷い目にあったにしても俺は後悔はしないさ
「ラックス」
「なんでしょうか?」
「俺についてきてくれるか?」
「勿論です、大佐殿」
そうラックスが言った瞬間俺はドアを開けた。そこにはジオン兵二人と俺があの時無くしたスゴロク、拳銃がある。
ジオン兵は武器を装備しているようだ、俺はすかさず拳銃を持つとこちらに気付いたジオン兵二人の足を撃った。たまたま弾が命中してジオン兵は悶絶している。
俺はその隙にスゴロクを回した。出た目は5、マスの効果は――
『5回までジムを自分の見えているところに呼び出せるコントローラを部屋のどこかに設置』
「よし、これなら……」
何故か俺の目の前に出てくると感じ、手を伸ばした。
その直後丁度手のひらの前にタマゴッチのような大きさのケースの真ん中にボタンが付いている『コントローラ』が出現した。
俺はそれを掴むと腕を伸ばしたままボタンを押してジムを呼び出す。
「俺について来い! ラックス!」
「大佐殿? 何を!?」
ジムのコックピットが部屋にめり込んだ状態で出現した。
俺はジムのコックピットに松葉杖を台にして飛び込む、少し固いシートが鼻に直撃して鼻血が出ているが今は問題じゃない、ラックスが俺がジオン兵に取られていた物が入っているであろう袋を持って乗り込むとコックピットを閉じた。
コマンドガンダムの時の事を思い出してジムのバックパックを最大出力まで点火させて上部に飛び出した。
久しぶりに見る外の景色は思っていたよりも自然豊かだった。
「ラックス、俺が消えていた期間は?」
「2週間です……申し訳ありません、直ぐ様助けに行きたかったのですが――」
「気にするな、母艦はどこにある」
「そのまま北に10キロです」
「了解、追手が来るだろうから錯乱させる」
「了解です」
ジムの武装を確認するとバズーカとビームスプレーガンとビーム・サーベルがある、そして袋に入っている爆弾だ。
「袋に何が入っている?」
「チップの様なものと手榴弾、C4、各種一つずつです」
「了解、作戦を実行する」
ゆっくりと降下し相当の距離を歩き続けた後少し東の方向へ進んでジムを迷彩と草木で隠す、そしてジムの自爆装置の上にC4を貼って遠くへ離れる。
「良いのですか? ジムが……」
「大丈夫だ、考えてある」
追手のザク4機がこちらにゆっくりと近づいて来た。まだジムには気づかれていないようだ。そのうちの1機が気づいた様でジムに近づき、4機がジムに近づいた瞬間俺はC4のスイッチを入れた。ド派手にザクが吹き飛んだ。一機だけコックピットの扉が壊れている状態だったがパイロットは死亡していないようだった。
俺は近づくと気絶しているパイロットを出して木にくくりつけた。
元いた場所より相当遠くレーダーから完全に離れているのでこれ以上の追手の問題はないだろう、そう思いコックピットを手榴弾で完全に破壊するとコントローラーでジムを呼び出した。
結局右足と左目が犠牲になってしまったが、いままでに比べて冷静に判断が出来るようになっていると実感している。
まぁ独眼竜政宗みたいにカッコ良い眼帯でも付ければ良いかな……。
確か刀の柄だったよな、持ってこさせようと考えながらもレーダーで確認して自動操縦でゆっくりと帰艦し始めた。
帰艦するまでの間はラックスにまかせて眠りにつくとしよう。
ワタナ部さんによると
連れてきた神がさりげなくバックを用意して、あのまま燃えておしまいじゃあまりにもひどいから、それを感覚で伝わるように頭の合図鳴らせた感じだそうです。(伏線)
誰でも気付く違和感だろうからわざとだったそうです。