スゴロクガンダム戦記(旧潜水艦) 作:ハトメヒト(ヒットマン)
大画面に映し出されるレビル将軍の顔。
レンタルして来たアニメのガンダムの登場キャラ、でもソレは今俺の目の前で確かに映っている。
スクリーン越しにも伝わって来る威圧感に、心の中でクスクス笑って居た俺にも緊張感が走りシートの上で背筋をピンと伸ばす。
『その左目、相当な痛手を負ったようだな』
「足も片方しかありません。不便で仕方ありません。部下にも手伝って貰い何とか」
『ふむ。とにかく生きて居る事は何よりだ』
何が『ふむ』だ!!
生きてれば何でも良いって訳じゃないんだぞ!!
って、ニートしてた俺が偉そうな事は言えないか。
『大佐、キミは今から宇宙へ上がれ』
「宇宙……ですか?」
『そうだ。ルナ2へ向かえ。報告はまた追って指示する。以上だ』
俺が言い返す間もなくスクリーンの映像は消えてしまった。
てっきりジャブローやオデッサ作戦に合流しろとか言われると思って居たが、まさか宇宙に行けだなんて。
何で宇宙なんだ?
この時期に宇宙で何かあったかぁ?
俺はガンダムの事を熟知してる訳じゃないんだ、考えてもわからん。
「宇宙に行くには……」
どうすればいいんだ?
スペースシャトルは俺が生きてた頃のだし、もっと便利なのがあるだろう。
なんたって宇宙にコロニー建造して住むくらいだからな。
「トリントン基地へ向かいましょう」
「そ、そうだな、そうしてくれ、ラックス」
アイツに乗っかるように続けたが不審に思われたりしないだろうな?
良くは知らないがトリントン基地へ行けば宇宙に行けるらしい。
なら、それに従うしかないだろ。
そこ以外の基地なんて俺は知らないし。
「了解です。進路変更、面舵いっぱい。目的地はオーストラリア、トリントン基地」
俺の隣でラックスが復唱してくれて居る。
他の乗組員も指示に従い潜水艦を操縦し、海底を音もなく進む。
シートの上でどっしり構えて座るくらいしか俺の仕事はなく、他の奴が何をしていてどんな原理でこの潜水艦が動いているのかもわからない。
「医務室へ行く。ラックス、後は頼む」
「お一人で大丈夫ですか?」
「それぐらいなら出来るさ」
ラックスに後ろから見送られて俺は医務室に行く。
別に体が痛い訳じゃない。
何もせずに艦長シートへずっと座ってるのが居心地が悪いからだ。
それに俺なんかが指揮するよりちゃんと訓練を受けたアイツがした方が安全に目的地につくだろうと、心の中で良い訳して置く。
松葉杖を使いながら鉄製の廊下をゆっくり進む。
冷房も効いていないのに通路の空気はひんやり気持ちいい。
向かう先にある鉄の扉を右手で叩いた。
甲高い音が響き軽い耳鳴りが起こる。
「少し待て。今開ける」
中からくぐもった声が聞こえ、内側から重たい扉が開かれる。
出て来たのは白衣を纏った軍医。
長髪をポニーテールに纏め、口には火の付いたタバコを咥えて居た。
彼女はかったるい様子で目尻が釣り上がった瞳で俺を睨んで来る。
ちなみに俺にM属性なんて持ち合わしていない。
「艦長か。今度は何だ?」
「その口の聞き方は何とかならないのか?」
「無理だね」
そう言い放つと彼女は口からタバコの煙を吹き出した。
臭い。
「まぁ、患者として来たなら診てやるよ」
言われて俺は医務室へ入った。