スゴロクガンダム戦記(旧潜水艦) 作:ハトメヒト(ヒットマン)
医務室に入ると廊下がひんやりしていた理由が分かった気がする。にしても、患者としてなら診てやる、と言われても……てか、タバコ。
「そのタバコもどうにかならないのか?患者の前くらいは吸わない方が良いと思うが」
「チッ」
「ん、何だ?タバコはやめるのか」
「いや」
「艦長の命令だ!タバコを止めろ!」
「ふっ、艦長の命令……そうきたか。仕方ないやめてやろう」
彼女が新たなタバコを取り出し、火をつける前になんとかやめさせることができた。しかし、こいつはアレだ、ダメなやつだ。何を言っても聞かないやつだ。こんなところにも面倒なのがいるのかよ、勘弁してくれよ。
「で、どこが悪い?患者として来たんだろ」
「え、あ、その……」
「患者として来たわけじゃないのか?違うなら出てきな。ここに寝るとこはない」
うっ、寝るつもりではなかったが最終手段まで絶たれた気がする。なんとか誤魔化せないか。
「いや、実は最近の船員たちに病気している者とかがいないか見に来たんだ」
「ふん」
鼻で笑われた。こいつ、俺が艦長ってこと分かってんのか?
「艦長、ここに来たのはブリッジにいるのが嫌になったとかで来たんだろ。なぜ、嫌なんだ?ちょっとしたカウンセリングでもしてやるよ」
「そんなこと言ってないのになぜ分かる?」
冷徹な感じなのに、勘は鋭いみたいだ
「顔に書いてあんだよ。あの椅子に座ってるだけで疲れるって」
「顔に…出て…るのか。ま、まあ、そんなところだ。あ、あの椅子は嫌というか居心地が悪い」
「なるほど……艦長の仕事が嫌なんだな。やったこともないような仕事をこなさなければならない。挙句の果てに宇宙に上がれと来たからお手上げなんだろ」
そういって高笑いした。
「察しの通りだ」
なんか、怖い……俺が憑依してここに来てしまったことまで見抜いているかもしれない、と思わせるような勘の鋭さだ。さすがに憑依のことまでは気づいてないだろうけど、こうなったらいっそのことすべて話してみても面白いかもしれない。でも話したところで、憑依したなんて普通は信じないよな。止めておこう。
「何をふけっている!用がないならさっさっと戻りな。それとも、医務室の次は艦長室に逃げ込むのか?あそこは誰もいないから楽だろうな」
「戻る」
とだけ言って、医務室を後にした。
しかし素晴らしく勘の鋭いやつだ。なんか余計に疲れたな。一旦、艦長室に戻るとするか。いや、待てよ。これだとあいつの言った通りになってしまう。それだけは避けたいな。さて、どうする?このままブリッジに大人しく戻るか?それとも……。