スゴロクガンダム戦記(旧潜水艦) 作:ハトメヒト(ヒットマン)
目の前には巨大な戦艦が浮かんで居る。
いや、正確には居た、だな。
確かに俺はこの目で見た。
でもいつの間にか、瞬きすらしてない一瞬で、空に浮かんで居た筈の戦艦はどこかに行ってしまう。
自分の目で見た光景が、数秒後には夢か幻ではないのかと不安になる。
けれどもその不安も、いつの間にか消えてしまって居た。
「今、何時だろ……」
何気なく部屋に置かれた目覚まし時計を見てみる。
時間はまだ朝の7時になったばかりだ。
デジタルの画面には『SUNDAY』とも表示されており、今日が日曜日なのだとわかる。
特にする事もなく、呆然とベッドの上に腰掛けた。
今までの出来事は本当の事なのだろうか?
冷静になる頭で考えてみる。
俺は……俺は……何してたんだっけ?
確かスゴロクで……スゴロクがなんだ?
思い出せ、思い出すんだ!!
ガンダムの……ガンダム?
アニメのガンダムがどうしたんだろ?
それよりも腹が減ってきたな、下に行けば食べるモノくらいあるか。
俺はベッドから立ち上がると自分の部屋から出て階段を降りる。
家には誰も居ないのか?
扉を開けリビングに入る俺は、白いドレスを身に纏う2人の女を目にする。
長い金髪をなびかせる、目が少しキツイ女の人。
もう1人はウェーブの掛かったエメラルドグリーンの髪の毛。
おっとりとした表情をして、金髪の人とは真逆のような人だ。
「アンタらは!? アンタ達は……誰なんだ?」
「記憶はちゃんと抹消されてるようですね。安心しました」
金髪の女の人は俺を鋭い視線で見ながらそう言った。
何が何なのか理解出来ない。
記憶が抹消? この人達は誰なんだ?
「訳がわからないと言う顔をしてますね。大丈夫です、私達はすぐにこの場を去ります。そうすれば私の仕事は終わりです。今、ここで私と出会った事すらアナタは覚えてない。記憶は完全に抹消され、元居た生活に戻ります」
「説明しても今のアナタにはわからない。もう思い出す事もない。エリル、もう行きましょう。ここに居る意味も失くなった」
「そう……」
言うと2人の足元から目を覆う程の光が溢れ出す。
前を見る事も難しく思わず視線を反らして腕で光を遮る。
ただわかるのは、2人の女の声だけ。
「エリル、ん~」
「何ですか、それは?」
「お別れのキス」
「はぁ、あのですね。帰る先は同じです。別れないのでキスする必要もありません」
「じゃあ……転送先はアナタのベッドの上ね?」
「なぁっ!? クッ!! わ、わかりました。目を閉じて下さい」
「早くはやく~」
一体何をしてるんだ?
口を挟む気にもならないが、この光が消えるまでは前を見る事も出来ない。
「こ、これで良いですか?」
「う~ん、前にも教えたのにまだまだ下手ねぇ」
「知りません!! そんな事など!!」
「私がもう1回教えてあげる!!」
「っん!?」
本当に何をしてるんだ……