スゴロクガンダム戦記(旧潜水艦)   作:ハトメヒト(ヒットマン)

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第40話 この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ

 女の人に付いて行くと大きな扉が見えた。立ち止まりよく見ると、扉の一番上の部分にはこう記されていた。

 

『Lasciate ogne speranza, voi ch'intrate.』

 

 何語なのだろうか良く分からない。女の人に質問してみる事にした。

 

「すみませんこの文章って何語なんですか?」

「そんなことも分からないなんて、あなたは本当にダメな人ですわね。この文の意味は『この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ』という文です。今のあなたにとってお似合いの文ですわね」

 

 え、え、え、まずいまずいまずい。青汁よりまずいなんて思っていたわけじゃないが、フラグが立った。もといク〇ラが立ったに等しいぞ、オン〇もビックリだよ。なんだ一体この門って、ただの扉になんで望みを捨てなきゃならないんだよ。くぐったら死にますってシャレにもならないよ……ってもうすでに俺は死んでいるんだった。落ち着け落ち着けそうだ冷静になれ、こういう時は“おかし”を思い出すんだ。確かOガンダム、カラミティガンダム、シャイニングガンダムの順って、なんでこんな時にガンダムに繋がるんだよ。しかもすべて平成ガンダムの機体ってどういうことだ……。

 

「あのぉ……本当にくぐらないといけないんですか?」

「はいもちろんです。くぐらないとわが主には会いに行けませんよ。もしかして会いに行きたくないと言いたいのですか?」

「い、いえ少し怖さと緊張が入り混じった不安な気持ちなだけですよ……ハハハ」

 

 その時の案内人の顔は怖かった。なぜ俺は主と呼ばれる人に会わなければならないのか、などと自問自答してみても結局は分からなかった。

 しかし、くぐらなければ無限監獄へ直行それだけは嫌だった。ならばくぐろう、歩の悪い戦いもやってきたじゃないか――門は開かれた。目の前に見えたのは常闇だった。何もない闇、この常闇が俺を喰らいつくそうとした。しかしそこに一筋の光が見えた。光は暖かった。光は大きく広がり目の前には若い男がいた。

 

「私はこれにて失礼します」

「ありがとう。ふむ、驚かせてしまったようだね済まない。悪気があったわけじゃないんだ」

「ここは一体……?」

「ここはハザマ、光と闇の産まれる場所とでも言うのかな。うんたぶんそうだと思ったよ」

 

 この人を見ていると何だか達観した雰囲気が醸し出しているように思える。

 

「どうしたジロジロと見て、君は僕のことが好きなのかい?」

「いえ、何だか達観した雰囲気を感じたので少し不思議だなと思いまして」

「フフフなるほど、確かにそうだが自分自身を評価することはしない。自分で自分を評価してしまった瞬間に限界を作ってしまうからだ。限界を作るのは成長の妨げになってしまう。それはもったいないと思わないかい?」

「はぁ……。というよりあなたは誰なんですか?」

「誰とは心外だな、人はY・H・V・H・(ヤハウェ)や主なる者と呼ぶというのに知らないとは、つくづく神というものの信仰は地に堕ちたものだな」

 

 神……え、神様つまりは神話の神って事。

 

「そんな事よりも君をここに呼んだ理由だが、君と少しだけ話をしたかっただけなんだよ。別に煮て喰ったりする訳じゃないよ。ただ返答によってはマズイ事になるかもね」

「は、はい。それで話とは一体?」

「君は神様転生についてどう思うかい……?」

「――はい? どうとはどういう事ですか?」

「なら質問を変えよう。君は神様転生は悪いと思うかい? それとも悪くないと思うかい?」

「悪くないと思います」

「理由は?」

 

 そう言われてしまうと少し考えてしまう。理由と言ってもただあのじいさんに「やってみないか?」と言われたのが最初な訳だしなぁ……。

 

「うーん理由は楽しそうだったからです。死んだんですから、チートじみた事で無双したりするのも良いかと思いまして」

「なるほど……ね」

 

 俺が理由を言った瞬間、神様の顔つきが険しくなったのを感じた。なんだか禍々しいオーラのようなものを感じる。それに焼けつくような痛み――痛み……変だ。魂だけの存在に痛みだなんて。

 

「そうか君は逃げることを選択したんだね。目の前にある事から逃げ出して、死んだから転生してリセットなんてふざけていると思わないかい? 人生はゲームじゃない。サイコロ振って富豪になるとかバカげてないかい? 目の前にあることを乗り越えて、初めて人は本当に強くなるものだ。それをないがしろにして、君は逃げ出したんだ!」

 

 焼けつくような痛みがますます増してくる。返答するにもやっとだ。

 

「そ、そんな事な……い。逃げ出すも何も……死んだのに! どうしろと言うんだ!?」

「そうだ君は死んだ。その事象を変えることはできない。だがやり様はあったはずさ、考えることを止めた者は老いてくちるのを待つのみだよ。怠惰に時間を食い潰す者に生きる価値はない」

「それ……でも! 生まれる事と死ぬことは、平等に等しく与えられているはずなんだぁぁぁぁ!」

 

 ブチッという音とともに何かがちぎれた気がした。

 

「ほう僕の蛇束縛を破るとはね。これはどういう事なんだろうね……ひとまずは合格かな」

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