スゴロクガンダム戦記(旧潜水艦) 作:ハトメヒト(ヒットマン)
第39話 消えた世界 (作:K-15さん)
いつの間にか意識を失ってしまった。
体が痛くない? 何で……、考えても仕方がないか。
目を開けて周りを見た俺が愕然とした。
記憶ではついさっきまで乗ってた筈のボールのコクピットではなくなってる。
ケガした筈の右腕の血が流れてないし治ってた。
そして周囲は見渡す限りの白で埋め尽くされて居る。
どう言う事なのか訳がわからないが、1つだけ言える事があった。
それは目の前にデカイ槍を持った女が居る。
背景と同じ真っ白なドレスを着て、黄金に輝くデカイ槍……いや、ランスを片手に握ってた。
金色の長髪も背景に同化してまるで輝いてるように見える。
まさに絶世の美女と言えるだろう。
そんな人がゆっくりと俺の目の前にまでやって来た。
シットリと濡れる小さな唇が動き、彼女の声が耳に届く。
「飛鳥 遼、アナタはここまでです」
「ここまで?」
「前任者の不手際でこのような事になってしまいましたが、こんな事は許されるべきではありません。わたくしの権限により、その玩具は破棄します」
目の前の女は体よりもデカイランスを片手で軽々持ち上げると、その切っ先を俺に向けて来た。
驚いて後ずさりしてしまうが、切っ先はまたゆっくりと動くと俺の足元に向けられる。
チラリとその先を見ると、そこにはスゴロクが置かれてた。
最初にあの胡散臭い爺さんから貰ったスゴロク。
「うわあっ!!」
それが一瞬にして燃え上がり、数秒で視界から消えてしまった。
燃えた跡には灰すら残っておらず、炎が出てた筈の床も真っ白なまま。
何が何だかわからないけど、取り敢えず目の前の美人に話を聞いてみよう。
「あの……ここはどこですか?」
「アナタにも理解出来るように言うとすれば、ここは天界です。本来、人間が来て良い場所ではありません」
「ならどうしてこんな所に?」
「わざわざ説明しなければならないのですか?」
「出来れば、お願いします」
ちょっと性格がキツイ人なのかな?
「アナタに玩具……スゴロクと呼ばれるモノを渡したのは天界の反逆者です。ついさっき、わたくしがこの手で処刑しました」
「反逆者? 処刑したって!?」
「えぇ、そうです。そしてアナタをこの場所に転移させた。それだけの事です」
「待ってくれ。じゃあ、あの後はどうなったんだ? みんなは?」
美人な人だと思ってたけど、目の前の女は微笑1つ浮かべない。
そしてその唇からは無慈悲な言葉が突き付けられた。
「みんなとは? アナタが居た世界など反逆者が創り出したマヤカシ。本来なら存在しない世界、してはならない世界。消えたマヤカシの事など、わたくしの知る事ではありません」
「マヤカシ……」
本当にそうだったのか?
あの感情も、痛みも、全部ウソだったのか?
でも今の俺には、それを思い起こす事しか出来ない。
「アナタの待遇は主様が決定する。わたくしの後ろに付いて来るように」
そう言って黄金のランスを握る女の人は歩いて行ってしまう。
状況がまだイマイチ理解出来てない俺は少し遅れてこの人に付いてくしかない。
ゆっくりと進む女の人だが、不意に立ち止まり振り向くと俺にこう言った。
「言い忘れてました。わたくしに失礼な発言は許しません。次があれば主様の命を待たずとも、アナタを無限の監獄に沈めます」
無限の監獄ってなんだ?
それが一体何なのかはわからないが言える事が1つある。
この女の人、見た目以上に怖い!!