スゴロクガンダム戦記(旧潜水艦) 作:ハトメヒト(ヒットマン)
そんなことを考えているより、まだ辞令を受け取っていない。
受け取る前に和平交渉の内容の電話だ。何分急な事だったのだから仕方が無い。
「しかし女医さんはどこに行ったんだか?」
俺はそうつぶやき、女医さんを探すのと辞令を受け取るために、然るべき所へと地図を見ながら向かった。
まぁ多分電子タバコでスパスパやってるんだろうけど……一応船医だからな。
――コンペイトウ司令部前――
コンペイトウの司令部の前に近づくと、2人の兵士が歩哨に立っていた。
俺の顔を見ると嫌な顔をされた様な気がしたが、気にしないことにした。
そして目の前に立つと、歩哨が敬礼と共に用件を聞いてきた。
「ご用件は何でありましょうか? と言っても今ここに来られても困ります。会議のため誰も通すなと命じられておりますので……」
「そうか、だが俺は辞令を受け取りたいんだ。レビル将軍と会見したのだが、将軍は急な用事で辞令も受け取る事が出来ずに、出て行ってしまったんだ。だからここに来た訳なんだが……」
「なるほど……少々お待ちください」
そう言って片方の兵士が壁に備え付けられていた電話で連絡を始めた。
しばらくすると所属と階級と名前を問われたのでしっかりと答えた。
それから少ししてOKのサインが出た様で、兵士が壁の備え付けの端末を操作しているのが見えた。
そしてドアがスライドして開いた。
「どうぞ――」
その言葉と共に、俺はコンペイトウの司令部へと入っていった。
中では怒号や怒声が響き渡り、和平交渉の準備やら何やらで忙しそうだった。
入ってから暫くして、どう声をかけたら良いか迷っていたが、ある下士官が俺を見て声をかけてきた。
「あ、フレア大佐でありますか?」
「ああ、そうだけど」
「グリーン・ワイアット中将がお呼びであります。こちらへ……」
そう言われ案内されると将官クラスの面々が俺を見た。
なんだか視線が痛いが、我慢するしかない。
そんな中でワイアット中将が口を開いた。
「ほう……貴様がクレイム・フレア大佐か、話は聞いている。確か辞令の受領だったな」
「は、はいそうであります。辞令受領に――ま、参りました」
俺はガチガチになりつつも、敬礼していた。
声はしどろもどろで汗が噴き出して緊張していた。
それを見兼ねたワイアット中将が俺にこう言った。
「ハハハ、大佐大丈夫かね? まぁどこに飛ばされるか分かったもんじゃ無いだろうからな、落ち着けないのも分かる。そうだな、ちょうどティータイムの時間だ。そこの君、私の簡易執務室で大佐に紅茶を出してあげてくれ」
そうして俺は、司令部を出るとワイアット中将の簡易執務室へと連れてこられた。
少しして、司令部内を案内してくれた兵士がやってきて紅茶を持ってきた。
そして、俺にもティーカップが渡された。
落ち着かせようとする為の配慮だろうか……まさか死地に向かわせるための餞別として、渡したとするならこれは酷いものだと思う。
「どうだね大佐、ダージリンの香りは?」
「良いと思いますが、やはりアールグレイの方が良いですね。ダージリンは死に行くかも知れない人にとっては、苦痛の香りだと思います」
「それは、君が死地に行くかの様ではないかな……まぁ当たらずと言えども遠からず、という所だな」
その言葉を聞いた瞬間、俺の背筋が凍りついた。
この辞令を受け取るのは危険だと、本能が叫んでいた。
「どういう事ですか? ワイアット中将……」
「君への辞令は簡単なものさ、レビル将軍の護衛だよ。和平だと言ってはいるが、攻撃してくる可能性は捨て切れないからな……なに、マドラスでMSで大立ち回りをした君なら簡単な仕事さ――」
そう言うが何がおかしい、何か大事な事を忘れているが拒否出来そうも無い。
「そうですか、喜んで受けさせて頂きます」
そう言うと、ワイアット中将は少し笑っていた。
「そうか、なら将軍の乗るマゼランにMS部隊長として乗ってもらう……潜水艦の時の采配で頼むぞ!」
そう言われると、俺はワイアット中将に敬礼し司令部を後にした。
「ワイアット中将、良かったのですか?」
一人の副官が、不安そうにワイアット大将を見てそう言った。
「なに、心配はいらん。我々は地獄の業火で焼かれるのをただ黙って見ていれば良いのだよ。戦後邪魔になる者を消せて、こちらとしては好都合なのだよ」
そう言っていた。私は、ただ窓に広がる宇宙の海を見ているしかなかった。
この深い深淵は何処までも魂を飲み込むのだろうかと、思いながらレビル将軍の身を案じていた。
*
俺は、司令部を出るとレビル将軍の居るであろうマゼランの元へ向かって行った。
そういえば女医さんは何処へ行ったのか分からないままなのだが……まぁ生きて帰れば良い話だ。気にする必要性など無いだろう。
艦船ドックに入る前にパイロットスーツに着替えていた。
すると、後ろから誰かが声をかけてきた。
「クレイム・フレア大佐でありますか?」
声のする方に振り向くと小柄な身なりをした兵士が立っていた。
「そうだけど、何なのかな?」
「はい自分は、ミニック・レオン上等兵であります。年は18で、大佐に憧れて連邦軍に入りました。大佐と一緒の部隊で戦えるなんて光栄であります」
そうレオン上等兵が、目をキラキラさせて俺を見ていた。
だが、俺はそんなことも気にせず着替えを続けることにした。
横ではどうして俺の事を憧れるようになっただとか、武勇伝がどうだとか、色々言っていたが無視した。
着替え終わり、延々と俺の話しばかりする上等兵を置き去りにして艦船ドックへ入る。
少し後になって、俺がいないことに気が付いた様で、待ってくださいと言って追いかけて来ていた。
「さてここからが正念場だ……すごろくが入っているリュックは持っているしまぁ何とかなるだろう」
そう聞こえないようにつぶやいた。
しかしレオン上等兵は、リュックが気になっていたようで……。
「コレって、何が入っているんですか? フレア大佐マニアとしては見逃せませんので拝借させて頂きます」
そう言ってレオン上等兵は、俺のリュックに手を伸ばしていたが、俺の直感で何とか取られるのは回避した。
「な、何するんだーっ! 触ったら独房行きだからな!」
そう言って、俺は上等兵から少し遠くに離れた。
あ、危なかった。中身見られたら、妹の形見だというウソをついて大佐に妹なんていません。なんて事でバレるのは気まずい。すごろくが最重要機密ですなんて言ったもんには大笑いされる事は請け合いだ。
俺は早々とレビル将軍のマゼラン級戦艦に乗りこんだ。
もうそろそろで終わるかな……。
一年戦争終わったら参加者リセットで仕切り直しする気です。
参加者が居ない場合は完結です。その場合デラーズはやりません。
※追記 詳細につきましては、活動報告を参照して頂けたら幸いです。