スゴロクガンダム戦記(旧潜水艦)   作:ハトメヒト(ヒットマン)

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リレー小説は、まだまだ募集中です。単発でもOKです。


第2話 敵は2000メートル先 (作:K-15さん)

連邦軍のU型潜水艦は光のない深海を進み続ける。

キャリフォルニアベースから発進して早1時間経過、作戦は順調に進行しレーダーやソナーに敵反応は映らず乗組員は少し緊張感を和らげた。

水中で活動出来る艦やモビルスーツは限られており連邦軍で開発している機体も少ない。

地球侵攻に当たりジオン軍は連邦軍の拠点のジャブローに攻め込む為にも水陸両用モビルスーツを開発する。

モビルスーツの開発が遅れている連邦軍は、これにより水中での活動力ではジオン軍が有利に働いた。

よって水中での活動は機動力、攻撃力でモビルスーツの方が優秀で、クレイムが搭乗するU型潜水艦は敵反応に敏感にならざるを得ない。

水陸両用モビルスーツは1年戦争が終結した後にも少しずつ開発され、73年後の宇宙世紀0153にベスパが開発したのがガルグイユ。

モビルスーツ開発技術の進歩した宇宙世紀0153では今とは違い、ビーム兵器がほぼ全ての機体に実装されておりガルグイユにもビーム兵器は装備されている。

カードを掴んだままクレイムはどのようにこの敵と対峙するのかを悩んでいた。

 

「味方の援軍はなし。この艦にはアクアジム3機しか搭載していない。こんな所で損傷すれば作戦に支障が出てしまう。でも70年も先のモビルスーツに成功法で勝てるとも思えないし、どうすればいいんだぁ~?」

 

クレイムは頭を抱えて艦長室の天井を見上げた。

潜水艦の内装など必要最小限であり、艦長室と言えども例外ではなく鉄の壁と天井しか見えない。

嘆いた所で現状は変わらず、ガルグイユの存在を知っているのはクレイムしか居ないし、それの対処法を考えるのもクレイムにしか出来ない。

誰にも頼れない戦場で、元の世界でただの一般人だったクレイムに何が出来ると言うのだろう。

状況に流されるがままこのU型潜水艦の艦長として大海原に駆り出されたが、彼に潜水艦の艦長として務まる程の技量はない。

 

「すごろくはもう使えない。どうする?どうする!どうする!?」

 

具体的な対抗策も思いつかないままぶつぶつと独り言をつぶやいて悩むしか出来ないクレイムに、ブリッジから呼び出しの連絡が届いた。

 

「ひっ!?」

 

電話から鳴り響く音に情けなく悲鳴を上げ、体を硬直させ驚くクレイム。

大きく息を吸い込んで、汗ばむ右手を制服の上着で拭い白い電話の受話器を手に取り耳へ当てる。

そこから聞こえてくるのは副艦長のラックス中佐、電話越しにもブリッジの緊張感は伝わって来た。

 

「艦長、レーダーに敵影アリ。ジオンのモビルスーツかもしれません。ブリッジにて指揮を」

 

「わかった、行く」

 

内容を聞いたクレイムは短く答えると受話器を置いてまた1つため息を付く。

 

「来ちゃったよ。ベスパのモビルスーツ。あぁぁぁ~!?オレのバカッ!何でこんなの引いちゃうんだよ!?」

 

どうにもならない現状に自らを罵倒するしか今のクレイムには出来ない。

1人で逃げ出す事も出来ず、頼るべき相手も居らず、死ぬのも戦うのも嫌で、1人艦長室に引きこもって乗組員に全てを任せられれば楽なのだろうが、そこまでする程クレイムの精神は腐っては居なかった。

 

「行くしか……ないか」

 

額から脂汗を流して、覚悟を決めたクレイムは艦長室の扉のドアノブを握る。

 

「んっ!?」

 

けれどもあと1歩の所で踏ん切りが付かずに、ドアノブを握ったまま硬直し唾を飲み込む。

肩から息をして全身から吹き出る汗は止まず制服の下のシャツを濡らしていく。

ドアノブまでも汗でしっとりと水気を帯びた所で、彼は空いている左手でもドアノブを掴んだ。

 

「行くぞ!どうせ1回死んだんだ。もう1回死ぬぐらいなんだ!」

 

ようやく艦長室の扉を開けたクレイムは通路に出ると真っ直ぐに副艦長の待つブリッジへと向かう。

鉄の床は革靴の足音をよく響かせる。

ブリッジへと到着したクレイムは少し来るのが遅かった事への追求をサバスに受けた。

 

「艦長、何かあったのですか?」

 

「いいや、何でもない。敵はどうなっている?」

 

人が居る前だからと虚勢を張って、映画などで見た艦長らしくセリフを吐くがその先の事までは見えていない。

艦長シートに座ったクレイムの隣にサバスが直立し、U型潜水艦へと向かって来ている敵影の情報を伝える。

 

「敵影は1機。機体登録が成されていない事から考えて、ジオンの新型かもしれません」

 

(ジオンじゃなくてザンスカールだ!)

 

「モビルスーツは注水して発進準備は整っています。アクアジム3機ですが、相手が1機なら充分に撃墜可能な筈です」

 

(そんな雑魚じゃやり返されるのが落ちだ!)

 

「先制攻撃を仕掛けるのなら相手の射程外から仕掛けるのが妥当かと」

 

(オレに聞くなよぉ!?)

 

ラックスの報告を眉間に皺を寄せて心の中でぼやいていたが、最終決定は艦長がしなくてはならず人任せには出来ない。

戦闘知識、潜水艦の構造、モビルスーツに関してもアニメで見た限りで細かな事までは知らなかった。

震える体を肘掛けを手で思い切り握り何とか誤魔化しながら、どうするかを頭の中で巡らす。

 

(先制攻撃?潜水艦の武器ってなんだ?)

 

顎に手を当てて作戦を考えているように見えるが、実際にはもっと低次元の事を考えているクレイム。

一般人に潜水艦など馴染みがなくどのように戦闘するかなど皆目検討が付かないが、それでも記憶の奥から潜水艦の情報をひねり出した

 

(そうだ魚雷だ!潜水艦と言えば魚雷、これしかない!)

 

ようやく思いついたのが魚雷で攻撃するだけだったが、何の知識もない彼にはこれが限界だった。

クレイムは見ためだけは艦長に見せようと右手を前に大きく振りかぶり攻撃指示をする。

 

「敵に向かって魚雷を撃て!」

 

「どの魚雷です?」

 

(えっ?どの魚雷?)

 

『魚雷』と一言で言っても様々な種類があり、有線誘導、無線誘導、直進魚雷の3つが基本的に上げられる。

U型潜水艦にはその全ての魚雷が備わっており戦況などに合わせて使い分けるのが普通だ。

魚雷の細かな違いなどわかる筈もなく、クレイムは何とか表情には出さないようにして次にどうするべきかを考えた。

 

(どのって事は何種類かあるってことか。魚雷の種類なんて1つも知らねぇぞ!?何とかごまかさないと!)

 

「未確認の機体ですので、命中率の高い有線誘導で仕掛けるので宜しいですか?」

 

「そ……それに決まっているだろう。敵に見つかる前に先制攻撃だ!」

 

「はい、艦長。有線魚雷3発発射!」

 

ラックスが言う事をそのまま自分の指示として命令し、それに従ってサバトが復唱する。

復唱に続いて乗組員が動きワイヤーで繋がれた魚雷がスクリューで進んで行き、2000メートル以上先の敵目掛けて発射された。

 

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